大同生命SVリーグ2025-26注目アタッカー女子編「宮部藍梨選手の万能さに脱帽」【ぺえ】

大同生命SVリーグ2025-26注目アタッカー女子編「宮部藍梨選手の万能さに脱帽」【ぺえ】

バレーボールをこよなく愛するタレント・ぺえによるバレーボール連載企画。今回は、10月に開幕した「大同生命SVリーグ 2025-26」で、注目しているアタッカーについて魅力を解説。昨シーズンからの変化も踏まえて、各選手の注目すべきポイントなどを語ってくれた。前編となる今回は、女子の注目選手を紹介する。

■前半戦総評

開幕から男女まんべんなく試合を観戦して感じたのは、昨シーズンは外国人選手の出場レギュレーションが「外国籍の選手が1名、アジア枠の選手が1名の最大2名」だったのですが、今シーズンから「外国籍の選手が2名、アジア枠の選手が1名の最大3名」までに変更になったことで、男女ともに外国人選手を主軸に据えたチームが増えた印象です。

SVリーグを世界最高峰リーグに近づけるための変更なのでしょうが、どうしても"外国人選手頼み"になりがちなチームもあるので、バレーボールファンとしては「もう少し日本人選手の活躍も見たい」という歯がゆくもどかしい思いを抱いています。

特に男子は、どうしても外国人選手の高さやパワーに押されてしまう場面が少なくないので、中長期的に見ると"外国人選手中心のチーム構成が今後どう変わっていくのか"という楽しみ方もあるのですが、そういった変化が生まれてくるまでは我慢のシーズンが続くような気がします。

■女子の注目選手

■宮部藍梨選手(ヴィクトリーナ姫路)

日本代表ではミドルブロッカーとして起用されていますが、チームではオポジットに入っていて、ライトからの攻撃はもちろん、バックアタックも打ちますし、クイックにも入るんです。また、ディフェンス面でもブロックはセンターで跳んだり、後衛でもリベロチェンジせずにサーブレシーブに入ったり、縦横無尽に動いていて、新境地に至っていると感じました。バックアタックも攻撃パターンの一つとして自分のものにしていて、本当にすばらしい選手です!

ヴィクトリーナ姫路の試合を見ていると、私が愛してやまなかったパイオニアレッドウィングスの戦い方を彷彿とさせるんですよね。というのも、パイオニアレッドウィングスの名将、アリー・セリンジャー監督の息子さんであるアヴィタル・セリンジャー監督がヴィクトリーナ姫路の指揮を執っているので"セリンジャーの血脈"を感じるんです。センターが高いトスを打ってきたり、ミドルブロッカーがバックアタックを打ってきたりと、コートにいる全員が「決まる可能性がある時は全てチャレンジしよう」という共通認識を持って、ポジションに関係なく全員がどこからでも攻撃するというスタイルが、バレーボールのセオリーに収まっていなくてすごく好きなんです。

ヴィクトリーナ姫路もそんなスタイルを実現していて、それが宮部選手を進化させているんですよね。宮部選手自身もチームの勝利のためにいろいろなポジションを練習して、「まだまだ自分の理想の動きには到達できていない」と思っていると思うんですけど、そんな現状に満足することなくめげずに、ひたむきにバレーボールに取り組んでいる姿にすごく感動してしまいます。

日本代表でもフェルハト・アクバシュ監督になってから全員で攻撃参加するスタイルに変わったと思うので、彼女がまた代表に選ばれた暁には、チーム同様オポジットとして活躍するのか、はたまた過去の代表の時のようにミドルブロッカーで活躍するのかが楽しみですね。元日本代表の大友愛さんのように、チームのスタイルによってポジションを変えることのできる幅の広い選手になっていってくれるだろうと期待してやみません。今は各ポジションの分業制が進んでいる傾向が強く、宮部選手のようにどこのポジションでもこなせる選手が少ないので、そういった意味でもこれからがすごく楽しみです。宮部愛梨という選手に大いなる可能性を感じていますし、その可能性を育もうとしているアヴィタル・セリンジャー監督に対して感謝にも似た思いを抱いてしまいます。

■内瀬戸真実選手(埼玉上尾メディックス)

前回の連載記事でも注目の選手の一人として挙げさせていただきましたが、期待以上の活躍に驚かされています。チームの安定感を彼女一人で作り上げているかのような存在感があって、サーブレシーブの安定感はもちろんのこと、ディグの読みの鋭さも、彼女ならではの能力が現役復帰1年目で発揮されていて、2年間のブランクなんて全く感じられません。おそらくバレーが好きで好きでたまらなくなって復帰されたんだと思うのですが、とにかく楽しそうにプレーしているのが印象的ですね。

