スーパーエースコンビ、中垣内祐一・大林素子が本音トーク！再び盛り上がりを見せるバレーボールの"今"

中垣内祐一さんと大林素子さんは、90年代のバレーボール人気を支えてきた同期コンビ。世界の強豪たちと闘ってきたスーパーエースの2人が、再び盛り上がりを見せているバレーボールの"今"について本音トークを繰り広げる。

中垣内祐一

――24年10月に2024-25 大同生命SVリーグが開幕しましたね！

中垣内「SVリーグについては、ようやくスタートラインに立ったな、という思いがあります。もう何十年も前からプロリーグをスタートすべきだと思っていました。バレーが国内のスポーツの中で生き残るためにも、国際競争力を上げるためにも。厳密に言えばまだプロとアマチュアがミックスした形ではありますが、新しいスタートを順調に切ることができ、ようやく一歩進んだなと」

大林「まず東京体育館が満員になったSVリーグ男子の開幕戦には感動しましたね！私自身、今季からSVリーグのPRアンバサダーに就任しまして、盛り上がるためのお手伝いをしなければと使命感を抱いていたんです。かつては観客で会場が満杯になるのが当たり前の時代もありましたから、またそんな光景が戻ってほしいなという思いがあった分、感慨深かったですね」

中垣内「人気に関しては、むしろ私が思っていたより遅かったぐらいです。石川祐希(ペルージャ)や高橋藍(サントリーサンバーズ大阪)、西田有志(大阪ブルテオン)といった選手たちは、もっと早く取り上げられてもおかしくない、それだけのパフォーマンスと、ビジュアルも両方備えている素材だと(日本代表の)監督だった頃から感じていました。それに今の選手は本当にプロフェッショナルで意識が高い。我々の頃の選手は、今の選手の爪の垢(あか)を煎じて飲まなきゃいけないぐらい(笑)。石川も西田も他の選手も、競技第一ということを常に忘れず、普段の生活から何がベストなのかを考えています」

大林素子

――SVリーグで注目している選手はいますか？

中垣内「小川智大(ジェイテクトSTINGS愛知)はもう日本のレベルを超えて、世界でもトップレベルだなと感心しました。それに、西田はずっと安定して高いパフォーマンスを発揮しています。パリ五輪でもずっと調子が良かったのは彼でしたね」

大林「女子では山田二千華(にちか)選手(NECレッドロケッツ川崎)と林琴奈選手(大阪マーヴェラス)です。山田選手はオリンピックに二度出場して、いよいよ彼女がリーグの顔になる時期が来たな、と。

林選手は金蘭会高校時代の春高(全日本高等学校選手権大会)で、私はベンチリポーターとして見ていました。その頃から変わらない、"お手本中のお手本"のようなプレースタイルが好きなんです」

――春高バレー(春の高校バレー)も開幕しますね。

大林「私自身、オリンピックも含めてあらゆる大会でテレビの解説をしてきましたが、最も好きなのが春高です。学生スポーツの魅力が詰まっていて、試合に勝っても負けても涙があります。私も解説の最後に締めるときは、もう涙ながらに(笑)」

中垣内「私の高校時代は、春高バレーはTVの中の話でしたよ(笑)。まったく目標ではなかった。勝てないのは分かっていたので。だって高校時代はほとんど練習していなくて、大会前の一週間ほどしか体育館に行きませんでしたから(笑)。それでも大学でバレーボールを続けることを決めていたので、いつかチームメイトになるかもしれない選手を春高バレーで見ていましたね」

――最後にバレーボールファンの皆さんにメッセージをお願いします。

中垣内「SVリーグは、掛け値なしに世界トップレベルのバレーボールがご覧になれるリーグです。本当だったらイタリアにでも行かないと見られないようなレベルの試合を、日本で見られる。目の肥えたバレーファンが『お！』と唸るような、そしてバレーをまったくわからない人が見ても『すげえ！』とため息が出るようなプレーが見られるので、ぜひTVで観戦なさってください」

大林「J:COMを通じて、たくさんの試合が視聴できますが、テレビの画面を通して『見たい』『会いたい』と募った思いで会場に足を運ぶことで喜びに変わる体験もあれば、その反対に、生で見たあとに映像を通すとまた違った魅力に気付けたりします。いろんなカテゴリーの試合をご覧いただき、さまざまな面白さを味わってもらいたいです。それに高校バレーを見ていると将来、日本代表として活躍する姿がもれなく見られるので、そんな楽しみ方をしてもらえたらと思います」 ※高橋藍の「高」は正しくは「はしご高」 撮影／菊竹規(中垣内祐一)、赤松洋太(大林素子)　取材・文／米虫紀子(中垣内祐一)、坂口(大林素子)