ぺえが「春高バレー2025」の注目校と注目選手を熱く深く語りつくす!【ぺえ連載第4回】
スポーツ 生中継連載コラム
2024.12.29
ぺえ (タレント)
タレント。小学生からバレーボールを始め、中学時代に山形県選抜になった経験を持つ。バレーボールを愛してやまないぺえが、独自の視点でバレーボールの魅力を熱く深く伝える。
ぺえ (タレント)
タレント。小学生からバレーボールを始め、中学時代に山形県選抜になった経験を持つ。バレーボールを愛してやまないぺえが、独自の視点でバレーボールの魅力を熱く深く伝える。
バレーボールをこよなく愛するタレント・ぺえによるバレーボール連載企画。今回は、2025年1月5日(日)に開幕する第77回全日本バレーボール高等学校選手権大会、通称「春高バレー」について、毎年欠かさず観戦しているぺえが独自の視点を基に注目校と気になる選手を挙げてくれた。
■女子の注目校は......
岡山・就実と大阪・金蘭会が群を抜いて強い2校だと思っていまして、どの高校がこの2校の牙城を崩すのか、それとも順当にこの2校による決勝になるのかが、1つの見どころになるのかなと思います。
また、2校で言えば、攻撃力、高さ、選手層などで勝る金蘭会、鉄壁の結束力で迎え撃つ就実という、矛と盾のような2チームなので、果たしてどちらが強いのか悩むところですが、個人的には今大会の就実を崩すのはなかなか骨が折れるんじゃないかなと思っていて、崩すにはサーブで崩すくらいしか思い付かないんですよね。だから、就実に軍配が上がる気がしています。
●岡山・就実
エースの福村心優美選手を筆頭に、高橋凪選手、押川優衣選手の3年生トリオが軸となってしっかりとチームをまとめていて、チームの抜きんでた結束力を生み出していると思います。"春高"って3年生の集大成となる大会でもあって、1年生ですごい選手がいたとしても3年生がどれだけ頑張れるかが勝敗に大きく関係すると思うので、この3年生トリオの存在はすごく大きいと思います。
●大阪・金蘭会
攻撃力、高さ、ユース代表選手などドリームチームのような布陣。そんな中で、セッターの花岡千聡選手がキーマンになっていると思います。テンポ良くトスを上げて大森咲愛選手の速いバックアタックも引き出していますし、ミドルブロッカーの一人時間差とか、ブロード攻撃のトスもすごく上手に上げているのに加え、175cmという金蘭会には珍しい高身長のセッターでもあるので期待感が大きいです。そして、ミドルブロッカーの花岡明里選手にも注目。アウトサイドヒッターの西村美波選手、大森選手がマークされて決まりづらくなってきた時は、一人時間差やブロードをとても器用に打って、必ず彼女がチームの苦境を救っているんです。ユースの代表選手ではないのですが、実は勝負の鍵を握っている選手の一人ですね。
また、リベロの西川凜選手は、今大会のリベロを引っ張っていく存在だと思います。しかしながら、就実の福村選手のスパイクだけが唯一上げられていないんですよね。西川選手は読みが鋭くて必ずコースには入っているのですが、それでもなぜか拾えない。もし決勝で当たった場合、西川選手が福村選手のスパイクを攻略できるかが勝負の分かれ目だと思います。
●山口・誠英
守備と結束力の面で秀でており、絶対的エースはいない中でも、全員参加の"どろんこバレー"でボールを落とさずに勝ち上がってくる可能性があります。
●長崎・西彼杵(にしそのぎ)
九州文化学園の監督を長年務めていた井上博明監督の定年退職を機に、監督とともに九州文化学園の部員17人も転入したという背景があり、やっとの思いで春高出場を決めたチームなので、「ここに懸けてきた思い」というのはひと際強いと思います。その思いがうまく作用すれば、台風の目に成り得るかもしれません。また、佐藤佳音選手、佐藤侑音選手という双子の選手がいて、高さもあっていい選手なんです。双子ならではの阿吽の呼吸も見逃せません。
■女子の注目選手は......
●就実・福村心優美選手...1年生の時から追っているのですが、彼女には他の選手以上の強い覚悟を感じています。1年生の時からバネとセンスのある選手でしたが、2年、3年と年を追うごとに着実に成長しているのが見えます。1年生で注目されると、その後伸び悩んでしまうケースも少なくないのですが、西畑美希監督の下、福村選手は技術もメンタルもちゃんと鍛えられているなと。応援しているのもあるのですが、やはりセンターコートで胴上げしている姿が想像できてしまう、そんな選手です。
●金蘭会・大森咲愛選手...西村美波選手との相乗効果もあって、1年生の時からすごく成長した選手です。高校生では珍しく速いバックアタックを持っていて、チームの攻撃のバリエーションの幅を広げています。
●習志野・結束美南選手...身長173cmながら最高到達点は297cmという、とんでもなくバネのある選手で、見ていてわくわくさせてくれます。敬愛学園との県予選の決勝では、0-2からフルセットまでもつれ込み、最後は結束選手が立て続けに決めて大逆転劇を起こして勝ち上がってきました。スイングも速いですし、速いトスも打てるし、組み合わせによってはチームを上位に引き上げることのできる選手です。
●共栄学園・秋本美空選手..."元日本代表・大友愛の長女"というひいき目を差し引いても、実力で輝ける選手。一つひとつのプレーにとてもセンスを感じますし、インナー打ちなどは元韓国代表のキム・ヨンギョンを彷彿とさせるしなやかさがあります。そして何より、彼女が決めるとチームに活力が漲るような不思議なスター性があって、早くプロで活躍する姿が見たくなる選手です。チームとしては「秋本選手をなんとか春高へ連れていきたい」という思いが結実したという状況だと思うので、改めて気を引き締めてもらって"燃え尽き症候群"にだけはならないでもらいたいですね。
■男子の注目校は......
