声優・鈴代紗弓インタビュー#2「"無口な子"のお芝居で気づいた『台本がすべてじゃない』という意識」
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2026.04.17
「ぼっち・ざ・ろっく!」の伊地知虹夏役をはじめ、「ハイスコアガール」の大野晶役、「正反対な君と僕」の鈴木役など、数々の人気作品で主要キャラを演じる鈴代紗弓さん。持ち前の明るさと元気さを武器に、経験を積むごとに演技の幅を広げつつ、これまで数多くのヒロインたちに命を吹き込んできました。このインタビューでは全3回にわたって、2026年4月クールやこれまでの出演作品の役に抱く思いとともに、鈴代さんの素顔に迫ります。
■転機になった初のメインキャラは「無口」

――「この作品が転機になった」と感じている作品はありますか?
「デビュー作の『ハイスコアガール』ですね。私が演じさせていただいた大野晶っていうキャラクターは、基本無口でセリフをしゃべらない、ちょっとミステリアスな要素もある子でした」
――デビュー作で、無口なキャラ、というのもすごいですよね。
「そうなんですよ...!オーディションのセリフが、号泣のシーンと、あとは『モガー』などのリアクションゼリフのみで。でも、私も当時はデビューしてまだ1年目だったので、出演実績もなくプロフィールは真っ白。逆に、それが制作陣の方々の目に留まったみたいです」
――逆に...?どういうことですか?
「もちろん、オーディションでのお芝居も見た上ですが、プロフィールが真っ白なことが、大野晶のミステリアスな雰囲気と重なって見えた、ということらしいです(笑)。それがどこまで大きな要素だったかはわからないんですけど、仮に一つでも別の作品への出演経験があったなら、選んでいただけていなかったのかもと思うと、本当にタイミングだったなと思っています...!」
――実際に、初めて現場に入ってからはいかがでしたか?
「初めてのメインキャラクターということもあって、すごく喜んで演じさせていただいたんですが、とにかく大野晶という役は無口ゆえに、声優としては特殊な難しさがあるキャラだったんですよね。たとえば、沈黙や、ちょっとした反応のリアクション。それをどこまで声として入れるべきなのかがわからない。そのお芝居のさじ加減にはかなり悩みました」
――ただでさえ新人という立場なのに...(笑)。
「そうですね...(笑)。台本に『...』と書かれてあるところは、すべて息づかいや何かしらの反応は入れるものだと勝手に思ってしまっていて、台本に『...』と書かれていたら全部に声や息を入れていたのですが、『そのリアクションはいらない』とディレクションをいただいたり...。『頑張らなきゃ』と意気込んではいたものの、それがなかなかうまくハマらなかった記憶があります。新人は自分ひとりだったのでとにかく緊張してしまって、じつは初回のアフレコ直前には、緊張のあまり胃腸炎になってしまったこともあり...(笑)」
――胃腸炎に...!?それほどのプレッシャーがかかっていたんですね。
「ほかにお仕事も全然なかったので、とにかく必死で...。セリフ自体は少ないはずなのに、現場が終わるともうクタクタ。帰宅してもすぐに倒れ込むように寝ちゃったり、肉体的な疲労というよりは、精神的な消耗が激しかったんだと思います。でも、駆け出しでそれだけ精一杯試行錯誤した経験は、とてもありがたいものでした」
■声優としての軸を作ってくれた二つの作品

