声優・内山夕実インタビュー#2「2年間の社会人経験を経て、ふたたび声優の道へ」

声優・内山夕実インタビュー#2「2年間の社会人経験を経て、ふたたび声優の道へ」

「無職転生 ~異世界行ったら本気だす~」のルーデウス・グレイラット役をはじめ、「お気楽領主の楽しい領地防衛~生産系魔術で名もなき村を最強の城塞都市に~」のヴァン・ネイ・フェルティオ役、「Re:ゼロから始める異世界生活」のパック役など数々の人気作品に出演する内山夕実さん。芯の強い女性から少年、かわいらしいマスコットまでを演じ分ける演技幅と、その人物像に真摯に向き合うことから生まれる圧倒的な表現力で、キャラクターに命を吹き込みます。そんな内山さんの声優の原点には、中学時代に情熱を注いだ朗読劇の部活、そして切磋琢磨し合った「良きライバル」の存在がありました。このインタビューでは、全3回にわたり内山さんの歩みと、お芝居への情熱を、出演作品にまつわるエピソードとともにひもときます。

■同期の活躍を見て、いてもたってもいられなくなった

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――前回からのインタビューでは、「高校卒業までは事務所の"預かり"だった」というお話をおうかがいしました。

「はい。ただ、その先にまた壁があって。大学2年のときに、両親から『もうやめなさい』と言われたんです。『就職先はもう決めてある、就活もしなくていい、でもその仕事先は副業ができないからやめるんだよ』と言われて...。そのときの私は、メインと呼べるお仕事もなければ、レギュラーもなかったので、反対を押し切れなかったんですよね。やっぱり厳しい世界だっていうのも、どこかでわかってはいたし。だから、自分はもうこれを受け入れるしかないのかもって思って、諦めることにしたんです」

――すっぱり諦められたんですか?

「...というよりも、中途半端だと、諦めきれないだろうから、すっぱりと諦めるために、身の回りにあったお芝居に関するものを全部手放したんです。未練が残るものがそばにあったら、そっちに引きずられてしまうから」

――それだけ強い気持ちで、区切りをつけたんですね。

「そうやってOLを2年間やったんですけど、その間に、養成所で一緒に切磋琢磨してた人たちが、一気に活躍するようになっていって。自分で『見よう』と思わなくても目に飛び込んできてしまうくらいめざましく...。そこで、自分の気持ちが一気に抑えきれなくなったんです。『もし、自分が諦めずにやり続けていたら、みんなと同じじゃなかったとしても、チャンスはあったのかもしれない』って思ったら、もういてもたってもいられなくなっちゃって...」

――やりきる前に諦めてしまった、という後悔が。

「そう。だから、両親に泣きながら直談判したんです。そのときの気持ちが、もう本当に強かったんだと思います。両親も『2年間OLをやって、それでも気持ちが変わらないなら、もうしょうがないね』って言ってくれて。そこで初めて、認めてもらえたんです」

■少し道が変わったら全然違う未来になっていた

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――ご両親が認めてくれてからは、どんな動きを?

「イチから出直すつもりで、いろんな学校の体験入学や説明会を回っていきました」

――一度は事務所にも所属したのに、そこから...!?

「すぐに戻れるような世界じゃない、とは思っていたので。そうしたら、あるとき説明会で訪れた学校のスタッフの方が、私のことをご存じだったんです。でも、どういうわけかちょっと、怒り気味な感じで...」

――怒り気味...なんででしょうか?

「『ここに来ている子たちは、みんなゼロからやろうとしている子たちなのに、ある程度の実績がある状態でまた来るのはどういうつもりなの』って。そして、『同じ世界に戻るつもりなら、まずは元の事務所に連絡すべき。もし戻れないって言われたら、そのときにまたここに来ればいい』と」

――なるほど。

「『私、なんでこんなに大勢の前で怒られてるんだろう』とは思いながらも、しょんぼりした気持ちで、そのまま、当時まだ連絡がつきそうなマネージャーさんに、ダメ元で『ご無沙汰しています』って連絡してみたんです。そしたら、すぐさま『事情はわかりました、ただすぐにどうぞとはお伝えできないので、いまの実力を見せてください』という返事が返ってきて。それで、個別にオーディションの機会を設けていただくことになりました」

――それは緊張しますね...!

「それで、久しぶりに事務所のスタジオに行ったら、当時お世話になったそうそうたるマネージャーさんが、みなさん集結してくださっていて...。しかも、『大きくなったね』『前はすっぴんだったのに、自分でお化粧するようになっちゃって!』と、親戚の姪っ子に接するみたいに温かい雰囲気で迎えてくださって(笑)」

――やさしい...!

