「大同生命SVリーグ2025-26」チャンピオンシップ注目選手・女子編「佐藤淑乃選手の進化に脱帽」【ぺえ】

「大同生命SVリーグ2025-26」チャンピオンシップ注目選手・女子編「佐藤淑乃選手の進化に脱帽」【ぺえ】

バレーボールをこよなく愛するタレント・ぺえによるバレーボール連載企画。今回は、2026年4月10日(金)から始まる「2025-26 大同生命SV.LEAGUE WOMEN CHAMPIONSHIP Finals」に先駆け、ぺえが注目している女子選手を紹介する。選手それぞれのストロングポイントや魅力、今後に期待するところなどを、愛をもって語ってもらった。「大同生命SVリーグ 2025-26」は、男女全試合を「J SPORTSオンデマンド」でLIVE配信中。

■チャンピオンシップ進出を懸けた意地と意地のぶつかり合い

(3月26日現在の)今、一番楽しみにしているのが、女子のチャンピオンシップに進出できるか否かの境界線上に位置している8位の埼玉上尾メディックスと9位のデンソーエアリービーズによる今週末の直接対決なのです! 現状、直接対決の後の最終戦のカードも加味すると、若干、埼玉上尾が優勢な気もするのですが、この直接対決がクォーターファイナル進出にすごく大きく影響すると思うので。

3月20日、21日に、後がないデンソーが土壇場で4位の大阪マーヴェラスに2勝したかと思ったら、埼玉上尾も3月21日、22日に6位のクインシーズ刈谷相手に意地の2勝を挙げるなど、両チームとも上位チームを破っての気合の入った状態での直接対決なので、どちらのチームが気持ちで上回るのか...?本当に楽しみです。

レギュラーシーズンのクライマックスなので、クォーターファイナル進出を懸けて、女子も男子も境界線上に位置するクラブ同士が意地と意地のぶつかり合いを繰り広げていて、どのチームもいいプレーが続出しています。長いラリーが続いているのを見ていると、「ここまでやってきたことをすべて出し切って、1つでも上の順位に上がろう」という強い思いを垣間見ることができて、とても楽しませてもらっています。

■長期リーグがもたらした「層の厚さ」と選手の成長。代役からスタメン定着へのドラマ

そんな中で、今シーズンは長期間にわたっているため、チーム事情として同じ選手を出し続けることが難しかったようです。けがや体調不良など、さまざまなコンディション調整という難題に苦しめられたため、リーグ前半に活躍した選手と後半にかけて活躍している選手がガラッと変わったチームが多い印象でした。

ずっとレギュラーのスタメンで出ていた選手の代わりに出てきた選手がすごくいい活躍をして、気づいたらその選手がスタメンに定着していた、というチームもありました。レギュラーシーズンを全体的にみると、すごくたくさんの選手の活躍が見られましたし、いろいろな選手がちゃんと成長できたシーズンになったのではないでしょうか。

Vリーグ時代と比べて、本当に「層の厚さ」をはじめとする、チームの総合力が試されたシーズンだったと思います。選手だけでなく、監督、コーチ、スタッフを含め、本当に苦しくて、きつくて、つらくて、大変なレギュラーシーズンを戦ってきて、やっと迎えた終盤だからこそ、「絶対にチャンピオンシップに出たい」という思いが強いと思うので、今回はレギュラーシーズンの後半に活躍した選手を中心にピックアップさせていただきました。

すべての選手が一人一人、目つきも違って気迫もすごくて、その中から選ぶのが本当に心苦しくて...。いつもメモを取りながら観戦しているのですが、「あっちの選手のいいところをメモしていると、今度はこっちの選手がいいプレーを見せて...」というようなことの連続で、メモも膨大なものになってしまって大変でした(苦笑)。

■ぺえが注目する女子4強。NEC・久光・PFU・大阪マーヴェラスが示す独自の強み

女子の注目のチームは、"総合力のNECレッドロケッツ川崎"、"勝負強さのSAGA久光スプリングス"、"勢いのPFUブルーキャッツ石川かほく"、"技術力の大阪マーヴェラス"の上位勢です。どのチームも色が違っているので、「その日のコンディションによって勝敗が決まる」と言っても過言ではないくらい実力は拮抗(きっこう)しています。それぞれ異なる強みがあるので、チャンピオンシップでは、この4チームはすごくおもしろい戦いを見せてくれるんじゃないかなと期待しています。

■佐藤淑乃(NEC川崎)の進化。1位を走るレッドロケッツの「絶対的エース」

NEC川崎はいろんな選手が活躍したからこそ今の1位の座に就いているのですが、そんな中でも佐藤選手を取り上げないわけにはいきませんでした。若手選手や外国人選手といったいろんな選手の活躍がありましたが、やはり最後にチームの期待を背負うのは、この大エースになると思います。

昨シーズンと比べて、クロスを向いた姿勢でのストレート打ちが成長しているように感じました。打つギリギリまでクロスを向いて相手を欺きつつ、最後にストレートに打つための体のひねりに磨きがかかりました。

