世界での活躍を夢見るオールラウンダー!馬場柚希選手 金蘭会高校バレーボール部(3年)ミドルブロッカー(MB)・アウトサイドヒッター(OH) 学スポPRESS〜若き挑戦者たち〜Vol.5
スポーツ インタビュー
2025.12.20
春高は"恩返しする場"。
支えてくださったすべての人に
日本一という結果で恩返ししたい。
1月5日(月)に開幕する春の高校バレーで、女子の優勝候補の一角と見られるのが、インターハイとの二冠を狙う大阪代表・金蘭会高校だ。主将でエースの馬場柚希選手に、今年のチームの持ち味や自身のビジョン、最後の春高への思いを聞いた。

――今年の金蘭会高校の持ち味は?
「レシーブだと思っています。昨年のチームに比べると、打力が強いわけではないので、だからこそ一人ひとりのつながりを大事にすることを意識して、ブロックとレシーブの関係性や粘り強さを発揮できるよう練習してきました」
――今夏のインターハイでは見事連覇を達成しました。大阪府予選では大阪国際高校に敗れ2位でのインターハイ出場でしたが、その敗戦をどのように糧にしましたか?
「インターハイ予選では、相手にやられたというより、自分たちから崩れて、『なんかハマってないな...』という感覚のまま、ただなんとなく試合をしてしまいました。負けたあと、3年生だけで集まって、自分たちのやるべきことを明確にして、質を上げるためにどんな意識で練習していくべきかを話し合いました。それまでは、練習の中でミスをしてもそのまま流してしまうこともあったんですけど、そうじゃなく、自分たちでもっと言い合えるようにしていこう、と。あの負けがあったからこそインターハイで優勝できたと思います。
負けてからの時期はしんどいことがたくさんあり、インターハイ本番も少し不安がありました。連覇がかかっているというプレッシャーもあって、『大丈夫かな? でも頑張るぞ』みたいな気持ちだったんですけど、いざ大会が始まると、応援してくれるサブのメンバーや、裏でサポートしてくれるメンバーがたくさんいる中、ユニフォームを着てコートに立てるのは当たり前のことじゃないから思い切りやろう、と吹っ切れました」
――キャプテンとして意識していることは?
「自分が下級生の時は、先輩方に助けられた部分が多かったので、今は"恩送り"じゃないですけど、下の子たちに積極的に声を掛けたり、常に表情を明るくしたりということを意識しています」

――オールラウンダーの馬場選手ですが、一番好きなプレーは?
「レシーブです。だから後衛に行くとちょっとテンションが上がります(笑)。最近はセッターとしっかりコミュニケーションを取って、コンビも合わせることを意識しているので、前衛に回った時も『見せてやるぞ!』といった気持ちにはなるんですけど、やっぱり一番はレシーブですね」
――今はサーブレシーブも行うミドルブロッカーとしてプレーしていますが、ミドルブロッカーを始めたのは?
「中学2年のJOCカップ(ジュニアオリンピックカップ)で初めてミドルをやらせてもらって、そこでブロックの楽しさを知りました。そこから主にミドルをやっていますが、ユースなどの(世代別の)代表ではアウトサイドヒッターをやらせてもらっています」
――ブロックの楽しさとは?
「相手が決めにきているスパイクを、バーンとシャットアウトした時の"フワー感"が好きです(笑)」
――"フワー感"?(笑)
「『よっしゃー!』みたいな感じですね(笑)。でもブロックは今課題としているプレーでもあります。シャットアウトできる時もあるんですけど、相手に利用されてしまうこともあるので、利用されないような跳び方や、跳ぶタイミングをもっと研究したいなと思っています」

