U字工事・益子卓郎が語る〜スワローズは栃木の那珂川みたいなもの。元気を与えてくれる存在です〜 第十二回 プロ野球愛宣言!ヤクルトスワローズ編
スポーツ インタビュー
2026.01.20
栃木愛で知られる漫才師、U字工事の益子卓郎さんは子どもの頃からスワローズファン。巨人ファンの多い北関東で燕党になった理由や、その思いを語ってもらった。
――野球に興味を持ったのはいつ頃ですか?
「小学校1、2年ぐらいの時に、宇都宮にオープン戦を見に行ったのが最初だったと思います。巨人と大洋の試合で、当時は原(辰徳)さんや中畑(清)さん、クロマティとかがいて、5年生ぐらいまでは巨人ファンでした。自分も、4年生の時から少年野球をやっていました」
――野球少年だったんですね。
「やっぱり田舎なんで、みんな野球やるんですよ。朝、学校で同級生と昨日、『原がホームラン打ったな』とか、『江川(卓)がどうだった』とか、そういう話をするのが楽しかったですね」
――少年野球でのポジションは?どんな選手でしたか?
「当時はキャッチャーをやっていました。身体が小さかったので、ちっちゃいキャッチャーでしたけど、栃木県の北部の那須郡って田舎の、山の中のチームで。人数は少なかったですけど4番バッターで、郡大会で準優勝したこともあるんですよ」
――強打のキャッチャーだったわけですね。
「というか、気の弱いキャッチャーです(笑)。バットを短く持って打つ4番で。最初はバットを長く持っていたんですけど、監督に『お前みたいなちっちゃいやつは短く持つんだよ』、って言われて。それで短く持って打っていたら、今度はある日監督が、『4番なんだから、長く持て』って...。ワケわかんなかったけど、楽しかったですよ」
――そんな益子さんがスワローズファンになったきっかけは?
「野村(克也)さんが監督になった時、TVでやっていた『珍プレー好プレー』という番組で池山隆寛さんや長嶋一茂さんたちなんかが明るくプレーしているのを見て、いいなぁと思って。それでスワローズも段々強くなって。いつの間にか、スルッとファンになった感じですね。6年生の終わりぐらいだったと思います」
――当時、好きだった選手は?
「その頃は土橋勝征さんとか、ああいう短く持って、職人みたいな人が結構好きでした。でも、池山さんが一番好きでしたね。やっぱりあの思い切って振って、打てるショートで、カッコ良かったですよね。それから真中満さん。オレが小学生の時に、宇都宮学園で甲子園に行ってるんですよ。その時の3番バッターで、ベスト4までいくんですけど、それを毎日、食い入るように見てました。宇都宮学園がまだそんなに甲子園に出ていない時で、当時強かった天理高校(奈良)とか上宮高校(大阪)をなぎ倒していくんですよ。ちょっとやんちゃな感じのお兄さんたちを応援してましたね」
――高校野球も好きなんですね。真中さんは、最近では交流もあるそうですね。
「当時は宇都宮学園の一選手として見ていたんですけど、日大からスワローズに入った時に、大田原の人だって知ったんです。オレの地元の大田原だって!応援しましたね。芸人になってから、大田原の『与一祭り』で一緒になった時、なぜか真中さんが総合司会をやっていたんです。与一祭りでは馬に乗って街を練り歩いたりするんですけど、終わった時に、真中さんに『益子くん、いかがでしたか?』って聞かれて、立場逆じゃねえか、みたいな感じで(笑)」

――最近の選手ではどうですか?
「最近だと、オスナ選手とサンタナ選手がすごく好きです。常にいい成績を残していて、それに2人、仲良さそうじゃないですか。日本人選手だと、個人的に応援しているのは星知弥(ともや)選手。栃木県出身で、やっぱり思い入れが強いです。宇都宮工業から明治大学に行って、ドラフト2位でプロに入って10年目、ケガもあってシーズンを通して活躍できない時期もありましたが、去年、セットアッパーや抑えとして活躍してくれてうれしかったです。彼の出身の那珂川町(なかがわまち)って、栃木の田舎の方なんですよ」
――ベイスターズに栃木県出身の益子京右という選手がいますが、親戚ですか?
「栃木県は『益子』って名前は多いんですよ。でもやっぱり、すごく注目してますし、お会いしたこともあります。とちぎTVで宇都宮ロケをした時、ベイスターズの帽子を被ったじいちゃんがいたんですよ。相方の福田はベイスターズファンなんで、栃木なのに珍しいですねって言ってたら、『益子って知ってる?』って話しかけてきて。それが益子選手のじいちゃんで、偶然ばったり会ったこともありました」
――益子選手がスワローズ戦で出場した時は、どちらを応援するのですか?
