藤原竜也が「ST~警視庁科学特捜班~」などで演じた天才肌キャラクターの魅力と役者としての深み

藤原竜也が「ST~警視庁科学特捜班~」などで演じた天才肌キャラクターの魅力と役者としての深み

15歳で蜷川幸雄演出の舞台「身毒丸」(1997年)で鮮烈なデビューを果たした藤原竜也が、5月に44歳を迎える。デビューしてからドラマ、映画、舞台、CMなどさまざまなジャンルの多くの作品に出演し、エンタメ界をけん引し続けている俳優の一人だ。

藤原といえば、理知的で頭脳明晰な"天才肌"のキャラクターを演じさせたら右に出る者はなく、代表作として映画『デスノート』シリーズ(2006~2016年)や映画『カイジ』シリーズ(2009~2020年)などが挙げられるが、他の作品でもタイプの違った"天才肌"を見せてくれている。

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■"不自然を自然に見せる"演技力

例えば、今野敏による珠玉の警察エンターテインメント小説を岡田将生との共演でドラマ化したドラマ「ST~警視庁科学特捜班~」(2013年、日本テレビ系)、連続ドラマ「ST赤と白の捜査ファイル」(2014年、日本テレビ系)もその一つ。

同作品は、人並み外れた能力を持つ5人の科学捜査官と彼らに翻弄されるキャリアのエリート警部で構成されるScientific Taskforce・通称ST(警視庁科学特捜班)の活躍を描いたもので、メンバーたちが自分の信念と能力を頼りに、犯人逮捕という目標に向かって突き進む新感覚の刑事ドラマ。藤原は、トラウマを抱え"ひきこもり"になってしまった超変わり者の捜査官・赤城左門を演じ、岡田はSTのメンバーたちに振り回されつつも真摯に向き合い心を通わせようとする新米エリート警部・百合根友久を好演している。

藤原演じる赤城は、「ST~警視庁科学特捜班~」では驚異的な分析力だが対人恐怖症で人前に姿を現さない分析官、その続編となる「ST赤と白の捜査ファイル」では天才だが"オレ様"な分析官という役柄で、百合根とはぶつかり合いながらも互いに自分にない部分に尊敬と憧れを抱いていくという役どころ。

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藤原と岡田による正反対のキャラクターから生まれる化学反応が見どころなのだが、藤原の演技にフォーカスすると、実はとんでもないことをサラッとやってのけていることに驚愕してしまう。というのも、赤城は"天才"故に常人よりも物事の先が見えてしまい、相手の意見を無視して、先に自分の意見を一方的に主張する傾向があるのだが、せりふが異様に長いのだ。しかし、留意せず普通に視聴していると、それには気づきにくい。なぜなら、藤原の"不自然を自然に見せる"底知れない演技力が働いているからだ。

そもそも長ぜりふは、状況説明などの要素が入っているため感情を乗せにくく、芝居的に間を持たせ辛い上、日常会話としては不自然極まりないもの。だが、藤原は口調、スピード、強弱などあらゆるテクニックを駆使して、間を持たせるばかりでなく、長ぜりふを長く感じさせない域まで達している。これは、数々の舞台経験と演劇の賞を受賞している彼だからこそ成せる技だろう。

"天才"故の人を食ったような表情や態度、百合根に一目置いている瞬間などの純粋な演技のすばらしさと共に、彼の"不自然を自然に見せる"演技力にも注目してみてほしい。

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■感動レベルの役作りの緻密さ

また、最先端科学でも解決できない"不可解な異常事件"に挑む本格ミステリードラマ「全領域異常解決室」(2024年、フジテレビ系)でも、他とは一線を画した"天才肌"的な演技を披露している。

同作品は、身近な「現代事件×最先端」の科学捜査では解明できない"不可解な異常事件"を「全領域異常解決室」という捜査機関が解決していく1話完結型ドラマ。藤原演じる「全領域異常解決室」の室長代理・興玉雅をはじめとするメンバーたちが、「神隠し」「シャドーマン」「キツネツキ」といった、現代科学の常識では考えられない"異常"に挑む姿を描く。

藤原演じる雅は、異常なまでの知識、記憶力、洞察力を兼ね備え、その力を生かして、全領域で起こる"不可解な異常事件"を解決へと導く超常現象のスペシャリストだ。警察も手に負えず解決できない"異常事件"を、興玉は現場に訪れて事件の細部まで調べ、あらゆる事象を組み合わせて、みんなが納得する仮説を唱えていく、という役柄。さらに、実は「興玉神(おきたまのかみ)」という猿田毘古神(さるたびこのかみ)が宿った岩が神格化した神様で、人から漏れ出す"悪意"と"善意"を見定めることができる特殊能力を持つ、という設定も。

"実は神様である"というのは第6話に明かされ、第7話でそれまでの伏線が一気に回収されて後、物語はクライマックスに向けて一層盛り上がっていくのだが、雅役ではクールで冷静、いつもどこか達観している雰囲気があり、感情に突き動かされることはないという"神様"らしいキャラクターを"天才肌"的な演技で熱演。第6話で「なるほど!」と納得させられるわけだが、それまでの役作りが絶妙で、第6話を見た後に再度第1話から見直したくなるほど。視聴者が「こういうキャラクターなのかな」と思う見事なバランスで、"人間離れした特徴"を盛り込んで役を作り上げている。それを実演する表現力もさることながら、見る者を役だけでここまで楽しませるほど、緻密に役を作り上げていることに感動させられてしまう。

1話完結だったはずの事件がつながりを見せ、1つの大きな事件となっていく"神"展開も魅力的なのだが、藤原の役作りの緻密さに注目すると、より作品を楽しめるはずだ。

これから俳優としてどのような進化を見せてくれるのか、期待させてくれる藤原のタイプの違った"天才肌"の演技をぜひ堪能してほしい。

文/原田健

放送日時:2026年5月17日 13:05~

チャンネル:ファミリー劇場HD

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放送日時:2026年5月30日 12:00~

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