声優・ファイルーズあいインタビュー#1「『一度冷めてしまった熱はもう戻らない』ファイルーズあいが大事にする"すぐやる精神"」

声優・ファイルーズあいインタビュー#1「『一度冷めてしまった熱はもう戻らない』ファイルーズあいが大事にする"すぐやる精神"」

「ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン」の空条徐倫役をはじめ、「チェンソーマン」のパワー役、「怪獣8号」の四ノ宮キコル役など、数々の人気作品で圧倒的な存在感を放つキャラクターを演じるファイルーズあいさん。みずから道を切り拓いていくような力強くパワフルな声と、内面に深く潜り込む繊細な表現力は、どこから生まれるのか。このインタビューでは全3回にわたって、出演作品や役に抱く思いとともにファイルーズさんの素顔に迫ります。

■"思いついたら即行動"がモットー

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――幼少期はどんなお子さんだったんでしょうか?

「いまもそのまま受け継がれている特性なんですけど、とにかく好奇心が旺盛で。『やってみたい!』と思ったことはなんでも首を突っ込む性格でした。周りの子がピアノを習っていれば『私もやりたい!』と言ってみたり、男の子に混じって泥だらけになって遊んでみたり。ただ、正直すぎるがゆえに、何をやっても長続きせず...(笑)」

――ええ...!?全然、子どもらしくていいじゃないですか!

「いや、世間的には一つのことをずっと突き詰めるほうが、周りからも評価されるじゃないですか...!でも当時の私は、興味があっちこっちにとっ散らかってて、つい昨日まで『ピアノ』って言ってたのに、今日は『スポーツがやりたい!』という感じ...(笑)。だから周囲からは『長続きしない子』という評価でしたし、私ももっと粘り強くやるべきだったと思ったこともありました。ところが!このお仕事を始めてからは、『こんなことも知ってるの?』とか『そんな経験もあるんだ』と驚かれることが多いんですよ」

――いろいろなことへの興味が、全部活かせる...!

「そうなんです!かつてのあちこちへの興味が、自分のポテンシャルとか、会話の引き出しとかをすごく多面的なものにしてくれていて。無駄なことなんて一つもなかったんだなって、いまはすごく思います」

――結構大人になってからも「一芸評価」みたいなことって、よくありますけど、いまのお話を聞くとすごく勇気をもらえますよね。

「私自身、ファンの方や声優志望の子からよく『自分の強みがわからない』という相談も受けるんですけど、そういうときはとにかく『圧倒的に行動したほうがいい』ってお伝えするんです。私の場合、とにかく手当たり次第にいろんなことをやったからこそ、『これは自分に向いている』『これは向いていない』という判別が、すぐにつくようになりました。周囲に『長続きしない人』と思われたっていいから、少しでも興味が湧いたら、恐れずにまずやってみる。その精神は、いまでも大切にしています」

――それはお仕事に限らず、プライベートでもそうなんですか?

「もちろんです!たとえば車の免許を取りたいと思ったときは、仕事がパンパンに詰まっていたけど『朝なら行けるじゃん、早起きすればいいじゃん!』って自分を追い込んで、実際に取りに行きました(笑)」

――すご...!(笑)熱量が高いうちに動くのがいいんですね...!

「いや、本当にそうで、『鉄は熱いうちに打て』じゃないですけど、熱が冷めたときの『もったいなさ』を体感として知っているんですよね。一度冷めてしまった熱は、もう二度と同じ形では戻ってこない。だから『思いついたら即行動』が一番間違いないです」

■自分を救った徐倫を、声優になって助けたい

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――そんな好奇心旺盛な子が、なぜ声優という道を志したのか。きっかけはなんだったんでしょうか?

