森香澄×若葉竜也が映画『てんてん ずっと独身でいるつもり?』で見せた「水と油」な心地よい距離感

映画『てんてん ずっと独身でいるつもり?』が、10月23日(金)よりPrime Videoで独占配信中だ。

本作は、おかざき真里の漫画を原作に、雨宮まみのエッセイを原案とした映画『ずっと独身でいるつもり?』(2021年)の第2弾。夢や目標を持てないまま仕事や居場所を転々としてきた30歳のヤマダ、人との関わりを避けて生きる38歳のシバ、仕事を優先してきた46歳のシミズ。年齢も境遇も異なる3人が、それぞれのペースで自分の居場所を探していく姿を描く。

映画初主演となる森香澄がヤマダを演じ、若葉竜也がシバ役、香椎由宇がシミズ役を務める。脚本は港岳彦、監督は箱田優子。今回、森と若葉にインタビューを行い、初共演で知った互いの素顔や、シバの甥・カケルを演じたトア・ウィルキンスを交えた3人の自然なやり取り、正反対に見えるヤマダとシバが少しずつ心を開いていく過程について聞いた。

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■若葉竜也「森さんは本当にクレバーな方」 初共演で知った互いの素顔

――今回初めて共演して、お互いの印象は変わりましたか?

森「若葉さんは独特の雰囲気を持っている方なのかなと思っていたんですけど、実際はそうでもなくて」

若葉「はい、ただの凡人です」

森「そんなことはないです(笑)。ただ、すごく自然体でお仕事をされる方なんですよね。私は『さあ、現場に入るぞ』と仕事ごとに切り替えるタイプなんですが、若葉さんはすっと作品に入っていく。そのナチュラルさが、天才と言われる所以なんだなと思いました。でも、すごくお話ししやすくて。撮影の合間にAmazonのセールの話をしてくださったので、いろいろおすすめの商品を送りつけました(笑)」

若葉「おすすめしてくださったせいろも買いました(笑)。森さんは本当にクレバーな方で。レンジがとても広いし細やかな配慮のある方です。自分にはない部分なので勉強になります」

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――3人でいる場面は、会話も間合いもとても自然でした。現場では、どんなふうにやり取りしていたのでしょうか?

森「カケル役のトア・ウィルキンスさんにかなり助けられました。セリフを言っているのに、お芝居をしていないように見えるんです。カットがかかっても走り回っていて、若葉さんが『もう回るよ』と捕まえに行く。そのまま撮影が始まるような感じで、カットのあとも3人の関係が続いていました。なので、何かを新たに構築した感覚はなかったですね」

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――若葉さんもトアさんのお芝居に「度肝を抜かれた」とコメントされていましたね。

若葉「彼は脚本をしっかり読めているのはもちろん、自分が動ける範囲を分かっているんです。アドリブでもシーンの方向からほとんどずれないし、iPadを持つかどうかも、そのときのカケルを考えて決めている。特に印象に残っているのは、箱田監督の提案で急きょ加わった、カケルの髪を結ぶ場面です。テストでも本番でも本当に素晴らしいお芝居をやってくれて」

森「髪を結ぶシーンは、私も試写で見て泣きそうになりました。もう一つ印象に残っているのは、カケルが眠っている近くで、シバがヤマダに自分の過去を話す場面です。演じている時、ヤマダの角度からは見えなかったカケルの表情を試写で初めて見たら、何とも言えなくて。すごく泣けました」

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――若葉さんも、森さんのシーンで特に印象に残った場面はありますか?

若葉「ヤマダと親友フルヤ(芋生悠)の大げんかは最高でしたね。他の人が演じたら、下手をすると少しやりすぎになってしまうと思うんです。でも、森さんだから成立する。森さんにしか出せないムードを箱田監督がキャッチして、撮影監督の月永雄太さんがこぼれ落ちそうな瞬間も捉えていく。映画という総合芸術として、質の高い作品だと思います」

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■"水と油"のヤマダとシバが心を開くまで 箱田優子監督と描いた小さな変化

