赤楚衛二&上白石萌歌の演技と楽曲が彩る『366日』も!芸術の秋に見たい映像・音楽・美術がすごい映画5選!
映画 見放題
2026.10.28
芸術の秋にこそ、映画をじっくり味わってみてはいかがだろうか。映画はストーリーだけでなく、映像や音楽、美術など、さまざまな表現が一体となって作品の世界をつくり上げている。今回は、国内外の映画賞で受賞・ノミネートされた作品を中心に、「映像・音楽・美術がすごい」5作品を紹介。それぞれの表現に注目しながら、その魅力をひも解いていく。
切ない恋心を増幅させる珠玉の音楽
■366日

(C)2025映画「366日」製作委員会
HYの名曲「366日」から着想を得て迎えた本作は、すれ違う男女の20年にわたる愛の軌跡を描いたラブストーリー。日本アカデミー賞で優秀音楽賞を受賞した本作では、音楽が二人の人生に寄り添い、物語の感情をより深く引き立てている。主人公の湊(みなと)と美海(みう)は高校の先輩・後輩として出会い、互いのお気に入りの曲を入れたMDを交換し合うことで距離を縮めていく。やがて"元気が出る音楽"を薦め合うようになり、次第に惹かれ合っていく。

(C)2025映画「366日」製作委員会
そんな音楽を愛する二人の人生を彩るように、HYの楽曲が随所で流れる。恋の始まりを祝福するような「AM11:00」、映画のモチーフにもなった「366日」、そして主題歌「恋をして」へと続く音楽が、20年にわたる喜びや悲しみをより鮮明に伝えていく。劇中の音楽を担当するのは、映画、ドラマ、アニメなど幅広い作品を手がける日向萌。ピアノを基調とした繊細な音楽もまた、揺れ動く心情に寄り添っている。
最新技術と原点回帰が生んだ映像表現
■エイリアン:ロムルス

(C) 2024 20th Century Studios.
SFホラーの名作『エイリアン』と『エイリアン2』の間に位置する物語を描く本作は、若き惑星植民者たちが、地球から遠く離れた場所で恐怖と対峙するサバイバル・スリラー。1作目を手がけたリドリー・スコットがプロデューサーを務め、『ドント・ブリーズ』のフェデ・アルバレスが監督を務めた。アルバレス監督が掲げたのは、シリーズの原点への回帰。第97回アカデミー賞で視覚効果賞にノミネートされた本作では、CG(VFX)に頼りすぎず、昔ながらの特殊効果と最新のVFX技術を組み合わせながら撮影が行われた。

(C) 2024 20th Century Studios.
そのこだわりは、エイリアンやセット、小道具、衣装など、さまざまな部分に表れている。本作のために4体のエイリアン(ゼノモーフ)や12種類のフェイスハガーなどが用意され、アニマトロニクスを使った特殊効果も活用。スタントマンが着用するスーツにアニマトロニクスの頭部を取り付けるなど、実物を使った表現を取り入れることで、CGとは異なる質感を生み出している。実物の特殊効果と最新VFXを融合させた映像表現にも注目だ。
時代と生活の匂いまで再現した美術
■焼肉ドラゴン

(C) 2018「焼肉ドラゴン」製作委員会
日本の新国立劇場と韓国の芸術の殿堂(ソウル・アート・センター)のコラボ企画として、2008年に鄭義信(チョン・ウィシン)が書き下ろした同名舞台を、鄭義信自身が映画化。1970年代の関西の地方都市を舞台に、故郷を捨てざるを得なかった6人の家族が、時代の波に翻弄(ほんろう)されながらも力強く生きる姿を描いた人間ドラマだ。映画版は日本映画批評家大賞で作品賞を受賞している。

(C) 2018「焼肉ドラゴン」製作委員会
そんな本作で特に目を引くのが、東映京都撮影所内の約300坪の敷地に建てられた、高度経済成長期のコリアンタウンを再現したセットだ。中心にある焼肉店「焼肉ドラゴン」をはじめ、所狭しと立ち並ぶ家々まで作り込まれた空間からは、当時の街の空気が感じられる。美術監督を務めた磯見俊裕が約1カ月をかけて制作したセットには、古びた木材やさびついたトタンなど、年月を重ねたような質感も随所に。画面に映る一つ一つのディテールが、登場人物たちの暮らしや時代背景を映し出し、物語にリアリティーとノスタルジーを添えている。
ブラックなユーモアが彩るポップなホラー表現
■THE MONKEY/ザ・モンキー

(C) 2025 C2 MOTION PICTURE GROUP, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
『ソウ』シリーズのジェームズ・ワンがプロデューサー、『ロングレッグス』のオズグッド・パーキンスが監督を務め、スティーヴン・キングの短編小説「猿とシンバル」を映画化した本作。父親が遺した不気味なドラムをたたく猿のオモチャをきっかけに、次々と惨劇が起こる不条理ホラーだ。アメリカでは公開前から予告編が大きな注目を集め、スティーヴン・キングもコメントを寄せたほか、サターン賞のホラー映画賞にノミネートされた。

(C) 2025 C2 MOTION PICTURE GROUP, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
本作で印象的なのが、パーキンス監督らしいダークな世界観に、ブラックユーモアとポップな過激描写を掛け合わせた独特の表現だ。血みどろの惨劇をただ恐ろしいものとして描くのではなく、乾いた笑いを交えながらテンポよく見せていく。そのギャップによって、家族を襲う苦難さえもどこか奇妙でコミカルなものとして映し出す。恐怖とユーモアを同居させた、一味違うホラー表現を楽しめる。
孤独を彩る映像・音楽・美術
■DOGMAN ドッグマン

(C) Photo: Shanna Besson - 2023 -LBP - EuropaCorp - TF1 Films Production - All Rights Reserved.
『グラン・ブルー』『レオン』などで知られるリュック・ベッソン監督が、犬たちと共に生きる青年の壮絶な半生を描いたバイオレンス・アクション。主演のケイレブ・ランドリー・ジョーンズの演技と、主人公と共に生きる大勢の犬たちの存在感が印象に残る作品だ。本作の世界観を形作っているのが、映像と美術、そして音楽。主人公ダグラスが犬たちと暮らす廃虚には、幻想的で退廃的な空気が漂い、彼の孤独を浮かび上がらせている。

(C) Photo: Shanna Besson - 2023 -LBP - EuropaCorp - TF1 Films Production - All Rights Reserved.
そこに重なるのが、ベッソン監督とはデビュー以来の盟友であるエリック・セラによる音楽。不穏さを感じさせながらも叙情的なスコアが、ダグラスの壮絶な人生に寄り添う。一方、映画中盤のキャバレーのシーンでは、エディット・ピアフやマレーネ・ディートリッヒらの楽曲が登場。華やかな舞台と音楽が、絶望の淵に生きるダグラスの姿をより印象的に映し出している。映像、美術、音楽が一体となって主人公の内面を描き出す点にも注目だ。
文/壬生智裕
※本記事の内容は当メディアが作成したものであり、公式な見解を示すものではございません



