第一回 プロ野球愛宣言! 【松村邦洋】 阪神タイガース編

第一回 プロ野球愛宣言! 【松村邦洋】 阪神タイガース編

「親戚に巨人や広島の帽子をもらっても、親父に必ず阪神に戻されていました」

掛布雅之氏や川藤幸三氏など多彩なものまねレパートリーで笑わせてくれる松村邦洋さん。大の阪神タイガースファンとして知られている松村さんに応援する阪神について、ファンになったきっかけや今季の展望を聞いた。

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――松村さんが野球ファン/阪神ファンになったきっかけは?

「子供の頃は、遊ぶといえば野球しかなかった時代です。友だちと田んぼでよくゴムボールで野球をしました。あとは「巨人の星」(再放送)ですね。学校から帰って毎日見ていました。

阪神ファンになったのは親父の影響です。親戚が巨人の帽子をくれたり、赤ヘルブームの広島の帽子を買ってくれたりしても、親父に「ダメだ」と阪神の帽子に戻されていました。山口県に住んでいましたが大阪のラジオ局にチューニングを合わせて、親子で阪神戦を聴いていました。ラジオの前に立っていると「ラジオが見えないからどけ」って言われてましたね(笑)。生まれ育った山口は、中国やロシアの放送も入ったりして、ラジオが面白かった記憶があります。

当時好きだったのはハル・ブリーデン選手です。名前どおり、春はホームランを打ちまくるんですけど、夏にはだんだん疲れてきて、いつも王貞治選手に抜かれてしまう。悔しかったですね。新聞の個人記録欄を毎日熱心に見ていました。そういう意味では今よりも野球への思いは熱かったですね。

当時、高校を留年して学校辞めて吉本興業に入ろうと思い、親父に「大阪に行きたい」って相談したことがありました。そうしたら、「阪神に優勝マジック出たから俺も大阪行きたい」と言われ、力が抜けて諦めました(笑)」

――松村さんが経験した4回の優勝の中で、一番うれしかったのは?

「どれもうれしかったですが、'85年は特別な打線でした。「エースなき優勝」とも言われましたが、意外と守備も堅く、送りバントも有効に使えていましたね。

本当にどれも捨てがたいのですが、暗黒時代のあと星野仙一監督で優勝した'03年も格別でしたね。怪我で早い時期に離脱してしまいましたが、4番・濱中治さんと3番・金本知憲さんという打線が素晴らしかったですね。金本さんは2番の赤星憲広さんとアイコンタクトで盗塁をさせるために1球見逃したり、ひとつひとつのプレーに存在感がありましたよね」

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――今まで見た中で最も印象に残っている試合は?

「'82年に山本和行さんが甲子園の巨人戦で完封勝利した試合が印象に残っています。TVで見ていましたが、13-0で巨人に大勝するのも珍しかったし、雨の中でも淡々と投げる山本和行さんの姿がすごくかっこよかったですね」

――藤川球児新監督へ期待することは?

「どんな野球をやるのか楽しみです。ご自身がドラ1で入団したあと、長く二軍生活を送り苦労した選手なので、一、二軍の入れ替えが多くなるんじゃないでしょうかね。岡田彰布前監督は、年間を通じてレギュラーを我慢して使いましたが、藤川監督は打てなかったらパッと切り替えるかもしれません。

元クローザーなのでリリーフ陣をもう一度締め直すと思います。ブルペン捕手だった片山大樹さんを一軍ブルペンコーチに任命したのもその一環でしょう。

データ重視のインテリジェンス系か、気持ちの切り換えを重視するか、とにかく厳しい野球をしそうです」

――今季、注目している選手は?

「佐藤輝明選手には壁を破って爆発してほしいです。場外ホームランを打った1年目みたいに。あとは安定している近本光司選手を脅かす選手が出て来てほしい。その他にも前川右京選手が去年あれだけやれたので、二軍にいた井坪陽生選手なども「俺も」という気持ちで奮起してくれるんじゃないですか。

監督交代は与党と野党の入れ替えのようなものなので、意外な選手が出てくることもありそうです。岡田前監督が木浪聖也選手を競争させて引き上げたみたいに。そういう意味では、島田海吏(かいり)選手とか面白いと思います。年間を通して彼の脚が使えたら盗塁も増えて、矢野燿大(あきひろ)監督時代のようなスピード野球になりそうな気もしますし。

ブレークとは違いますが、病気を克服しFA残留した原口文仁選手には活躍してもらいたいですね。応援しています」

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――球場にもよく行かれるそうですね。

「神宮など都内の球場にも行きますが、一人で新幹線に乗ってぷらっと甲子園に行くこともあります。デイリースポーツに記者登録してもらっているので、どこの球場でも入れるんです。席はなく、グラウンドには入れませんけど。試合前の練習時間に、スタンドをぐるぐる回るんです。選手やコーチから声をかけてもらうこともあって、糸原健斗選手はよく声をかけてくれます。

「食」も楽しみのひとつですね。球場で食べるカレーはなんであんなに美味しいんでしょうか。神宮のカレーも、甲子園のカレーもうまいです。広島市民球場では「むすび むさし」のおむすびをいつも楽しみにしています。

二軍戦にもよく行くんです。今年から阪神の二軍は尼崎市の大物(だいもつ)に移転しますが、去年までは鳴尾浜によく行ってましたね。広島の二軍戦が行われる岩国市の由宇にも行きます。上を目指して頑張っている若手選手をすぐ近くで見られるので、二軍戦はおすすめですよ」

――ふだんはTV観戦が多いですか?

「今は阪神戦も全試合TVで試合終了まで見られるのでありがたい。リアルタイムで見られないときは録画をしておいて、結果がわからないように過ごして、帰宅してからドキドキハラハラしながら楽しみます。

昔の地上波放送は、試合終盤の盛り上がった場面で「一部地域の方とはここでお別れです」というのがありましたよね。こんないいところで終わっちゃって一部地域の人はかわいそうだなあと思っていたら、ぷつっと中継終了。僕が住んでいた山口県はまさにその一部地域だったんです。今なら全国どこでもスマホで野球中継が見られるんですから、幸せな時代ですよね」

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Profile
松村邦洋
'67年8月11日生まれ。山口県出身。大学生の頃、バイト先のTV局で片岡鶴太郎に認められ芸能界入りする。従来にないものまねのレパートリーで一躍有名になる。野球・歴史の知識が豊富。バラエティ、ドラマ、ラジオで活躍中。著書『松村邦洋懲りずに「べらぼう」を語る』(プレジデント社)発売中!

取材・文/鳴尾浜トラオ 撮影/佐野美樹

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