「やっぱりきっかけはジョジョでしたね。子どもにとっては、『いま自分が見ている世界がすべて』じゃないですか。広い世界に目を向ければ自分の悩みなんてちっぽけなはずなのに。私もそんな子どもの一人でした。学校という狭いコミュニティになじめないのは自分のせいだ、とか、ルーツや文化的背景のせいだ、とか勝手に決めつけて塞ぎ込んでいたんです。そんなときに出会ったのが『ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン』でした」

――徐倫......。

「当時、インターネットでジョジョの名言が流行っていて存在は知ってたんですが、ちゃんと読んだことがなくて。気になっていたときに、お店で1~5巻まで見つけて『これが1巻だ!』と思って買ったのが、じつは第6部で。ほら、『ストーンオーシャン』って第6部だけど、"1巻"から始まるじゃないですか...!(笑)」

――たしかに...!(笑)

「だから最初は話が全然わからなかったんですけど...それでも、主人公の空条徐倫(ジョリーン)の姿を見た瞬間には、言葉にできない衝撃を受けたんです」

――どんなところに衝撃を受けたんでしょうか?

「とにかく力強いんですよ!当時はまだ、女性の主人公が戦うのが主流ではなくて、『戦いはするけど結局は守られる』という女性を描く作品が多かった。そんななか、徐倫は自分の力で信頼を勝ち取り、仲間を増やして道を切り拓いていくんです。その『自己効力感』の強さを見て、『私の悩みなんて、彼女の前では吐いていられないッ!』って、魂に火をつけられたような感覚でした」

――徐倫の生き様、強さが指針になったんですね。

「それ以来、ジョジョがもう大好きで...!それで、中学生の頃から声優という仕事にも興味があって、高校のときにネットの友達と朗読を始めたんです。当時は、まだコミュニティも狭くて、ひっそりと盛り上がっているような時代でしたけど、そこで初めて人前で演技をしたら、ものすごく褒めてもらえて。その瞬間、まるでストーンフリーの糸のように、見えない糸がピーンと張って、自分が進むべき道を示してくれたような気がしたんです」

――それが声優の道だった...?

「そう。やっぱり『ジョジョ』との出会いによって人生が変わったので、その最初の衝撃だった徐倫に対しては特別な思いがあったんですよ。学校での居場所とか、人との接し方とかに悩む私を助けてくれた、人生に光を与えてくれた徐倫を、今度は『私が声優になって助ける役がやりたい』って思って。ジョジョはいつかアニメ化するって信じていたので、その夢にかけて声優を目指すことにしたんです」

――「徐倫を助けたい」から始まっていたとは...!

「そこからは、『やると決めたからには...』という意気込みでした」

――ちなみにその朗読会で褒められたセリフ、いまでも覚えていたりしますか?

「実家で、親に怒られないように壁の薄さを気にしながら演じていたので、鮮明に覚えています!(笑) 第5部でナランチャがブチャラティたちを追いかけるシーンで、『行くよッ!俺も行くッ!行くんだよォーッ!!』というシーン。あそこは本当に魂を込めましたね...」

――56巻「ガッツの『G』」ですよね...!めちゃくちゃ名シーンだ...!

「だから、ファンの方からよく『なんでそんなにすぐジョジョの台詞が出てくるの?』と驚かれるんですけど、それはもう圧倒的なアウトプット量があったから(笑)。朗読会以外でも一人で朗読して、それを録音して聴き返してましたし、養成所に入る前から、語学学習と同じようなトレーニングをずっと自分一人で続けてたんです」

■全方位に全力だった初アフレコ

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――声優としての転機、というとどの作品が思い浮かびますか?
声優としてのキャリアを振り返る上で、やはり「ダンベル何キロ持てる?」は外せない作品ですよね。初アフレコでいきなり主人公の紗倉ひびき役に抜擢されたわけですが、ファイルーズさんにとってあの現場はどんな場所だったのでしょうか。

「初アフレコで主演を務めさせていただいた『ダンベル何キロ持てる?』は、私を導いてくれた『出発点』のような場所だと思っています。いま考えれば、あれだけ魅力的な役者さんが大勢いるなかで、右も左もわからない駆け出しの私に作品の顔を任せるというのは、制作陣の方々は、相当な覚悟だったと思うんです(笑)。でも、だからこそ期待に応えたいという一心で、毎回の収録、全力で食らいついていました」

――いきなりの大役ですもんね...!プレッシャーの感じ方も大きかったですか?