今までの佐藤選手は、真っ向勝負で、クロスにドカンとパワーとキレのあるスパイクを決めるというイメージがありました。日本を代表するエースでもあるので、どのチームからも警戒されて、徹底したマークで対策されて、最低でも2枚ブロックは付くし、しまいには外国人選手の3枚ブロックが付くということもざらにあるという状況でした。

シーズンの前半では、今まで通りクロス一辺倒で攻めていると、どうしても勝負どころでブロックされてしまうというケースも増えていて、個人的に気になっていたところではあったのですが、彼女はその状況を打破すべく、シーズン終盤にかけて、クロスを向いてストレートを抜いてみたり、時にはブロックアウトを狙ってみたり、コースを狙ったスパイクを打つなど、テクニカルな決め方を多用してチームの躍進に貢献しました。チームを救う武器として鍛えるには、想像を絶するトライ・アンド・エラーと、並大抵ではない練習量があったからにほかならないので、彼女が見えないところで積み上げた努力の多さを感じて、ますます応援したくなりました。

加えて、サーブに関しても成長がありました。佐藤選手のサーブはスピードもあってレベルも高いのですが、シーズン前半は意外とあっさり返されていたんです。やはりどのチームも彼女の速い無回転に近い球をサーブレシーブする練習をしてきているので、なかなかサーブで崩すということができないのも気になっていました。でも、後半にかけて、ただ速いサーブではなく、とても際どいコースを狙ってくるようにシフトチェンジしたことで、相手を崩せるようになってきて、スパイクもサーブもだんだんと調子を上げてきました。

本当に長いシーズンの戦い方を知っているし、常に自分の課題が何なのかをすごく明確に理解して、それを改善するための最適な努力を積み重ねて向き合ってきた姿が容易に想像できて、「本当にすばらしい選手だな」と終盤になって特に感銘を受けています。

そして、攻撃面もすばらしいのですが、やはり特筆すべきはディグの正確性です。相手のスパイクをただ上げるだけではなく、しっかりセッターに返す技術の高さは、いろいろな世界の選手のスパイクを拾い続けてきた経験がしっかり実力となって身についているからこそ。しかも、佐藤選手に引っ張られるように、他の選手のレシーブ力もすごく上がっているような気がして、1人の選手としてもすばらしいですし、周りの選手の実力も底上げする多大な影響力を持っていて、本当にチームを引っ張っていく力が備わったなと思っています。

昨年、大阪マーヴェラスに決勝で負けて悔しい思いをして、エースとしても人一倍「今年はチームを優勝させたい」と思っていると思いますし、来季はイタリア・セリエAのチームに移籍することが発表されました。チームの優勝に懸ける思いは本当に強いと思うので、「最後に優勝を決める1本は、佐藤選手が決めるのではないか」という期待を込めた予想をしてしまいます。

■中島咲愛(SAGA久光)の卓越した状況判断。フルセットに強いチームを支える「バレーIQ」

SAGA久光は、けが人が出たり、元々メンバーが少ない中で頑張って戦ってきたりしたところもあるので、かなり大変な思いをして2位まで上がってきたのは本当にすばらしいですよね。そんな中で、中島咲愛選手を取り上げたいと思います。

中島選手は、私が好きなバレーボールスタイルをすべて備えています。身長は174センチと高いほうではないのですが、速いトスの打ち分けの巧みさは本当にリーグの中でもトップクラス。加えて、状況判断に優れているところも特長で、特に高いブロックが来たときの強打とフェイントの使い分けは秀逸です!

バレーボールを本当に知っている人間の動きを、すべてのプレーの中でこなしていくので、すごくシンプルな言い方をすると「バレーボールがすごく上手」な選手です。中島選手のプレーは、最善手で対応してミッションのようにこなしていく感じなので、一見するとすごく簡単そうに見えるのですが、それは彼女のレベルの高さがあるからこそ。彼女ならではの状況判断の鋭さと打ち分けの上手さがあるからこそ実践できるものです。

守備面でも、レシーブの読みと位置取りが卓越していて、相手の打ったスパイクが中島選手の元に吸い込まれていくような感覚に陥るほど。ブロックの間やブロックの上から打っても、そこには必ず中島選手がいる、みたいな。ワンタッチボールでちょっと遠くに飛んでいっても、ちゃんとそこにいますし。本当に「打ってよし、守ってよし」ですし、すべてのプレーにおいて相手の嫌がることをしてくるので、対戦相手からすると本当に「嫌な選手だろうな」と思いますね。

今シーズンはけがで途中まで試合に出られず中盤くらいから復帰して、試合に出始めたら大活躍しているのですが、中島選手がチームの中にいるとすごく安心感が生まれている気がします。みんなが「この選手に付いて行きたい」と思う選手で、「この選手がいてくれたらなんとかなる」という空気にしてくれる珍しい存在。見ていて、チームがすごくいいムードに変わっていくのが分かるんです。

