マ・ドンソクの拳がうなる!『犯罪都市』シリーズが韓国映画界の金字塔となった理由

マ・ドンソクの拳がうなる!『犯罪都市』シリーズが韓国映画界の金字塔となった理由

マ・ドンソクが主演、プロデュースを兼任してきた『犯罪都市』は、韓国で2017年にシリーズ第1作が公開されてから、『犯罪都市 THE ROUNDUP』(2022)、『犯罪都市 NO WAY OUT』(2023)、『犯罪都市 PUNISHMENT』(2024)と、公開のたびに爆発的なヒットを記録してきた。韓国ではシリーズ全作の累計観客動員数が4000万人を突破する快挙を成し遂げている。

そしていよいよ2026年5月29日からは、同シリーズの日本オリジナルストーリー『TOKYO BURST-犯罪都市-』が公開となる。この『犯罪都市』シリーズは、なぜここまで多くのファンに愛される作品となったのか。第1作からの軌跡を振り返り、その魅力に迫りたい。

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■韓国映画界の異例。マ・ドンソク率いる「チーム・ゴリラ」が仕掛けるシリーズ化の先駆

『新感染 ファイナル・エクスプレス』(2017年)や、マーベル作品『エターナルズ』(2021年)などで世界的に知られることになったマ・ドンソク。彼は「チーム・ゴリラ」というプロダクションを率いており、『無双の鉄拳』(2018年)や『悪人伝』(2019年)など、さまざまな映画を手がけている。

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中でも2017年に製作した『犯罪都市』シリーズは、第1作こそ688万人という動員数であったが、第2作以降は常に1000万人を突破している。コロナ禍を経て、以前のようなヒット作がなかなか生まれない韓国映画界において、これは極めて異例のことだ。

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もともと韓国では、映画のシリーズ化は定着しにくい傾向があった。かつてはソル・ギョング主演の『公共の敵』などもあり、近年も『神と共に』や『新感染』のように続編が作られる例や、ファン・ジョンミンの『ベテラン』、ヒョンビンとユ・ヘジンの『共助』の第3作製作といったニュースも聞こえてくる。動画配信サービスの台頭により『The Witch/魔女』や『毒戦』もシリーズ化したが、3作、4作と継続してヒットを記録する作品はまだ少ない。『犯罪都市』が韓国でシリーズ化を成功させ、常にヒットを飛ばしているのは、まさに先駆者的な功績といえる。筆者がマ・ドンソクにインタビューした際、彼は「すでに10作目までのアイデアはある」と語っていたが、実際に第5弾の撮影が予定されているほか、公式にも第8作までの制作が発表されている。

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■歴代ヴィランの衝撃。ユン・ゲサンからソン・ソックまで、強烈な悪役の系譜

本シリーズは、実際に起こった事件を基に作られている。クムチョン警察の凶悪犯罪対策部署「強力班」に所属する刑事、マ・ソクト(マ・ドンソク)と対峙(たいじ)する悪役「ヴィラン」の存在は、毎作品の大きな注目ポイントだ。

第1作『犯罪都市』の舞台はカリボンドン地区のチャイナタウン。ここで勢力を伸ばしていた朝鮮族系チャイニーズ・マフィア「黒竜組」のボス、チャン・チェンを演じたのはユン・ゲサンだ。1999年にパク・ジニョン(J.Y. Park)プロデュースの音楽グループ・godのメンバーとしてデビューした彼は、現在俳優としての顔が広く知られている。「最高の愛〜恋はドゥグンドゥグン〜」(2011年)などのドラマで見せた正統派な役柄のイメージが強かっただけに、本作での容赦のないヴィランぶりには誰もが驚かされた。

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続く第2作『犯罪都市 THE ROUNDUP』(2022年)では、ベトナムを舞台に凶悪犯カン・ヘサン(ソン・ソック)が登場する。ソン・ソックは「マザー〜無償の愛〜」(2018年)や「最高の離婚~Sweet Love~」(2018年)など、坂元裕二作品のリメークで存在感を示し、本作の公開と同じ2022年にはドラマ「私の解放日誌」で大ブレークを果たした。同ドラマで見せたミステリアスで繊細なキャラクターと、『犯罪都市』での屈強で残忍なヴィランとのギャップに、多くの観客が圧倒された。

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■進化する敵とアクション。ダブルヴィランの第3作から、元傭兵が立ちはだかる第4作へ

第3作『犯罪都市 NO WAY OUT』では、シリーズ初の試みとして2人のヴィランが登場した。ソウル広域捜査隊に異動したマ・ソクトが対峙するのは、日本のヤクザであるリキ(青木崇高)と、汚職刑事のチュ・ソンチョル(イ・ジュニョク)だ。

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警察内部に悪党がいるという設定はシリーズでも新しく、イ・ジュニョクの端正なルックスが裏の顔の不気味さを際立たせた。ここに刀を振り回す青木の豪快なアクションが加わり、見事な対比を生んでいる。また、リキのボスを、韓国映画『コクソン』(2016年)などでも活躍する國村隼が演じている点も見逃せない。

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第4作『犯罪都市 PUNISHMENT』のヴィランには、キム・ムヨルが起用された。『悪人伝』ではマ・ドンソクがヤクザ、キム・ムヨルが刑事という配役だったため、今作での逆の設定が大きな話題となった。今作の敵ペク・チャンヒは特殊部隊出身の元傭兵(ようへい)という設定だ。これまでのシリーズでアクション監督を務めてきたホ・ミョンヘンがメガホンをとったこともあり、マ・ドンソクとキム・ムヨルの白熱した格闘シーンには多くの観客が唸(うな)らされた。

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■愛すべきキャラクター、チャン・イスと「お約束」が生む圧倒的な安定感

マ・ソクトとヴィランの対決に加え、シリーズを通してパク・ジファン演じるチャン・イスの存在も欠かせない。第1作では朝鮮族マフィアのボスだったが、第2作以降はカタギとなり、マ・ソクトと切っても切れない腐れ縁となる。第3作では予告編のみの登場でファンを寂しがらせたが、第4作では、マ・ソクトに請われて警察の捜査に協力する重要な、そして笑わせてくれる役割で復帰した。最新作『TOKYO BURST-犯罪都市-』にも彼の出演が決定しており、チャン・イスがいるだけでこのシリーズのユニバースを共有しているという実感が湧くのだ。

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本シリーズは凄惨(せいさん)な暴力シーンを扱いながらも、随所に散りばめられた「お約束」が観客を楽しませてくれる。カメラの死角で犯罪者を叩きのめす「真実の部屋」の時間や、ヴィランを制圧した後に公共物を破壊してしまい、上司が多額の修理費を請求されて頭を抱えるオチなど、くすっと笑わせる要素が満載だ。最終的に正義が必ず勝つという展開は、どこか「水戸黄門」を観るような安定感がある。新作が出るたびに劇場へ足を運んでしまうのは、韓国の1000万人の観客も、日本のファンも同じ気持ちなのだろう。最新作『TOKYO BURST-犯罪都市-』でも、その変わらぬ爽快感と安定感を堪能できるに違いない。

文/西森路代

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