東京ヤクルトスワローズ・荘司宏太 プロ2年目の覚悟とチーム好調の理由
スポーツ インタビュー連載コラム
2026.05.20
〜第一六回 プロ野球愛宣言!現役選手編〜
昨季は連続無失点の球団新人記録更新など、45試合に登板して防御率1.05の好成績で新人王に輝いた荘司宏太選手に自らの現在地とプロ野球愛を語ってもらった。
――1年目から目覚ましい成績を挙げ、新人王獲得となりました。
「自分がプロでどこまで通用するのか不安もありましたが、1試合1試合無失点で抑えることだけを意識して投げました。登板を重ね、(昨年まで投手コーチだった)石井(弘寿)さんが持っていた、球団の新人デビューからの連続無失点記録(8試合)を抜いたという話を本人からお聞きして、そこでようやく自分の中でなんとかプロの世界で通用しているんだなと感じることができました」
――具体的に技術面など、どんなところがプロでも通用すると感じましたか?
「ストライクゾーンで勝負できているというのが、自分の中では一番の自信になりました。チェンジアップでも、打者のタイミングを崩すことができて、空振りもたくさん取れたので、そのあたりは社会人の頃と遜色ないというか、それほど変わらないと感じることができました」

――昨季、もっとも印象に残った試合は?
「初ホールドを記録した阪神戦(4月9日)です。石川雅規さんの24年連続勝利がかかっていて、勝っている場面で初めて投げることができた試合だったので、とても自信になりました」
――初めて経験したプロ野球の1シーズン。アマチュア時代には経験したことのない登板数(45試合)を乗り切れた一番の要因は?
「最後まで気持ちが切れなかったことですね。本当にしんどい時期もありましたが、心が折れることなく、相手に立ち向かって行くことができたからだと思います」
――データを見ると、3月から5月まで防御率0.00の後、6、7、8月に失点がありましたが9月以降はまた無失点と、見事に立て直しています。
「8月の巨人戦で勝ち越していた8回に登板し、キャベッジ選手に3ランホームランを打たれ逆転負けした試合がありました。その試合の後に自分のピッチングスタイルを見直しました。自分の基本はやはり真っ直ぐとチェンジアップが生命線なので、ピンチの場面や、逆にランナーなしの時には何を選択するべきかなどを整理して、それがいい方向に向かったと思います」
――(先ほど名前が出ましたが)石井前コーチは同じ左腕で、現役時代はまさに今の荘司投手のような役割を担ったピッチャーでした。何かアドバイスをもらったことはありましたか?
「リードしている状況での登板の時、(自分はフォアボールも多い方なのですが)例えばフォアボールを与えて崩れそうになったとしても、任されたイニングは最後まで投げ切らなければいけないと強く言われました。勝ちパターンの一員を任されるには、1イニングをしっかり投げ切れという話をよくされていました」
――昨年までは高津(臣吾)監督で、現役時代は史上に残る記録を持つリリーバーでしたが、前監督からは何かアドバイスなどされましたか?
「1年目の新人でしたし、監督と直接話をする機会はほとんどありませんでしたが、抑えた時にナイスピッチングと声をかけてもらえたのは、うれしかったですね。あとは、新聞やニュースで自分についてコメントしてくれたことはチェックしていました。キャベッジに打たれた時も、ここが改善点だということを報道で知って、自分が何を求められているかは、常に気にしていました」

