塩野瑛久が語る、これまでのキャリアと最新映画での挑戦「変わり続けることが僕のスタイル」

塩野瑛久が語る、これまでのキャリアと最新映画での挑戦「変わり続けることが僕のスタイル」

6月19日(金)公開の映画『マジカル・シークレット・ツアー』は、3人の女性が金の密輸を通して絆を深め、それぞれの人生を取り戻していく姿を描いたクライムエンターテインメントだ。この作品で主人公・和歌子(有村架純)の夫である高志を演じるのが、俳優・塩野瑛久である。

2013年から2014年にかけて放送のスーパー戦隊シリーズ『獣電戦隊キョウリュウジャー』で注目されて以降、数多くの作品に出演し、役によって大きく異なる印象を世間に与えてきた塩野瑛久。日本映画専門チャンネルでは、6月19日(金)の『マジカル・シークレット・ツアー』公開にあわせて「2ヶ月連続 俳優 塩野瑛久のかがやき」と題し、塩野の出演作から厳選した珠玉の映画やドラマを5月20日(水)から特集する。2015年公開の映画『きっと いつの日か』から、近年の映画『チャチャ』(2024)、ドラマ『終幕のロンド-もう二度と、会えないあなたに-』(2025)のほか、彼の魅力に迫る特別インタビュー番組も放送。今回は特別番組の収録を終えた塩野に、俳優として大事にしてきたことや映画の見どころを語ってもらった。

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■戦隊ヒーローから「ヒモ役」まで。カメレオン俳優・塩野瑛久が語るキャリアの軌跡

──特別番組の収録を終えた今の率直な思いをお聞かせください。

「大勢の方に見守られながらの収録だったので、とても緊張しました(笑)。過去の作品を振り返る中でいろいろな思い出が甦って、思考もなかなかまとまらなかったです。でも『自分はこういう道を歩んできたんだな』と改めて知るいいきっかけになったと思います」

──インタビューを受ける中で、何か思い出したことはありましたか。

「『きっと いつの日か』については、僕自身も最初は『この作品が選ばれたんだ』と驚きました。スーパー戦隊シリーズを経て、これからもっと俳優として認められたいという気持ちで挑んだ作品なので、思い入れがありました。10年以上も前の作品なのですが、お話をする中で撮影の空気感や当時の気持ちがふわっと香ってくるようにフラッシュバックして、懐かしい気持ちになりました」

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──当時と変わったこと、変わらないことを挙げるとすれば何でしょう。

「その時々で置かれている立場や環境が違うので、僕自身はずっと変わり続けているかもしれません。『実るほど頭を垂れる稲穂かな』ではないですが、若い頃のほうが自分の個性を出せていたなと思うときもあります。謙虚になることは大事だけれど、かといって個性を潰しすぎてしまうのもよくない気がして。そのバランスについては考えながら、常に今の自分と理想の自分との間で戦い続けてきたキャリアでした。でもだからこそ、お芝居でも常に違う自分を出してくることができたのかなと思います」

──改めて自分の歩んできた道を知ることができたとおっしゃっていましたが、これまでご自身の人生やキャリアを振り返るタイミングはありましたか。

「もちろん、あります。でも単純に人生を振り返るというよりは、過去から今の自分を見つめ直すことが多いかもしれません。『あの経験があったから、こういう風に考えるようになったんだな』『この出来事が苦く感じるのは、あのことがあったからかな』と実感するというか」

──そういう風にご自身の感情と向き合う時間も作られているのですね。

「ただ、基本的にはあまり心の傷をえぐらないようにしています。そこを追究していくと、どんどん沼にハマって、最終的には自分がだめになってしまう気がして。だから、ふと思い出しても、すぐに考えるのをやめるようにしています。インタビューでも、過去の話を聞かれるといろいろな思いがあふれすぎてしまって、整理して言葉にするのが難しいんですよね。その結果、浅い答えしか出てこない......みたいなことがよくあります(笑)」

