ぺえ×狩野舞子特別対談!息ピッタリの二人が選ぶSVリーグ序盤戦MVPは!?【ぺえ連載第3回】
スポーツ 生中継連載コラム
2024.12.13
ぺえ (タレント)
タレント。小学生からバレーボールを始め、中学時代に山形県選抜になった経験を持つ。バレーボールを愛してやまないぺえが、独自の視点でバレーボールの魅力を熱く深く伝える。
ぺえ (タレント)
タレント。小学生からバレーボールを始め、中学時代に山形県選抜になった経験を持つ。バレーボールを愛してやまないぺえが、独自の視点でバレーボールの魅力を熱く深く伝える。
バレーボールをこよなく愛するタレント・ぺえによるバレーボール連載企画。今回は、ぺえと、ぺえと旧知の仲である元日本代表の狩野舞子が対談。バレーボールの新1部リーグ「大同生命SV.LEAGUE」の開幕から1カ月を振り返り、SVリーグになって変わったと感じるところや気になったチーム、MVP、終盤に向けての注目ポイントなどを語ってくれた。
■SVリーグになって良くなったのは「リーグを盛り上げよう!」という気概
ぺえ「これまでと比べて、すごく観客動員数に対して積極的に集中して進めているように感じています。もちろん、観客動員数やファンが増えることが全てではないのだけれど、数字という分かりやすい指標を使って『いろんな人の力を結集して、リーグ全体を盛り上げよう!』という気概が感じられるんですよね」
狩野「確かに、以前はホームのチームは頑張っているんだけど、アウェーのチームは『観客が入らないのは仕方ない』という空気があったんですよね。でも、SVリーグになってから、もう一回皆で企画を考え直して『どうやったらお客さんが来てくれるのか』とか『何をやったらお客さんが楽しいのか』とか『何を見せたらいいのか』とか、お客さんに対するエンタメ的な要素を取り入れようとしているのが分かって、私もすごくいい傾向だなと思って見ています」
ぺえ「コロナ禍で一度落ち込んでいた気運みたいなものが、時間を経てやっと盛り返してきたなって。『会場全体で試合を作っていこう』というムード作りが、SVリーグになって一気に花開いた気がしているんです。前は関係者の人たちもお客さんが入らないことをどこか諦めてしまっているような、見て見ぬふりをしているような感覚があって......」
狩野「そうだね。分かる、分かる」
ぺえ「特に東京グレートベアーズは、集客において具体的な目標を掲げて選手・スタッフ含めてワンチームで努力していたり、お客さんを楽しませるためにいろんなアイデアを駆使したり、工夫を凝らして取り組んでいるんですよね。見て見ぬふりをしていた部分にちゃんと向き合っているという姿勢が本当に変わったところだなと」
狩野「そうそう。そうやってくれるチームが出てきたことで、他のチームも引っ張られて観客動員数を表示したりとか、本当にいい流れができてきているよね。ロールモデルのチームがあることで、『そういうアイデアもあるのか』とか『それができるなら、これもやってみよう』とか、良い相乗効果が生まれるから、東京GBは本当にいい機運を生んでくれているよね」
ぺえ「選手の意識も"チームの中の選手"から"一人のプロ選手"という風に変わってきているから、だんだんとリーグの雰囲気も醸成されていくかもしれませんね」
狩野「そういう意味では、新リーグになって移籍が増えたことがすごくいい流れだと感じています。ずっと同じチームにいるよりもチームを変えることで『一人のプロの選手として活動している』っていう気になるし、私もそうだったから。いろいろなチームに行って、いろいろな選手とプレーすることで経験値も上がるし、お客さんも『今年はこのチームなんだ』って新鮮さを感じて、興味を持ってもらえる機会が増える気がするから、すごくバレー界が活性化するんじゃないかなと思っています」
ぺえ
■今後の課題はスポーツ選手のSNSとの向き合い方
ぺえ「そんな中で、個人的に感じているのは消極的なSNSの使い方!」
狩野「分かる~(笑)」
ぺえ「男子は盛り上がっていますけど、女子も『こうしてはいられない』『もっと盛り上げなきゃ』と感じてほしいですね」
