平野叶翔が語る三重ホンダヒートの成長とスクラム改革
スポーツ インタビュー連載コラム
2026.05.20
ラグビーが教えてくれたこと~楕円球に魅せられた人々の熱い思い~
3季目のディビジョン1で、着実な成長を示した三重ホンダヒート。スクラムが武器のPR(プロップ)平野叶翔(ひらのかなと)が、チームの現在地と役割を語る。
――今季、キアラン・クローリーHC体制3年目を迎えています。チームで変化を感じていますか?
「クローリーHCが選手としっかりコミュニケーションを取ってくれるので、それがいい方向に向いてきていると感じています。チームとしても、もう一段階上に行けるところまで来ていると思います」
――チームが成長している手応えはありますか。
「大敗した試合もありましたが、多くの試合でしっかり戦えていますし、あと一つで勝てた試合も多かったです。成長はすごく感じていますし、『勝てる』という感覚も徐々に出てきています」
――昨季よりも、今季は確実に接戦の試合が増えていますね。
「そうですね。どの相手でも僅差の試合に持ち込めるようになってきましたし、準備の質も上がっていると思います」
――チームの強みはどこにありますか。
「スクラムですね。スクラムに自信がついたことで、試合のターニングポイントを自分たちで作れるようになってきましたし、そこからゲームをコントロールできるようになってきています」
――コーチの影響も大きいのでは?
「すごく大きいです。斎藤展士(さいとうのぶじ)スクラムコーチも含めて、コーチ陣の落とし込み方がすごく分かりやすい。感覚だけでなく、理論的に説明してくれるので理解しやすいです。いろんなタイプのコーチがいますが、斎藤コーチは自分にはすごく合っています。質問にも明確に答えてくれますし、密にコミュニケーションを取れるのがありがたいです」
――京都産業大時代までは3番(右プロップ)で主にプレーしていましたが、ヒートに入ってから本格的に1番(左プロップ)に転向。1番としての成長も感じていますか?
「高校まではずっと3番でした。大学では3番だけでなく1番も並行してやるようになって、ヒートに来てから本格的に1番に取り組んでいます。
(1番と3番は)全然違います。感覚的にも、全く別のポジションです。正直、1番に慣れるまでに、かなり時間がかかりました。昨シーズン、斎藤コーチが来てから、やっとしっかりスクラムを組めるようになったという感覚です」
――今季、1番として先発する試合が増えてきましたね。
「もともとフィールドプレーは好きでしたが、スクラムに不安がありました。それがクリアになったことで、試合にも自信を持って入れるようになりました。
今季は試合出場が増え、毎試合ごとに成長できている実感があります。試合に出続けることで見せられる回数も増えますし、一貫性を出しながら成長できる。成功も失敗も映像で振り返って修正できるようになったことも大きいです」
――'26年(2月2日発表)、55人の日本代表候補メンバーに入りました。
「素直にうれしかったです!これまで代表候補に入ったことがなかったので、エディー・ジョーンズHCに評価されたことは自信になりました。
英国のハーレクインズに留学した時に、イングランド代表SO/FBマーカス・スミスなどトップ選手たちのマインドに触れて、『同じ舞台で戦いたい』という思いが強くなりました。一方で、もっと上を目指そうという自分の意識がそれまでなく、考え方が甘かったと感じる瞬間もあり、その差を痛感した経験でもありました。
いずれにせよ、初めて桜のジャージーを着ることができる可能性があることにはワクワクしていますし、この年齢で、新しい環境に挑戦できるのは幸せなことだと感じています」
――今の時代、各試合のデータが日本代表入りへの大きな評価のポイントになってきています。
「GPSやタックル数、ボールキャリーなど全部データで見られているので、ごまかしがききません。常に(日本代表のコーチ陣に)見られている感覚はあります。来年に向けて、リーグワンでシーズンを通してどれだけ安定してプレーできるかが今後、(代表入りに)大事になってくると思っています」
――チームメイトで、刺激を受けている選手はいますか?
「今シーズンから加入したSO北原璃久(きたはらりく)ですね。取り組み方やコミュニケーションの取り方など、すごく勉強になります。ラグビー理解が高いですし、サイズが大きくない中でもプレーで勝負しているところは本当に参考になります」
――来季から本拠地が三重から栃木になります。
「栃木へ移転することについては、三重出身の自分が誰よりも一番、寂しいんじゃないかと思っています(苦笑)。ファンの方々の声を聞くと、やはり寂しいという意見が多くて、その気持ちはすごくわかります。ただ、企業のサポートも大きく、より観客が入る『ホンダヒート・グリーンスタジアム』がホストスタジアムとなり、練習場などの環境も良くなる、ポジティブな移転ではあるので、そこは前向きに捉えています」
――ラグビーファンへのメッセージをお願いします。
「昨季より強くなったスクラムを見てほしいです。個人としてはジャッカルやワークレートも出していきたいと思っていますが、自分のプレーで泥臭くチームに貢献し続ける姿を見てほしいですし、これからも成長していく姿を見せていきたいと思います」
Personal Words
三兄弟で同じ高校、大学でプレー。
自分たちで考える力を大学時代に養いました
ラグビーは父と兄の叶馬(きょうま)の影響で始め、弟の叶苑(かえん/中国電力レッドレグリオンズ・HO)も含め三兄弟で同じ高校、大学でプレーしました。大学では、自分たちで考える力を養えたと思います。ラグビーからは感謝や姿勢を学び、今の自分の軸になっています。オフはコーヒーを楽しみ、気持ちをリセットしています。
PROFILE
'00年2月8日生まれ。三重県出身。180cm /108kg。ポジションPR。名古屋市立西陵高校→京都産業大学→三重ホンダヒート。'26年日本代表候補。
取材・文/斉藤健仁 (C)三重ホンダヒート
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