3度目の栄冠に挑戦する佐藤琢磨に注目!見どころ満載のインディカー・シリーズ2025

3度目の栄冠に挑戦する佐藤琢磨に注目!見どころ満載のインディカー・シリーズ2025

2025年のNTT・インディカー・シリーズは、シリーズ30年目のメモリアルシーズンとなる。開幕戦は3月2日の「ファイアストン・グランプリ・オブ・セントピーターズバーグ」で、フロリダ州セントピーターズバーグの市街地コースが舞台だ。ザ・サーマルクラブ、ロングビーチ市街等を経て、同シリーズで最も有名な「インディアナポリス500マイルレース」は、5月25日にシリーズ第6戦として開催される。通称「インディ500」と呼ばれる同レースは、インディアナポリス・モーター・スピードウェイのオーバルトラック1周2.5マイルを200周、走行距離500マイル(805 km)で争われる。第1回は1911年に行われ、モナコグランプリ、ル・マン24時間レースと並び世界3大レースのひとつに数えられる。平均速度は予選で時速362 km、最高速度は時速380 kmに達し、世界最速のレースとして有名だ。

日本人として初めて2017年の同大会を制した佐藤琢磨は、2020年に2度目の優勝を飾った。現在は2025年のインディ500へのスポット参戦に向けて調整を続けていると語っている。佐藤は2024年大会にも参戦し、予選10位、決勝14位の成績を残した。

かねてからインディ500での3勝目を目標にチャレンジを続けたいと語る佐藤だが、2月時点では、出場に関する詳細は未定だ。「インディ500で勝つためには、2024年の経験も踏まえてチーム体制にはこだわりたい。ある程度時間が掛かるのは仕方ないので納得のいくパッケージがどこまで整えられるか、個人的なプログラムとしては今まで通り全力で準備を進めていきます」と語っている。「自分が挑戦している姿を見せることで、時代を担う若手ドライバーの良い刺激を与えたい」という佐藤。参戦体制の発表を楽しみに待ちたい。

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2025年のインディカー・シリーズは、例年通りにオーバルコース、ロードコース、ストリートコースとバラエティに富んだコース設定で構成される。全チームがダラーラ・IR18シャシーとファイアストンタイヤを使用し、ユニバーサルエアロキットを装着したマシンで競い合う。つまり、全チームが同条件でマシンの性能差がなく、ドライバーの技術とチーム戦略が勝負を決めるのだ。各コースの特性を活かした戦略とドライバーの巧みなドライビングテクニックが勝利への鍵。F1等のようにマシン性能の差が大きいレースとは異なり、インディカーはまさに全レースが手に汗握る展開になることも大きな魅力である。

ハイブリッド・システムを使用して初となるフルシーズンの2025年は、ストリート4戦、ロード7戦、オーバル6戦の内訳で争われる。インディ500の後、6月に入るとデトロイト市街地でのレースから中盤戦へ突入し、ワールド・ワイド・テクノロジー・レースウェイを経て、ロード・アメリカ、ミド・オハイオとロードコースで連戦。7月はミド・オハイオ戦からの4連戦で大いに盛り上がりそう。アイオワ・スピードウェイでのオーバル2戦、トロント市街地、ラグナ・セカを経てシーズンは終盤に突入。選手権が佳境を迎える8月は、第15戦ポートランドで最後のロードラウンドを終え、ミルウォーキー・マイル、ナッシュビル・スーパースピードウェイのオーバル2戦でシーズンを締めくくる。

昨シーズン途中から導入されたハイブリッドマシンで初めて全戦を争うことになる2025年シーズン。シーズン2連覇を達成したアレックス・パロウ(チップ・ガナッシ)が3季連続の王者を狙う。2020年にインディに参戦し、5シーズンで3度頂点に立った彼は、まさに絶対王者の実力を誇るが、誰が彼を阻止するのか。ほかにも、プレマ・レーシングがシボレー勢として参入を開始するなど、楽しみな新要素が多い今シーズン。「インディ500での勝利がなければ経歴は未完成」だというパロウだけに、インディ500への意気込みは強い。佐藤琢磨の挑戦と共に、今季のインディ500は、まさに目が離せない一戦になりそうだ。

文/渡辺敏樹

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