賀集利樹が語る「仮面ライダーアギト」新作映画への思いと、要潤ら仲間との再会
映画 インタビュー
2026.04.25
テレビ朝日系列で2001年から1年間放送され、平成以降の仮面ライダーシリーズで前人未到の平均視聴率(11.7%)を記録した特撮ヒーロードラマ「仮面ライダーアギト」。その人気は25年たった今も色あせることなく、シリーズ生誕55周年となった今年、ファン待望の新作劇場版『アギト―超能力戦争―』が、ついに4月29日(水・祝)より全国公開される。物語の舞台は、かつて未確認生命体「アンノウン」が引き起こした不可能犯罪に酷似した事件が再び次々と勃発し始めた現代。その真相を探る警視庁未確認生命体対策特殊武装班=通称「Gユニット」の管理官である小沢澄子が訪ねるのが、25年前に「アギト」としてアンノウンと戦った津上翔一だ。
今回、J:magazine!では翔一を演じた俳優の賀集利樹のインタビューを敢行。壮大なスケールで「人間の進化」を問う本作の見どころや、テレビシリーズの思い出、「アギト」やファンへの思いなどを十分に語ってもらった。

■25年ぶりの劇場版『アギト―超能力戦争―』公開。賀集利樹が語るオリジナルキャスト集結の舞台裏
──賀集さんが新作映画の制作を知ったのはいつごろでしたか?
「2025年の年明けくらいでしょうか。プロデューサーの塚田(英明)さんから『アギトの映画をやりたいのだけど、賀集君出られる?』と連絡が来て、『マジですか!?』と(笑)。25年ぶりに新作が作られるだけでも驚きなのに、しかもそれが全国公開の映画だというのがまたすごいなと。すぐにOKの返事をしたのですが、それからしばらく音沙汰がなく、『そういえばあの話どうなったんだろう?』と思ったころに具体的に話が進んで、夏にはもう撮影が始まりました」
──賀集さんは既に本作をご覧になっているとのことですが、率直なご感想は?
「お世辞抜きに、一観客としてすごく楽しめましたね。『良い映画だったな』と素直に思えたんです。出演している立場としては、台本だけでは想像できなかった部分もいっぱいあったので『ここはどうなるのだろう?』と思っていたところがうまく映像化されていることにも感激しました。『アギト』を知らない人が観ても楽しめる作品にもなっていたし、もちろん『アギト』ファンなら『あぁ......!』と思ってもらえるネタが至るところにちりばめられていますので、そういったところを探してもらうのも楽しいと思います」」

──テレビシリーズ「仮面ライダーアギト」のメンバーとはこれまで会ったりしていましたか?
「タイミングが合ったときに会えるメンバーでちょこちょこ飲みに行ったりはしていましたけど、それでも僕が行けるのは数年に1回だったので全員とはなかなか会えていなかったんですよ。それこそ要(潤)とはこの映画の撮影ですごく久々に再会することができました。警視庁チームや美杉家の皆もオリジナルキャストが集まってくれたし、テレビシリーズ当時から携わってくれたスタッフの方々もいて、そういう懐かしい面々に新しいキャストを加えた今のチームでもう一度『アギト』を作れたのがうれしかったですね。
でも、それは僕たちだけの力ではできないことで、やはり一度完結した作品の続編や新作は、ただ演者の僕たちが『やりたいね』と言うだけで実現できるものではないと思うんです。25年間ずっと『アギト』という作品を愛し続けてくださった人たちの応援や声があったからこそ叶えることができたので、そういう皆さんからの思いも感じて、撮影期間中は本当に幸せな気持ちでした」