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■俳優・塩野瑛久の役づくり。最新作『マジカル・シークレット・ツアー』での有村架純との夫婦役

──役づくりに関してはいかがでしょう。例えば、過去には狂気に満ちた役も演じていらっしゃいますが、役に向き合いすぎて抜け出せなくなるような経験はありましたか。

「あまりないです。少し話が逸れるかもしれないですが、僕は、しっかりセルフブランディングして、自分の個性や武器を表に出せる方を尊敬しています。どちらかというと、僕は抑圧してしまうタイプなので、お芝居だけが唯一の発散場所なんです。だから、どんな役と向き合うときも苦しいと思うことはなくて、むしろ楽しいという気持ちが上回ります」

──今回の特集で放送される出演作の中で、特に印象に残っている作品や、塩野さんにとって転機となった作品はありますか。

「『獣電戦隊キョウリュウジャー』は、僕の存在をたくさんの方に知っていただいた最初の作品なので、印象に残っています。映画『チャチャ』の酒井麻衣監督とは、それ以前にドラマでお仕事をさせていただいたことがありました。また一緒に仕事がしたいと思ってくださったことも、演じてみたかったヒモ役でオファーをしてくださったことも、すごくうれしかったです。酒井監督のパワーにあふれるお姿を現場で見せていただけることが光栄でした。上半身裸の状態で水をかけられたり、コンクリートの床の上をゴロゴロ転げ回ったり、撮影は結構過酷でしたけれど(笑)、そんなことを含めてとても刺激的な現場だったなと思います」

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──「水をかけられる」「コンクリートの床を転がる」などは物理的な大変さだと思いますが、これまでに精神面でつらかった役はありましたか。

「意外とそこまで精神的に追い詰められるような役を演じたことはないんです。例えば、ドラマ『魔物』はかなりハードな設定と内容だったのですが、現場はすごく和気藹々(わきあいあい)としていて、麻生久美子さんや神野三鈴さんをはじめ、共演者の皆さんも朗らかな方ばかりだったので、つらくはありませんでした。どちらかといえば、ドラマ『無能の鷹』はコミカルな作品だったけれど、役柄につられて自分の気も弱くなってしまって(笑)。一時期はいろいろなことに敏感になって、萎縮しがちになっていたので、そういう苦しさはありました」

──本当にさまざまな役柄を演じていらっしゃいますが、これから挑戦してみたい役はありますか。

「教師です。実は、学園モノに出演したことがなくて。デビュー作のドラマ『GTO』は学園モノでしたが、そのときはほとんどせりふがありませんでした。僕自身、高校に通っていなかったので、高校生役がやりたかったんです。今、活躍している俳優の方々は、過去に生徒役を経験されているケースが多いと思いますが、僕はその機会に恵まれなかったので、うらやましいなと今でも思います。ただ、年齢的に高校生役はもう厳しいので(笑)、教師役で学園モノに出演してみたいです」

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──6月19日(金)公開の映画『マジカル・シークレット・ツアー』では、有村架純さん演じる主人公・和歌子の夫・高志を演じられました。どう捉えて演じましたか。

「高志は会社のお金を横領し、解雇されたことを和歌子に隠しています。脚本を読んだ限りでは、妻や子供に対してドライな印象を受けて、彼が本当は何を考えているのか分からない部分も多くありました。だから、監督にもいろいろと質問しつつ、だめな夫だけど、どこかそうじゃない部分も出せないかなと試行錯誤しながら演じました。きっと人によって抱く印象は異なると思いますので、観てくださった方が高志という人物をどう捉えるのか、楽しみにしています」

──役づくりのために、何か取り組んだことはありますか。

「今回、一番重要だったのは、和歌子と高志が夫婦であることに説得力を持たせることでした。そのために、有村さんとそれぞれの役になったつもりで監督のインタビューに答える機会を設けていただきました。『相手のどういうところに不満がある?』とか。それは今までにない経験で、すごく楽しかったです」