――「ハイスコアガール」への出演をきっかけにどんなふうに環境は変わっていったんでしょうか?
「代表作が出来たことで、ほかの作品のオーディションに呼んでいただける機会が増えた気がします。やっぱり、はじめの一歩ってやっぱり大きいなぁと感じました」
――それが鈴代さんにとっては、「ハイスコアガール」だったんですね。
「そうですね。私にとっては『あの作品に出られてなかったら、いまの私はない』っていうぐらいの作品だと思っています。どの作品もご縁なので、すべてそうではあるのですが、特にはじめての作品である『ハイスコアガール』は、自分の声優人生の大きな縁のはじまりでもあるので...!そこで、いろんな方との縁が繋がる機会をいただけたのは、本当にありがたかったです。転機になった作品でいうと、じつはもう一つ思い出すものがあって。『荒野のコトブキ飛行隊』という作品なんですけど...」
――主人公のキリエ役として出演されていた作品ですね。
「この作品で、初めて主演を務めさせていただきました。『ハイスコアガール』とは対照的で、キリエは主人公らしくたくさんのセリフがあるキャラ(笑)。初めての主演ということで、アフレコはもちろんですが、これまで経験したことのなかった宣伝活動やイベント出演など、声優としてのいろいろな活動を経験させていただきました。座長としての役割を初めて意識した現場でもあるので、『とにかくがむしゃらに食らいつかなければ』って必死だったんですけど、だからこそ一つひとつの経験がすごく濃かったように思います。私にとっては『ハイスコアガール』と合わせて、この二つが"転機"と呼べる作品になっていると思います」
――「しゃべらないキャラ」と「しゃべるキャラ」。真逆のキャラが鈴代さんにとっての転機になっているのはおもしろいですね。
「でも、むしろまったく違うアプローチが求められるこの二つの作品を経験したことが、私にとっての声優の『軸』を作ってくれたのかもしれません。まったく知らなかった表現の引き出しを広げてくれた『ハイスコアガール』と、座長の責任感をもってやりきった『荒野のコトブキ飛行隊』。どちらが欠けていても、そのあとの私の声優人生はまったく違うものになっていたんだろうなと思います」
■すべては台本から始まるけど、台本がすべてじゃない

――駆け出しの頃の現場で、大きな学びになったことってどんなことですか?
「台本に縛られすぎず、自由に表現できる部分があるということ...かな。これに関しては『ハイスコアガール』がとくに大きかったと思っていて。ある意味、新人の頃は、台本に書いてあることは絶対だと思い込んでいたんです。たとえば、「!」マークがついていたら、絶対に声を張らなきゃいけない、みたいな」
――たしかに、「!」が付いていたら「声を張ったほうがいいのかな」って思っちゃいますね。
「ですよね。もちろん、台本にそれを入れている意図はあると思うんですが、逆にいえばその意図がちゃんと伝わりさえすれば、声を張ってしゃべらなくても表現としてはアリ、というのを学びました。『ハイスコアガール』の大野晶さんの場合は、台本に三点リーダー(...)が書かれていることが多かったですけど、当時は本っ当にわからなくて...!(笑) 何かしら必要かと思ってリアクションを入れたら、いらなかったり、いれないほうがいいだろうと思ってリアクションせずにいたら、いまのはあった方が良い、となったり...」
――台本上は同じ「...」でも、入れたほうがいいときと、入れないほうがいいときがあるんですね。
「そうなんですよ。台本上は『間が欲しい』とか『リアクションをしている表情が見せたい』という意図で書かれているだけで、かならずしも何かの音を発してほしいわけではない。でも、音を発するのが正解な場合もある。当時、音響監督さんに言われた『センスだよ、リアクションは』という言葉は、いまだに私の中に残っています(笑)。どんな現場であれ、いまでも『このリアクションは本当に必要か?』というのは、自分の中で精査しながらお芝居するようにしています」
――そのときの経験がいまに生きているんですね。
「そうですね。より広く捉えると、それって『台本を解釈したうえで、もっと自分が思う表現をしていいんだ』ということでもあると思うんですよね。矛盾するようだけど、『すべては台本から始まるけど、台本がすべてじゃない』というか。駆け出しの頃に、それに気づかせていただいたのは大きかったなぁと思います」
■「幸せが何か」を考えることなく生きてきた女騎士|「姫騎士は蛮族の嫁」セラフィーナ・ド・ラヴィラント

