アニメ「黄泉のツガイ」シリーズ構成・高木登インタビュー!ユルとアサ、過酷な宿命とツガイの謎に迫る
アニメ 見放題インタビュー
2026.05.02
世界的大ヒット作「鋼の錬金術師」で知られる荒川弘による人気コミック原作のアニメ「黄泉のツガイ」が、2026年4月より放送中だ。山奥の小さな村で暮らす狩人の少年・ユルと、双子の妹・アサを中心に、謎と怪奇が交錯する物語が展開される。本作でシリーズ構成を務めるのは、「黒子のバスケ」「ゴールデンカムイ」など数々の人気作を手がけてきた高木登氏。原作の魅力を丁寧にすくい上げる手腕で知られる彼に、作品の第一印象やアニメ化にあたってのこだわり、原作の魅力について聞いた。

――本作のシリーズ構成を手がけることになった経緯と、原作コミックを初めて読まれた際の印象をお聞かせください。
「『メタリックルージュ』という作品に参加したのがきっかけで、制作会社ボンズさんとご縁ができました。その流れでお声がけいただいた仕事です。原作は非常に面白かったです。直線的なプロットが見えず、枝葉が複雑に絡み合い、蔦が壁を這うように世界観が広がっていくのに興奮しました」
――公式サイトのコメントでは「日常と非日常が同じ比重で描かれている点」に触れられていましたが、脚本家の視点から見て、物語の構造や設定で特に惹かれたポイントはどこでしょうか?
「登場人物には常に二面性があります。強さと弱さ、優しさと残酷さ、冷たさと情け深さ――その両極の間を取り持っているのがツガイという構造になっているのだと思っています。そこに面白さを感じました」

――本作のシナリオを構成するにあたり、全体を通して特に意識されたことは何でしょうか? また、安藤真裕監督からはどのようなオーダーがありましたか?
「本作に限らず、原作をお預かりする時には『原作の面白さを減らさないようにする』ことを心がけています。安藤さんからは特に大きなオーダーはありませんでした。原作の面白さに忠実であろうとした点で、スタッフの姿勢にブレがなかったからだと思います」
――アニメ化に際し、原作者・荒川先生からのご要望や、脚本会議などで印象に残っているやりとりがあれば教えてください。
「これも特にありませんでした。原作に忠実にやるという方針が明確だったからだと思います。脚本会議にはスクウェア・エニックスの皆さんも出席されていて、シナリオのチェックが校正に近く、誤字脱字のご指摘には大いに恐縮しました(笑)」

――テンポの良い掛け合いや、シリアスとコメディーの絶妙なバランスなど、荒川先生の作品ならではの魅力を際立たせるために、脚本段階で工夫した点をお聞かせください。
「視聴者には直接伝わりにくいところではありますが、シナリオの文体にもリズムがあり、それが作品にも影響を与えるものだと思っています。シナリオの書き方も一様ではなく、脚本家によっていろいろな意見があります。自分は、読んで面白いものでなければ、面白い作品の青写真にはならないと思っています。今回も原作の面白さをシナリオで読んでも感じられるように書くことを心がけました」

――左右様 (さゆうさま)をはじめとする「ツガイ」という存在の特異性や、過酷な宿命を背負ったユルとアサの魅力について、どのように感じていらっしゃいますか?
「先ほどの話とも重複しますが、アサもユルも強さと弱さ、残酷さと優しさなどの二面性を持っていて、あたかもその間を取り持っているのがツガイのように感じられます。アサのツガイが登場するのは少しだけ先ですが、どんなツガイが現れるのか、楽しみにしていてください」

――原作をすでに読んでいるファンがアニメを楽しむ上で、「ここはぜひ注目してほしい」というポイントがあれば、シリーズ構成の立場から教えてください。
「『絵』です。一にも二にも『絵』。コミックが動画になる醍醐味(だいごみ)を堪能いただけると思います。また、シリーズ構成的には原作の切りどころです。月刊連載のコミックを毎週放送のアニメに落とし込むのは実は結構難しい作業です。週刊連載ものだとそんなに悩みません。『引き』が一週間と一カ月では加減が違うんですよね。その辺りを『ああ、苦労したんだな』と思って見ていただければと(笑)」

――多くの魅力的なキャラクターが登場しますが、高木さんお気に入りのキャラクターを教えてください。
「ジンが好きです。冷徹さと人間くささが同居しているところが良い。諏訪部順一さんが演じているところもポイントが高いです。自分が関わった他の作品でも、お気に入りのキャラを諏訪部さんが演じているパターンが多いんですよ」
――実際の映像をご覧になった感想をお聞かせください。ユル役の小野賢章さん、アサ役の宮本侑芽さんをはじめとするキャスト陣の演技についてはいかがでしょうか?
「先行上映で見たのですが、気合いの入った作りに興奮しました。ヘリコプターを墜落させるところとか、『おお、こうなるのか』と感嘆しました。キャストの皆さんもハマっていて素晴らしかったです。小野さんとは『黒子のバスケ』以来なので、ご一緒できてうれしかったです」

――物語が加速していく今後について、アニメならではの注目ポイントや期待してほしい点をお聞かせください。
「本作の面白いところは、非日常も日常も同じ比重で描かれているところです。普通だったら『怪異の中の日常』や『アクション描写の中の日常』といったように重心は前者に偏るわけですが、これがまったく均等なんです。この先、ただ日常だけが描かれる回も出てきます。アクション回も良いですが、それはそれでとても面白いので、ご期待いただければと思います」
――現在視聴しているファンの方、そしてこれからご覧になる皆さんへメッセージをお願いします。
「ご覧いただいている皆さま、これから配信で見ようと思っていらっしゃる皆さま、本当にありがとうございます。本作は、さまざまな方の期待にも応えられる作品だと思っております。私も自分が参加しているのを忘れて楽しんでいます。これからの展開もどうかお楽しみに」
取材・文/中村実香
【プロフィール】
高木登(たかぎ・のぼる)
脚本家。原作の魅力を最大限に引き出す巧みなシナリオ構成で、数々のヒット作を手がける。主な担当作品に「黒子のバスケ」「デュラララ!!」「ゴールデンカムイ」「メタリックルージュ」ほか多数。




