間宮祥太朗「小栗旬さんは現場にいるべくして居る人」 映画『バッド・ルーテナント:トウキョウ』で体感した三池組の熱量

三池崇史監督が小栗旬を主演、リリー・ジェームズを共演に迎え、ハリウッドと日本の共同プロジェクトとして製作された映画『バッド・ルーテナント:トウキョウ』が2026年10月23日(金)より全国公開される。1992年のアメリカ映画『バッド・ルーテナント 刑事とドラッグとキリスト』をもとに、舞台を東京に移して再構築。小栗扮する悪徳刑事(バッド・ルーテナント)とジェームズ演じるFBI捜査官がバディを組み、街に渦巻く陰謀に立ち向かう姿を描く物語だ。

『ANORA アノーラ』(2024年)や『パラサイト 半地下の家族』(2019年)など、世界的に評価の高い作品を世に送り出してきた配給会社NEONが北米で配給することでも話題を呼んでいる。本作において重要人物の石塚満を演じた間宮祥太朗にインタビューを敢行し、作品の舞台裏について聞いた。

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■三池監督の圧倒的な判断スピードと、小栗旬との念願の共演

――世界的に注目を集める「NEON」作品ですが、同社の作品に対してどのような印象がありましたか?

「『ANORA アノーラ』(ショーン・ベイカー監督)や、『センチメンタル・バリュー』(ヨアキム・トリアー監督)など、非常に個性的な作風の監督による良作を続々とヒットさせているという印象がありますね。こういった特徴的なカラーのある配給会社があること自体、すてきだなと思います」

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――では、本作への出演が決まった時の感想と、どんな意気込みを持って撮影に臨まれたのかを教えてください。

「まずは、以前から三池監督とご一緒したいと思っていたので、三池監督作品に出演できるという喜びがありました。さらに、事務所の先輩である小栗旬さんと共演できることがうれしかったですね。同じ事務所だからこそ、旬さんとはなかなか共演する機会がなかったので、感慨深かったです。

現場では、三池監督独自のリズムに、自分の体を預ける感じで挑みました。三池さんの現場は段取りをやらずに、どんどん撮っていく、独特の現場なんですよ。リハーサルもなく、現場に入ってすぐテスト......という感じです。テンポがすごく速いのですが、それを裏付けるのは、三池監督の判断のスピードだと思います。あれだけ縦横無尽にあらゆるジャンルの作品を撮られている監督ですから、経験値が膨大だし、圧倒的な裏付けがあるからこそ判断が速いんでしょうね」

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――脚本を読まれた際に、本作のストーリーにどのような印象を持たれましたか。

「ハーヴェイ・カイテル主演の旧作をベースに、舞台を現代の東京に置き換えているのが本作です。ただ単に日本でリメークするのではなく、NEONが北米で配給し、リリー・ジェームズが出演するなど海外を意識した作品にもなっている。脚本にもそんな要素がミックスされた特殊性が感じられました。

ストーリーとしては、旬さん演じる矢吹が自分でも悪いことをしているけれど、多方面からストレスを与えられながら、『まだ終わっていない』と、もがく姿が印象深く描かれています。完成版を見て、哀愁を感じさせる物語だと感じました」

■屈折した少年の「ピュアさ」。過激な行動の奥底にあるもの

――ご自身が演じる石塚満という人物をどのように捉えられたのでしょうか。演じる上で特に意識されたことなどがあればお聞かせください。

「石塚は、複雑な生い立ちもあって、屈折しているんですが、非常にピュアな男だと思います。少年時代に屈折してしまった部分が、大人になってもそのまま表出している人物なのだと捉えました。

演じる上でも一番意識したのは、そのピュアなところですね。石塚の過激さのある描写は、特に意識しなくても撮影する中で肉付けされていくと思ったので、『なぜ過激な行動をするのか?』という石塚の内面の奥底にある、屈折した少年のピュアさを強く意識して演じました。あと、石塚は他人とほとんどしゃべる機会がなかったと思うので、会話に慣れていない人物特有の声の出し方なども工夫しました」

