市ノ瀬加那×南沙良×井上和(乃木坂46)が映画『GROTESQQQUE-グロテスク-』で語る「好き」の原動力「かわいい女の子の戦闘からしか得られない栄養素がある」

『エリィアンズ』『夜露死駆★少女』『ノクターン~このグロテスクな夜に~』。異なる世界観を持つ3つの物語で構成されたオリジナルアニメーション映画『GROTESQQQUE-グロテスク-』。本作の監督、脚本、キャラクター原案を担当したのは「アイドルマスター」、「ダーリン・イン・ザ・フランキス」にて監督を、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』にて総作画監督を務めた錦織敦史。テイストの異なる3作品には、それぞれ違った角度から錦織監督の"好き"が詰め込まれている。

『エリィアンズ』でエリーを演じた市ノ瀬加那、『夜露死駆★少女』でステラを演じた南沙良、『ノクターン~このグロテスクな夜に~』でアヤメを演じた井上和。この日が初対面だったという3人に、それぞれが感じた作品の魅力や完成映像で印象に残ったシーン、そしてお互いに感じたことまで、たっぷりと語ってもらった。

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■3つの物語、それぞれの世界にひかれて

――まずは、それぞれが出演された作品の魅力を教えてください。

市ノ瀬「『エリィアンズ』は、宇宙人と人間がどう関わり合っていくかというストーリーがメインで描かれている作品です。宇宙人のエリーちゃんと國蔵謙人さん(CV:星野源)、この2人を軸にお話が動いていくんですけど、絵柄やキャラクターの雰囲気はすごくポップでかわいらしいんです。でも、その一方で、社会問題的な部分も描かれていて。そのポップな部分と、少しダークな部分とのバランスが絶妙な作品だなと感じました」

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――市ノ瀬さんが演じるエリーは、宇宙親善大使としてやってきた宇宙人の少女。かなりインパクトのある主人公ですね。

市ノ瀬「そうなんですよ。エリーちゃんは『友達を作りたい』というところから始まっていく子なんですけど、どこまでが本心なのか、なかなか掴めないキャラクターなんですよね。だから、『本当はどんな感情を抱いているんだろう?』と想像しながら見るのも楽しみ方の一つだと思います。

それに、本当にいろいろな見た目になるんですよ。バイクになったりもするので(笑)、次にどうなるのか予想がつかない。ずっと目が楽しい作品だと思います」

――南さんは『夜露死駆★少女』にどんな魅力を感じましたか?

南「かわいい女の子たちが、アクションをしたり戦ったりする姿って、それでしか得られない栄養素があると思うんです(笑)。もう、それだけで満たされるというか、私はそこにすごく魅力を感じました。見た目はすごくかわいいのに、その中で行われていることは激しい。そのギャップも面白いですよね。

また、キャラクターがたくさん出てくるので、見る方それぞれに『この子が好きだな』と思えるキャラクターが見つかるんじゃないかなと思います」

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――井上さんはいかがでしょう?

井上「『ノクターン』は、3作品の中では一番登場人物が少ないと思います。4人は少し依存し合っているところがあるんですけど、単純に"友達"というわけでもなくて。最初は利害関係が一致して一緒にいるような、いびつな友情、いびつな関係なんです。それを『美しい』と言っていいのか迷ってしまうところも含めて魅力的だと思っています。

アヤメ自身もなかなか掴みどころのない子で、本心や自分が感じていることをすべて表に出しているわけではないと思うんです。この世界でどう生きていくべきなのか悩みながら、どこか後回しにしているようなところもあって。そんな彼女にとって、ほかの3人の存在が救いになっているんじゃないかなと個人的には感じています。

シオン(CV:中西アルノ)と出会ったことで、気付かないうちに変わっていくアヤメの本心や、『こうありたい』という願いの変化にも注目していただきたいです」

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――完成した作品を見て、印象に残っているシーンを教えてください。

市ノ瀬「エリーちゃんは基本的に強い存在で、どこまでが本心なのか分からないところがあるんですけど、髪の毛が長くなっているときは、唯一と言っていいくらい本当に感情が動いているんです。収録でも、髪が長いときは『酔っ払ったように』というディレクションをいただいたりして、掛け合いを何回かチャレンジさせていただいた記憶があります。

最初に脚本を読んだときは、エリーちゃんが何を好きで、何を大切にしている子なのか、掴みきれない部分もあったんです。でも、監督から『髪が伸びているときは本心』というお話を聞いて、そこから自分の中でもエリーちゃんの軸ができてきた感覚がありました。なので、髪が伸びたり縮んだりしているところは、ぜひ注目していただきたいです」

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――ほかにも、見てほしいポイントはありますか?