女子同様、爆発的な攻撃力があるチームというより、基礎がしっかりしている堅守のチームが強い印象です。そんな中で、見どころは東京・駿台学園の3冠をどこが止められるのかということに尽きます。順当だと駿台学園が優勝でしょうが、それを阻止する可能性があるチームを挙げるなら熊本・鎮西、福岡・東福岡、山口・高川学園といったところでしょうか。
●東京・駿台学園
エースの川野琢磨選手に加えて、全員が守備練習をしっかりして、基礎の地固めができているので、集中力の高さがピカイチ。見ていて、守備の重要さを理解している上に、守備の楽しみ方を知っている気がします。やはり、打って決めるという喜びを追求してバレーをやっているという選手がマジョリティーだと思うのですが、駿台学園の選手たちはつなぐことの喜びを知っているのか、楽しそうに守備をしているのがすごく印象的で、ここまでのメンタリティーにたどり着いているということは、全員に成功体験があるということなので、その域に達するまでに積み上げてきたものの大きさに感服するばかりです。
また、川野選手がマークされたとしても、櫻井信人選手というとにかくパワーのある選手がいて、盤石なんですよね。身長はそこまで高くないのですが、パワーは規格外!もう「高校生の枠を超えたトレーニングをしているんじゃないか」と思うほどなんです。川野選手だけじゃなく裏ローテも強いというところがチームの強さの秘けつです。
また、落合康陽選手は1年生ながら身長が191cmあり、守備もできて攻守にセンスが光る選手です。しかも、出身校が山形六中で、私の母校の後輩なんです!次のエース候補なので、個人的な思いも含めて応援しています。
●熊本・鎮西
攻撃力も守備力も兼ね備えたバランスの良いチーム。奇しくも駿台学園と同じく、岩下将大選手と一ノ瀬漣選手というダブルエースを擁しており、岩下選手がマークされても一ノ瀬選手がいるという"表"も"裏"も強いところがポイント。特に、一ノ瀬選手はまだ1年生なので、どんな活躍を見せてくれるのかというところも楽しみですね。ただ、駿台学園と比較してしまうと、少し爆発力に欠ける印象です。
●福岡・東福岡
私が個人的に大好きなツーセッター制のチームです。多彩なコンビバレーを作り上げる2人のセッター、首藤柚希選手と安座間琉新選手のトスワークが的確でテンポが良く、相手を混乱させる武器です。とにかくチーム全体の基礎力が高く、どんなチームが相手でも対応できる能力を兼ね備えています。守備も随一で、高い集中力を持ってしっかりつないだ上で、大エースの松下晃大選手が決めるという黄金パターンが特徴。守備力がある分、なかなかこれを崩すのは至難の業です。
■男子の注目選手は......
●駿台学園・川野琢磨選手...すごく能力が高く、身長も197cmある上に、梅川大介監督の「守備免除はしない」という方針の下、守備に関しても言うことがないほど。攻撃面、守備面共にクオリティーの高い選手です。
●鎮西・岩下将大選手...個人的にすごく好きなプレーヤーです。2年生でまだ線が細く、将来性のある発展途上な印象もあるのですが、一つひとつのプレーに無駄がない。身長が188cmもあるのに、スパイク一つ、レシーブ一つ取っても、シャープな動きで流麗なんです。将来性という観点では1番ですね。
●慶應義塾・松田悠冬選手...191cmの長身セッターなのですが、とても器用で魅せられます。ボールを取る位置が高い上に、戦略構築力があって、戦略的思考に基づいてアタッカーにボールを上げることができる。すごく丁寧なバレーをするので、今後も期待できる選手の一人です。
●習志野・菅原秀斗選手...身長175cmと小柄ながら、最高到達点が331cmという驚異のジャンプ力が持ち味。守備が上手いのも魅力なのですが、過去にツーセッターを経験しているという経歴から、つなぎの質が高いのもストロングポイント。小柄でオールマイティーな選手には、つい惹かれてしまいます。
※高橋凪の「高」は正しくは「はしご高」
取材・文/原田健 撮影/皆藤健治