「もちろんです...!でも、それは絶対に出したくなかった。新人らしく『緊張しています』と言えば、周りは優しくしてくれるかもしれないけど、それはある種、『保険をかけている』ようにも見えてしまう気がしたんです。プロの現場で『新人だから間違えても仕方ないよね』という予防線を張るような言葉を、どうしても使いたくなくて...」

――最初から、プロとしてマイク前に立つ、と。

「かっこよく言うと、そうかもしれません(笑)。きっと、オドオドした姿ではなく、ひびきのように明るく元気な姿を求めて、キャスティングしていただいたのだから、たとえうまくいかなくても笑顔で『もう一度お願いします!』って言い続ける。それだけは、自分の中でずっと意識していました」

――今日の撮影中も、あいさんの一言で現場がすごく明るくなるのを感じていたんですが、初めての現場からずっと培ってきたものだったんだと、いま答え合わせができた気がしました。

「そうだと嬉しいですね!じつは『ダン持て』の現場でも『明るいね』と言っていただいて自信がついた一方で、空回りして反省することも多かったんです。当時は気負いすぎて、現場にいる全員に自分のことを良く思ってもらいたくて必死だったんですよね。そんなことできるはずないのに...(笑)。それが最近、読んだ本で『10人のうち、2人はあなたのことが大好きで、1人は嫌い。残りの7人はどちらでもない』という言葉を知って、これを当時から知っていたらよかったなと(笑)」

――そんな言葉があるんですね。

「そう、全員を振り向かせようとして消耗するより、大好きな2人を大切にして、残りの人たちと適切な関係を築ければそれでいい。でも、最近それを知って気持ちが楽になったり、自分らしく現場にいられるようになったのも、実体験としてそれが難しかった経験があるからなんですよね。駆け出しの気負いも含めて、本当に学びの多い現場だったと思います」

■筋トレのきっかけはまさかの"カエル男"

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――あいさんは、紗倉ひびき役を演じる前からかなり本格的に鍛えていたそうですが、筋トレに目覚めたきっかけはなんだったんでしょうか?

「『ミュージアム』という邦画、ご存じですか? 私、映画も原作のマンガも大好きで...!とくに、妻夫木聡さんが演じられた『カエル男』というキャラクターが推しなんですけど...」

――たしか、レインコートを着てましたよね?

「そう!原作のマンガではつねにレインコートを着ていて、どちらかといえば体格が小柄なイメージだったんですが、実写版での妻夫木さんが、『カエル男は片腕で成人男性を支えるほどの怪力があるから相当鍛えているはずだ』という解釈をされていて、役作りのために週3~4回ジムに通ってムキムキの体に仕上げられていたんです。そのアプローチが衝撃的すぎて...。私の中では妻夫木さんは『ウォーターボーイズ』のような爽やかな印象だったんですが、『努力次第でここまで人は変われるんだ!』って猛烈に感動してしまって。それが大きな希望になったんです」

――希望になった?

「じつは、ずっと太っていることがコンプレックスで、自分でも『変わりたい』とずっと思ってはいたんです。でも、なかなか最初の一歩が踏み出せなくて。そんなときに妻夫木さんの姿を見て『これだ!』と確信しました。『私が目指すべきは、カエル男だ』って(笑)。やっぱり好きなキャラに自分をリンクさせたい、近づきたいという想いが一番の原動力ですね」

――(笑)。そこからはどんなふうにトレーニングをされていたんですか。

「当時は週に3~4回、早朝に1時間ほどガッツリ鍛えていました。それも『知識もつくしマシンもタダで使えるだろう!』って思って、スポーツジムでアルバイトしながら(笑)。でも、いざ働いてみると、非番の日にそのジムに行くと常連さんに『今日はオフなんだね』なんて話しかけられて、全然はかどらない(笑)」

――そうなんですね(笑)。

「結構『スタッフは別のジムを契約して通う』っていうのが、あるあるなんですよ!私も例に漏れず、職場とは別のジムに通っていました(笑)」

――トレーニングはいまでも?