引退前もすばらしい選手でしたが、すごく真面目な人柄なので、バレーボールに真剣に向き合うあまり若干切羽詰まったような雰囲気がありました。復帰してからは"第2のバレーボール人生"を謳歌しているような、いい感じに肩の力が抜けてプレーできていて、その"心に余裕のある充実感"みたいなものがメンタルのバランスをより良く整えていて、いい動きにつながっているような気がします。攻撃においても守備においても、ブロックの1mmの隙間までも見えているかのようで、「止められたらどうしよう」「決まらなかったらどうしよう」といった心の迷いや葛藤があまりなく戦えているのだと思います。

昨シーズンの埼玉上尾メディックスは、いいところまではいくのだけれど、最後まで勝ち切れないという部分があったと思うのですが、内瀬戸選手が入ったことで終盤のバタつきが解消されて、チームとしてまとまりのあるバレーボールを展開できるようになったと思います。内瀬戸選手と岩澤実育選手の2枚が後ろでレシーブする時は、本当にボールが落ちないですから!つなぎの上手な2人が後ろにいる時の守備力は、相手チームからするとすごく嫌だと思いますね。

■黒後愛選手(埼玉上尾メディックス)

そんな埼玉上尾メディックスの良いスパイスとなっているのが、黒後愛選手です。スタメンで出てくる時も、2枚替えで出てくる時もあるのですが、どちらのパターンでも必ず仕事をしてくれます。そして、黒後選手が決めた後のコート上の雰囲気の良さ。「やはりチームを引き上げてくれる存在だな」って再認識させられますね。

内瀬戸選手と同様、黒後選手も本当に心からバレーボールを楽しんでプレーしていて、バレーボールと向き合い続けて葛藤し続けた2人がバレーを楽しんでいるということが、いちバレーボールファンとしてうれしいですし、埼玉上尾メディックスの雰囲気をますます良くしていると思います。下北沢成徳高校時代から見ている中で、今の黒後選手が一番輝いて見えています。

■鴫原ひなた選手(クインシーズ刈谷)

古川学園高校時代から彼女のバレーボールセンスにすごく惹かれているのですが、それとは別にしっかりとキャプテンを務めているところがすごいなと。チームを引っ張っていく力がものすごくある選手で、プレーに関してはディフェンスがいい上に、攻撃力も年々増しています。試合を見ていても、本当に日々一生懸命練習している姿が目に浮かぶほど。

元々、守備は上手い選手で「攻撃力が上がればもっと良くなるな」って思っていたのですが、その攻撃力もどんどん備わってきて、年月を重ねれば重ねるほどにいい味が出てきているんです。だから、もっと経験を積んで、もっともっとベテランになっていけばいくほど、すごい選手になっていくんじゃないかなと期待感が膨らんでいます。

クインシーズ刈谷は、伝統的に団結力が強いチームで、その強さを鴫原選手がしっかりと継承してチームをまとめている姿は見ていて気持ちがいいですし、これでまだ24歳という成熟の早さにも驚かされます。だからこそ、これからどんどん経験を積んでいったら、すばらしい選手になるんじゃないでしょうか。

■バルデス・メリーサ選手(PFUブルーキャッツ石川かほく)

元々すごくいい選手でしたが、さらにたくましく成長しています。古川学園高校時代から高さと爆発力には定評のある選手だったのですが、そこに集中力と冷静さが加わって、一つ上のステージに上がった気がします。

成長したメリーサ選手を、今シーズンから入団したセッターの松井珠己選手が持ち前の速いトス回しを駆使して伸び伸びと打たせているので、メリーサ選手は松井選手に後押ししてもらって、より一層目を見張るような活躍を見せることができ、チームとしても相乗効果が生まれていると思います。

というのも、元々、メリーサ選手は高めのトスが得意なイメージがあったので、速いトスが得意な松井選手がセッターになったことで、シーズン前は「コンビネーションは大丈夫かな?メリーサ選手のストロングポイントが消えてしまうのでは?」と気になっていたところだったのですが、速いトスも打てるようになっていて攻撃力が一段と増しました。

あと、メンタルの成長も著しいです。以前は、たまに集中力が切れてしまって、プレーが雑になってしまうことがありました。スパイクが決まらなくなってくると自分の世界に入ってしまい、周りが見えなくなってしまうところがあって、そこが彼女の課題に感じていたのですが、今シーズンではムラがなくなって安定してきたんですよね。

加えて、コースの幅もすごく広がりました。元々、高さはあるので角度のあるスパイクを持っていて、インナーのコースに打つのが得意だったのですが、最近はエンドラインぎりぎりのコートの後ろの方にも高い打点から冷静に打っていたり、ブロックアウトも器用に打ちこなしてきているんです。一方で、ブロックをする時は、ブロックアウトを狙われていると察すると、ブロックする手を引いたりして、すごく冷静に見ることができている。

