ク・ギョファン×キム・ドヨン監督が語る韓国映画『サヨナラの引力』が描く10年越しの再会と奇跡のラブストーリー
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2026.11.03
ささいなことで突然終わりを告げた、青春時代の忘れられない恋愛――。ずっと心の奥にあった当時の恋人と、10年の時を経て偶然再会。過ぎ去った愛の日々を懐かしみながら向き合うふたりの姿が共感と感動を呼び、韓国で260万人を動員した大人のラブストーリー『サヨナラの引力』が2026年7月3日(金)より日本で公開される。主人公ウノを演じたのは、Netflixシリーズ「D.P. -脱走兵追跡官-」、「誰だって無価値な自分と闘っている」、映画『Colony』などで注目されている俳優、ク・ギョファン。監督を務めたのは、『82年生まれ、キム・ジヨン』が話題となったキム・ドヨン。来日中の2人に、話をうかがった。

ク・ギョファン
■「言語が違っても感情は共有できる」日本の観客の温かい反応と、普遍的な主人公・ウノ
――今回、『サヨナラの引力』のジャパンプレミアで来日されましたが、日本の観客の反応はいかがでしたか。
キム・ドヨン監督「すごく温かく迎えてくださったので、驚きました。知り合いのお姉さんを見守るようなまなざしを向けてくださって、胸が高鳴りました」
ク・ギョファン「近所の友達みたいでしたよね。終わった後に皆とビールでも飲みながら、映画の話をしたいと思うほど(笑)。映画は、言語が違っても感情を共有できるものだから、日本の観客の皆さんがどのような感想を持たれたか気になります。僕も日本映画を見て、すごく共感しますから」
キム・ドヨン監督「ジャパンプレミアのゲストで登壇してくださった前田敦子さんが、映画の感想を話してくださったんですよ。とても真心がこもっていて、胸が熱くなりました。この作品を本当に愛してくださったのが伝わりましたし、前田さんの心に届いたんだなと思えて、うれしくなりました」
ク・ギョファン「印象的だったのは、観客の皆さんがすごく自然に楽しんでくださっていたこと。映画というのは、世界中のどこの観客にも、同じように自然に受け止めてもらえるのが理想なんです」

キム・ドヨン監督
――ク・ギョファンさんが演じたウノは、ゲームクリエイターを夢見る大学生のころ、長距離バスの中で建築家に憧れるジョンウォン(ムン・ガヨン)と運命的に出会います。2人は恋に落ち、やがて別れて、10年後に再会しますが、ウノとはどういう人物だと思われましたか。
ク・ギョファン「ウノを演じるときは、皆さんの友人や後輩、先輩のように、皆さんの近くにいる人物のように見えればいいなと思っていました。皆さんが経験したことのある感情を持っている人。普遍的だけれど、特別な人......そう思って撮影に臨みました。僕がウノを好きだと思った点は、すてきな恋愛をしたところ。そして、自分の好み、自分のスタイルで、自分の芸術を貫いているところですね」
――「自分の芸術を貫いている」ところは、ク・ギョファンさんと似ているのでは?
ク・ギョファン「ウノは、ゲームクリエイターとして自分の考えを貫きます。その哲学は、『僕が好きで、僕がやりたい演技を見て楽しんでほしい』という僕の俳優としての哲学と似ているかもしれません。でも一番似ているのは、声、髪質、足のサイズ......すべてじゃない?(笑)」
キム・ドヨン監督「あはは(爆笑)」

