柳楽優弥×川栄李奈が明かす映画『RYUJI 竜二』制作の葛藤と覚悟「令和の今、作る意味とは何なのか?」

1983年に公開された任侠映画『竜二』が2026年、柳楽優弥主演で『RYUJI 竜二』として公開される。妻と子供のために足を洗った竜二の葛藤と焦燥を描く本作。熱狂的なファンも多くいる『竜二』を柳楽はどのように演じ、表現したのか。柳楽と竜二の妻・まり子を演じた川栄李奈に話を聞いた。

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■熱狂的ファンを持つ『竜二』リメークへの葛藤と覚悟

――本作にはどのような思いで参加されたのでしょうか。

柳楽優弥(以下、柳楽)「最初にオファーをいただいたのは、約7年前でした。そのとき、熱狂的な支持を得ている作品をあえて今リメークする意味って何なのだろうと思い、そこに参加させていただくことに慎重になっていました。それから時間がたち、コロナもあって、ミーティングを重ねていく中で、作品について話す機会も増えていきました。そうした時間を重ねる中で、少しずつ自分なりにこの作品に挑む意味が見えてきて、参加させていただくことにしました。テーマとなっている家族愛、他方で兄弟の絆、人間的な仁義みたいなものが深いところにあるので、真剣に、真摯(しんし)にしっかり向き合おうということをまず意識しました」

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――役を理解できてから、気持ちが乗ってきたという形なんでしょうか。

柳楽「映画関係者の方にいろいろお話を聞く機会があるんですけど、『竜二』ファンの方って本当に多くいらっしゃいますよね。だから、前提として『なんとなくリメークしました』ということがあってはならない雰囲気を感じました。すごくコアなファンがいるイメージでした。『雰囲気で参加する』ということがあってはならないなと強く感じた作品でした」

――前作へのリスペクトがあるからこそですね。

柳楽「それは前提としてなければならないし、そこを越えるということでもないですね。絶対的なリスペクトがあるので、今新たに生まれる意味が見つかるといいなと思いました」

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――川栄さんはいかがですか。

川栄李奈(以下、川栄)「この作品は裏社会の話で、女性が少ないんです。ただ、始まる前に監督とお話をさせていただく機会があり、まり子がどういう女性なのか説明を受けました。自分の中では『とにかく強い女性でいたい』という思いでこの作品に参加させてもらいました」

■4度目の共演で築かれた、言葉を超えた絶対的な信頼関係

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――竜二とまり子の夫婦の関係性がとても印象的だと思ったのですが、その夫婦の空気感はどのように作っていかれたんでしょうか。

柳楽「過去に何度か共演させていただいています」

川栄「今回、4回目ですかね」

柳楽「4回目の空気ですかね」

川栄「ははは、確かに初対面の空気ではないような(笑)」

柳楽「『4回目』って言うのは簡単ですけど、作品に向き合っての4回目なので不思議と信頼関係を築かせてもらえている気がします。今回だけではないところでも作り上げられていたというのが大きかったです」

川栄「私は、やっぱり柳楽さんと一緒にお芝居をさせてもらえるっていうのが、自分の学びになります。いつも、内容を見て『自分がこの役をやりたいのか』を決めることが多いんですけど、柳楽さん主演の作品というお話をいただいたときは内容を見ずに『やります』って答えています。そのぐらい信頼もしていますし、現場での居方もですけど、本当に勉強させてもらっているので、今回もこうして一緒にお芝居できるのはすごくうれしかったです」

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――今回、演じる上で難しかった部分、悩まれた部分というのはありますか。

柳楽「前作のファンの方がいらっしゃるから、『なぜ作ったの?』と思われたら良くない。オリジナルとしてこの作品の持つDNAのような、大切な核となる部分が現代に移ったときにどのように共鳴するのか。こればかりは計算できないし、不安はありましたね」

川栄「私は逆に、あまり悩むことなく作品に入れた気がします。台本を読んでまり子の気持ちをすごく理解できたので、表現が難しいこともなかったです。あと、監督がすごく丁寧に教えてくれたので、そこも作品にすんなり入れた一因かなと思っています」

■監督からの「息継ぎ」指摘と、現代における暴力描写への配慮

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――監督とお話される中で特に印象的だったのはどういったところでしょう?

川栄「作品が始まる前に、監督から『セリフをしゃべる時にブレスをするのが気になる』と言われたので、それを改善して挑みました。監督が言うには、アイドルとか歌っていた人によくある現象らしいんです。振り返ってみると、確かに自分でもすごく息を吸っているなと思い、気を付けるようにしました」

――そういったご指摘を受けたのは初めてですか?

川栄「初めてです。そういうことを言ってくださる監督って、あまりいないんですよね。癖になっていたので、現場でも『ここで吸わないで』とディレクションされたことが一度ありました」

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――柳楽さんはいかがですか。

柳楽「女性への暴力描写については、今回はどのように表現されるのか、確認しました。暴力の描写が作品のノイズにならないように、比較的話し合ったと思います。ただ、最終的な表現については、監督の判断にお任せしています」

――柳楽さんのほうから提案されたんですね。

柳楽「言葉に迷うんですけどね。世代によっては、そういうことが良しとされていた時代もあったと思うので。例えば"ビンタをする"というアクションに今の時代にどういう表現がいいのか、というお話はさせてもらいました」

■時代にもがく人間の姿。現代の「AI革命」との共通点

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――最後に、現代だからこそ、この作品が響くポイントはどういったところでしょうか。

柳楽「前作の竜二は、バブル期あたり。時勢にどう乗るか、自分たちがどう向き合うべきかと葛藤した人の一人だと思うんですよ。時代の流れに乗り切れない部分もあれば、乗れている部分もあって、その間で模索している。今でいうと、AI革命ですね。テクノロジーの進化になじみきれず、試行錯誤している人もいる。現代の状況と若干似ている気がします。

新しい波に追いつこうとしたり、逆に引いてみたりと、時代に対して自分を調整していく。そのために考え、話し合う。きっと、どの時代にもそうした姿があったのだと思います。もし現代の観客と共鳴するポイントがあるとするなら、時代に追いつき、自分を合わせようと必死にもがく人々の姿ではないでしょうか」

川栄「私は、時代背景に関わらず、それぞれの正義感があったり、守るものがあったり、何かがあっても生きていかないといけないということは、この作品を通して感じていただけるんじゃないかなと思います」

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柳楽優弥 PROFILE
1990年3月26日生まれ、東京都出身。2004年、是枝裕和監督の映画『誰も知らない』の主演に抜擢され、カンヌ国際映画祭にて史上最年少で最優秀主演男優賞を受賞。その後はドラマ「ゆとりですがなにか」(2016)、映画『浅草キッド』(2021)やDisney+オリジナルドラマ「ガンニバル」(2022,2025)などに出演。待機作に『映画 九条の大罪』(2027年1月8日公開)がある。

川栄李奈 PROFILE
1995年2月12日生まれ、神奈川県出身。2010年にAKB48 11期生として加入。2015年に同グループを卒業後、俳優としての活動を本格化。NHK連続テレビ小説ドラマ「とと姉ちゃん」(2016)、「カムカムエヴリバディ」(2022)、「となりのナースエイド」(2024)「ダメマネ! -ダメなタレント、マネジメントします-」(2025)、「フェイクマミー」(2025)などに出演。

取材・文/ふくだりょうこ 撮影/梁瀬玉実

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