市ノ瀬「私と錦織監督は、私が初めてメインキャラクターを演じた作品『ダーリン・イン・ザ・フランキス』で過去にご一緒していて。実は、そのときに演じたキャラクターが小物として『エリィアンズ』のどこかに紛れ込んでいるんです」

井上「えっ!」

南「そうなんですか!?」

市ノ瀬「はい(笑)。声が入っているわけでもないですし、動いているわけでもなくて、本当に一瞬なんですけど(笑)。なので、『ダリフラ』ファンの方には、そこも探してもらえたらうれしいです」

――南さんは、ご自身の出演作で特に印象に残っているところはありますか?

南「私は、やっぱり戦闘シーンです。脚本を読ませていただいた段階から、『これはどういうふうに描かれるんだろう?』と私自身もワクワクしていたんです。実際に完成したものを見たら、すごく迫力がありました。音楽も含めて独特の疾走感があるというか、本当に走り抜けていくような感覚があって。すごくすてきだなと思いました」

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――『夜露死駆★少女』はキャストの数も多かったと思いますが、共演者の方のお芝居を見て感じたことはありましたか?

南「私の演じた役は、そこまで戦うシーンが多くないんですが、作品全体としてはアクションシーンが多いので、ほかの皆さんのお芝居を見ながら『プロの声優さんってすごいな』と思っていました。息づかいや声だけで、あれだけ迫力のあるバトルを表現されているのが印象的で。

あと、私は自分が出演している作品を見るのがどうしても照れくさくて(笑)。今回もかなり緊張しながら見ていました」

■3作品を続けて見るからこそ感じられる魅力

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――井上さんが印象に残っている場面はいかがですか?

井上「『ノクターン』は、日常と、その日常が変わる瞬間が分かりやすく描かれている作品だと思っています。違いが大きいからこそ、日常が一瞬崩れかける瞬間にもひかれますし、逆に4人でほのぼのと過ごしている場面にも注目していただきたいです。『彼女たちにとっての日常って、こういうものなんだな』と感じられるので。ただ、その日常がずっと続くわけではないことも分かっているんですよね」

――そうした、いつまでも続くわけではない4人の日常については、どのように感じましたか?

井上「永遠って難しいなと思っていて。限りがあるものだからこそ、美しく見えるものってたくさんあると思うんです。私がやらせていただいているアイドルというお仕事も、その瞬間にしか見られない輝きがあるからこそ、ファンの皆さんは美しいと思ってくださる部分もあるのかなと思っていて。そういう意味でも、4人の日常は"限りがある"からこそ、美しいのかもしれません」

南「荒廃した世界って、普通に考えるとすごく怖い印象がありますよね。でも、ヴァンパイアたちからすると、そこがすごく美しい世界にも見えるんだなと思って。その怖さと美しさが同時に存在しているところが、すごくすてきでした」

井上「『夜露死駆★少女』と『ノクターン』って、どちらも夜の描写が印象的なんですけど、また全然違うんですよね。夜空の色が違う感じがして。3作品を続けて見るからこそ感じられる魅力がありますし、そこを比べるのも面白いと思います」

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――井上さんから見て、ほかの2作品はいかがでしたか?

井上「『ノクターン』と大きく違うのは、戦闘シーンの激しさですね。『ノクターン』は、どちらかというと静かにじわじわと襲ってくる怖さや、静かに変わっていく日常がある作品なんですけど、『エリィアンズ』と『夜露死駆★少女』は激しいアクションがあって。すごく見応えがあるなと思いました。

それに、どちらの主人公も本当にかわいくて。この2つの作品のあとを『ノクターン』が締めるんだと思うと、責任も感じましたけど、3作品を通して見ると『GROTESQQQUE-グロテスク-』という一つの作品として流れがすごくきれいだなと感じました」

■作品に詰まった"好き"から、3人が受け取ったもの

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――錦織監督は、この作品に自身の"好き"をこれでもかというほど詰め込んだと話されています。皆さんは、作品からどんなことを受け取りましたか?

市ノ瀬「『エリィアンズ』は、音楽自体にはレトロな雰囲気もあるんですけど、映像の表現にはすごく新しさを感じました。よく見ると、普通だったら黒で描かれそうな線が水色やピンクで描かれていたりして、本当に色彩の細かいところまでこだわられているんです。映像表現が発達した今だからこそできることの一つなんじゃないかなと思います。

それから、本当に錦織監督のこだわりというか、"好き"がぎゅっと詰まっている作品ですよね。女の子がロボットのような姿になったりもしますし。これは3作品全部に言えると思うんですけど、見た人のどこかに一つは絶対に刺さるものがあると思うんです」

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――特に市ノ瀬さんは、錦織監督とご一緒した大切な作品が過去にもあるからこそ、今回改めて感じるものもありそうです。

