若き日の鬼平を演じる市川染五郎が意気込みを語る「銕三郎の集大成だと思って演じました」

若き日の鬼平を演じる市川染五郎が意気込みを語る「銕三郎の集大成だと思って演じました」

時代劇の金字塔を豪華キャストでドラマ・映画化した、池波正太郎原作 松本幸四郎主演「鬼平犯科帳」。"新たな鬼平"シリーズの見どころや魅力とは。「鬼平犯科帳」をこよなく愛する、大貫さん(夫婦のじかん)が、若き日の鬼平・銕三郎(てつさぶろう)を演じる市川染五郎さんにインタビュー!

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――時代劇を代表する人気シリーズに出演することが決まった時のお気持ちは?

「父(十代目松本幸四郎)が大叔父(二代目中村吉右衛門)の代表作である鬼平を受け継ぐと決まった時点で純粋にとてもうれしかったですね。大叔父の『鬼平犯科帳』を見た時に『こんなに面白い作品だったんだ』と衝撃を受けました。それと同時にこれまであまりフォーカスされてこなかった銕三郎を演じることにプレッシャーも感じました」

――新・鬼平の周囲を固めるキャストの皆さんも、かなり豪華な顔ぶれですね。

「特に印象に残っているのは『本所・桜屋敷』にゲスト出演された松平健さんです。撮影当日のメークルームで初めてお会いしたのですが、その存在感に圧倒されました。松平さんに道場で剣術を教えてもらうシーンや一対一で剣を交えるシーンなど、貴重な体験をさせていただきました。とても優しい方で、お人柄含めてすごい方だな、と改めて思いました」

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――TV初放送となる劇場版「鬼平犯科帳 血闘」の中で一番好きなシーンを教えてください。

「タイトルの『血闘』の通り、殺陣(たて)やアクションシーンがとても印象的な作品になっています。なかでも一番好きなシーンは、銕三郎の殺陣のシーンですね。作品の時系列とは異なりますが、撮影のスケジュール的には銕三郎が怒りを爆発させる殺陣の場面でクランクアップとなりました。カメラの長回しで一発撮りのような形での撮影にプレッシャーはありましたが、銕三郎の集大成を見せたいという思いで、最後まで気持ちが途切れることなくできたと思います」

――殺陣はどのくらいの期間稽古されましたか?

「殺陣の稽古は撮影に入る数カ月前からつけてもらいましたが、細かなものは撮影時にその場その場で決めて覚えるという形でした。長回しのシーンもその場で殺陣の振り写しをする形で撮影に臨みました。 時代劇の殺陣は歌舞伎のものとはまた違っていて、その時の経験がちょうど今稽古している新作歌舞伎にも生かせているのがうれしいです」

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――幼少期からご家族との共演の機会が多かったと思いますが、年齢を重ねて関係に変化はありましたか?

「祖父や父に多くのことを教わってきましたが、家族といえど、まったく同じ過程をたどっているわけではなく、違う人間、違う役者なんですよね。そこまで関係に変化はないですが、子どもの頃に比べたら『自分ならこうしたい』という気持ちが生まれ、自分ならではのやり方ができていると思います。その気持ちややり方を父に伝えることもありますし、父も試させてくれることが多いですね。 もちろん、歌舞伎の古典作品の場合は、教わったことをそのままきっちりとやることが大事ですが、新作や映像作品に関しては自分のやり方で作り上げている部分もあります」

――歌舞伎、舞台、映画など忙しい毎日を過ごされていると思います。どうリフレッシュされていますか?

「車を運転することが好きなので、仕事場と自宅の往復のドライブがリフレッシュになっています。高速道路を使わずに一般道を通って時間をかけて帰ることもあります。昔からミニカーを何百台も集めるくらい車が好きでしたが、今は運転することが好きです」

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――最後に「鬼平犯科帳」のファンの皆さんへメッセージをお願いします。

「これまでの鬼平らしさや王道の時代劇らしいところもありつつ、新しい鬼平ならではの演出もあって、これまでの鬼平ファンの方も初めてご覧になる方も楽しんでいただけると思います。 ぜひいろいろな世代の方に見ていただきたいですし、時代劇自体が日本の誇るエンターテイメントの一つだと思うので、世界中の方に見ていただく機会が増えてほしいですね」

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ヘアメイク:AKANE
スタイリスト:中西ナオ
松本幸四郎主演「鬼平犯科帳」
原作:池波正太郎『鬼平犯科帳』(文春文庫刊)

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