狩野舞子が選ぶ「大同生命SVリーグ 2025-26」注目選手3人「KUROBE・山口真季選手はブロックの完成が早い」

狩野舞子が選ぶ「大同生命SVリーグ 2025-26」注目選手3人「KUROBE・山口真季選手はブロックの完成が早い」

イタリアやトルコでの海外移籍の経験もあり、2012年ロンドン五輪銅メダリストである狩野舞子。現役を引退後はバレーボールの解説や関連番組への出演、さらにイベントなどを通して競技普及に携わっている。今回は2025年10月に開幕した「大同生命SVリーグ 2025-26」の女子から1試合をピックアップしてもらい、注目ポイントを語ってもらった。「大同生命SVリーグ 2025-26」は、男女全試合を「J SPORTSオンデマンド」でLIVE配信中。

■SVリーグの進化と女子バレーボール人気の高まり

2024-25シーズンから新しくSVリーグが始まり、各チームのホームゲームでもエンタメ要素のある演出が取り入れられるなど、足を運んだ観客たちがワクワクするような空間が広がっています。実際に試合を観戦した友人や知り合いからも「とても楽しかった」という声が聞かれるのは、素直にうれしいです。日本代表が男女ともに活躍し、少し前ですと男子の話題が多かったのが、最近では女子の選手名が話題に挙がることも増えているので、女子の人気が高まっていることを感じます。

また昨今は日本国内においてさまざまな競技が盛り上がりを見せていることに、選手たちも危機感を覚えているのでしょう。日本代表への人気はもちろんですが、SVリーグという国内リーグが盛り上がらないことには、ファンの増加やスポーツとしての発展につながりませんから。女子選手においても取材の受け答えやあいさつ、ファン対応などを見ていると、とても強い意識で向き合っていると思います。1月に開催された「エムット presents SV.LEAGUE ALL STAR GAMES 2025-26 KOBE」でも、選ばれた選手たちからは「あの場を盛り上げたい」という気持ちが伝わってきました。ただ...私が現役選手なら、周りを気にせず、もっと思いきりやっているかなぁ~とは思います。怒られてしまいますかね(笑)。

■KUROBEアクアフェアリーズ・山口真季と安田美南が示す「高さ」と「守備」の重要性

女子の注目試合は、第5節GAME2(11月9日)の大阪マーヴェラス対KUROBEアクアフェアリーズです。昨季女王の大阪マーヴェラスは、今季なかなかエンジンがかからず、黒星を重ねる出だしとなりました。対するKUROBEは、開幕6連勝と好調でした。その2チームが対戦した第5節のGAME1(11月8日)は、大阪MVが3-0で勝利を収めます。翌日のGAME2がどのような展開になるのかを注目していました。

結果としては大阪MVが攻撃力で上回り、3-1で勝利しましたが、それでも光っていたのはKUROBEの守備力です。特にミドルブロッカーの山口真季選手はこの試合だけで5本のブロックを決めました。山口選手はブロック時の横移動がとても速く、ブロックの完成の早さが特徴です。しっかりと腕を固めて「絶対にこのコースは通さない」というブロックを繰り出します。相手アタッカーとしては、山口選手のブロックを避けて打つと、その先にいるレシーバーにまんまとボールを拾われるわけです。身長175センチとそれほど高さがあるわけではありませんが、相手はすべてを見透かされているような感覚を覚えることでしょう。

また、KUROBEは安田美南選手も注目していた一人です。セッターとして日本人選手にはなかなかない高さ(身長179センチ)を備えています。経験を重ねた今季は、チームメートとのコンビもぴったりです。安田選手の高さは、相手にとっての「狙い目」になりやすいセッターの守備的な弱点を補ってくれます。さらにトスアップの位置が高いことで、相手ブロッカーからすれば目線が上に向く分、アタッカーがどこから攻めてくるかの確認が遅れます。長身セッターとしての安田選手の存在は、今季のKUROBEを支える武器の一つでしょう。

■大阪マーヴェラス・成瀬ももか選手と「影の立役者」が支える常勝の哲学

対する大阪MVからは、私と同じ八王子実践高校(東京)出身でもある成瀬ももか選手を挙げたいと思います。このKUROBE戦では、効果的なサーブを放っていました。それ以上に「ここで欲しい!」という場面で確実に得点を決めるなど、勝負所で活躍する姿がとても目に留まりました。高校を卒業して3シーズン目で、昨季から積極的に起用されているのでチームからの期待を感じますし、母校の後輩としても頑張ってほしい選手です。

成瀬選手も含めて、大阪MVはどんどん力のある若手が出てきます。加えてベテラン勢がとにかくしっかりしています。誰が出てもクオリティの高いパフォーマンスをして、悪い流れであってもぐっと引き寄せることができます。今季の序盤は、なかなか結果が出ず「こんなにバタバタしているチームだったっけ...?」と感じたほどでしたが、自分たちのペースを取り戻したときの戦い方は上手(うわて)ですし、各セットの終盤で見せる集中力は他チームにない強さを感じます。本当に負けない、それに勝ち方を知っているチームです。

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私は、派手なプレーを見せてくれる選手も好きなのですが、どちらかといえば「影の立役者」にひかれるんです。大阪MVの林琴奈選手や田中瑞稀選手のように、いざコートに立つときちんと攻守で勝利に貢献する、そんな"いぶし銀"な存在が、チームの強さにつながっていると感じます。もし、配信でSVリーグをご覧になられる方は、ときどき映るコートエンドからの映像を「こんな陣形でディフェンスをしていたんだ」という視点で見ていただけたら、また新しい見方になると思います。会場に足を運ばれた際には、ダイナミックなプレーや「選手たちはこんなに声を出しているんだ!」という驚きを体感してほしいです。バレーボールの素晴らしさをこれからたくさんの方々に伝えていきたいですし、より多くの方々に競技を体験してもらえるような取り組みを、私も積極的に実現していきたいと考えています。

取材・文/坂口功将

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