攻守一貫で挑む!トップ6入りへの決意【岩村昂太/三菱重工相模原ダイナボアーズSH(スクラムハーフ)】ラグビーが教えてくれたこと~楕円球に魅せられた人々の熱い思い~

攻守一貫で挑む!トップ6入りへの決意【岩村昂太/三菱重工相模原ダイナボアーズSH(スクラムハーフ)】ラグビーが教えてくれたこと~楕円球に魅せられた人々の熱い思い~

リーグワンD1で2年連続の9位に終わった昨季。「悔しさの中にも手応えがあった」と語る岩村昂太(こうた)選手。攻撃をリードする岩村選手が強調するのはチームの進化と攻守の"一貫性"だ。

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――昨シーズンは9位という結果をどのように受け止めていますか?

「2シーズン連続の9位という結果にはまったく満足していません。最後の試合に勝てば、プレーオフに進出可能なトップ6入りも見えていたので、非常に悔しい気持ちでした。ただ、ラグビーの内容面では確実に成長を感じています。入団当初は下位争いが中心のチームでしたが、今では上位と互角に戦えるようになり、チームとしての方向性が定まりつつあると感じています」

――具体的にどのような部分で成長を感じましたか?

「やはり、これまで上位にいた強豪チームに勝てたことが大きいですね。東京サントリーサンゴリアスやトヨタヴェルブリッツ、横浜キヤノンイーグルスといった強いチームを相手に、接戦をものにできたことはチーム全体の自信になりました。メンバーが変わっても同じようなパフォーマンスを出せるようになったのも成長の証です。チームとして『誰が出てもダイナボアーズのスタイルで戦う』という意識が根づいてきました」

――昨季で特に印象に残っている試合は?

「長崎での試合ですね。チームの創業地にゆかりのある場所での開催ということもあり、地域の方々の温かい応援を肌で感じました。小学生たちが目を輝かせて応援してくれて、その姿に胸を打たれました。試合にも勝て、ファンも選手も一体となれた一日でした」

――4シーズン目を迎える、グレン・ディレーニーHC監督の指導スタイルをどう感じていますか?

「とても細かく、そして分析的な方です。ハードワークを重んじながらも、ただ走るだけでなく、どうすれば効率的に勝てるのかを常に考えて指導してくれています。アタック、ディフェンス、リーダーシップといったすべての要素を細部まで分析し、選手に明確な意図を持って練習させる。プロセスを大事にする人なので、僕たちも日々の練習に納得して取り組めています」

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――昨季まで3シーズン、キャプテンを務めました。今シーズンもSHというポジション柄、リーダーの一人だそうですね。

「昨季は責任の重さを感じる一年でした。チームのレベルが上がるほど、キャプテンとして求められるものも大きくなります。入団当初は入れ替え戦を避けることが目標でしたが、今は『勝って当然』と言われる立場になりました。その変化を前向きに受け止め、プレーと行動の両面でリーダーシップを発揮することを意識しました。結果的に自分自身の成長にもつながったと感じていますし、今季もピッチでリーダーシップを発揮したいと思っています」

――あらためてダイナボアーズの強みはどこにあると思いますか?

「やはり最後まで諦めないハードワークの姿勢です。どんな状況でも全員がルーズボールに飛びつき、全力でプレーする。そのスピード感と粘り強さは、僕たちのDNAだと思います。派手なチームではありませんが、ひとつひとつのプレーの積み重ねで勝ちをつかみにいく姿勢が魅力だと感じています」

――個人として注目してほしいプレーは?

「パスとキックの精度ですね。試合の流れを読みながら、多彩なキックで局面を変えることを意識しています。自分がボールを持つだけでなく、味方を活かすプレーでチームの勢いを作りたいと思っています」

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――今季、特に意識していることは?

「攻守にわたっての〝一貫性〟です。これはチームでも個人でも最も大事にしている言葉です。どんな相手でも、どんなメンバーでも同じスタイルで戦い続けること。そのためには、日々の練習からブレずに取り組む必要があります。ディフェンス面の精度向上も課題で、激しく守りながらも冷静な判断を維持できるよう準備しています」

――自チームで仲の良い選手は?

「FL鶴谷昌隆、HO宮里侑樹、PR安昌豪(アン・チャンホ)などとは、よく一緒に食事に行きますね。自チームではないですが、クボタスピアーズのPR才田智は高校も大学も一緒だったので、いまでも家族ぐるみの付き合いがあります。トヨタヴェルブリッツ時代の一つ後輩のNO8姫野和樹とは今でも年に一回は旅行に行っています」

――今季の目標を教えてください。

「チームとしては、トップ6入り、つまりプレーオフ進出を目標にしています。個人としても、シーズンを通して波のないパフォーマンスを出し続けることがテーマです。どんな試合でも安定したプレーを見せることが、リーダーの一人としての責任だと思っています」

――ファンやサポーターに向けて一言、いただけますか。

「いつも温かい声援をありがとうございます。『全緑応援(ぜんりょくおうえん)』と呼ばれる三菱のファンの応援の力は本当に大きく、どんな苦しい試合でも皆さんの声が背中を押してくれます。僕たちはその声に応えるため、全力で戦いたいと想います。これからも地元・相模原を盛り上げ、皆さんに誇りに思ってもらえるチームを目指します。ぜひスタジアムで一緒に戦いましょう!」

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Personal Words
大学時代に苦しんだ
経験が今に生きています

4歳でラグビーを始めました。東福岡高校時代、花園で優勝しましたが、大学では出場機会に苦しみとても厳しい4年間を過ごし、その経験が今に生きています。休日は家族と外で過ごすことが多く、バーベキューなどよく楽しんでいます。もちろんチームメイトとも食事をするなど、リフレッシュしつつも、コミュニケーションをとることを心がけています。

PROFILE
'93年12月7日生まれ。福岡県出身。身長182cm /体重 87kg。東福岡高校→同志社大学→トヨタ自動車→三菱重工相模原ダイナボアーズ。ポジションはSH。実家は佐賀県・鳥栖にある「かつみ屋うどん」。

取材・文/斉藤健仁 撮影/佐野美樹

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