ここからの戦いは接戦になると思うので、中島選手の冷静さがチームに落ち着きをもたらしてくれるのではないでしょうか。というのも、今シーズンの久光はフルセットに強く、フルセットにもつれ込んだ試合は12勝2敗(※3月26日現在)で、「フルセットになったら久光」という言葉がよぎります。この基盤になっているのは、中島選手を筆頭に、リベロの西村弥菜美選手、セッターの栄絵里香選手の3選手が、勝負どころでチームを落ち着かせる存在になっているからです。3人が若手の荒木彩花選手や平山詩嫣(しおん)選手、北窓絢音選手たちをうまく落ち着かせることで、理想的に若手とベテランのバランスが保たれています。

しかも、ベンチには中田久美監督がいるという安心感!「なんとかなるだろう」という自信が、フルセットのような後がない状況で効いてくるのだと思います。さらにステファニー・サムディ選手の得点力もプラスされているので、盤石感がありますね。あと、久光の快進撃に触れるなら栄選手も外せません。栄選手のことは東九州龍谷高等学校時代から応援していますが、今年が一番いいと思います。ここにきて、とても熟成しています。トスの安定感とトス回しは、栄選手史上最高です!

■大阪マーヴェラス三人娘の勝負強さ

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大阪マーヴェラスは「三人娘」として、田中瑞稀選手、林琴奈選手、宮部愛芽世選手を取り上げたいと思います。この3選手に関しては「こんなにも勝負強い3人が、よく集結したな」とうなってしまうほどで、本当に堅いです。3人いるから誰かが休めるというのも強みで、「3人がセットである」ということが最強なのです。

田中選手は、シーズン中盤には出場していなかったので、「林選手と宮部選手でいくのかな?」と思っていたら、終盤の大事な局面からスタメンで出始めたんです。それを見たときに、酒井大祐監督の指揮の執り方に驚きを隠せませんでした。

私は個人的に田中選手のことを「Mrs.勝負強さ」と呼んでいて、彼女の勝負強さは本当にリーグNo.1だと思っています。「バレーボールを知り尽くしている感じ」が本当に大好きで、彼女が全日本で躍動する姿をもっと見たいと私はまだ諦めていません。

優勝候補のNEC川崎に勝つのは大阪マーヴェラスなのではないかという予感がしています。九州文化学園高校時代から田中選手の勝負強さは筆舌に尽くしがたいものがあったので、酒井監督もチャンピオンシップは田中選手で勝負してくる気がしますね。接戦になったときの田中選手の肩の強さは、どのチームのブロックに対しても攻略してきます。彼女の勝負強さは、技術や努力はもちろんですが、持って生まれた天性のものですから。

そして、田中選手と林選手という勝負強い2人に引っ張られるように、今シーズンの宮部選手も非常に勝負強いです。この「三人娘」は私が相手チームだったら、本当に嫌な3人です(笑)。サーブでもとんでもなくいいコースを狙ってくるし、レシーブも穴がないですから。外国人選手のリセ・ファンヘッケ選手とサマンサ・フランシス選手もいいので、対NEC川崎戦では田中選手や林選手が拾いまくって、最終的にファンヘッケ選手たちが決めまくるという世界線もあると思います。

■PFUを牽引する川添美優選手のスター性と、次代を担う若手「ネクストブレーク」枠

終盤にかけてのPFUブルーキャッツ石川かほくの好調の鍵は、川添美優選手と大熊紀妙選手です。2人が松井珠己選手のスピードのあるトスをしっかりと打ち切っているので、終盤のチームの調子がいいですよね。バルデス・メリーサ選手には引き続き活躍してもらって、その上で鍵を握るのはこの2人になると思います。

チームが好調なときは必ず川添選手が活躍していて、彼女の出来がチームのバロメーターだと思って見ています。それって、良くも悪くも彼女にスター性があるからで、彼女自身はすごくクールな選手なのですが、彼女が決めると3点取ったくらいの盛り上がりが生じますし、彼女が決めているうちは「大丈夫だ」という雰囲気が漂います。

今後の改善点を挙げるとすれば、メンタルにムラがあるところですかね。個人的にはそういった"人間くさい"ところも好きだったりするのですが、調子がいいときは無双するけれど、よくないプレーが続いてしまうと立て直すまでに時間がかかってしまう。勝利のポイントは、松井選手がどれだけ川添選手に気持ちよく打たせ続けられるかに尽きると思います。

PFUがチャンピオンシップはどこまでかき回してくれるのか、すごく楽しみですね。チームとしては大きな舞台の経験が浅いので、とにかく萎縮せず、「自分たちの力でここまできたんだ」という自信を持ったまま臨んでほしいです。外国人選手がほとんどいない中でここまで来たというのは本当にすごいことなので、最後まで一丸となってぶつかってほしいなと思います。

番外編として、NEC川崎の廣田あい選手、埼玉上尾の山地梨菜選手に、若手の応援枠としてエールを贈りたいと思います。NEC川崎の甲萌香選手は目を見張るほどの進化と気合を感じます。今後の伸びしろも含めて、ネクストブレークの期待を込めて名前を挙げさせていただきました。

取材・文/原田健

ぺえ

ぺえ (タレント)

タレント。小学生からバレーボールを始め、中学時代に山形県選抜になった経験を持つ。バレーボールを愛してやまないぺえが、独自の視点でバレーボールの魅力を熱く深く伝える。

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