草彅剛ら実力派キャストの熱演と怒涛のストーリー展開にうなる! 伝説のパニック・サスペンスをリブートしたNetflix映画『新幹線大爆破』

草彅剛ら実力派キャストの熱演と怒涛のストーリー展開にうなる! 伝説のパニック・サスペンスをリブートしたNetflix映画『新幹線大爆破』

Netflix映画『新幹線大爆破』が4月23日(水)より独占配信スタートする。同作品は、1975年に佐藤純彌監督がメガホンを取り、東映が制作したパニック・サスペンスの金字塔を、樋口真嗣監督が草彅剛主演でリブート作品として制作したものだ。

1975年版の映画『新幹線大爆破』といえば、海外で高い評価を受け、後に映画『スピード』(1994年)に影響を与えたとされるなど、多くの映画人や鉄道ファンに愛されている作品。元々この映画のファンだった樋口監督が長年温めてきた企画を、映画『日本沈没』(2006年)でタッグを組んだ草彅と共に実現させたものが今作となる。

東京行きの東北新幹線・はやぶさ60号に、時速100キロを下回ると作動する爆弾が仕掛けられる。車掌である高市(草彅)が乗客へ事件の発生を伝えると、絶望の表情を見せる者や憤怒する者であふれ、一瞬で車内はパニックに陥る。危機的状況を打開しようと、高市は乗組員と乗客、そして新幹線総合指令所と共に、さまざまな策を講じていく...というストーリー。

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怒涛の展開による"物語の波状攻撃"により作品世界に没入

この作品の魅力といえば、やはりスピード感だろう。刻一刻とタイムリミットが迫る中、変化する状況に最善の判断を求められ続ける登場人物たちの奮闘する姿、次々と続出するトラブル、ストーリーが進むにつれて明かされていく真実などに加え、立場や背景によって異なる登場人物たちの思惑が絡まり合って、怒涛の展開が繰り広げられる。この何重にも押し寄せてくる"物語の波状攻撃"が、あらがいきれない圧力となって作品世界に導いてくれる。

また、原作映画で描かれた日本の高度経済成長時代への批判を暗示させるメッセージと同じく、今作でも現代の日本が抱える社会問題に切り込んでおり、ただのパニックムービーの枠に収まっていない。原作映画をNetflixで改めて鑑賞した後に今作を観るという楽しみ方もでき、リブート作品として世代を超えて楽しめるエンターテインメントに仕上がっている。

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草彅剛ら実力派俳優陣が紡ぐリアルなパニック感

原作映画の精神はそのままに現代版にアップデートされた同作を支えているのは、草彅をはじめとするキャスト陣の圧巻の演技だ。共演者も実力派ばかりで、このラインナップだけで「外れなし」という域に達しているが、蓋を開けてみるとそんな安い言葉では言い表せないほど、役者陣が真に迫る演技を見せてくれている。

混乱、保身、希望、絶望、信念、祈り、正義感、焦燥など、それぞれがそれぞれの感情を元に言動を起こすため、パニック感がよりリアルに表現され、見ていて共に乗車しているかのような臨場感を味わわせてくれる。そして、さまざまな人物をそれぞれがリアルに演じてくれているため、事件のてん末を追う視聴者という視点だけでなく、誰に感情移入するかでも全く違った楽しみ方ができ、何度見ても新鮮な視点で楽しめる点も魅力だ。

スピード感あふれる怒涛の展開と実力派俳優陣の迫真の演技によって、ハリウッド映画と比べても遜色のないクオリティになっている新しいパニック・サスペンスをぜひご堪能あれ。

文/原田健

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