手に汗握るプレーの連続!プロボウリングのトップリーグ「io.LEAGUE 2025」に個性あふれるチームが集結
スポーツ インタビュー
2025.03.06
地域性を重視した男女混合チームによるプロボウリングのトップリーグ「io.LEAGUE」。2024年より本格開催され、2025年は1月20日~24日まで京都で行われ、イグナイト東京、ピーナッツ千葉、ゼクス大阪、愛媛オレンジサンダース、プロト京都の計5チームが出場。
試合方式は男女各2名ずつの4名が先発出場するチーム戦。チームは6〜8名エントリーでき、途中交代ができる(男子同士、女子同士)。点数はカレントフレームスコアリングシステム(ストライクは30点、スペアは1投目に倒した本数+10点、オープンは2投の合計ピン数)を採用。ストライクがより重視され、試合運びもスピーディーになっている。総ストライク数、ストライク率、フレームアベレージの男女がともに争う個人タイトルも。4日目までは総当たり戦で、最終5日目はポジションマッチが行われた。今回は試合終了後に、各チームの代表者に話を聞くことができたので、各チームの情報とあわせて紹介する。
スポーツとしてのボウリングの魅力を届ける「イグナイト東京」
io.LEAGUEに最初にエントリーしたクラブ。「イグナイト(IGNITE)」とは"点火する"や"感情を燃え上がらせる"という意味があり、プロボウリング業界に新たな炎を灯し、常に先頭に立って力強く突き進むという意気込みで命名された。キャプテンは過去5回、ランキング3冠女王に輝き、タイトル数33回で永久シード入りを果たした姫路麗。前回に引き続き、藤村隆史が新たな副キャプテンとして、坂本かや&就馬姉弟がチームを支える。新たに、水野耕佑と越智真南が加入。スタイリッシュなメンバー、クールなフォームやウエアに注目!
藤村「io.LEAGUEがスタートし、たくさんの方に応援していただけるようなチーム作りを目指しています。ボウリングってこんなに白熱したプレーがあって、こんなに面白いんだっていうところを見てもらいたいですし、特に若い世代の方々に『いつかio.LEAGUEの舞台に立ちたい』と思ってもらえるよう、全力で頑張っていこうと思っています。ボウリングは年齢や性別に関係なく気軽に楽しめるスポーツなので、その良さも広く伝えていけたらと思っています」
姫路「私は大阪出身で普段は関西弁を話すんですが、チームは関東出身が多いので雰囲気を壊さないよう、頑張って標準語でしゃべっています(笑)。愛媛も千葉のチームも個性があって、明るくにぎやかでアピール力もすごいですが、私たちイグナイト東京はチーム全員がプレーに集中する姿を見ていただけたら。それが誰かの心に響くといいなと思っています。特に男子プロのプレーは必見で、『こんなに曲がるボールがあるんだ』と驚くはずです。ボウリングは雨の日でも楽しめますし、30代から50代の働き盛り世代にはアフター5の健全な楽しみになります。シニア層には健康維持に役立ちますし、ジュニアボウラーにはプロへの道も開けていて、どんな世代にもぴったりマッチするスポーツです。ぜひio.LEAGUEをご覧いただき、レジャーではなくスポーツとしてのボウリングの奥深さを感じていただけたらと思います」
大幅強化完了!リーグ唯一の独立運営クラブ「ピーナッツ千葉」
地中でつながる落花生のように、io.LEAGUEを通してたくさんの人が興奮と感動でつながれるような楽しいチームを目指す、との思いを込めて千葉の名産をチーム名に採用。キャプテンの岩見彩乃、男子キャプテンの森本健太、川﨑由意はチームで23年のショーケースからのチームメイト。昨年から加入の小林哲也、本間成美、そして今年から川添奨太、藤井信人といったJPBAツアーで三冠(ポイント、アベレージ、獲得賞金)に輝いた2名が参加し、戦力を大幅に強化。唯一オーナーを持たず、自分たちで会社を立ち上げクラブを運営。リーグへ懸ける7人の思いは大金星につながるのか、彼らの挑戦から目が離せない!