「いまは以前のようにゴリゴリのマッチョを目指しているわけじゃないので、筋トレはしていないんです。けど、しなやかな体型をキープすることを心がけてピラティスをやっています。年齢とともに食も細くなりましたし、無理なく健康でいられるように、毎日1時間は歩くようにしたり。あとは体のトレーニング以上にやっているのが、『脳のトレーニング』。読書でつねに新しい視点をインプットして、内面を鍛えることに重きを置いています」

■利他の精神と感謝の心を|「悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は民の為に尽くします。」プライド

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――「悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は民の為に尽くします。」(以下、「ラス為」)では、ラスボスに転生してしまった主人公・プライド役を演じています。本人は「自分はラスボスなんだ」と思っているのに、実際の言葉と行動がやさしくて......そのギャップに笑ってしまうと同時に、健気でいい子だなと心打たれます。

「そうなんですよね。本来のゲーム内でのプライドは、『そこまでやるか』というほど容赦のない、まさに悪逆非道の悪女。でも、そのなかに心やさしい主人公が入ることで生まれる、見た目と行動のギャップ。これが作品の面白さを引き立ててますよね。"生徒会長"のような清廉潔白さもあるんですけど、どこか自己犠牲的な『利他の精神』が強すぎるところもあって。その、けっして完璧ではない不完全さが、周りの人たちの『彼女を助けたい、守ってあげたい』という気持ちを掻き立てる魅力に繋がっていると思います」

――たしかに「利他の精神」という言葉がしっくり来ます。一方で、劇中では本来のストーリーである「ラスボス」の姿も差し込まれたりしますが、あの邪悪なスイッチへはどう切り替えているんですか?

「いや、じつをいうと私、ああいう悪いキャラクターを演じるのが大好きなんですよ...!ノリノリで演じすぎて、ジルベール役の遊佐浩二さんからも『あいちゃん、本当に楽しそうだね』と(笑)。でも、ラスボスのプライドも、悪いことを心から楽しんでいるキャラクターなので、その『楽しそうな雰囲気』がお芝居として伝わったのなら、まさに成功だなと思っています(笑)」

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――たしかに(笑)。実際、プライドとあいさんには似た部分がありますか?ラスボスモードじゃないほうで(笑)。

「プライドほど聖人君子なわけではまったくないんですけど、私も利他の精神は強い方...だと思ってます。一番大きな部分でいうと『感謝』すること。いま自分があるのは、周りの人たちや民のおかげだという感謝を、プライドはつねに持っているんですけど、私も朝起きた瞬間に感謝を口にする、というのを毎日やっていて。心にいいことを色々調べていたんですけど、そうすると『幸福度が上がる』という研究結果があるらしいんですよね」

――そうなんですね。たとえば、どんな言葉を?

「朝、ベッドメイキングをしながら『事務所の皆さんに...』『今日も無事に起きられた体に...』『美味しい水を届けてくれる水道局の人に...』『ゴミを回収してくれる人に...』といろいろ。日々、3~4個の感謝を口にするのを日課にしています。でも、たまに押し付けがましくなっちゃうときがあるので、そこはプライドの絶妙な距離感を見習って勉強中です(笑)」

――いまのお話を聞いていて、「プライドのセリフの力強さ、説得力ってファイルーズさん自身の生き方から溢れ出ているんだな」と勝手に腑に落ちました。正直、油断するとおじさんの自分でもプライドのセリフに涙腺がゆるむんですよね......。

「あはは!そう言っていただけると本当に嬉しいです」

■どう受け止めるかは自分で決める|「悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は民の為に尽くします。」プライド

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――「ラス為」Season1を振り返って、とくに印象的だったエピソードはありますか。

「印象的、というか驚いた回でいうと、ヴァルが捕まったエピソードです。ヴァルが監禁されている倉庫のような部屋で、プライドと二人きりになるシーン。あの場面は、キャラクターの動きやアクションでごまかせない、濃密な会話劇が本当に難しかったです」

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――ヴァルが「名前も知らない感情」に困惑して涙を流し、それをプライドが諭すシーンですね。

「そう。力でねじ伏せるのではなく、言葉だけで相手の心を開いて、導かなければいけない。感情を出すのが苦手なヴァルに対して、あそこまで大号泣させるだけの説得力が必要なんですよね。そういうときは、なるべく自分の経験から感情や思い出の引き出しの中から、一番その役に寄り添える感情を引っ張ってくるんです。プライドの言葉に重みを乗せるのにかなり苦戦しましたけど、その分だけ強烈に印象に残っています」

――この4月からSeason2も始まって、彼女を取り巻く環境も大きく変わりそうですが、演じる上ではどんな変化がありましたか。

「Season2で新しく登場する、レオンとセドリックという正反対な二人の王子が出てくるんですが、彼らによって結構プライドの新たな一面が引き出されたんじゃないかと思っています。立花慎之介さんが演じるレオンは、まさに王道の王子様キャラで、スマートなエスコートにプライドが思わずときめいてしまうような、年相応のかわいらしい一面を引き出してくれました。一方で緑川光さん演じるセドリックは、手のかかるおバカさんな言動で彼女を激怒させたり。でも、シュンとしていると放っておけない(笑)」

――プライドの新たな一面、楽しみですね!

