福山雅治×有村架純が好相性!バディの魅力が光る『ブラック・ショーマン』ほか、東野圭吾ミステリーの映画化作3選
映画 見放題
2026.10.15
ミステリー小説(推理小説)の先駆者、エドガー・アラン・ポーの命日であり、今年も数々のメディアで話題となった"ミステリーの日(10月7日)"。特に日本は、世界有数の推理小説大国と言われるが、その人気を長年牽引してきた存在として、希代のヒットメーカー・東野圭吾の名は欠かせないだろう。
今年8月に発売された最新刊「永遠の記憶」が大反響を呼んでいるガリレオシリーズや、9月より同名映画が公開されている「白鳥とコウモリ」など、数々の名作が映像化されてきた東野ミステリーには、これまでにも特徴的なバディが登場し、その謎をひも解いてきた。ここでは、そうしたバディの魅力が堪能できる原作映画を紹介してみたい。
■叔父(福山雅治)と姪(有村架純)の名タッグ!/『ブラック・ショーマン』

『ブラック・ショーマン』 (C)2025映画『ブラック・ショーマン』製作委員会
ガリレオシリーズの"原作・東野圭吾×主演・福山雅治"というゴールデンコンビが再びタッグを組み、小説「ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人」を映画化した『ブラック・ショーマン』(2025年)。
天才物理学者・湯川学を魅力的に演じてきた福山が一転、そのパブリックイメージを覆す"ダークヒーロー"に扮し、これが初顔合わせとなった有村架純とのバディも大きな話題を呼んだ本作。かつてラスベガスで名を馳せた超一流マジシャンの主人公・神尾武史(福山)が、何者かに殺された兄・英一の死の真相を、英一の娘である姪の真世(有村架純)と共に突き止めていく。

『ブラック・ショーマン』 (C)2025映画『ブラック・ショーマン』製作委員会
主人公・神尾武史は、天才的なマジックとメンタリスト顔負けの人間観察能力を持ちながら、手段を選ばず、金にはシビアで、息を吐くように嘘をつくというブラックな顔も併せ持つキャラクター。演じる福山は、撮影の数カ月前から練習に取り組み、自ら披露した巧みなマジックに加え、ケレン味のあるセリフ回しに怪しげな笑みなど、何か企んでいそうなダークヒーロー像を作り上げている。
成り行きでバディを組むことになった姪の真世との関係もユニークで、食事代をせびったり、捜査のために利用したりと、ぞんざいな扱いをしつつも、時折、叔父としての優しさも覗かせる。一方の真世は、最初こそ、やりたい放題の叔父に戸惑い呆れていたが、次第に言い返し、時にはうわてにも回るようになっていく。

『ブラック・ショーマン』 (C)2025映画『ブラック・ショーマン』製作委員会
福山の変幻自在の演技と、それに絶妙な間合いでツッコミを入れる、有村のコミカルな芝居も秀逸。叔父と姪が、丁々発止のやり取りをしながら事件の糸口を掴んでいく様が痛快で、今作が初顔合わせとは思えないほど息ぴったりの演技でバディ感を演出。他人とも、親子ともまた違う、2人のちょうどいい距離感が心地良く、それが謎解きだけではない、ヒューマンドラマの奥深さをもたらしている。
■阿部寛&溝端淳平の"従兄弟バディ"が絶妙な掛け合いを見せる/「新参者」シリーズ劇場版

『麒麟の翼 ~劇場版・新参者~』 (C)2012 映画「麒麟の翼」製作委員会
親族によるバディという点では、ガリレオシリーズと並び、特に人気の高い加賀恭一郎シリーズを映像化した「新参者」シリーズも必見。主人公の刑事・加賀恭一郎(阿部寛)と、その従弟である松宮脩平(溝端淳平)がタッグを組み、絶妙な掛け合いを展開する。
シリーズの8作目にあたる「新参者」は、2010年に日曜劇場「新参者」として映像化され、日本橋署に異動してきた加賀の推理が冴えわたるミステリー要素と、その裏にある人間模様に焦点を当てたヒューマンドラマ要素が融合し、これまでにない"泣けるミステリー"として大きな話題に。
その大ヒットを受けて映画『麒麟の翼 ~劇場版・新参者~』(2012年)が公開され、前後に2作のスペシャル版(「赤い指」「眠りの森」)を挟みながら、「新参者」シリーズ完結編として制作された劇場版第2作『祈りの幕が下りる時』(2018年)でも、彼らの活躍と成長が描かれた。