これからの伸びしろの多さも感じられて、「ますます怪物に進化していくんじゃないか」とわくわくさせてくれる選手で、本当にこれからが楽しみですし、早く日本代表で大暴れする姿を見たいです。試合を観戦していると、つい目で追ってしまう魅力あふれる選手ですね。

余談ですが、高校時代からずっと見ている身としては、だんだん日本語が上手になっていくところも微笑ましく見させてもらっていて、POMに選ばれたりすると、「メリーサ選手のインタビューが聞ける!」という喜びも感じています(笑)。

■上村杏菜選手(PFUブルーキャッツ石川かほく)

身長が166センチなのですが、跳躍力とボールのミート力がずば抜けていて、プレーを見るたびにバレーボールセンスが磨かれていっているのが分かります。サーブも良く、レシーブの読みも鋭いという長所がありますが、何よりも彼女の明るさとめげない精神力がチームのいい雰囲気を作り出しているところがすばらしいです。彼女がプレーするとチームが盛り上がるという稀有な選手だと思います。

もしかしたら、(彼女自身は)高さの面で代表には選ばれにくいかもしれないという思いを抱く瞬間もあるかもしれないですけど、持ち前の強い精神力でこらえて、これからも前向きにバレーボールに取り組んでいってほしいですし、私は彼女のジャンプ力やパンチ力、コートにいるだけでチームが明るくなる存在感が大好きなので、この場を借りて「あなたの魅力に惹かれているバレーボールファンがここにいる」ということを伝えたいです。

■北窓絢音選手(SAGA久光スプリングス)

せっかく私なりの注目選手を紹介させていただく場なので、代表選手やすでにスポットライトが当たっている選手の名前は挙げたくないという思いもあるのですが、北窓選手を取り上げないわけにはいかないですね(笑)。昨シーズンからずっと北窓選手を推してきたので「またか」と思われてしまうかもしれませんが、それでもやっぱり今シーズンの活躍を見ていると、彼女の良さやその成長ぶりには触れずにはいられないです。

序盤戦、SAGA久光がなかなか勝ち星を挙げられずに苦しんでいた中で、北窓選手は昨年日本代表として戦った経験と自信が、彼女をさらに飛躍させていると感じさせてくれました。

昨シーズンまでは、何というか少し謙虚過ぎて、プレーで自分を出し切れていない印象があって「もう少し自信がついたら、もっとすばらしい選手になるだろう」という期待を寄せていたのですが、日本代表として世界と戦い、自分の実力が認められたという実績などが彼女の自信につながったのでしょう。

昨シーズンまでは、彼女のことをどちらかというと「守備力」と「攻撃力」を合わせた「総合力」で評価していたのですが、今シーズンは高い「守備力」はそのままに、「攻撃力」がさらに増しましたね。昨シーズンも、ブロックアウトやコース打ちはすごく器用に決める選手ではあったのですが、今年は叩きつけるようなスパイクも身につけていて、世界と戦う上でブロックアウトやコース打ちだけでは戦い切れないから、やっぱりここぞという時に決定打が必要だと感じていたのではないでしょうか。

「止められたらどうしよう」とか「相手のブロックが気になる」とか、そういう気持ちがあると、どうしても消極的な判断になりがちですが、今シーズンの彼女を見ていると「私なら大丈夫!」というエネルギーに満ちた自信が一気に増したように感じられるんです。

ちょっとしたミスくらいじゃ動じなくなりましたよね。本当にいろいろな経験を経て、それを自分で消化して、血肉にして強くなったんだと思います。シーズンが始まる前は「ベンチにあの中田久美監督がいて、萎縮しちゃうんじゃないかな?」と老婆心ながら心配していたのですが、そんなの微塵も感じさせないですから(笑)。

■今後に期待!ネクストブレーク選手

廣田あい選手(NECレッドロケッツ川崎)、結束美南選手(東レアローズ滋賀)、野中瑠衣選手(ヴィクトリーナ姫路)は、今後経験さえ積めば大きく化けるでしょう。3人とも爆発する時はすごくいいんですけど、調子が良い時と悪い時のムラがあるので、調子が上がらない時にどう乗り越えていくかが課題だと思います。1試合でも多く出場して経験値を上げて、大きく飛躍していってほしいです。

取材・文/原田健

ぺえ

ぺえ (タレント)

タレント。小学生からバレーボールを始め、中学時代に山形県選抜になった経験を持つ。バレーボールを愛してやまないぺえが、独自の視点でバレーボールの魅力を熱く深く伝える。

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