狩野「男子は、選手もSNSの使い方が上手なんだよね」
ぺえ「そう!」
狩野「女子ももっとできるんだけど、『SNSをやっている場合じゃない』的な雰囲気が伝わってくるんだよね」
ぺえ「そうなんですよね......。もちろん得意じゃない選手や『プロだからバレーに打ち込むべき』という信念の選手はやらなくてもいいと思うんですけど、SNSが得意な選手は『バレー界全体を盛り上げることもプロの仕事の一つ』として割り切って、どんどんやっていけばいいのになって思うんです」
狩野「確かに、そういうところにも盛り上げていける余地があるわけだから、雰囲気作りも含めてもっとSNSの活用ができると大きな宣伝力になるよね」
ぺえ「それと、公式YouTubeチャンネルで試合のハイライトが上がるんですけど、サムネイルを変えてほしい!あれ、勝ったチームがサムネイルになっていて。私は、試合結果を知らずに勝敗も楽しみの一つとして見ることが多いので、サムネイルで結果が分かってしまうのが残念」
狩野「それ、すごくいい意見だと思う!」
ぺえ「あと、まだ1カ月だからこれからに期待するところも多いんですけど、リーグとして目指す明確な方向性や着地点みたいなものを提言してもらえると、ファンとしても一緒に応援する気持ちになるし、もっとノれる気がするんですよね」
狩野「なるほどね。ライトな人たちからすると『名前が変わっただけ』って思ってしまうかもしれないしね。もっと分かりやすく掲げてくれれば、ファンとしても参加しやすくなるだろうし、バレーファンじゃない人たちの話題にも上がりやすくなるだろうし」
ぺえ「そういう分かりやすい変化があれば、長くバレーを愛してきたファンの方々も新しい楽しみ方ができると思いますね」
■二人が序盤戦で気になった女子チームは......
狩野「女子は、埼玉上尾メディックスが気になったかな。成績ももちろんいいんだけど、私はブロックがいいチームが好きで、埼玉上尾って皆そんなに身長が高いわけじゃないし、"大エース"みたいな人もいないんだけど、ブロックの付き方とかシステムがすごく上手で!多分、監督のチーム作りの賜物なんだろうけど、それでディフェンス力が上がるし、最終的に必ずスパイカーが決めに行くっていう姿勢がすごく好きで、今季はすごくいいんじゃないかなと思っています」
ぺえ「やっぱりそうですよね?私の優勝予想も埼玉上尾なんですよ。一緒です!」
狩野「他のチームがバタバタしている中で、埼玉上尾だけがすごく落ち着いていて」
ぺえ「分かります!あと、強いだけじゃなくて、チームの雰囲気もいいから見ていて応援したくなるんですよ。フラットな目で見ていても、いつしか埼玉上尾のコートにボールが落ちちゃうと悔しがっている自分がいて『応援したくなるチームになっているんだな』と感じることがしばしばあるんですよね」
狩野「皆楽しそうにプレーしているから、見ていても楽しいんだよね」
ぺえ「あと、デンソーエアリービーズの勝ち星がかなり多くて、自分なりに分析してみたんですけど、デンソーって選手の集中力が高いんですよ。ボールが落ちないからラリーをものにする回数が多くて、相手チームはすごくやりづらいんじゃないかなと感じました。皆レシーブが上手くて、細々と動いて"全員バレー"を体現していますね。最終的にモンチべレル・ロザマリア選手につなげて決めるか、相手がミスをして粘り勝ちするっていう」
狩野「ディフェンスがすごくいいよね。一時期の岡山シーガルズみたいに、いつの間にか点差が開いている感じ。大卒の選手が多いから、技術のある完成した選手たちが団結して、高卒の選手たちを引っ張っていってくれている感じがする。経験値の高い大卒の子たちのおかげでコートの中が落ち着いているよね」
■女子のMVPは、センス抜群の大型選手
狩野「期待を込めてというのもあるんだけど、SAGA久光スプリングスの北窓絢音選手です!」
ぺえ「一緒です!やっぱりそうですよね」