「本当にありがたかったです。ただ、肝心のお芝居に関しては『やっていない分だけ、ちゃんと衰えるんだな』というのが自分でもわかるくらい、滑舌は落ちているし、呼吸も続かない。『もうダメだ、終わった』と思えるような内容でした。結果は後日、ということで、その日はお別れしました。そしたら、数日後、『ぜひ戻ってきてください』とご連絡をいただきまして...」

――思い出話なのに、思わず「おめでとうございます!」って言いたくなってしまうお話です(笑)。

「ありがとうございます(笑)。いま思えば、"たられば"がすごくたくさんあるんですよね。もし同期の子の活躍が目に入ってなかったら。もし説明会で、スタッフさんに怒られていなければ。もし事務所のオーディションが合格してなければ......一つひとつの出来事がなければ、いま全然違う未来になっていたんだろうなとも思います。結果論ではあるけど、いまこうして声優として、そう思える日が来ていて良かったなと感じています」

■2年間の社会人経験は、遠回りじゃなかった

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――途中、2年間の社会人経験はいま、どんなふうに役立っていますか?

「自分だと正直わからないんですよね。ただ、お世話になっているスタッフさんや目上の方たちに、『やっぱり社会人経験あると違うよね』と言っていただける機会はそれなりに多くて。だから、周りの方には何か見えているものがあるんだろうなとは思うんですけど」

――ご自身だと、とくに何かを意識しているわけではない?

「身についているものはきっとあるんでしょうけど、自覚できるのは、例えば事務所への連絡の文章くらいで。『大変お世話になっております』とか、『お忙しいところ恐縮ですが、こちらご確認いただいてもよろしいでしょうか』みたいな言葉が、もう自然に出てくるようになっているのはあります。でも、それ以上のことは自分ではなかなかわからなくて...。
(マネージャーさんに向かって)どうですか?(笑)」
マネ「やっぱり違いますよ。社会人ってやっぱり段取りを組むのが基本になるので、やっぱり返事ひとつをとっても『先のところまで考えてる』っていうのが伝わってきます」
「そうなのか......OL時代は、自然とそれをやることになってたから身についてたんでしょうね。いま、初めて自覚しました(笑)」

――2年といえども、その経験があるかないかで視点が全然変わるんですね。

「でも声優の世界に戻ってきて最初の頃は、『2年間って遠回りをしてしまったのかな』ってずっと思っていたんですよ。高校時代に事務所"預かり"だった頃よりも、さらに若い世代の方が活躍される業界になっていたので。当時は、私が事務所の最年少で、先輩方にたくさんかわいがっていただいたけど、それがOLを経て戻ってきたら『制服姿で現場に来られる方がこんなにいるの!?』って驚いて...!(笑)」

――たしかに、ちょうど現役高校生の声優がぐっと増えたくらいの時期でしたよね。

「そうだと思います。だからこそ余計に、遠回りしてしまったかなという気持ちがあったんですけど。でも戻ってきてから、OL時代に経験したことが無駄にならないんだなって感じる場面が多くて。もちろん結果論ですけど、いい経験をさせてもらったんだなって、いまは思えています」

■脳内で杉田さんの声を再生してからのぞむことも|「無職転生 〜異世界行ったら本気だす〜」ルーデウス・グレイラット

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――「無職転生 ~異世界行ったら本気だす~」(以下、「無職転生」)でルーデウスを演じるにあたって、内山さんはどんな人物像として捉えていましたか?

「前世での後悔やトラウマを抱えながら、今度こそ本気で生きるという強い意志を持っている。でも、決して完璧ではなくて、弱さを抱えながらも努力と挫折を経て成長していく。そういう人間味の溢れるところが、彼の魅力なんじゃないでしょうか。必死にもがきながら、自分と自分の周りの人たちを幸せにしたい、守りたいっていう気持ちがすごく滲み出ていて、だから結果的にすごく応援したくなるキャラクターだなと思います」

――ルーデウスは、心の声を杉田智和さんが担当されていますよね。アフレコでのお二人のお芝居はどんなふうに作っていくんですか?

「じつは、1期のアフレコはコロナ禍で、同時に全員で一緒に収録できていなかったんですよ。だから、オンエアを観るまでは『どうなっちゃうんだろう』って思っていました。中盤からは少しずつ収録できるようになったんですけど、それでも同じブースでは録れない事もあったり。だから、杉田さんのモノローグと、アフレコ前に打ち合わせをした、っていうのはいままで一度もないんです」

――そうだったんですか...!例えば、逆に内山さんが杉田さんの"前世男の心の声"のお芝居に影響される部分っていうのがあったりはするんでしょうか?