「そうですね!とくにSeason2では少し年齢が上がっていますし、子ども時代から大人へと向かうなかでの声や喋り方の変化など、そのグラデーションはかなり意識しました。そうした繊細な違いも、Season1から観ている方には楽しんでいただけているんじゃないかなと思います」

――改めて、あいさんが感じている「ラス為」の魅力を教えていただけますか?

「『起きた出来事は変えられないけれど、それをどう受け止めるかは自分で決められる』。そんな力強い問いかけを感じられることが、私はこの作品の魅力だと思っています。本来のゲームの中でプライドが犯した罪や、いまのプライドが目覚めるまでのわがままな振る舞いなど、そうした過去は消せない。でも、そこからどう行動するかで、周りの見る目も自分の未来も変えていける。そしてそれは、きっとどこからでも、いつからでも始められるものなんだと思います。純粋にストーリーを楽しんでいただきつつ、そんなポジティブなメッセージも感じていただけたら嬉しいですね」

■星のように輝いて周りを照らす存在|「Re:ゼロから始める異世界生活」シャウラ

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――「Re:ゼロから始める異世界生活」(以下、「Re:ゼロ」)の4th seasonでは物語の鍵を握るシャウラを演じられています。「Re:ゼロ」はアニメ化されてから10年以上続く人気作品ですが、出演が決まったときはどんな気持ちでしたか?

「それが、じつは自分が出演すること自体を、本当に何も知らなくて(笑)。Instagramに日常の投稿をしたら、海外の方から『リゼロ、シャウラ!』って英語でコメントがついて。最初は『誰かと間違えてるんじゃない?』って思ってチェックしてみたら、SNSでトレンドに入っていて(笑)。本当に驚きました」

――ええっ!?自分の役をSNSで知ることなんてあるんですか?!

「今回この役はご指名いただいたものなのでオーディションをしていなかった経緯があるんですけど、実は事務所のスケジュール表にはかなり前から『リゼロ・新キャラ候補』とは書いてはあって。ただあくまで候補ですし、名前も書かれてなかったから『サブキャラでお話をいただいたのかな』くらいに思っていたんです。そしたらキービジュアルにどん!と居て(笑)。私は、ファンの方と一緒に驚いたり一緒に感動を味わったりできるので、このパターンも意外と好きなんですけど(笑)」

――めちゃポジティブですね(笑)。シャウラというキャラは、どんなふうに捉えていますか?

「『Re:ゼロ』という作品の宿命でもあるかもしれないんですが、今期のエピソードって、どうしても重い話が多くて暗くなりがちだと思うんです。でも、そこにシャウラがいてくれることで、まるで星のようにキラキラと輝いて周りを照らしてくれるんです。つらい現実のなかでも、彼女がいるだけでみんなが笑顔を取り戻せる。物語が暗くなりすぎないように繋ぎ止めてくれる、本当にすてきなキャラクターだなって思います」

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――シャウラを演じていく中で、第一印象から変化はありましたか?

「そこは、やっぱり『Re:ゼロ』という作品に出てくるんだから、『絶対にただの明るいキャラじゃないはずだ』って疑いの目で見ていたんですよ(笑)。なんですけど、やっぱり物語が進むにつれて、『シャウラの正体ってまさか......』という驚きや、彼女が400年間抱え続けてきた葛藤が見えてくる。きっとそのあまりに深いギャップにやられてしまう人も多いんじゃないかなと思いますよ(笑)」

――それは楽しみです...!あらためて、あいさんから見て「Re:ゼロ」の魅力はどこにあると思いますか?