狩野「私は器用な選手が好きだから(笑)。サーブレシーブもすごく上手だし、元々ミドルブロッカーだったけど今はアウトサイドヒッターをやっていて、すごく貴重な選手だと思うんだよね。きっと代表にも選ばれる選手だと思っています。もちろん、パワーとかまだ足りないところもあるんだけど、打ち分けもうまいしブロックもいいし......すごくいいんだよね」
ぺえ「レシーブ、スパイク......全部にセンスを感じるんです。細かいプレーも上手にこなせるし、身長も182cmあるんですよ。だから、ちょっとミスしようが止められようが、北窓選手は出し続けてほしいなって思っていて。とにかく彼女には経験をさせて、修行させてあげてほしいんです。新鍋理沙さんと石井優希さんのハイブリッドのような選手になってほしいなと期待しています。というか、一致したのがすごくうれしい!」
狩野「春高からセンスを感じていたからね。でも、性格はちょっと優しいというね」
ぺえ「そこもいいんですよねぇ。そこも含めて好きなんです。ちなみに、八王子実践出身の中では誰ですか?」
狩野「私は、昔から大川愛海選手推しだよ。今季から東レアローズ滋賀に移籍して、フェイクセットに挑戦したり。いろいろ挑戦してみる姿勢と、今必要とされているポジションで頑張れるところが好きですね」
狩野舞子
■男子で印象に残ったチームは......
ぺえ「ジェイテクトSTINGS愛知ですかね。チームとして徐々に完成度が上がってきていて、ひと安心しています」
狩野「私は、東京GBは結構いいと思っているんだよね。ベテランも勢いが良くて頑張っているし。実は、開幕前の私の評価は低かったんだけど、いい感じに上位のチームにも勝っていて、やっぱりあの応援は大きいんだろうなって思うね」
ぺえ「勢いがすごいですよね。チームとしても、会場としての勢いも。"台風の目"っていう言葉がぴったりですよね。飲み込まれてしまいそうな勢いがある。選手も華やかですし」
狩野「そういうところも大事だからね。そこから入る人もいますから」
■男子のMVPは、バレーボール界の二刀流
ぺえ「私は、期待を込めてウルフドッグス名古屋の水町泰杜選手です」
狩野「待って、一緒!」
ぺえ「やっぱりそうなりますよね?純然たるMVPは、大阪ブルテオンの西田有志選手。これは、言っておかないと忖度になってしまうから(笑)」
狩野「そうだね。数字にも表れているしね」
ぺえ「西田選手はもちろん認めた上で、水町選手を推したい。何か西田選手と関田誠大選手(STINGS愛知)は頭一つ抜けている気がしていて、この2選手を脅かす存在が欲しいんですよ」
狩野「そうだね。ちょっとレベルが違っているよね。だから、若い選手の中から脅かす存在が出てきて欲しいのはすごく分かる」
ぺえ「でも、女子、男子ともに一致するってすごくないですか?」
狩野「すごいね。まあ、好みが似ているっていうのもあるけど(笑)」
■終盤に向けての注目ポイントは、集中力と戦術
ぺえ「すごく長いリーグになるということなので、今まで以上に控えの選手も含めて全員がパフォーマンスを落とさずに戦い切れるかどうかが鍵になると思っていて、前半と比べると後半は様相がかなり変わってくる気がしているんです。集中力を保ち続けられるチームが、中盤以降も勝ち続けられるんじゃないかなと」
狩野「かなり試合数が増えたから、本当にリザーブの力がすごく大事だし、それまで通用していた組み立てとか戦術が通用しなくなった時の監督の判断に注目したいですね。『この戦い方にこだわるんだ』なのか『そうしてきましたか』なのか。そういうところはいちバレーファンとして楽しみですね」
ぺえ「前半と全く違うバレーをしてくるチームも見てみたいですね。後半で急に投入されて大化けする選手が出てくる可能性も高いと思うから、1年を通して飽きないシーズンになると思います」
狩野「特に来年はオリンピックの次の年で、代表がまた一から組み直されるから、そこにつなげたいって思う選手も結構いると思います。そういうところも含めて、今出ていない選手もアピールする場にもなりますよね。だからこそ、メラメラとガツガツしている選手たちの活躍に期待したいですね」
取材・文/原田健 撮影/皆藤健治