左から要潤、賀集利樹
(C)2026「劇場版アギト」製作委員会 (C)石森プロ・東映
──撮影中、印象に残った出来事やエピソードをお聞かせください。
「撮影期間中は全てがずっと楽しかったのですが、やはり尾室(隆弘)役の柴ちゃん(柴田明良)は面白いなと改めて思いましたね(笑)。今作で尾室は昇進しているのですが、藤田(瞳子)さん演じる小沢さんには未だにめっぽう頭が上がらない、その尾室の小心者な感じが、本当に相変わらずなんですよ。もちろん皆さん、本人と役の性格は全然違うのですが、その雰囲気が意図的に作り出されているのではなく、柴田さんが元々持っているものからにじみ出ている感じがすごくいいんですよね。ちなみに、テレビシリーズの最終話で尾室さんがひげを付けていたので、今作でもそれが踏襲されているのですが、あれは付けひげではなく柴田さんがちゃんと撮影までに生やしてきた自前のひげだということをここでお伝えしておきます(笑)」
■津上翔一という「臓器」と共に生きて。役作りを超えた賀集利樹の自然体な演技論
──柴田さんだけでなく、翔一を演じる賀集さんもとても自然体に見えますが、翔一役を演じる上で心掛けていることなどはあるのでしょうか?
「それが......ないんですよ(笑)。特に僕や要は『アギト』がデビュー作だったので、当時は演じ分けというような技術も何も持ち合わせていなかった。そんな中で撮影するとなると、もうとにかく一生懸命やるしかないので、自分の思っていることや人柄が全面に出てくるんですよね。だから氷川も翔一も『演じている』という感じではなく、限りなく自分自身に近いところででき上がったキャラクターという感じなんです。今回も申し訳なくなるくらい役作りなども何もしていなくて......(笑)」
──では、セリフだけ覚えて現場に入られた感じだったのでしょうか?
「いえ、もはやセリフを覚えるという作業すらほぼしていないです(笑)。これが不思議なんですが、そのシーンの流れや会話の内容さえ理解できていれば、あとはもう僕の中にある『津上翔一』がスッと出てくるというか、『こういうとき、翔一ならこう言うよね』というのが分かるからセリフとして一字一句覚えていなくてもそのままできてしまうんですよね。これは『アギト』のキャスト全員に言えることだと思うのですが、多分みんな自分の体のどこかに『氷川』だったり『翔一』という臓器みたいな何かがずっとあって、その臓器と25年間一緒に生きてきているからこそ、できることなのかもしれません」
(C)2026「劇場版アギト」製作委員会 (C)石森プロ・東映
──賀集さんが思う、翔一の面白いところ、好きなところはどこですか?
「翔一は、僕自身も大好きな人で尊敬もしているのですが、完璧に真っすぐではないところがあると思うんです。それは特に、氷川さんに対してなのですが(笑)。でも僕はその二人の関係性にこそ翔一の良さが出ている気がするんですよ。恐らくテレビシリーズの後、氷川と翔一は25年間ほとんど会うことはなかったのではないかと僕は思っていて、でも一度会いに行けば、予告編にもあった『氷川さんが必要なんです』というような言葉も、うそいつわりない気持ちで言える確かな信頼関係がそこにはあって、お互いをちゃんと認めている。ときには昔のように氷川さんをいじったりもするけれど、基本すべてに愛があって、周りからも愛されて、視聴者から見ても翔一が愛される理由がよく分かる。そんなキャラクターって、なかなか狙って作れるものではないと思うんです。それは本当に翔一が持っている天性の魅力だし、改めて翔一ってすごいなと思いました」
──そんな氷川さんですが、今回の映画では特殊強化装甲服「G7」を装着して、仮面ライダーG7となります。
「いや〜もう、かっこよすぎてずるいですよね(笑)。でもやっぱり『アギト』のテーマは『人類の進化』だからこそ、今回は氷川さんが新たな力を手に入れるというところがいいなと思いました」
■脚本・井上敏樹が描く「生きる」ことの意味。ヒーローが日常に寄り添う「アギト」の世界