(C)コトバノリアキ・講談社/「姫騎士は蛮族の嫁」製作委員会
――4月クールの「姫騎士は蛮族の嫁」(以下、「バルよめ」)では、主人公のセラフィーナを演じていらっしゃいます。
「主人公、とっても嬉しいです!オーディション時からこんな役柄を演じてみたいなと思っていたキャラクターでもありましたし、スタジオオーディションで思いっきりお芝居ができて楽しかったなという記憶があったので、そこに結果も伴うことができて嬉しく思っております」
――主人公・セラフィーナは、鈴代さんから見てどんなキャラクターですか。
「この作品は、1話目の始まり方がすごくシリアスで、戦闘の緊迫感のある描写からスタートするんです。その中でセラは、周りを先導していく強い騎士という存在。強いからこそ責任感も強くて、しっかりした芯のある女性なんです。私自身、これまで、そういう役をメインで演じる機会があまりなかったので、嬉しいなと思いながら原作や台本も読んでいたんですが、一方で、読み進めていくうちにだんだん、『強くなるためにこれまで頑張ってきたからこそ、幸せとは何かを考える時間がなく生きてきた子なんだな』っていうのがわかってきたような気がして...」
――一見強く見える裏側に、そういう部分があるんですね。
「そんな彼女が、蛮族王・ヴェーオルっていうキャラクターと出会ったことで、表情がどんどん柔らかくなっていく。"くっころ"なセラの変化を楽しみつつ、コメディー要素だったり、セラが自分にとっての幸せを見つけていく温かさも感じられる作品だと思ってます。これがもし、物語の始まりから変わらずシリアスで、セラが強い女性のままだったら、きっと全然違う作品になっていたと思うんです。オーディションに受かった際はいつも『なぜ自分を選んでいただけたのか』と、決まった理由を考えるようにしているのですが、セラに関しては、そんな『強い』以外の部分がどんどん見えてくる女性だったからこそ、自分を選んでいただけたのかな、とも思っています」
――なるほど。セラフィーナと鈴代さんで、どんな共通点を感じていますか?
「共通点か...そうですね、私はセラほどはしっかりしていないんですけど、いつも『しっかりしていたい』と思っている部分はあるので、そこはちょっとリンクするかな(笑)。あとは、新しいことを知ったときの反応でしょうか」
――というのは?
「セラって、毎回すごく新鮮な気持ちで反応してるのが伝わってくるんですよ。私も新しいことを知るのがすごく好きで、いろんなことに興味があるので、そういうところはセラの気持ちにすごく共感できました」
――演じるうえでは、どんなことを意識されたんでしょうか?
「セラって、主人公だけあって、やっぱり説明セリフやモノローグなど、セリフが多めなんです。しかも長くて難しい単語が連なるセリフが多くて、作品の中でしか出てこない専門用語も結構ある。でも、それが物語の『軸』にもなっているから前提として『伝わるようにしゃべる』ができないと、物語に入り込めなくなっちゃうんですよね。私自身、これまで途中から登場したり、ムードメーカーだったり、という役割のキャラを演じることが多かったので、あらためて『主人公の役割』を実感した現場でもありました」
■遠い世界ではなく、私たちの生活と地続きの物語|「姫騎士は蛮族の嫁」セラフィーナ・ド・ラヴィラント

――アフレコでの印象深い思い出やエピソードはありますか?
「『バルよめ』は、ほんとに和やかな現場だったんです。ツェツィ役の菱川花菜ちゃんやヴェーオル役の猪股慧士さんとは、レギュラーでご一緒するのが初めてだったんですけど、初回から、3人とも『あれ、もう2クールぐらい一緒にやってましたよね!?』的な感覚があるくらい(笑)」
――それだけ、お三方のなじみ方がすごかったんですね(笑)。
「そうですね...!菱川ちゃんに関しては、ツェツィが猫っぽいキャラクターなので、毎回の現場で猫のプリントのTシャツ着てきたり、猫のブローチつけてきたり、かならずどこかに猫要素を入れてくる(笑)。それも全部違うからすごいんですけど、現場に入るたびに、今日はどこに猫要素があるかなって探すのが毎回楽しみになってましたね」
――毎回違うってすごいですね...!
「あとは、最終回のときに少しお腹を空かせていたら、猪股さんが自分で買ってきたおにぎりを『いる?』って言ってくれて。やさしすぎません?(笑)私と菱川ちゃんで、よくヴェーオルのマネしてケラケラしてたりとか、ほんとくだらない話で盛り上がれる現場で...いやぁ思い返してもファミリー感がすごかったな(笑)」
――現場がそれだけ和やかだと、その空気感が作品からも伝わってきそうですね。
「そうですね!戦闘してないときのヴェーオルたちとわいわいしているシーンの空気感と、現場の雰囲気がほんとリンクしていて。実際、私も『それが作品にも乗っていったらいいな』と思いながらのぞんでいました」
――あらためてこの作品のテーマについて、鈴代さんはどんなふうに考えていますか?
「一つは、『異文化交流』です。『バルよめ』は、西方のイルドレン王国側のセラが、東方の蛮族との戦に負けて、自国で野蛮とされている蛮族の王に嫁がなければいけない、というところから物語が始まります。作品の中ではその東西の国の対比が描かれていて、その中でセラは西方の国にはない、さまざまな東側の文化に触れていくことになります。するとだんだんとセラの価値観にも変化が生まれて、お互いの文化を知ることで、よりよい関係の国同士になれるんじゃないかと考え始めたりする。そんなポジティブな異文化交流が、観ていてどことなく感じる"温かさ"につながっているんだと思います」
――セラが異文化に触れることで、自分自身の"幸せ"についても考え始めていく。
「そうなんです。知らなかった文化に触れることで、『自分が当たり前だと思っていたものが、じつは当たり前じゃなかった』って気づく瞬間がセラにはあって。相手の国の文化にもいい部分があるし、自国の文化にもいい部分がある。そのどちらも知ったうえで、じゃあ自分にとっての幸せってなんだろう、と彼女は考え始めていくんですよね。そんなセラのモノローグを聞いていると、しぜんと『幸せってなんだろう』と考えさせられるし、気づいたら自分自身の生活に当てはめて考えてしまっている。まったく遠い世界の話じゃなくて、いまを生きている私たちの生活につながる話なんだと思いながら観てもらうと、『バルよめ』をより深く楽しめるんじゃないかと思います」
■語りきらない"余白"と、こだわりの衣装設定|「上伊那ぼたん、酔へる姿は百合の花」上伊那ぼたん