市ノ瀬「そうですね。私自身も『こういう作品が見たかった!』と思いましたし、『こういう作品に出演したかった』というのも声優人生の中で一つの目標としてあったので。きっと皆さんの"好き"も、この作品のどこかにあるんじゃないかなと思います」

南「私は、"好き"という気持ちが自分の原動力になることに、すごく共感します。私自身も、好きなものがあるから頑張れることってすごくありますし、ステラも自分の推しというか、好きなものを原動力にして、この世界に飛び込んでいく子なんです。だから、そこに共感する方はきっと多いんじゃないかなと思います」

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井上「『ノクターン』は、人類が滅びた後の世界が舞台です。今はいろいろなことができるようになって、可能性がどんどん広がっている時代ですよね。そんな今だからこそ、逆に荒廃してしまった世界を描く作品に感じるものもあるのかなと思っています。荒廃した世界なのに、自然や光の表現がすごく美しいんです。そういうものに心を動かされるのも、現代を生きている今だからこそなのかなと。

それから、この作品を私たちアイドルが演じることにも、何か意味が含まれているんじゃないかなと思っています。それも、今だからこそ見せられる魅力なのかもしれません」

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――皆さんは普段、それぞれ異なるフィールドで表現のお仕事をされています。今日は3人とも初めてお会いしたそうですが、一緒にお仕事をしてみて、お互いに感じたことや刺激を受けたことを教えてください。

市ノ瀬「井上さんは、作品に対する言葉の紡ぎ方がすごく素敵だなと感じました。今日お話を聞いていて、私自身もいっぱい勉強になることがたくさんあったので、今日受けたいろいろなインタビューを後でもう一度見返したいなと思うくらい。

南さんは、今日1日ご一緒して、明るくて気さくなお人柄に本当に何度も笑顔にさせてもらいました(笑)。作品で拝見していた魅力はもちろん、実際にお会いするとすごく楽しい方で。そういう一面も今日知ることができて、お2人とご一緒できて本当に楽しかったです」

南「それはこちらこそです......! 今日取材をご一緒して、お2人は自分の感じたことを言葉にするのが本当にお上手だなと思いました。作品についても、細かなところまで自分の言葉で丁寧にお話しされていて。聞いているうちに、私ももっと自分の感情を言葉にして伝えられるようになりたいなと思いましたし、とても刺激を受けました」

井上「私は本職がアイドルで、最近は俳優のお仕事も少しさせていただいていますが、演じるという意味ではまだまだ勉強することばかりで。お2人への尊敬の気持ちしかないです。お2人のお芝居を改めて見て『役者さんって本当にすごいんだな』と思いましたし、今回自分自身も声を当てる経験をしたからこそ、『声だけで演じるってこんなに難しいことなんだ』と感じることができました。今日こうして実際にお会いして、お話を聞くこともできて、作品を見たときとはまた違う刺激をたくさんいただきました。お2人とご一緒できて、本当に良かったです」

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市ノ瀬加那 PROFILE
12月20日生まれ、北海道出身。2016年に声優デビュー。主な出演作として「ダーリン・イン・ザ・フランキス」(イチゴ役)、「機動戦士ガンダム 水星の魔女」(スレッタ・マーキュリー役)、「葬送のフリーレン」シリーズ(フェルン役)などがある。第15回声優アワード新人女優賞、第18回声優アワード主演声優賞などを受賞。

南沙良 PROFILE
6月11日生まれ、東京都出身。2017年、『幼な子われらに生まれ』で俳優デビュー。翌年『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』で大島志乃役として初主演を果たし、第43回報知映画賞新人賞、第61回ブルーリボン賞新人賞など多くの映画賞を受賞。大河ドラマ「光る君へ」(2024)で紫式部の娘・藤原賢子役を熱演。映画『万事快調<オール・グリーンズ>』(2026)では朴秀美役として主演を務め、女優としての新たな魅力が話題を呼ぶ。NHK10月期 ドラマ10「会社員」が毎週(火)22時~放送中。その他主な待機作は、映画『劇場版「虎に翼」』(2027年1月15日公開)、映画『カイジ 人生リベンジゲーム』(2027年1月29日公開)など。

井上和 PROFILE
2月17日生まれ、神奈川県出身。2022年2月、乃木坂46に5期生として加入。2024年4月よりファッション誌「non-no」の専属モデルを務めるほか、舞台「乃木坂46"5期生"版 ミュージカル『美少女戦士セーラームーン』2024」では主人公・月野うさぎ/セーラームーン役を演じた。2025年にスペシャルドラマ「スプリング!」でTVドラマ初主演。NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」(2026)では、浅井三姉妹の長女で豊臣秀吉の側室となる茶々役として出演するなど幅広く活躍中。

取材・文/すなくじら 撮影/梁瀬玉実

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