森本「今回から川添プロ、藤井プロという実力派が新たに加わってくれました。岩見キャプテンのビシバシ決まる采配にも注目です。このリーグも2年目を迎え、昨年より多くの方に見てもらえるんじゃないかと思います。僕たちとしても、ジュニアボウラーをはじめ、ボウラーの皆さんが憧れるような大きな舞台にio.LEAGUEを育てていきたいと考えています。チーム数はまだ少なく、課題もありますが、僕たち自身も全力でリーグに賭けています。この挑戦が日本のボウリング界をもっと大きく発展させ、注目を集めるきっかけになればと思います。その先駆けとして、僕らがいい道筋を切り開けるようチーム全員で頑張ります」
岩見「このリーグのために、『ピーナッツ千葉』という会社をチーム全員で立ち上げました。私と川﨑プロ、小林プロ、本間プロの4人が取締役を務めています。他のクラブにはオーナーがいますが、協会の方から『このメンバーならできるでしょう』と背中を押されて独立運営に挑戦しました。どうすればスポンサーを集められるのかも分からないまま、手探りで頑張った結果、前回の2社から今期は10社にまで増やすことができました。そのおかげで強い選手も迎えることができたんです。だからこそリーグを成功させ、勝つことが私たちの使命です。運営は大変ですが、賞金は7人で均等に分配する仕組みにしているので夢がありますよね。これをきっかけに、io.LEAGUEに独立運営のクラブがもっと増えてほしいし、私たちがそのお手本になれたらうれしいです」
安定したチーム力を武器にストライクを量産する「ゼクス大阪」
チーム名の「XEX(ゼクス)」は、最初のXがストライクマークを、そしてEXはエキスパート(深い知識・高い技術力をもつもの)を表す。プロ32年というベテランの小原照之がキャプテン、2024年の「第56回全日本女子プロボウリング選手権」で優勝した久保田彩花が女子のキャプテンを務める。2024年の全日本で優勝を争った安里秀策、大久保雄矢、同じく全日本女子で2位の寺下智香、3位の石田万音という最強の布陣。昨年からメンバー変更がない安定したチーム構成で、どれだけストライクが量産できるのか期待!
久保田「私たちのチームは全員がタイトルホルダーで、本当に強い選手ばかりです。でも、やっぱりチーム戦になると個人戦とは違う緊張感がありますし、簡単ではありません。長い時間一緒に過ごすことで、それぞれの選手のより深いところまで知ることができました。io.LEAGUEのおかげで、悩んだときにアドバイスをくれる仲間がいるのは本当に心強いです。この経験は、個人戦にも生きる心構えや新たな引き出しを自分に与えてくれたと感じています。チームメイトの大久保プロは幼なじみで、小学生から一緒なんです。二人ともストライクを出しても一喜一憂が少なく、まるで作業をしているようだということで、"ストライク職人"と呼ばれています(笑)。そんな職人二人の掛け合いも見どころです」
小原「チームで一生懸命に取り組む中で、どのようにモチベーションを持っていくのがいいのかなどを考えさせられ、たくさんの貴重な経験をさせていただきました。ボウリングは個人競技ですが、この5日間、みんなで力を合わせてプレーすることの楽しさ、面白さを経験できました。皆さんも会社のコンペや家族でのレジャーで、ボウリングをされることがあるかと思います。ぜひio.LEAGUEをご覧になって、チームワークの素晴らしさを感じていただき、会社の仲間や家族みんなで目一杯、ボウリングを楽しんでいただけたらと思います」
"箱推し"ファンまで現れるほど人気の「愛媛オレンジサンダース」
チーム名には、愛媛の名産「みかん」の鮮やかなオレンジと、電光石火の攻めの姿勢をイメージした「サンダー」を組み合わせた。攻守のバランスが自慢で、団結力ではリーグNo.1との呼び声も高い。キャプテンはプロ入り21年目の山下昌吾、そして女子のキャプテンにはPリーグでも活躍している浅田梨奈。メンバーは昨年永久シード権を獲得した山本勲、プロ入り11年の三浦美里、最年少で昨年2勝目を果たした幸木百合菜。和田秀和と山田幸は夫婦でエントリー。試合では男子の熱いパフォーマンスが観客を魅了し、女子4人のおそろいのキュートなお団子ヘア姿も見どころの一つだ。