「ルーデウスって、日頃は相対する相手に対してあまり自我を出さず、わりとルーデウスとしてしゃべる場面が多いんです。でも、シーンによっては前世の男としての自我がぐっと出てくるところもあって。例えば、パウロとの親子喧嘩のシーンで激昂するところとか、口調が一気に前世の男になりますよね。ああいう場面では、一度『杉田さんだったらどう言うだろう』って頭の中でイメージしてから、じゃあ自分はどう出すかを決めていく、みたいなことは意識的にやっていました。下ネタっぽくなる場面とかも、『杉田さんだったらもっと振り切ったことをおっしゃるだろうな』って思うと、自分ももっと振り切らないといけないな、とか」

――なるほど。一度、自分の脳内で杉田さんの声を再生してからのぞむ感じなんですね!

「そうですね。だから前回お話した『お気楽領主』のヴァンと違って、前世の人格の部分に関しては、杉田さんにものすごく頼もしく任せられる安心感があって。いまの世界でのルーデウスの人格に集中できる。最初のクールから、実際にオンエアを観てから『杉田さん、こういうお芝居をしてるんだ!』というのが、安心感になったり、答え合わせになったりしている部分も大きかったと思います」

■声を枯らすために深夜カラオケにこもった|「無職転生 〜異世界行ったら本気だす〜」ルーデウス・グレイラット

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――2期での続投はどんな経緯で決まったのでしょうか?

「1期のオーディションを受けたときは、ルーデウスの幼少期を演じるという感覚でした。2期で描かれるのは青年期がメインになってくるので、2期の放送が発表されたタイミングでは、じつはまだ私が続投するかどうかは決まっていなかったんです」

――ルーデウスの成長に合わせて声が変わる、とも考えられますもんね。

「周りの空気感的には『みんなで2期もやっていこう!』って感じだったし、ヒロインたちは同じように成長していくからキャストさんも当然、続投で。でも、私ってこのまま一緒なのかな、どうなんだろうって思っていた矢先に、続投の再オーディションをさせていただく機会があって。そこでもう一度、審査して選んでいただいたという経緯がありました」

――2期にのぞむにあたっては、どんな心持ちだったんですか?

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「そもそも原作がとても人気の高い作品なので、『声優、どうなるんだろう』というコメントはいたるところで見ていたし、視聴者のみなさんがそこに注目されているのはわかっていました。オーディションで選んでいただいた、という事実はあるけど、2期のルーデウスを全うするためには、『できる限りの努力をしないと、みんなが納得してくれないだろう』って思って。
ルーデウスが成長して体つきも変わっていくなかで、自分もいままでよりもっと大人びたお芝居をしていかなきゃいけない。それで、声を枯らして少しハスキーな要素を入れて臨むようにしたんです。深夜の3時、4時にカラオケに一人こもってガーっと声を枯らして、喉を焼くようにお酒を飲んで...」

――そんなことをやっていたんですか...!?

「そうなんですよ~!でも、なぜか私、喉が強いのか、寝ると元に戻っちゃって、なかなか潰れてくれない(笑)」

――強靭な喉を持っているんですね(笑)。

「夜中そうやって頑張って潰そうとしても、日常会話をしているだけでも戻ってしまうから、アフレコ現場に行っても、みんなとほとんど会話しない。お芝居の声を出すまでずっと黙っているという生活をしていて。でも、そんな生活をしていると、みるみる精神が病んでいくんですよね...!だんだんと、『私じゃない方がいいんじゃないか』とか、『みなさんにとってもそのほうがいいんだ』とか、いろいろ考えてしまって」

――夜中まで頑張っている分だけ、余計にそういう思いが強くなってしまうんですね。

「でも、そんなときにエリス、ロキシー、シルフィ、3人のヒロインの方達をはじめとした共演者のみなさんが、すごく励ましてくれて。『ルーデウスがゆみちゃんじゃなかったら愛せないよ!』って言ってくれたり。孫の手先生や監督やスタッフさんたちからも『もっと自信を持ってやっていいんですよ』って言葉をかけ続けてくれて。

――素敵なチームなんですね。

「ずっと『自分でいいんだろうか』と思い続けていたけど、その言葉があったから前に進むことができた。そして、本当の意味で『私でよかったんだ』と腑に落ちたのは、2期の最終話でした。それは、ルーデウスがパウロの墓前で独白するシーン。この場面だけは、赤ちゃんの頃からずっと演じてきた自分だからこそ、父パウロが死んだときのこの感覚、この感情を、セリフに乗せられているのかもしれない、と」

――あのシーンは、ルーデウスの前世といまの人生がどちらも乗っかっている感じがして、すごくぐっと来ますよね。

「『無職転生』ってルーデウスという一人の人間の人生を描ききっている作品だからこそ、1人の役者が人生を全うして演じきることに意味があるのかもしれないって、そのとき初めて納得ができたような気がしたんです。ここから、また前を向いて自信を持ってやっていかなきゃいけない。そんな覚悟が決まった瞬間でした」