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――撮影現場で苦労したこと、逆に楽しいと感じられたことを教えてください。

「入れ墨の待ち時間が長かったことですかね(笑)。回数を重ねるごとに短くなりましたが、最初は5時間くらい座りっぱなしでした。でも、序盤で殺されるヤクザ役の方たちのほうが、特殊造形もあったので、自分よりもさらに長かったはず。彼らに比べれば、まだ楽なほうだったのかもしれません(笑)。

特に楽しかったのは、泉で撮ったシーンですね。リリーやリヴもいて、海外組のクルーが大勢集まって、日活のスタジオに縁日みたいに屋台が集結していたんですよ。あんな光景はめったに見られないなと思いました(笑)」

■「一番イカれてる」西野七瀬の演技と、現場に君臨する小栗旬のたたずまい

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――小栗旬さんと共演した印象はいかがでしたか? ほかにも個性的な出演者がそろっている本作ですが、共演者の方について印象に残ったエピソードがあれば教えてください。

「本作では矢吹と対峙(たいじ)する場面があり、感じ入るものは確かにあったのですが、今回共演して改めて感じたのは、旬さんの現場でのたたずまいというか、『ああ、小栗旬という人は、現場にいるべくして居る人だなぁ』ということですね。現場で出番を待つ旬さんの姿を目にすると、本当に現場にいるのがあまりにも似合うし、それがふさわしいという感覚でした。

他の共演者では、西野七瀬さん。彼女が演じている幸子が『一番イカれてるよね』と、旬さんと話していたんです。石塚を一途に思っていて......もしかして一番狂っているのかなと(笑)。ただ、そんな幸子を西野さんが無自覚に演じているのが、とてもいいなと思いました。

あとは、影山を演じた野村さん。彼とは以前に共演もしていて、今回もかっこよかったですね。衣装もさまになっていたし、旬さんとの掛け合いも笑いどころがあったし。影山の父親を演じた、舘ひろしさんも最高でした。あの親子は面白かったなぁ」

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――本作において、お気に入りの場面があれば教えてください。

「矢吹が頼まれて、無理やり幼稚園児の発表会に参加させられて、お遊戯をさせられたりする場面です。この凄惨(せいさん)な世界観にあって、ちょっと笑えるようなポンと浮いたシーンなのですが、こういうところが三池監督らしいなと思いました」

■どうしようもない登場人物たちに美しさを感じる。三池組で得た確かな手応え

――本作への出演による経験から、今後の俳優活動への糧になったことがあれば教えてください。そして本作をご覧になる方に、何を感じてもらいたいか、メッセージをお願いいたします。

「今回の出演を機に、三池監督にまた呼んでもらえればうれしいですね。またがっつり三池監督とやりたいなと強く思っています。トロント国際映画祭で、お客さんと一緒に本作を見た時に、『これはどういうことなんだろう?』という感覚に陥ったのですが、この感覚が僕はとても好きなんですよ。ワールドプレミアでも本当に盛り上がったし。ハリウッドと共同製作なんて、見る時にちょっと構えてしまいそうじゃないですか。でも、全然そんなことない。登場人物もどうしようもない人ばかりだなと思っていると、そこに美しさを感じられたりもする。そんな作品なので、ぜひ楽しんで見ていただければうれしいです」

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PROFILE
1993年6月11日生まれ、神奈川県出身。2008年、TVドラマ「スクラップ・ティーチャー~教師再生~」で俳優デビュー。『全員死刑』(2017)で映画初主演を務めると、NHK連続テレビ小説「半分、青い」(2018)、NHK大河ドラマ「麒麟がくる」(2020)など話題作に出演。近作に「良いこと悪いこと」(2025)、NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」(2026)、Netflix「ダウンタイム」(2026)など。待機作に「神のクイズ」(2026年12月4日配信開始)がある。

取材・文/渡辺敏樹 撮影/中川容邦
ヘアメーク/三宅茜 スタイリスト/津野真吾[impiger]

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