――今季、チームは開幕から予想を上回る好調なスタートを切っています。その要因は?
「池山(隆寛)新監督のもと、チームが一丸となってベンチ全体がとても明るい雰囲気です。チームに若い選手も多く、一度、勢いに乗ると止まらないエネルギーがあると思います。ピッチャーが苦しい時には打線が援護し、逆に打線が不調な時にはピッチャーが踏ん張るといった、チーム全体がうまく噛み合っている状態だと思います」
――2年目の今季、対戦相手から研究されていることは感じますか?
「やはりプロの世界なのでデータなどもあるでしょうし、それはありますね。昨季よりチェンジアップに対して対応されていることは感じています」
――昨季の成績から、今季はクローザー就任も期待されています。
「スタートは中継ぎになりましたが、シーズンは長いので、チャンスが来た時にはしっかり結果を出したいです。今季は相手打者にしっかり対応されてきているので、自分も何かレベルアップしながらやっていかなければいけないと意識しています」
――具体的に、何か新しく取り組んでいることはありますか?
「春季キャンプから、カーブの改良に取り組んでいます。昨季は緩いカーブが主で、チェンジアップと球速が同じぐらいになってしまうので、今季は速いカーブだったり、さらに遅いカーブだったり、いろいろ試行錯誤しています。まだ実践ではそこまで投げていませんが、シーズン中に調整しながら自分の球種のひとつにできればと思っています」
――今季の目標を教えてください。
「60試合登板が一番の目標です。あとは、防御率は1点台を切りたいですね。少しでも、去年よりいい数字を残したいです」

――野球を始めたのはいつ頃ですか?
「チームに入ったのは小学校2年生の時です。祖父が監督をしていて、兄たちもそこにいたので、保育園の頃から野球自体には触れていました」
――幼少期からプロ野球は見ていましたか? 当時、好きな選手は?
「八王子出身なので東京のチームを応援していました。選手だと(アレックス)ラミレスが好きでした。当時からピッチャーをやっていましたが、ホームランバッターに魅力を感じていましたね」
――プロ野球選手になりたい、なれるかもしれないと思ったのはいつ頃ですか?
「小学校の頃、将来の夢はプロ野球選手でしたが、中学に入って周りに自分より球の速い子がいて、こういう人がプロにいくんだなと思って、ちょっと絶望しかけた時もありました。高校生になって球速が上がり、プロのスカウトがチェックしてくれているという話を聞いて、もう少し頑張ればプロにいけるかもと思うようになりました。大学を経て進んだ社会人野球では、明確にプロを意識していましたね。それが現実になった時は、本当にうれしかったです」
――荘司投手は、投げる際に顔を横に向ける、(元メジャーリーガーの)岡島秀樹投手のような独特な投球フォームが特徴ですが、あれは岡島さんを意識したものですか?
「いや、意識はしていないです。そもそも、岡島さんがそういうフォームをされていたということを知らなかったので。大学時代、ケガをした時に当時の監督にいろいろアドバイスをもらってから身につけたフォームです。当時、ケガをしてから納得のいくピッチングができなくなってしまった時に、残りの野球人生を悔いのないようにしようと、肩が壊れてもいいという覚悟で投げ始めた結果、今のようなフォームに辿り着いたんです。そこからもっと腕を上げると出力が上がるとか、制球力が良くなるとか、そのあたりは社会人時代にマイナーチェンジしてフォームが固まっていった感じで、今はこの投げ方が自分のベストだと思っています」
――最後に、野球に対しての想い、ファンの方に自分のアピールポイントを教えてください。
「純粋に野球が大好きだから、ここまでやってこられたと思います。やめようと思ったことは一度もありませんし、もっと野球を楽しみたいという気持ちはずっと変わらないです。自分はマウンドであまり感情を出す方ではありませんが、内側からメラメラ出る闘争心をファンの方には見てほしいです。
最後に...ずっとピッチャーを続けていますが、自分はバッティングも好きなので、プロの世界で一度は打席に立ってみたいです。リリーフだとなかなか機会はないですし、来年からはDH制になるのでその可能性がなくなってしまうので...、なんとか今季、1度でも打席に立てたらすごくうれしいです!」

〈プロフィール〉
'00年5月22日生まれ。東京都出身。駿台甲府高―国士舘大―セガサミーを経て、'24年ドラフト3位でヤクルトに入団。昨季は主にセットアッパーとして活躍し、45試合に登板、防御率1.05の好成績をマーク。チームトップの28ホールドを挙げ新人王に輝く。威力ある直球と「魔球」と呼ばれるチェンジアップを武器に、強気のピッチングが特徴。
取材・文/大久保泰伸 撮影/中川容邦
プロ野球愛宣言!
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