積極的にトライを狙い、今季こそトップ6入りへ!【横浜キヤノンイーグルス 石田吉平】

積極的にトライを狙い、今季こそトップ6入りへ!【横浜キヤノンイーグルス 石田吉平】

ラグビーが教えてくれたこと~楕円球に魅せられた人々の熱い思い~


7人制ラグビー日本代表で、五輪2大会に出場した横浜キヤノンイーグルス・WTB石田吉平。昨季はリーグワンで初めてフルシーズンを戦い、15人制日本代表にも初選出された。今季への思いと、自身の目標について聞いた。

――大学卒業後、7人制ラグビーに専念し、パリ五輪にも出場。昨季は社会人として初めて15人制をプレーし、リーグワンでフルシーズンを戦いました。

「すごく充実したシーズンでした。自分の良いところも出せましたし、逆に課題もはっきり出た1年でした。新しいことだらけでしたけど、結果的には充実していて、すごく良い一年を過ごせたと思います」

――7人制と15人制で、どちらでプレーするか悩んだ時期もあったと思いますが?

「今は15人制を選んで良かったと思っています。新しい景色が見られましたし、まだまだ成長できる、という楽しみが増えました。7人制の選手でも15人制で活躍できることを、自分のプレーで証明したいです。今後は、元日本代表のWTB福岡堅樹さんや、レメキ ロマノ ラヴァ選手(三重ホンダヒートのWTB/FB)みたいな選手になりたいと思っています」

――15人制ラグビーに専念して体重は増やしましたか?

「はい、2〜3kgくらい増やしました。ただ、シーズンを通すとどうしても減っていくので、ケガをしている間にまた増やしました」

――15人制はフィジカルもより必要になりますよね?

「コンタクトスポーツなので、やはり当たり負けしないようにしたいです。ただ、体重を増やしすぎるとスピードが落ちてしまうので、試合に出場しながら、少しずつ調整していく感じです」

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――セブンズで世界と戦った経験が15人制のプレーに生きている部分はありますか?

「対外国人と試合の経験を、大学時代に積めたのはすごくプラスでした。間合いとか、日本人と違うところを早い段階で経験できて、そこは今のプレーに生きていると思います」

――残念ながら、昨季のイーグルスはプレーオフに出場できるトップ6に入れず8位に終わりました。後半戦、チームは少し元気がなかったようにも見えました。振り返っていただけますか。

「そうですね、見た通り元気がなかったかもしれません。昨季を振り返ると、チームとしても、個人としても後半戦は疲れていた部分はありました。ただ、それだけじゃなくて、きつい時にもう一歩チームが『一つ』になれていたら、もっと違う結果になっていたのかな、と感じています。きつい時こそ、よりチームとしてまとまることが大事だなとあらためて思いました」

―― 11トライを挙げた昨シーズン、個人として良かった点は?

「14番として試合にたくさん出られたことです。試合の中でも、自分のランが通用した部分はありました。逆に、15人制ラグビーで必要なスキルの面では課題も出ましたし、レッドカードも経験して、すごく苦い経験もしました。

トライに関しては正直、チームのトライを自分がスコアしただけで、ほとんど"置いただけ"という感覚のものが多かったです。トライを取り切れなかった場面も多くあったので、そこは自分の責任と感じています。トライを取るのが自分の一番大きな仕事なので、昨季は数字としては少ないと感じています。アタッキングラグビーのチームとして、もっと取り切らないといけない。今シーズンはもっと積極的に取りに行きます」

――今シーズン、イーグルスは元ニュージーランド代表のレオン・マクドナルド新HCが就任しました。どんなラグビーを目指していますか?

「『ボールファースト』です。基礎を大事にして、簡単にボールを失わない。その上で、リーグワンで勝つにはディフェンスが必要だといわれていて、ディフェンスにすごくフォーカスしています」

――改めて、今シーズンのチームの強みと課題は?

「フェーズの中のアタックは通用していると思います。課題はセットプレーから得点を取り切るところや、大事な場面でのミスが響いているところです。あとは、ディフェンスで簡単に取られすぎている。そこが一番大きいので修正していきたいです」

――今シーズンチームとして、個人として大事だと思うことは?

「チームとしてはディフェンスの修正ですね。アタックも80分間継続すること、ミスをなくすことが大事です。個人としてはチームに良いエナジーを与えることです。キック後のチェイス、ディフェンスの仕事、味方が抜かれたらバッキングで戻って止めるなど。試合中、相手が嫌がることをし続けたいです。もちろん、アタックもランやトライを狙っていきたいです」

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――今季チームとして取り組んでいることは?

