早稲田大学バスケ躍進の立役者 松本泰が語る超攻撃バスケの正体

早稲田大学バスケ躍進の立役者 松本泰が語る超攻撃バスケの正体


松本秦選手 早稲田大学 男子バスケットボール部(2年)
学スポPRESS〜若き挑戦者たち〜Vol.9

3ポイントをどんどん打ち、ドライブからのダンクも狙う
 早大の"超攻撃バスケ"をぜひ見てください!

昨年の大学バスケ界に旋風を巻き起こし、早稲田大でルーキーとは思えない活躍を見せた松本秦(まつもとしん)選手。準優勝に輝いたインカレでは、優秀選手賞、3ポイント王、得点王の個人3冠を獲得し、オフにはBリーグ屈指の強豪・宇都宮ブレックスに特別指定選手として加入。次世代のヒーローにこれまでの歩みと、追われる立場として迎える2シーズン目の抱負を聞いた。

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──バスケットボールを始めたきっかけを教えて下さい。

「両親がバスケをしていたので家に小さなゴールとボールがあって、物心ついたときからバスケットボールで遊んでいました。正式にチームに入ってプレーしたのは小学1年生の時です」

──中学時代は通っていた学校とクラブチームでプレーされていたようですね?

「はい。中学では最後の大会が地区大会ベスト4くらいで終わって悔しかったので、その後、クラブチームに登録をしてプレーを続けました。ジュニアウインターカップの県大会決勝で瀬川琉久(せがわりく)選手(千葉ジェッツ)のいるクラブチーム(ゴッドドア)に負けてしまったんですけど、『U15クラブバスケットボールゲームス』という大会で3位になりました」

──当時は将来、どのような目標を描かれていましたか?

「中学の時の目標はBリーグでプレーすることでした。当時は身長187cmくらいでインサイドプレーが得意でしたが、高校で同じようなプレーを続けていてもBリーグでは通用しないだろうと。理想を言えばガード、少なくともフォワードとしてオールラウンドに点を取れるようになりたいと考えるようになりました」

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──当時Bリーグで憧れた選手やチームはありましたか?

「当時はBリーグよりNBAをよく見ていましたね。僕は完全に(ゴールデンステイト・)ウォリアーズキッズだったんですよ。『(ステフィン・)カリーかっこいい!』って完全にミーハーな感じでした(笑)」

──ウォリアーズやカリーが好きだったということは、当時から3ポイントを打ちたいという気持ちは持っていた?

「それはずっとありましたね。プロになったら自分の身長は高いほうではないと分かっていたので、だったらどこで勝負したら生き残れるかなって考えて、アウトサイドだなと思っていました」

──高校は京都の洛南高校に進学。全国区の学校でレベルの違いは感じましたか?

「かなり感じました。U15の大会でそれなりに結果を出せたので『ワンチャン行けるだろう』と思いましたが、全然甘かったですね。洛南はオフボールの動きを多用するんですがすごく難しかったですし、セットプレーが多くて覚えられないし、それなりに自信のあったフィジカルやドライブも歯が立たなかったし...。最初は何をやってもダメで、病むところまではいかなかったですけど、練習が全然楽しくなかったです」

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──そこから状況が変わったタイミングはいつですか?

「インターハイ後に行った岐阜合宿からです。その時、ちょうど星川開聖さん(宇都宮ブレックス)が代表活動でチームにいなくて、ポジションが近い僕のプレータイムが増えたんです。試合の合間にいろいろ周りから教えてもらったらけっこう活躍できて、先生にもすごく褒めてもらえて、一気に迷いがなくなりました」

──主力に定着した2年次は、インターハイもウインターカップも出場できませんでした。苦しい状況でどんなことを思いながらプレーしていましたか?

「開聖さんというエースが卒業して、なかなかチームとして安定しませんでしたが、とにかく『自分がプレーで引っ張っていこう』『自分がチームを勝たせられるようになろう』と心に決めてプレーしていた1年間でした」

──高校卒業後の進路選択はどのようなプロセスで決めましたか?

「まずは文武両道というスタンスを第一にしつつ、自分の持ち味を出すためにはどうすればいいかと考えました。そのためにはまずは試合に出ないことには始まらないと思ってお声がけいただいたチームの中から、勉強に力を入れていて、少数精鋭で1年生から試合に出られるチャンスが高いと、早稲田を選びました」

──松本選手が進路を考え始めた頃、早稲田大は関東大学リーグ2部のチームでした。プロになるという将来的なことを考えて、悩みませんでしたか?

「正直、そこは一番悩んだと言っていいくらい悩みました。Bリーグのスカウトの人が見るのはたぶん1部中心だと思うし、大丈夫かな......って。でも、高校の時から自分でチームを勝たせるんだっていうメンタルは持っていましたし、もし2部からスタートしても次の年に俺が1部に上げられるように頑張ればいいと思って早稲田に決めました」

──早稲田大は「とにかく走って、フロントコートに入ったら3ポイントを打ちまくる」という近年の大学バスケ界のセオリーを覆すスタイルで、リーグ戦、インカレと大躍進しました。シーズン当初からあのようなスタイルを追求していたのですか?

