阪神タイガース・才木浩人 理想のエース像と2026年シーズンへの展望
スポーツ インタビュー
2026.03.20
〜第十四回 プロ野球愛宣言!現役選手編〜
プロ野球への愛を語ってもらう本連載に、現役選手が初登場。2025年阪神タイガースのセ・リーグ優勝に大きく貢献した才木浩人投手。2年連続で2桁勝利を挙げ、防御率1.55と自身初のタイトルも獲得した昨季を振り返り、今季へかける思いを語ってもらった。
──優勝に貢献され、最優秀防御率のタイトルも獲得された昨シーズンを振り返ってください。
「チームが優勝できたこと、それがいちばん良かったですね。個人的にはタイトルを獲りましたが、ただ自分の内容的には、抑えるべき場面で打たれ、野手に助けられて勝てた試合もあったので、もう少しいいパフォーマンスが出せていたらという思いは残っていますね。足りなかったところは、今後の自分の伸び代と捉えています」
──ともにチームを牽引し、昨季に投手三冠を獲得した同級生の村上頌樹(しょうき)投手は、才木投手にとってどんな存在ですか?
「いい友達です(笑)。ふたりでチームの柱として、いっしょにやっていければいいかなと。お互いをライバル視しているというよりは、ともにチームを引っ張っていこうというような関係性ですし。それはすごくいい感じで、ハマっていると思います」
──村上投手とともにタイガースのダブルエースとされていることについて、どんな思いがありますか?
「それは周りが決めることなので、とくになんとも思わないですね。ダブルエースといっても、エースと呼ばれる人はひとりだと思うんです。昨季の活躍からいえば村上でしょうし、彼はこの3年間ずっと活躍し続けてきているので。僕の中では、相手を制圧できるピッチャーがエースだと思っています。イメージではダルビッシュ有さんや、山本由伸くんですね。僕の理想像として、彼らのように絶対的な存在を目指しています」
──先発ローテーションの中心としての自覚や責任感は?
「昨季の最初は、ありましたね。3連戦の第1戦に投げるので、僕がいい流れを作らないといけないとすごく意識していました。だけど自分にとってはそれが不純物というか、ある時からいらない感情だなとなっていったんです。結果的に抑えられれば、それがチームを引っ張っていることになるのかなと思うようになっていきました。自分から『チームを引っ張るんだ』と意識するのは、ちょっと違うかなと。昨季の途中からはあまり気にしすぎず、任されたところでしっかりと自分の仕事をこなす。それが、いちばん大事だという考えになりました。もちろん責任は感じていますが、必要以上にそれを背負い込まないほうがいい。そこに辿り着いたという感じですね」
──いつも満員になる甲子園のマウンドは、才木投手にとってどんな場所ですか?
「すごく、心地のいい場所ですね。相手を抑えれば、大歓声が聞こえてきます。あれは、すごく気持ちがいいんですよ。その瞬間は僕もハイな状態になっていて、そこであの大歓声を聞くとさらに熱が加わって、自然とアドレナリンが湧いてきます」
──甲子園は広くて、風もある。ピッチャーにとっては投げやすい、あるいは投げにくい球場ですか?
「投げにくいという人もいますが、僕は投げやすいですね。こすったくらいの当たりだったら、外野のフェンスを超えないですし。そこは、甲子園のメリットだと感じています。とはいっても僕は、球場によって攻め方が変わることはありません。ストレートとフォークボールが基本であることは、どこで投げても同じです。コントロールを重視して、ストライクゾーンの四隅をねらって投げていくタイプではないですから。真っ直ぐで押してフォークボールを落としてというピッチャーですから、球場がどこだからはあまり関係がないですね」
──開幕前の下馬評では、タイガースの評価が高いです。プレーされていて、チームの強さは実感されていますか?
「すごく強いと思いますよ。他球団の内情はわかりませんが、うちのチームは本当に雰囲気もいいんです。みんな仲はいいけど、浮き足立つこともない。戦力面も含めて、すごくバランスが整ったチームだと感じています。いざ試合が始まると打線は1番から(投手が打席に立つ9番を除いて)8番までいい流れが作れて、投手陣も先発・中継ぎ・抑えとそれぞれに能力が高いピッチャーが豊富にいる。試合を見ていてすごく楽しいでしょうし、1回の表から9回の裏まで、見どころ満載なチームだと思います」
──今季は自身にとって、どんなシーズンにしたいですか?
「シーズンを通して、もっと相手を制圧するようなピッチングをしていきたいと思っています。昨季は成績のわりには、内容が微妙だった試合がたくさんあったので(苦笑)。結果ももちろん、内容にもこだわっていきます。相手に『今日の先発は才木か。これは勝てないな』と思わせるような存在になる。それが、いちばんの理想ですね」
──数字など、今シーズン目標にしていることは?
「点を取られないことにはこだわりたいので、防御率1点台は今季も目指していきたいです。それに三振をもっと増やして、シーズンで200(奪三振)くらいは奪いたいと思っています。防御率と奪三振には、こだわってやっていきます」
──才木投手は今シーズン、自分のどんな姿を見せてくれますか?
「自分の投球の生命線である真っ直ぐと、昨季から改良中のフォークボールで三振を獲っていきたいです。奪三振にこだわっていきますので、そこに注目して見てもらえればうれしいですね」
<プロフィール>
'98年11月7日生まれ。兵庫県出身。'16年のドラフト3位で阪神タイガースに入団。高卒ながら1年目から1軍で登板して順調に成長を遂げていたが、右ヒジを故障し'20年オフに手術。その後、育成選手契約を経て'23年は8勝、'24年は13勝と順調に復活し、昨季は自身初となる最優秀防御率のタイトルを獲得して優勝に貢献。
取材・文/カワサキマサシ (C)阪神タイガース