「チームとして"一つのまとまり"を大切にしています。外国人選手は外国人、日本人選手は日本人、という分け方ではなく、同じチームとしてコミュニケーションを密に取って、しっかりまとまっていくことを意識しています」

――今後、個人として伸ばしていきたい点は?

「ランの部分ですね。自分は『消極的』だとすごくいわれてきたので、ボールをもらいに行く姿勢や、WTBやエースプレーヤーとして、もっと"エゴ"を出していけといわれています。自分から積極的にボールをもらって『自分がトライを取る』というプレーをしていきたいです」

――昨年は15人制日本代表でも初キャップを得て、中心選手としても活躍しました。手応えと課題は?

「世界との壁は感じましたが、その中で成長できた部分もたくさんあったので、すごく感謝しています。課題はハイボールキャッチが一番です。あとはアタックの部分で、パワープレーヤーと比べるとインパクトが足りない。もっとトライを取り切る力が必要だと思っています。リーグワンでの試合を通して、そこを磨いていきたいです」

――日本代表のエディ・ジョーンズHCの印象は?

「僕の可能性を見いだしてくださったと思うので、その期待に応えたいです。気づいた点をたくさんいってもらえるのが一番ありがたいですし、パフォーマンスに波があるところも、ミーティングを重ねて改善できた部分がありました。自分が悩んでいたところも解決してもらいました」

―― プレーに波が出た時は、ジョーンズHCに叱られることもありましたか?

「呼び出されて怒られましたね(苦笑)。プレーそのものというより、ボール周りに行く気がないとか、マインドセットの部分を指摘されました。そこを今は意識していて、リーグワンでも大事にしています」

――来年、オーストラリアで開催されるワールドカップへの思いは?

「意識はしています。27歳で自分たちの世代が軸になる大会だと思うので、モチベーションにもなっています。ただ、まずはイーグルスで優勝することが一番大事です。イーグルスでのパフォーマンスが認められてこそ、日本代表に選ばれていくものだと思っています。ワールドカップも意識しつつ、まずはイーグルスでメンバーを勝ち取って試合に出ることが大事だと感じています」

――「7人制ラグビーの石田」から、「15人制ラグビーの石田」へ。期待や注目も上がっていると思います。

「それもモチベーションになっています。街で声をかけられることも増えてすごく感謝していますし、今後も15人制でやっていくのが、すごく楽しみです」

――リーグワンで対戦が楽しみな相手は? 日本代表で知り合いやつながりも増えたと思います。

「仲良くなった選手はたくさんいますね。年代の近いSH北村瞬太郎(静岡ブルーレヴズ)、SO中楠一期(リコーブラックラムズ東京)とはご飯に行ったりして仲良くなりましたし、リーグワンで対戦できるのがうれしいです。南アフリカ代表のWTBチェスリン・コルビ(東京サントリーサンゴリアス)も含めて、マッチアップできるのを楽しみにしています」

――今シーズン、イーグルスで期待している選手は?

「一学年下のSO武藤ゆらぎに期待しています。あと(同じ明治大学出身で先輩の)森勇登選手も今季から(移籍で)イーグルスに入ってきてくれたのでうれしかったです。コミュニケーションを取って、どんどん良い連携を作っていきたいです」

――最後にイーグルスファン、ラグビーファンへのメッセージをお願いします。

「イーグルスならではの、見ていて楽しいアタッキングラグビーと、たくさんボールが動くところ、そして今シーズンフォーカスしている粘り強いディフェンスも見てほしいです。個人としては積極的にトライを狙いにいき、僕のようにサイズ(身長167cm)がなくてもファンのみなさんに元気が湧くようなプレーや、泥臭いタックルも含めて、ぜひ注目してもらえたらうれしいです。応援よろしくお願いします!」

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Personal Word
身体の大きさに関係なく
誰もが輝けることをプレーで示したい

実家の近所の人から誘われてラグビーを始め、高校でBK(バックス)に転向しました。小学生の頃から縄跳びを日課にしてきたように、地道な積み重ねを大切にしています。高校ラグビー部の恩師の言葉「勝って兜の緒を締めよ」を胸に、身体の大きさに関係なく誰もが輝けることをプレーで示したいと思っています。オフは山や森など自然の中に出かけたり、サイクリングに出かけたりしてリフレッシュしています。

PROFILE
'00年4月28日生まれ。身長167cm /体重 74kg。兵庫県出身。常翔学園高校→明治大学→横浜キヤノンイーグルス。ポジションはWTB。7人制ラグビー東京&パリ五輪代表。日本代表9キャップ(2026年2/20現在)。

取材・文/斉藤健仁 撮影/佐野美樹

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