(C)塀(秋田書店)/上伊那ぼたん製作委員会
――4月クール「上伊那ぼたん、酔へる姿は百合の花」では主人公の上伊那ぼたんを演じていらっしゃいます。まず作品の魅力から教えていただけますか?
「大学生って、もうお酒が飲める大人ではあるけど、まだどこか大人になりきれていない感じもある。その年齢感が絶妙で、初めてお酒を飲んだときの楽しさとか、飲みの席での振る舞いが人間関係にどう関わってくるのかとか、リアリティがすごい。しかも、それがおしゃれに描かれているんです。セリフでも多くは語らないところが、さまざまな受け取り方をできたり...まさにお酒のように、いろんな味わい方ができる作品だと思います」
――どんなところにその"おしゃれさ"を感じましたか?
「なんというか、余白があるんですよ。それが、この作品のすごく好きな部分でもあるんですけど。どうとでも意味が捉えられるセリフを一個残して、その先は観ている人に想像してもらう、みたいな。そんな余白を大切にしているところが、おしゃれな雰囲気につながっているのかな、とは思います。あとは衣装に対するこだわりも、ものすごくて...!」
――そうなんですか...!
「私が演じる主人公のぼたんだけで、じつは衣装の設定資料が30種類以上あります。1話の中でも衣装パターンが何個もあるぐらい、服へのこだわりがすごい。しかも、着ている服でその場面の心理描写を表していたりとか、言葉じゃない部分での遊び心も詰まってる。青春群像劇がメインではありつつ、洋服にもこだわってるっていうのが、ほかの作品にはない魅力だなと思いますね」
――その話を聞いてからだと、観るときの楽しみが増えますね。
「ぜひぜひ、お楽しみいただきたいです!あとアニメ本編は、こだわりの演出や、見せたいポイントが話数ごとに色が出ているので、本当に見ていて飽きないと思います。実際に、現実の銘柄の使用許諾もちゃんと取ってくださったりもしていて...(涙)。お酒好きの方はもちろん、お酒を飲んだことない方でも、『こういうお酒があってこういう飲み方ができるんだ』って知っていただける作品にもなっていると思いますよ!」
■アフレコは朝録りだった|「上伊那ぼたん、酔へる姿は百合の花」上伊那ぼたん

――鈴代さん自身はお酒は飲まれますか?
「たしなむ程度ですけど、好きですね。酔うと楽しくなって、感謝しだしたりとか、よくわかんないこと言っちゃったりとかするんですけど、あんまりタガが外れることはない...と自分では思っています(笑)」
――いいことじゃないですか(笑)。
「でも、翌日が休みじゃないとどこかでストッパーがかかっちゃうタイプで、酔いきれないんですよね。だから、『今日は酔えるな!』って日にお酒を飲まないと、ちゃんとは酔えないかもしれないですね(笑)」
――好きなお酒はなんですか?
「日本酒とワイン、あとはお茶割り。炭酸が得意じゃないので、自然と炭酸なしのものになっていくんですよね。だから、お茶割り...と思っていたら、じつはぼたんにも『炭酸が苦手』っていうキャラ設定があるのを知って、『同じだ!』って(笑)。オーディションのときには、一応マネージャーに備考として書いてもらっていたんですけど、まさかそこが繋がるとは思っていませんでした...!」
――まさに鈴代さんにぴったりの役ですね...!アフレコやってると飲みに行きたくなりそうですけど、打ち上げも現場では多かったんですか?
「いや、それがアフレコが朝録りだったので、収録後そのまま流れで飲みに行くっていうのはできなかったんですよ...!毎回『飲みたい!』ってなりながら帰る、苦行のような(笑)。その代わり、別日でキャストだけで飲み会を企画したりはしていましたけど」
――まさかの朝録りとは...(笑)。あらためて、作品を楽しみにしている方に向けてメッセージをください!