「打席に入ったら、やっぱり打てよって思いますよね。スワローズの優勝とか、そういう大事な試合だったら別ですけど」
――スワローズは昨年最下位、近年は不振が続いています。
「昨年はすごく残念なシーズンでした。ケガ人も多かったですし、塩見泰隆選手も戻ってきても、またすぐケガしちゃったり、奥川恭伸(やすのぶ)選手も出遅れてましたし...。それから試合中盤まで勝ってても、終盤の8回、9回に逆転される試合も多く、試合を見ていても全然安心できませんでした」
――村上宗隆選手がホワイトソックス(MLB)に移籍しました。
「まあ、彼はずいぶんスワローズに貢献してくれて、結果を残してくれたので応援したいですし、特に絶望感はないですね。それよりも若い、いい選手が今、結構出てきていますから。岩田幸宏選手とか、特に注目しているのが伊藤琉偉(るい)選手。去年はサヨナラヒットを打ったりして活躍した、期待の選手です。それから内山壮真選手もすごく良くなっていて、若くして3番とか打っています。来年は3割20本塁打ぐらい期待したいです。あと今年、ドラフト6位で石井巧って選手が入ったんですよ。今季から西武の石井一成選手の弟なんですけど、星と同じ那珂川町の出身で、彼にも期待してます」
――昨年限りで5年間、監督を務めた高津臣吾さんが退任されました。どんな印象をもっていますか?
「長年やってくれて、広島出身らしい熱いというか、いい意味で強気な感じの監督でしたね。真中さんとは違った雰囲気で、優勝も見せてくれたし、選手時代から見ている人なので、すごくよかったと思います」
――今季からは池山監督になります。
「やっぱり生え抜きですし、スワローズファンは池山さんが大好きという人が多いと思うので、チーム状況としてはきつい時期ではあるけど、期待しています。『明るく』ということをテーマに挙げているみたいだし、また現役時代の時のように明るく、チームが勝っていければいいと思います」
――池山監督の良さを"栃木県"で例えると?
「うーん、そうですね...宇都宮に『とちのきファミリーランド』っていう、すごくほのぼのとした遊園地があるんですけど、その中に『カミナリストーム』っていうすごく怖い乗り物があるんです。栃木県って雷が多いところなので、それから名付けられたアトラクションなんですけど、グルングルン回るようなその動きが、池山さんが現役時代に"ブンブン丸"と言われた、あの動きみたいなんですよ。ほのぼのとした明るいスワローズに『ブーン』と衝撃を与える、そんな感じですかね」
――これまでに感動した試合、印象に残っている試合は?
「やっぱり、'01年の近鉄との日本シリーズですね。第5戦、日本一が決まった試合をネット裏で見ていたんですよ。まだ芸人として食えていない時期でバイトをしてましたが、なぜそんなにいい席が取れたのか?よく覚えてないんですけど。最後に古田さんがキャッチャーフライを捕ってガッツポーズした姿を、目の前で見ることができました。あんな最高の場面に、これから先もなかなか立ち会えることもないと思いますし、あれはうれしかったですね」
――普段のスワローズの試合は、どのようにチェックしていますか?
「球場にはなかなか行けないですけど、神宮球場は近いので、少年野球をやっている子どもと一緒に、見に行くことはあります。あとはテレビを見れる時は見ますし、ネットでも試合経過がわかる。あとはラジオですね。仕事の帰りなんかによく聴いています。シーズン中は、常に結果は追っていますよ」
――'03年には始球式もやりました。
「栃木県名産の"かんぴょう"を投げたんですよ。控え室に案内された時、ボケますか?ってスタッフの方に聞かれて、『かんぴょうを用意してきたので、スパイダーマンみたいに投げていいですか?』って伝えて。『マウンドに落とさなければいいですよ』って言われたので、すごく気を使って投げたんですけど。『周りは何やってんだろう?』みたいな雰囲気でした。福田と2人でやりましたが、その時、つば九郎が福田の頭を思いっきり叩いて突っ込んでたんです。『お前、ベイスターズファンだろう!』っていう感じで。スタジアムの笑いを取っていて、その辺の芸人より、すごく機転が利くなって思いましたね」
――益子さんが思うスワローズの魅力を教えてください。
「やっぱり喜怒哀楽というか、別に自分が所属しているチームでもないのに、なぜかファンになって常に気にしている。人生に楽しみを与えてくれるというか、ありがたい存在ですね。栃木県を流れる、那珂川のような感じです。栃木の人は那珂川の水によって、美味しいお米とか、野菜とかをいただいているんで、我々に元気を与えてくれる、那珂川のような存在ですね」

日本一になった'01年の日本シリーズ。
古田さんのガッツポーズを
目の前で見られてうれしかったです
Profile 益子卓郎
'78年6月16日生まれ。栃木県出身。栃木訛りの漫才で、学生時代からアマチュアとしてローカル番組に出演。'00年に高校の同級生、福田薫とU字工事を結成。'08年「M1グランプリ」決勝進出を機に全国区へ。'11年漫才協会入会。'17年第28代真打に昇進。大田原ふるさと大使。趣味は野球、蕎麦打ち。
取材・文/大久保泰伸 撮影/中川容邦