「それはもう、やわらかくてやさしい絵柄の印象と、内容のディープさとのギャップ。それが人の心をつかんで離さないんじゃないでしょうか。私、じつをいうと最初に絵を見たときは『異世界スローライフ系』だと思っていたんです(笑)。だから、実際に作品を観たときに、スバルがあんなに痛い目にあう姿を観て、衝撃を受けて...!でも、その衝撃って全然イヤなものじゃなくて、『もっと知りたい』という探求心をくすぐられる感覚に近いんですよね。そうやって、するっと物語の世界に引き込まれていくんです」

――たしかに。衝撃受けますし、どんどん先が観たくなりますよね。

「だからこそ、きっと世界中の人も熱狂する作品になっているんだと思います。いまだに、先々の展開がまったく読めないですし、台本を読んでいてもシャウラが次にどんな行動をするか、私自身、想像もつかない(笑)。いい意味で彼女に振り回される感覚を楽しんでいます」

■ギャップ萌えな筋肉お嬢様|「黒猫と魔女の教室」レオ・レグルス

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――4月クールの注目作「黒猫と魔女の教室」ではレオ・レグルスを演じられています。太ももがガッチリとしていて、ビジュアルはかなりインパクトがありますが、どんなキャラクターなんでしょうか?

「一見すると筋肉ムキムキで、金髪ロングの『ヒャッハー系』に見えるんですけど、じつはお嬢様。言葉遣いもものすごくていねいなんです。戦いのときは力強いけれど、所作の一つひとつが上品で美しい。髪をさらっと払う仕草や、足を揃えて歩く姿に品の良さがにじみ出ていて、その見た目とのギャップが彼女の魅力にもなっていると思います。そして性格は、自分が一番目立ちたい!というタイプ(笑)」

――クセがすごい(笑)。

「...といっても、他人を蹴落としてまで1位になりたいわけじゃない。『私は私の魅力を存分に使って1位を目指すから、あなたたちも頑張りなさい!』と、周りを巻き込んで全体のレベルを底上げしてくれるような、すごくポジティブなオーラがある子です。初回のアフレコで、クロード役の島﨑信長さんから『レオ役は絶対ファイルーズさんだと思ってた』と言っていただけたのが、本当に嬉しかったです」

――まさにハマり役ですね。作品の見どころもぜひ教えてください!

「魔法学校を舞台に主人公やクラスメイトたちが切磋琢磨していくという構図がすごくシンプルで、誰でもスッと物語に入っていけるのが魅力ですね。それと......これ、個人的な話なんですけど、私、じつは声優になれなかったら魔女になりたかったくらい、魔女が大好きなんですよ!」

――魔女、ですか!あれ、でも先ほど撮影した動画では、総理大臣と...?

「総理大臣にもなりたかったですけど(笑)。いまは家に魔女の本がたくさんあるくらい、その世界観にどっぷりハマっていて。声優という職業の素晴らしいところは、お芝居を通して魔女にだって、何にだってなれること。だからタイトルを聞いただけでワクワクしましたし、あのいわゆる"魔法使いの帽子"の形をした木がある学校のビジュアルにも、一瞬で心を掴まれました!」

――ちなみに余談ですが、魔女はどんなところに魅力を感じているんでしょうか?

「そうですね...『自然と調和して生きる自立した女性』という姿、かなぁ。自給自足で暮らしつつ、なおかつ人の願いも、たとえそれがネガティブな願いであっても代償を支払えば叶えられる。そこにロマンを感じるんですよね。魔女自体は、子どもの頃から『魔女図鑑』という絵本を読んだりしていて、ずっと好きで。じつは少し前に、横浜にある魔女専門店まで足を運んで、魔女みたいな店主の方ともお会いして、サインをもらったり。魔女活してます(笑)」

――魔女活、楽しそうですね(笑)。

「そうなんですよ、魔女の本を読むと、意外とハーブのことが書いてあったりして、そのハーブの季節とか効能が知れたり。魔女のことを勉強するほど、四季の移ろいとか、季節の花とかささやかなものに目を向けられるようになるんですよね。そしたらお茶を選ぶときにも『今月はローズマリーにしようかな』とか思えたり。『そんなの、スマホで調べればいいじゃん!』って思う方も多いかもしれないですけど、そういうささやかな幸せに気づかせてくれる魔女の生き方が、私は大好きです(笑)」

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取材・文/郡司 しう 撮影/梶 礼哉

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