――本当に、自分にとって大きな作品になったんですね。

「役者としてもたくさん、いろいろなチャレンジをさせてもらっていると思いますし、すごく大きな作品とキャラクターに巡り合えたなって、心から思います」

■恋多き男・ルーデウスのことをどう見てる?|「無職転生 〜異世界行ったら本気だす〜」ルーデウス・グレイラット

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――話はうって変わって、ルーデウスは恋多き男ですが、内山さんから見るとああいう男性はどう映っているんですか?(笑)

「2期の最終話でロキシーをめとるって家族に言ったとき、ノルンにめちゃくちゃ怒られるじゃないですか。それはもう、ごもっとも。ある意味、視聴者の気持ちを代弁してくれたノルンに、ありがとうの気持ちが湧いてきますよね(笑)。
でも、不思議なもので、ここまでルーデウスを演じてくると、なんとなく私は彼を擁護してしまうんですよね。『ごめんね、と言いながらもこうするしかないんや』みたいな気持ちになっていて。だからこそ、すべてを包み込んでくれたシルフィは、本当に女神だなって思いましたし、ノルンに対する『本当にありがとう』という気持ちも間違いじゃない(笑)」

――内山さんのその感謝の気持ちが、きっとルーデウスが周りに対して持っているものと、同じなのかもしれないですね。

「そうなんです。この作品に関しては、ずっと地続きで1人のキャラクターを演じさせてもらっているからこそ、相対するキャラクターたちとの距離感や温度感が、本当のリアルと一緒で、ちゃんと積み重なっていく感じがあって。
シルフィやノルンへの感謝の気持ちは、そのまま彼女たちへ投げかける言葉の言い方にも繋がっていく部分があります。もはや『こういう言い回しにしよう』『こういう距離感でしゃべろう』とか考えなくても、自然とその関係性でしゃべれている感覚があるんですよね」

――リアルな人間関係を築いていくのに近い感じですね。

「逆に、キャストのみなさんと実際にお会いすると、その感覚が出すぎちゃうことも。ノルン役の会沢紗弥ちゃんには、なんとなく若干の後ろめたさがしばらくあって、変に気を遣ってしまうとか(笑)」

――逆に、作品の世界観の関係性を引きずるんですね(笑)。

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「それはありますね。現場もおもしろくて、シルフィ役のかやのん(茅野愛衣さん)が、まさに『第一夫人感』っといった感じで、ロキシー役の小原ちゃん(小原好美さん)が現場に入るときも『大丈夫よ。この場、温めておいたから』みたいな、どこか余裕のある佇まいで(笑)。ロキシーの出番前に、別の現場で小原ちゃんがかやのんにお会いしたときも『そろそろ「無職転生」の現場、入るんでしょう』って声をかけていたみたいで。もうみなさん、どこかキャラクターの影響を受けているのかもしれません(笑)」

■「完璧じゃなくてもいい」ことを教えてくれる|「無職転生 〜異世界行ったら本気だす〜」ルーデウス・グレイラット

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――さきほど「『無職転生』はルーデウスの人生を描ききっている」という話がありましたが、そういう作品は少ないですか?

「そうですね...!とくにあのスケール感は、長編じゃないとなかなか難しいですし。しかも、ルーデウスに限らず、彼に関わる人たちの描写も、原作だとさらに細かくていねいに書かれているんです。『一体どんな人生を送られたら、男性視点だけじゃなく女性視点までこんなにリアルに気持ちを汲み取れるんだろう』って、孫の手先生の過去について、つい思いをめぐらせてしまいます(笑)」

――あれだけ多くの登場人物の感情を描くのはすごいことですよね。これまでのシーズンの中で、印象に残っているシーンはありますか?

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「『無職転生』は、どの話数も取りこぼせないんですよね。どれもが全部大事なキーになっているので、なかなか一つに絞れなくて。強いて挙げるなら、やっぱり先ほどもお伝えした最後のパウロのシーンはやっぱりすごく大事なシーンだなと思っています」

――あらためて、内山さんから見た作品全体の魅力も教えていただけますか?

「ルーデウスって、すぐ調子に乗って、すぐ失敗して、挫折してっていうことを繰り返していくんですよね。でも結局、大事なのって『完璧にこなすことじゃなくて、失敗したときに次をどうリカバリーしていくか』なんだなって。経験したことって何一つ無駄じゃなくて全部、次への布石になっていくんだと思うと、自分の人生とも重ね合わせられる部分がたくさんある。それがこの作品の一番の魅力なのかな、と私は思っています」

――主人公が最強なパターンの作品も多いなかで、ルーデウスみたいにたくさん失敗して前進していくというのは、たしかに特徴的ですよね。

「そう。しかも、異世界でのルーデウスとして成長していくだけじゃなくて、前世の男としての成長もていねいに描かれているので、そんな描写もこの作品ならではだなって思います」

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取材・文/郡司 しう 撮影/梶 礼哉

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