浅田「男性陣が投げてベンチに帰ってくるとハイタッチの勢いがすごくて、吹っ飛ばされます。ほえながら帰ってくるので、相手チームならひるんじゃうくらいの圧があって、つくづく同じチームで良かったなと(笑)。チームは試合を重ねるごとにどんどん絆が深まって、今ではまるで家族みたいに温かい関係です。今大会から、私たちのベンチの後ろにお客さんがいるんです。オレンジサンダースのうちわをわざわざ作って持ってきてくれたり、チームのユニフォームを着て応援してくださる方もいて、本当にうれしいです。野球やサッカーのように、ボウリングにもサポーターがどんどん増えていったら、すてきだなと思います。私のSNSにファンの方から"箱推し"というコメントもあって、愛媛チーム全体を応援してくださっていて感激しました」
山下「基本的に男子プロはあまり人気がないのですが、"箱推し"ありがたいですね(笑)。このリーグの特徴は、男子と女子が同じレーンで競技ができること。男子と女子が、全く遜色なく戦えることなんです。実際、個人タイトルを女子選手が取ることもあります。投球数は他の試合より少ないので体力的には楽な部分もありますが、その分メンタルが本当にきついです。チームがつなげた流れを続けられるか止めてしまうのか。普段、冷静な選手が感情的になる場面もあります。選手にとっても今までの自分を一つ超えないと、乗り越えられない試合です。でも、そこを超える勇気をくれるのがチームメイトなんです。ミスしようと思って投げる選手は一人もいないので、試合中に失敗した選手には、キャプテンとして大声で『謝るな!』と声をかけますが、自分が失敗したときは謝ってしまいます(笑)。愛媛は本当にいいチームなので、その絆や熱量を感じて応援していただけるとうれしいです」
最強の布陣で挑むプロボウラーのアベンジャーズ「プロト京都」
今大会唯一のモデルチーム「プロト京都」は、開催地・京都を冠し、組織委員会が特別編成した精鋭チーム。"サイレントビューティ"の異名を持つ名和秋をキャプテンに、男子のキャプテンにはプロ入り11年目の甘糟翔太。メンバーには、2年連続のシード入りを果たした田中椋也、昨年のプロ入り2年目でポイントと賞金ランキングで2冠に輝いた藤永北斗。女子には、昨年3勝の堀井春花、デビュー1年目でシード入りを果たした金子萌夏という若手実力者がそろった。この大会のために集められたスペシャルな布陣で、io.LEAGUEの各クラブとどのような戦いを繰り広げるのか必見!
甘糟「僕は最後まで諦めないという気持ちを大切に、ボウリングをしています。実家がボウリング場を経営しているのですが、実はプロを目指したのは高校3年生の時。それまでは何に対しても真剣に取り組んだことがなく、すぐに諦めてしまうタイプでした。でも、そんな自分が嫌で...。トップアスリートの姿に刺激を受けたことで、変わるきっかけを得ました。だから、最後まで諦めず、何か爪痕を残したいという思いで全力を尽くす自分の姿を見て、子どもたちや今頑張っている人たちに、プロボウラーってかっこいいと感じてもらえたらなと思います」
名和「普段はボディーアクションをあまりしないタイプなんです。でも、今回は若手を引っ張らなければいけなかったので、試合中かなり熱くなりました。いつもの個人戦では失敗しても次のチャンスがありますが、io.LEAGUEでは次がない。特にカレントスコアリングシステムは一投のミスが大きく響くんです。私たちは特別編成されたモデルチームでしたが、試合を重ねるごとにメンバーの気持ちはどんどん強くなり、若手も成長することができました。io.LEAGUEを楽しんでいただいた皆さんには、ぜひボウリング場に足を運んでいただきたいと思っています。コロナ禍以降、多くのボウリング場が閉鎖してしまいました。でも、io.LEAGUEを見た後に『明日ボウリング場に行ってみようか?』と思ってもらえたらうれしいです。友達や家族と一緒に、ボウリングを思いっきり楽しんでください」
取材・文/国松薫 撮影/田中秀宏
写真:提供io.LEAGUE組織委員会