――馬場選手がバレーボールを始めたきっかけは?
「2歳上の姉がバレーをしていたので、自分もしてみようかなと、小学1年生で始めました」
――身長は小学生の頃から高かったのですか?
「小6まではそれほど飛び抜けて大きかったわけではないんですけど、中1の(コロナ禍の)自粛期間の間に"食べて寝て"の生活をしていたら、身長が一気に7〜8cm伸びて。自粛期間明けに久しぶりに学校に行ったら、みんなに『誰?』って言われました(笑)」
――目標にしている選手や憧れている選手は?
「一人は金蘭会高校の先輩でもある、林琴奈選手(大阪マーヴェラス)です。オールラウンダーで、一つひとつのプレーの質がとても高くて、チームにとって必要不可欠な選手なので。自分もチームに欠かせない選手になりたいなと思っています。もう一人は石川祐希選手(ペルージャ)。プレーの幅がすごく広いので、真似していきたいし、バレーに対する姿勢を一番見習いたい選手です。"バレー愛"が強いと感じていて、例えば、バレーのために毎日同じ食事を摂っていると聞いて、自分だったら考えられないなと。そのストイックさを真似するべきだなと思って、自分も栄養を気にするようになりました」
――今一番会ってみたい人は?
「会ってみたいというか、プレーを教えてもらいたいのは佐藤淑乃選手(NECレッドロケッツ川崎)です。サーブを教えて欲しいです!自分のサーブは佐藤選手と似ているかなと感じているんですけど、トスのちょうどいい具合だったり、まだ自分の中でハマっていない部分があってミスすることが多いので、真似したいなと思っていますし、もし会えたらアドバイスをいただきたいです!」
――馬場選手が将来目指すところは?
「日本を代表する選手になって、女子バレーの人気をもっと高められたらと思っています。(金蘭会高校監督の)池条義則先生からも『馬場たちの世代が日本のバレー人気をもっと上げていかないといけない』といつも言われています。ユースの世界大会などを経験して感じたのは、やっぱり世界のブロックはとても高くて、自分たちよりも体格がいい相手に勝っていくのは本当に難しいということ。でもそんな中で日本がつなぎのバレーで勝っていく、そのチームの一員になれたらなと思います。対世界になると、今の自分はレシーブしか得意なものがなくて、決め球というものがまだないので、そこをもっとスキルアップしていけたらと思います」

――ライバルはいますか?
「ライバルというより尊敬する選手なんですけど、忠願寺莉桜(ちゅうがんじりお・東九州龍谷高校2年)です。世代別の代表チームで何度も一緒に海外遠征に行っているんですが、莉桜は最後に決め切る力を持っている。そこは自分がもっと磨かなければいけないところなので、見習いたいし、尊敬しています。学年は莉桜が一つ下ですけど、向こうは私のこと年上だとは全然思ってない(笑)。タメ語だし、友達ですね。私も後輩だと思ったことはないです。普段からよくメールでやり取りしていて、バレーの悩みを聞いたり、相談をしたり、世間話もします」
――今年はU-19世界選手権に出場し7位でした。そこで得た収穫は?
「自分はアウトサイドヒッターとして出場しましたが、ただキレイに決めるだけじゃなく、フェイントや軟打で決めても同じ1点だというのを実践できるようになりました。金蘭会に帰ってきても、そういうバリエーションを使う機会が増えたかなと思っています」
――これまでの春高バレーで印象に残っている試合は?
「2年の時の準決勝・下北沢成徳戦が心に残っています。あの大会はチームの出だしがよくなかったんですけど、最後、負けはしましたが、あの準決勝で一番金蘭会らしいバレーができたし、自分にとって春高のセンターコートでプレーするのは初めての経験だったので、印象に残っています」
――やはり春高のセンターコートは他の大会とは違いますか?
「緊張感というか......。春高はずっとテレビで見ていて、家のソファーではしゃぎながら応援していた大会なので、そこに自分が今立てているんだなというワクワク感は、他の大会とは違うものがありました」

――今回の春高の目標は?
「日本一を獲ることです。インターハイで優勝したからといっても油断はできません。(金蘭会が出場しなかった)国体を見ていても、他チームはインターハイの時より成長していましたから、自分たちもチャレンジャーとして挑みたいです」
――馬場選手にとって春高とは?
「"恩返しする場"だと思っています。家族もそうですし、今まで支えてくださったすべての人に対して、日本一という結果で恩返ししたいという気持ちが強いです」
――ライバルと意識するチームは?
「就実高校ですね。レシーブ力があって、つながりが強く、チーム力が一番高いチームだと思うので」
――春高バレーを観る人に、金蘭会のどんなところに注目して楽しんで欲しいですか?
「自分たちのチームはつなぎのバレーが強みだと思うので、そこに注目して見ていただけたら嬉しいです。年が明けてすぐに開幕する春高バレーは、新年のハッピーな気持ちで見られると思うので、そんな皆さんに楽しんでもらえるようなプレーができるよう頑張ります!」
PERSONAL INFORMATION
我が家は父が9人制の実業団、母も6人制の実業団でプレーしていたバレー一家なので、私も幼少期からバレーをするように仕向けられていたのかなと思います(笑)。姉も妹もバレーをしています。バレー以外では今、STARGLOWにハマっています。もともと音楽を聴くのが好きなんですが、今は通学の電車の中で毎日STARGLOWの曲を聴いてモチベーションを上げています。

PROFILE
'08年3月24日生まれ。兵庫県出身。身長180cm、最高到達点300cm。小学1年生でバレーを始める。ポジションはミドルブロッカーとアウトサイドヒッター。U19日本代表。
取材・文/米虫紀子 撮影/岡 暁













