映画『響け!ユーフォニアム』黒沢ともよが語る恋愛や友情を超えた久美子と麗奈の関係性
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2026.04.20
2015年に放送開始され、吹奏楽に打ち込む高校生たちの姿をみずみずしく描いた青春学園ドラマ「響け!ユーフォニアム」。2024年に放送されたTVアニメシリーズ第3期に新作シーンを追加し、再構築した劇場版最新作『最終楽章 響け!ユーフォニアム』前編が4月24日に公開される。今回は映画公開に先駆け、主人公・黄前久美子を演じる声優・黒沢ともよにインタビューを行い、10年間を共に歩んできた作品への思いや、名シーンのアフレコ裏話を聞いた。

(C)武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会2024
――『最終楽章』制作決定を聞いた際の感想を教えてください。
「ありがたいことに『響け!ユーフォニアム』は、各期のTV放送後に必ず劇場版が制作されてきた作品でした。そのため、TVシリーズ第3期の制作が決まった時から『今回も劇場まで完走したい!』という思いがありました。ただ、かなわなかった時にファンの方をがっかりさせたくなかったので言葉には出せずにいたんです。でも、スタッフの皆さんも同じ気持ちで『どうにかできないか』とずっと探ってくださっていたそうです。その熱い思いも含めて『最終楽章』制作決定の知らせを聞いた時はうれしすぎて、麗奈役の安済知佳さん、葉月役の朝井彩加さん、緑輝(サファイア)役の豊田萌絵さんと4人で泣いて喜びました」

(C)武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会2024
――改めて感じる「響け!ユーフォニアム」の魅力をお聞かせください。
「原作者の武田綾乃先生が、登場人物たちの等身大の悩みをありのままに描かれている点です。それに対して、監督をはじめとするアニメーション制作チームの皆さんも『今、この作品にできる全力を注ぐ』という姿勢で向き合ってくださり、それがこの作品ならではの強みだと思っています。また、京都アニメーションさんが手がける映像美も大きな魅力です。同年代に制作された『Free!』や『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の印象的な技術が生かされていて、水道の水や街を流れる川を照らす光の反射が本当にきれいなんですよね。最終楽章でもその相乗効果が発揮されているのを感じました」

(C)武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会2024
――『最終楽章』前編の見どころを教えてください。
「今回の『最終楽章』は、改めて久美子の視点を強く描く構成になっています。TVシリーズのエピソードに新規カットが追加されたり、スタッフさんたちの『放映時は我慢したけれど、やっぱりこうしたい!』という熱い思いからセリフが少し変わっている部分もあります。どこが変わっているのか、ぜひ劇場で確かめていただきたいです」
――第1期12話で久美子が「うまくなりたい」と泣きながら走る名シーン収録時の思い出をお聞かせください。
「第1期は、早見沙織さん、寿美菜子さん、櫻井孝宏さんといった、後ろにいるだけで息が上がるほど緊張する先輩方と、狭いスタジオで収録していました。音響監督さんは普段あまりリテイクを出さない方なのですが、このシーンだけは特別で『何回でもやっていい』と言ってくださったんです。振り向けば先輩に当たってしまうような距離感の中、がむしゃらに何度も演じて、最後は私自身も『うまくなりたい』という感情でいっぱいになりました。収録後、櫻井さんに『俺も息するの忘れちゃった』と言われたのをよく覚えています。先輩方の力もお借りして引き出せたお芝居でした」

(C)武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会2024
――久美子にとって特別な存在である麗奈とのシーンは、どんなことを意識して演じていましたか?
「第1~2期の頃は、麗奈に対する感情を"恋愛"に置き換えて演じることであの特別感に没入していました。でも年齢を重ねるにつれ、恋愛や友情を超えて『この子に付いていく』と思えるほどの尊い関係値を、自分ごととして理解できるようになりました。私は一時期、麗奈の言葉を"呪い"と表現していたのですが、呪いは愛と背中合わせの祈りでもあると思います。『最終楽章』では、改めてこの思いと向き合い、呪いになるのか希望になるのか、私自身も考えながら演じました」
――麗奈役の安済知佳さんとのアフレコはいかがでしたか?
「私たち二人の収録現場は、まるで女子バレーボール部です(笑)。知佳ちゃんは、うまくいかないと『もう一回やりたい!』って叫ぶんですよ。麗奈の荒ぶる感情がそのまま出ているような相方で、どんなに濃密で重いシーンを演じていても、終わった瞬間にブースがパッと明るくなります。アニメとリアルの温度差がとても激しい現場でした」

(C)武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会2024
――最後に、映画公開を楽しみにされている皆さんへメッセージをお願いします。
「10年間追いかけてくださった方も、最近出会ってくださった方も、本当にありがとうございます。『完結する』まで走ってこれたことは、とても幸せなことです。だからこそ、最後まで全力で走りたい。スタッフもキャストも覚悟を決めて作り上げた作品ですので、学校内に漂うホコリまで見逃さずに、生まれ変わった『響け!ユーフォニアム』の最終楽章を楽しんでください」
取材・文/中村実香
【プロフィール】
黒沢ともよ(くろさわ・ともよ)
声優。幼少期より子役として活躍し、2010年に声優デビュー。「響け!ユーフォニアム」(黄前久美子 役)、「スキップとローファー」(岩倉美津未 役)、「機動戦士Gundam GQuuuuuuX」(アマテ・ユズリハ(マチュ)役)などに出演。




