パリ五輪の銅メダリスト、"シダマツペア"の強さと人気の秘密は"笑顔"

「KUMAMOTO MASTERS JAPAN 2024」が、11月12日(火)から17日(日)まで熊本県立総合体育館で開催される。

同大会は、2023年から2026年までの4年間、熊本で開催されるバドミントンの国際大会で、今年が2回目となる。パリ五輪での日本代表選手の活躍もあり、にわかに人気沸騰中のバドミントン。その世界のトップ選手たちのパフォーマンスが間近で見られる貴重な機会だ。

男子シングルスでは、本大会初代王者のビクター・アクセルセン選手(デンマーク)やクンラウット ヴィチットサーン選手(タイ)、リー・ジージャ選手(マレーシア)とパリ五輪のメダリストがそろい踏み。日本勢も世界ランキング4位の奈良岡功大選手、12位の西本拳太選手など注目の選手が出場する。

女子シングルスでは、アン・セヨン選手(韓国)、グレコリア・マリスカ・トゥンジュン選手(インドネシア)のメダリスト2名が出場予定。熊本が地元の再春館製薬所所属で世界ランキング4位の山口茜選手に加え、郡司莉子選手、予選からの参加となる明地陽菜選手にも期待がかかる。

男子ダブルスでは、梁 偉鏗／王 昶ペア(中国)とアーロン・チア／ソー・ウーイックペア(マレーシア)の2組がエントリーするほか、世界ランキング9位の保木卓朗／小林優吾ペアも上位進出を狙う。

混合ダブルスでは、世界ランキング8位の鄧俊文／謝影雪ペア（ホンコン・チャイナ）を中心に実力者が集結。渡辺勇大選手も田口真彩選手との新ペアで出場の見込みだ。
（※情報は10/29現在）

メダリストを中心に各種目トップランカーがしのぎを削って熱戦が繰り広げられること必至だが、中でも女子ダブルスの注目度が高い。パリ五輪で銅メダルを獲得した再春館製薬所所属の"シダマツペア"こと志田千陽／松山奈未ペアがエントリーするほか、2人がパリ五輪で惜しくも敗れた劉 聖書／譚 寧ペア(中国)も出場予定で、熊本を拠点に活動する再春館製薬所にとっては、ホームでパリでの熱戦の再現の可能性があるからだ。

最注目はやはり"シダマツペア"

"シダマツペア"といえば、ジュニアナショナルチームで高校2年の志田選手と高校1年の松山選手がペアを組んで国際大会を戦ったことから始まり、2016年に志田選手が再春館製薬所に入社。翌年に入社した松山選手とペアを継続し、2018年に当時チームのエースだった"フクヒロペア"こと福島由紀／廣田彩花ペアらの移籍に伴い、エースペアとなった。責任感ある立場で苦しみながらも急成長し、2019年の全日本総合選手権で3位。2020年に日本A代表入りを果たし、2021年秋にインドネシアマスターズ、インドネシアオープンを連続優勝。ワールドツアーファイナルズで準優勝、初出場の世界選手権で8強と国際舞台で大きく飛躍し、2023年に世界ランキング2位に到達。今年行われたパリ五輪では、国民の期待に応える活躍を見せ、大いに感動と興奮をもたらしてくれた。

スピード感のある高速ラリーを得意とする前衛の松山選手と、フットワークもスマッシュもスピード感のある後衛の志田選手。共にスピードが長所の両選手は、スピードとリズムの調和が肝となるローテーション、コンビネーションが突出していることに加え、"さばき"と"読みの鋭い"松山選手に対し、タッチより動きの速さが際立ち強力なカバー力を有する志田選手という、互いの特徴が補完し合っていて"ペア完成度"が高い。

"笑顔"で勝利を引き寄せる！

日本女子ダブルスで史上3組目のメダル獲得という快挙を成し遂げ、これからの日本のバドミントン界をけん引していくであろう2人だが、スピード感あふれる力強いプレーだけでなく、プレー中に見せる愛らしい表情や試合後の愛嬌のあるコメントも評判に。ニュース番組に出演した時の、松山選手の「今まで足を組んでこなかったんですよ。体のバランスが悪くなるかなと思って。なので、五輪終わったら絶対足を組んでやろうと思います」といった発言や、志田選手の「五輪までは体調管理をしっかりしてきたので、生ガキを食べるのをずっと我慢していました。(地元の秋田・八郎潟町に)帰ったら、(名産の岩ガキを)食べたいなと思う」というコメントなど、試合を離れるとどこにでもいる20代の女性らしいあどけない笑顔が魅力的な、親近感あふれる人柄というギャップが人気の秘密だ。

ペアについて「自分たちは笑顔が出ているときが1番強い」「楽しめたら私たちは強い」と語る両選手。「KUMAMOTO MASTERS JAPAN 2024」でも、笑顔あふれるプレーで再び日本中を沸かせてくれるはずだ。

文／原田健