「最初はオフボールスクリーンを使ったハーフコートバスケがメインで、その中で『ペースを上げよう』『3ポイントをたくさん打って得点効率を上げよう』と言われていた感じでした。そこからがっちり型にはまったのが、岩屋頼さん(現・秋田ノーザンハピネッツ)と堀陽稀さん(現・越谷アルファーズ)が3人制の国際大会で抜けていた夏の時期でした。スピードのある下山瑛司さん(3年)がスタートPGになったことで、倉石平監督が理想とするバスケが表現できるようになりました。『これだ!』って言えるスタイルが確率したのはリーグ戦が始まる3週間前くらいだったと思います」

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──(松本選手は)新しいスタイルにはすぐに慣れましたか?

「けっこう大変でした。洛南高では24秒をしっかり使ってオフェンスを作るスタイルだったので、こんなにすぐシュートを打っていいの?って思ってしまって。あれだけ走るので体力的にも結構きつく、ディフェンスもおろそかにできないですし。でも、試合を重ねて結果がついてきて、大会を通じてシュートタッチも良かったので自信をもってプレーできたと思います」

──色んな人が驚くようなバスケをやって、リーグ戦はまさかのぶっちぎり優勝。松本選手も1年生ながら3ポイント王を受賞しました。いかがでしたか?

「大きな大会で初めて優勝できましたし、もうめちゃくちゃうれしかったです! 2部から上がった初年度で、全員が失うものがない状態でやっていたことも結果につながったのかなと思います」

──続くインカレは決勝で白鷗大に敗れましたが、こちらも準優勝という素晴らしい結果でした。全国大会で決勝の舞台に上がるのはこれが初めてだったんですよね?

「はい。前日は緊張ではなく、楽しみすぎてあまり寝れなかったです。『早く試合になれ!』ってずっと考えてました(笑)」

──この決勝の試合を振り返っていただけますか?

「点数は取れましたが、白鷗大にフィジカルゲームに持ち込まれて、体力を消費して、最後は力尽きたような感じで終わってしまいました。大学トップレベルでフィジカルの強いチームに対しては、まだまだ自分のフィジカルや体力は足りていないんだなと思いました」

──今年の早稲田はどんなチームになりそうですか?

「サイズが少し落ちるので、去年よりもっとハードに前からディフェンスする、もっと走ることが大事になると思います。それに去年と同じバスケットをしていたら相手に対策されて勝てないと思うので、選手同士やコーチ陣とコミュニケーションたくさん取って改善点を洗い出して、対策して、また新しいバスケットを観客の皆さんに見ていただけたらなと思っています」

──去年のトーナメントはおそらくノーマークだったと思いますが、今年はどのチームも「打倒・早稲田」という意識を持ってぶつかってくると思います。抱負を聞かせてください。

「勝ち上がれたらベスト4をかけて白鷗大さんと対戦できる可能性があるんです。インカレのリベンジのチャンスがこんなに早く来るとは思っていなかったので、まずは絶対勝ちたいですね」

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──対戦チームの松本選手に対する警戒もいっそうレベルアップしてくることが予想されます。

「マークが強くなるってことは『こいつはやばい』って思われていることの証拠だと思うし、そういう厳しいマークの上からシュートを決められたら相当気持ちいいと思うので、やってやろうと思います!」

──今シーズンどんなプレーに注目してもらいたいですか?

「チームとしては、スピーディな展開から3ポイントをどんどん沈めるバスケを。個人としては、マークが厳しくなったとしてもそれを打開して、ドライブからのダンクなど力強いプレーを見ていただけたらなと思っています」

──注目選手を挙げるとしたら誰ですか?

「僕です!というのは冗談で(笑)、下山瑛司さんです。瑛司さんがいないと早稲田のバスケは成り立ちません。身長169cmの選手が圧倒的なスピードを生かして大きい選手たちと戦うところに注目してほしいです」

──今後の目標を教えてください。

「Bリーグで活躍して、日本代表として世界と戦える選手になることです。オリンピックやワールドカップといった小さい頃から憧れの舞台で活躍できるようにこれからも頑張っていきたいです」

PERSONAL INFORMATION

両親の影響で小学1年生からバスケを始めました。小4のときに県大会で瀬川琉久(せがわりく)選手(千葉ジェッツ)と対戦してかなりやられた悔しい記憶は今でも忘れません。オフは買い物に行ったり、寮でみんなとゲームをしたりすることが多いです。東京の人の多さにはまだ慣れなくて、電車に乗るたびにイライラします(笑)。同じ兵庫出身の有村架純さんにいつか会ってみたいです。

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PROFILE
'06年7月3日生まれ。兵庫県出身。191cm / 88kg。松陽中学→センターサークル(クラブチーム)→洛南高校→早稲田大学。ポジションはSF。インカレ2025で得点王、3ポイント王、優秀選手賞の個人3冠を達成。


取材・文/青木美帆 撮影/佐野美樹

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