左からムン・ガヨン、ク・ギョファン
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■「動物的でスマート」キム・ドヨン監督が語る俳優ク・ギョファンの魅力
――ク・ギョファンさんはとてもユーモアのある方ですが、監督が見たク・ギョファンさんの人間的な魅力と俳優としての魅力を教えてください。
キム・ドヨン監督「人間的な魅力は、こんな風にとても面白いところ(笑)。冗談が絶え間なく出てきて、彼自身が"プレゼント"のような人。本当に魅力的で、隣にいるととても楽しいんです。俳優としての魅力は、"動物的"なところ。うらやましいですね、本能的なものを持っています。また、動物的であるのにスマートでもあって、現場にいつもアイデアをたくさん持ってきてくれるので、私は彼が持っているアイデアを選択するだけでいいんです。一緒に作業すると喜びを与えてくれる俳優だと思います」
――ウノ役にク・ギョファンさんをキャスティングされた理由も、そのような魅力からですか。
キム・ドヨン監督「はい。とてもクリエイティブだし、本能的な俳優なので、一緒に仕事をしたいとずっと思っていました。それに、ウノとク・ギョファンさんは、似ていますよね。どん底に落ちてひどい言葉を口走っても『憎めない』と思わせてしまうし、その人物の弱さや不完全さごと丸ごと受け入れさせてしまうところが、ク・ギョファンさんの俳優としての大きな魅力なので、ウノとして、そういう面をたくさん見せてくれると確信していました。どこまでがウノで、どこまでがク・ギョファンさんなのか分からなかったけれど、私はカメラのアングルの中にいる人物を愛するようになりました」

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■10年前の自分へ。そして、映画だからこそ描ける"奇跡"の物語
――まさに、適役ということですね。この作品は、10年前に別れた恋人同士が再会するところから物語が始まります。お二人の10年前は?
ク・ギョファン「2016年なんて、最近のことだよ(笑)」
キム・ドヨン監督「私は、大きな変化を迎えた年でしたね。ずっと俳優をしていましたが、映画監督になることを決心して、2017年に映画学校に入学。だから2016年は、『映画監督になりたいけれど、年齢的に挑戦できる時期を過ぎているのではないか』などとすごく悩んでいた時期でした」
――作中には手紙にまつわるシーンがありますが、10年前の自分に手紙を書くとしたら?
ク・ギョファン「僕なら、『ギョファン、日本旅行に行くのはほどほどにしておけ。10年後に『サヨナラの引力』という映画で東京へ行くことになる。その時に旅行で行くよりももっと楽しい思い出をたくさん作ることができる。その喜びをかみしめるために、日本にあまり頻繁に行くな。その時にとっておけ』と伝えます(笑)」
キム・ドヨン監督「あはは(爆笑)」

――ギョファンさんは10年前、どんな夢を持っていましたか。
ク・ギョファン「『サヨナラの引力』の日本での公開!」
キム・ドヨン監督「あはは(爆笑)」
ク・ギョファン「10年前の夢も、今の夢も、これからの夢も、『映画が好き』であること。その気持ちは変わらないでいてほしい。演技は、職業として僕に合っていると思うけれど、遊びとしてもすごく好きなんです。コメディーであれ、別れのシーンであれ、観客にその思いが届いたとしたら、それは僕自身がその感情を抱いた経験があるからだと思うんです。これからもさまざまな感情を無理に演じる努力をしないために、今のように楽しく遊ぶ中で人生の経験を重ねて、感情を蓄積していきたいです」
――10年かけてようやく決着したウノとジョンウォンの恋愛を、2人はどのように感じましたか。
キム・ドヨン監督「2人はとても幸運ですよね。こんな奇跡、なかなか起こるものではないですから。そのような機会に恵まれ、しっかりと整理できたのはすてきなことだと思います。だからといって、この映画を見て昔の恋人に再会しようとするのはだめですよ(笑)。映画を見て、抱えてきたもやもやを解消してください」
ク・ギョファン「そう! この映画が多くの人に支持される理由の一つは、実際には起きない"奇跡"を見せてくれるからなんですよ。でもそれは、映画だからいいんです(笑)」
キム・ドヨン監督「『サヨナラの引力』を見た方が、ウノとジョンウォンのような昔の恋愛経験談をたくさん寄せてくださいました。『この映画を見て昔のことを思い出すことができたし、癒やされました』というメッセージもくださって、私もすごく温かい気持ちになりました」

取材・文/坂本ゆかり