『麒麟の翼 ~劇場版・新参者~』 (C)2012 映画「麒麟の翼」製作委員会
劇場版第1作となる『麒麟の翼 ~劇場版・新参者~』では、日本橋の麒麟像の下で男性の刺殺体が発見されたことを発端に、複雑に入り組んだ事件から浮かび上がる人間模様を丁寧に描き出していく。
腹部を刺されたまま歩き続けて息絶える被害者・青柳に扮した中井貴一や、容疑者の青年・八島の恋人役を担い、これがミステリーのヒロイン初挑戦となった新垣結衣ら、シリーズ初参加組の好演が評判に。さらに、父である青柳との確執に悩んでいた高校生・悠人役に松坂桃李、その友人や後輩役として山崎賢人(「崎」は正しくは「立さき」)、菅田将暉らが顔を揃えており、今振り返ると驚くほど豪華なキャスティングだ。

『麒麟の翼 ~劇場版・新参者~』 (C)2012 映画「麒麟の翼」製作委員会
中でも、「最高の当たり役」と支持を集めたのが、主人公の加賀恭一郎を演じた阿部寛。その従弟であり、警視庁捜査一課の若手キャリアの松宮脩平に扮した溝端淳平とのバディも評判だった。
松宮は、加賀のことを「恭さん」と呼び、気心の知れた関係性であることが窺えるが、会議ではまるで加賀の腹話術人形かのように代弁させられるなど、"従兄に振り回される弟分"という構図がお約束。松宮の不満を加賀がなだめる際の軽妙なやりとりなど、対照的な演技でユニークな関係性を浮かび上がらせた。

『祈りの幕が下りる時』 (C)2018 映画「祈りの幕が下りる時」製作委員会
それから6年の時を経て公開された劇場版第2作『祈りの幕が下りる時』は、「半沢直樹」や「VIVANT」シリーズで知られる福澤克雄監督がメガホンを取り、重厚かつ緻密な演出で、加賀の過去にフォーカスが当てられた。
古いアパートで起こった絞殺事件の捜査線上に浮かび上がってきたのは、美しき舞台演出家・浅居博美(松嶋菜々子)。彼女の鉄壁ともいえるアリバイに捜査が難航する中、犯行現場の遺留品から"ある事実"が発見される。そして、それは幼いころに自分を捨てて失踪した母親に繋がっていた...。

『祈りの幕が下りる時』 (C)2018 映画「祈りの幕が下りる時」製作委員会
松本清張の傑作ミステリーを映画化した名作『砂の器』(1974年)へのオマージュが感じられる本作では、テロップを使って捜査の過程がテンポ良く描かれ、壮大なスケールの音楽にも涙腺を刺激させられる。そんなシリーズの締めくくりに相応しい重厚な世界観にあって、加賀と松宮との関係性にも変化が...。これまで加賀に頼り切りで、敬語で接していた松宮が、今作ではタメ口をきいたり、命令口調で話す場面も。連続ドラマから築き上げてきた"バディ感"の進化も見どころといえるだろう。

『祈りの幕が下りる時』 (C)2018 映画「祈りの幕が下りる時」製作委員会
互いに異なる視点を持ち寄ることで真相を浮き彫りにする――そんな頼れる相棒の存在が、謎解きの要素に人間味やユーモアを加えているのも、東野ミステリーの魅力の1つ。秀逸なヒューマンドラマへと昇華させる、こうした"名バディ"のやり取りにも目を向けて、よりディープに作品世界を堪能してみては?
文/武山奏戸