──撮影で印象に残った思い出はありますか。

「オールアップのときに、普段であればスタッフの皆さんから花束をいただくことが多いところを、今回は『金の密輸』という題材になぞらえて『金のなる木』をいただきました。大事に育てていきたいと思います(笑)」

■個として新たなステージへ。ファンへの感謝と「後悔のない人生」を歩む美学

──昨年末に約3年間所属した劇団EXILEを離れ、一つの区切りを迎えられたのではないかと思います。得たものは何でしょうか。

「一番はやはり、役者としての思いを共有できる仲間に出会えたことです。自分のパーソナルな部分を明かして話し合える人と出会える経験はなかなかありません。ドラマや映画はどうしても撮影期間が決まっているので、共演者の方とも撮影が終わったら再び別の道を歩みますが、そことは違うつながりを持てたことは、本当に良かったと思います。あとはメンバーそれぞれが魅力的な美学を持っていて、それを見せてもらえたことは大きな財産です。僕自身も何か一つ核となる部分を持って、役者の仕事に向き合っていきたいと思いました」

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──塩野さんならではの美学、あるいは俳優として大切にしていることは何ですか。

「きっと、譲れないことや決めていることは、自分の中に無数にあると思います。でも基本的に無意識なので、改めて語ろうとすると難しいですね。ただ『人生は一度きり』ということは常に心に留めています。だから、常に後悔がないように生きたいですし、誰に何と言われようと最終的には自分の心に従おうと思っています」

──大人になると、「普通」に合わせるようになることも多いですよね。

「大人になると、『世間的には何が普通で、どう振る舞えば世間の目に自分がよく映るか』が分かってきて、どうしてもそこに合わせるようになっていくと思うんです。特にSNSの発展によって、良いこと悪いことの基準が明確化されてきて、僕自身もその"基準"からはみ出さないように生きることが多くなりました。それに慣れつつありますが、常に違う自分も持っておきたいなと思います。普段、フラストレーションを感じる瞬間や、どこか自分の中に引っかかりを感じる場面に遭遇したら、その感覚を大事にしたい。最近は自分が持っているそういう本質的なものが他の人にどこまで伝わっているのか気になりますし、そこと向き合ってくれる方と一緒に作品をつくってみたいと思います」

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──今回の特集をファンの皆さんも楽しみにされていると思います。塩野さんにとって、ファンの皆さんはどのような存在ですか。

「ファンの皆さんに対して真っ先に思うのは『大事にしたい』ということです。おそらく多くの方は、何かの作品を観て、僕を知ってくださったと思います。そこから作品や役を通り越して僕自身に興味を持ってくれて、出演作をチェックしたり、イベントに足を運んだり、たくさん時間を使ってくださっているので、本当にありがたいです。そんな皆さんに恥じないような生き方をしたいですし、僕に使ってくださった時間が有意義であってほしいと思っています。作品についても、出演したからには必ず面白いものにしたい。言ってみれば、ファンの皆さんは僕のキャリア構築に大きく関わっている存在です。これからもその思いは変わらずに持ち続けていくので、ぜひとも期待していてください」

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PROFILE
1995年1月3日生まれ、東京都出身。2012年、デビュー。スーパー戦隊シリーズ『獣電戦隊キョウリュウジャー』で注目を集め、その後もドラマ『来世ではちゃんとします』シリーズや大河ドラマ『光る君へ』、『未来のムスコ』など話題作に出演。

取材・文/苫とり子 撮影/大庭元
ヘアメーク/時田ユースケ(ECLAT) スタイリスト/守田圭佑

放送日時:2026年5月20日 20:00~

チャンネル:日本映画専門チャンネルHD

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放送日時:2026年5月26日 20:00~

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放送日時:2026年5月20日 23:25~

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放送日時:2026年6月 8日 21:25~

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放送日時:2026年6月 8日 18:30~

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