(C)塀(秋田書店)/上伊那ぼたん製作委員会
「舞台となる秩父の豊かな自然、彩られた素敵な景色をはじめ、女の子が集まって生活している場の空気感も新鮮に楽しんでいただけると思います。一方で、『言いたい気持ちはあるけど直接的には言わない』みたいな、繊細で、どこか切なさもある心理描写もたくさん詰まっています。それぞれのキャラクターの思いがすれ違ったり、交差したり、会話の駆け引きや絶妙な間を楽しみつつ、飲める方は一緒にお酒を飲みながら、ぜひ物語の余韻をお楽しみいただけたら嬉しいです」
■「1番可愛い」ってどうやって表現すれば...?|「クラスで2番目に可愛い女の子と友だちになった」天海夕

(C) たかた・KADOKAWA/クラにか製作委員会
――4月クールの「クラスで2番目に可愛い女の子と友だちになった」では、主人公・前原真樹のクラスメイトである天海夕を演じていらっしゃいます。演じるうえで意識されたことはありますか?
「お話をいただいたときからドキドキしていました。というのも、メインヒロインの朝凪海ちゃんが『クラスで2番目に可愛い』...ということは、1番可愛い子がいるわけで、なんとそれが私が演じる天海夕ちゃん、なんですよね(笑)。これに関しては、本当にキャラクターとして明確に『1番可愛い子』として存在しなければいけないっていうプレッシャーが、結構ありました(笑)」
――たしかに!「1番可愛い」の表現って、悩ましいですね...!
「そうなんですよ~!でも原作を拝見すると、夕ちゃんは本当に可愛くて。ビジュアルの可愛さはもちろん、内面も憎めない可愛さがある。『夕だから許されるよね』っていう"愛され力"みたいなのも持っている子なので、そこをどう表現するか、最初の頃はかなり模索しました」
――たとえば、どんな試行錯誤を?
「最初は『変に鼻につかないように』というつもりでコミカルに振ってみたんですけど、それはディレクションで『ちょっとうざい方に行ってるかも』って言われてしまい...(笑)。あざとすぎるのはダメだし、かといってコミカルに振りすぎてもキャラクターの純粋な可愛さが伝わらなくなってしまう。その狭いところを狙わなきゃいけなかったんですよね」
――そうか、やりすぎるとあざとさが出てしまいますもんね。
「みんなが素直に『可愛い』って言いたくなるキャラにするために、『もっと自然体でいこう』っていうアドバイスをもらって。夕ちゃんって、海ちゃんにぐいぐい絡んでいくんですけど、『まったく...』ってあしらわれるような、ちょっとうざさもありつつ、でも愛くるしいっていうキャラクターなんですよ。イメージとしては、ペットみたいな感じ(笑)」
――そこに落ち着いたの、おもしろいですね(笑)。
「たとえば、犬や猫に作業中に邪魔されたりすると、人間は『もーっ!」てなるじゃないですか...!でも、だからといって本気で嫌いにはならないし、結局は『可愛い』ってなっちゃいますよね。なので、『ごめんね、ちょっとどいててね』って抱き抱えながら脇にどかす、あの感覚を意識していましたね(笑)」
――すごくリアル...(笑)。それを見つけてからは、プレッシャーはなくなりましたか?
「いや、それがそうでもなくて、多分オンエアされるまではずっとドキドキしてると思いますね。模索しながらたどり着いた表現ではあるけど、それがちゃんと夕ちゃんの魅力として届いているかどうかは、今後も見守りたいと思います...!!」

取材・文/郡司 しう 撮影/梶 礼哉