──本作の脚本はテレビシリーズのメインライターである井上敏樹さんが手がけられています。テレビシリーズも名言ぞろいでしたが、何かお気に入りのセリフはありますか?
「38話で小沢さんが翔一に言った『良かった、あなたがアギトで』もすごく好きですし、翔一のセリフだったら『劇場版 仮面ライダーアギト PROJECT G4』の『生きるってことはおいしいってことじゃないですか』かな。キャベツを食べても大根を食べても、もしかしたら何も食べなくてもおいしい。でも死を背負ったらまずくなってしまうというあの言葉は、津上翔一という人物の人間性が一番出ているというか、彼の強さを表しているセリフだと思います。本当に、井上先生はよくあんなセリフを思いつくなと。言っては何ですが、普段の先生からは全然想像できないポエティックな言葉というか......(笑)。
そういえば、今回の映画の撮影で京都に行ったときに、井上先生も現地に来てくれたんです。でも撮影現場には来ないと言うので、理由を聞いたら『お酒を飲みに来ただけだから』と(笑)。それでみんなでご飯に行って、翌日も撮影だったから『先生も出たらいいじゃないですか』とカメオ出演を提案したら『嫌だよ。俺、朝起きられないから』と断られました(笑)。でもそうやってわざわざ僕たちに会いに京都まで来てくれるところにすごくアギト愛を感じましたし、そんな先生が引き続き脚本を書いてくださるのは本当にうれしいことですよね」

──賀集さんが考える、「仮面ライダーアギト」という世界の魅力をお聞かせください。
「一番の魅力は、登場人物全員が持つ『距離感』だと思います。例えば、僕が演じた津上翔一という男は仮面ライダーに変身するヒーローですが、そのヒーロー像は『絶対的に強い、雲の上の神様みたいな存在』ではなく『隣の家に住んでいる普通の青年』という感じで、日常にとても近しい存在なんですよね。『アギト』は、本編自体は意外としっかりしたミステリーだし、当時は僕も『日曜の朝にやるには人が死にすぎだろう』と思ったくらい衝撃的で難解な部分も多いのですが(笑)、すべての登場人物に皆さんが生活圏内レベルで共感できる人間らしいところがあって、見ているうちに自然と彼らに親近感を持てるから群像劇としても面白く見ることができる。だからこれだけ長い間たくさんの方に愛される作品になったのかなと思います」
──最後に『アギト―超能力戦争―』の公開を楽しみにしているファンの皆さんにメッセージをお願いします。
「『アギト―超能力戦争―』は、『アギト』を好きでいてくれたたくさんの人の協力を得てでき上がった作品です。それは作り手だけでなく、新作を待ってくれていたファンの方たちの愛の力があったからだと思っています。本当にありがとうございます!まだまだ語りたい見どころはたくさんあるのですが、何を話してもネタバレになってしまうので(笑)、皆さんには是非劇場で全貌を観ていただきたいなと思います。『アギト―超能力戦争―』をどうぞよろしくお願いします!」

PROFILE
1979年1月16日生まれ、兵庫県出身。2001年、「仮面ライダーアギト」(EX)で主演を務め俳優デビューを飾る。その後、「はぐれ刑事純情派」(02-03/EX)、NHK大河ドラマ「義経」(05)、「ハンチョウ〜神南署安積班〜」シリーズ(09-11/TBS)などのTVドラマへ出演。最近では舞台「『刀剣乱舞』士伝 真贋見極める眼」(25)や「わが歌ブギウギ-笠置シヅ子物語-」(26)、ドラマ「精神分析医 氷室想介の事件簿3」(26)へ出演するなど映像と舞台で幅広く活躍中。
取材・文/桐沢たえ 撮影/番正しおり
ヘアメイク/平笑美子 スタイリスト/KYOU
ジャケット¥18,920 パンツ¥13,750 シャツ¥99,000/NANO universe(ナノ・ユニバース) その他/スタイリスト私物