――森さんはヤマダを、若葉さんはシバを、それぞれどう捉えて演じましたか? 箱田監督とのやり取りも教えてください。

森「私はまず実際に演じてみて、そこで感じたことを箱田監督と話し合いました。例えばフルヤと言い争う場面でも、どこまでは冷静に話していて、どの言葉をきっかけに感情が表に出るのか。そういう細かな心の動きを一つずつ確認していくと、『自分だったらこうするけど、ヤマダならどうするだろう』と考えやすくなりました。監督とここまで丁寧に話したのは初めてでしたね」

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若葉「僕は意外と、人物について箱田監督と細かくすり合わせてから撮影に入ったわけではないんです。まず演じてみて、微調整するくらい。シバは、本当は人とつながったり、触れ合ったりすることを求めている人なんだと思うんです。だから余計に遠ざかる。そういう理屈通りにはいかないところが、台本にはすでに書かれていました。台本の精度が高かったんですよね」

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――ヤマダとシバは性格も人との距離感も正反対です。一見すると水と油のような二人は、なぜ少しずつ心を開けたのでしょうか?

森「ヤマダは『心を許した』というより、シバのペースを感じ取っていったんだと思います。ヤマダは半地下アイドル時代も周りの子をよく見て、怒っている子がいれば、すぐに駆け寄るような人。そんなヤマダだからこそ、近づきすぎたら、すぐに引けるし、そこで気まずくもならない。一緒にいる時間を重ねるなかで、だんだんシバと自分に心地いい距離が分かっていったんだと思いました」

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若葉「水と油のように見えて、シバはヤマダを少しうらやましく思っていたのかもしれません。ある意味、自分とは真逆なヤマダに対する憧れもあったと思う。何か一つの出来事で変わったのではなく、接するうちに『ヤマダになら少し自分のことを話してもいいか』と思えた。その一歩、いや半歩かもしれないですけど、シバにとっては大きな変化なんですよね」

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――シバがヤマダに自分のことを話せるようになるなど、本作では劇的な成長よりも、心情の小さな変化が描かれているように感じました。お二人は、あのラストをどう受け止めましたか?

若葉「世の中に成長ストーリーが多すぎるだけで、普通の人は1年や2年でそんなに成長しないと思うんです。あの終わり方は、成長というより少し進化している感じ。見る人によっては退化と捉えるかもしれない。『生き物なんてしょせんそんなものだよ』というような、箱田監督の優しい目線がある。本当に、普通の人々を描くのが頭一つ抜けている素晴らしい監督だと思います」

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森「ヤマダとシバの関係も、最後まで明言されていないんですよね。そこにあるのが愛情なのか友情なのか、言葉にしてしまうと少し違うものになりそうで。見る人が今どんな状況にいるかによっても、二人の関係の捉え方は変わると思います」

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森香澄 PROFILE
1995年6月16日生まれ、東京都出身。2023年3月にテレビ東京を退社後、アナウンス業、タレント業のみならず、ドラマ、映画に出演するなど、俳優としても活動の幅を広げている。本作で映画初主演を務める。近作に、『ロマンティック・キラー』(2025)、「奪い愛、真夏」(2025)、「DREAM STAGE」(2026)、「プロフェッショナル 保険調査員・天音蓮」(2026)などがある。9月1日には自身初の美容本「戦略的かわいいの作り方-森 香澄のかしこい美容メソッド-」(小学館刊)を発売した。

若葉竜也 PROFILE
1989年6月10日生まれ、東京都出身。2016年公開の映画『葛城事件』で、『第8回 TAMA映画賞』最優秀新進男優賞を受賞。2024年、TVドラマ「アンメット ある脳外科医の日記」にて、『第120回 ザテレビジョン・ドラマアカデミー賞』助演男優賞、『東京ドラマアウォード 2024』助演男優賞、日本映画テレビプロデューサー協会主催『第49回 エランドール賞』新人賞を受賞。近作に『嗤う蟲』(2025)、『てっぺんの向こうにあなたがいる』(2025)、『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』(2026)など多数ある。

取材・文/苫とり子 撮影/梁瀬玉実
ヘアメーク/水野花菜(森香澄)、FUJIU JIMI(若葉竜也) スタイリスト/稲葉有理奈(KIND)(森香澄)、Toshio Takeda(MILD)(若葉竜也)

チャンネル:

国内ドラマ

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