令和版「ハイスクール!奇面組(2026)」で驚いたネーミングセンスと心に残る言葉【松井玲奈】

令和版「ハイスクール!奇面組(2026)」で驚いたネーミングセンスと心に残る言葉【松井玲奈】

ここ数年、昭和に放送された人気アニメーションが次々と令和版としてリメイクされています。そのどれもが私が幼少期の頃に再放送などで触れてきた作品で、懐かしさを感じながら放送を楽しみにしていました。令和版と銘打っても、オリジナルキャストのままの作品もあれば、新キャストで全体を一新する作品もあります。「ハイスクール!奇面組(2026)」は後者であり、一新されたキャスト陣は私にとっては耳なじみのある面々がそろっていました。

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個性爆発!思わずうなるネーミングセンス

「ハイスクール!奇面組」は知っていても、実際に見たことがあるかと言われると、記憶に自信がないのが正直なところ。断片的な情報しか持っていない私は、各キャラクターがちびキャラになることくらいしか知りません。そんな中、主人公・一堂零(いちどうれい)が「いってきまーす!」と家を飛び出す第一声から始まる第1話。関智一さんの声が聞こえてきた瞬間に、一気にこの作品のテンション感が伝わるとともに、私自身が関さんの声に安心感を覚えていることに驚きました。これまで多くのコメディーキャラクターを演じ、数々の作品にウィットに富んだ笑いをもたらしてきた彼が、メインキャラクターとしてこの作品を引っ張っていくなら大丈夫だろうという、絶対的安心感です。

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今回初めて作品に触れて驚いたのは、各キャラクターの名前が個性豊かで面白いこと。ありそうだけどよく見ると、とてもユーモアの効いた名前の数々に夢中になり、新しいキャラクターが出てくるたびに、これはどういう名前だ?と確かめて楽しむほどです。一堂零は奇面組のリーダー。冷越豪(れいえつごう)はナンバー2。出瀬潔(しゅっせきよし)はメンバーの中でも常識を持ち合わせた人物ですが、それはメンバーの中での話。大間仁(だいまじん)、物星大(ものほしだい)とそれぞれの名前を見て気が付くことはありませんか? そう、それぞれの名前が一つの言葉として成立しているのです! なんと面白いネーミングセンス!と私は喜んでいました。そうなると他の登場人物たちは一体どんな名前を持っているんですか?と興味津々。

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ストレートなヒロインの名前から気づいた驚き

その中で特に気に入り、かつうなった名前がヒロインの名前。転校初日に新しいクラスメートの前で自己紹介をする彼女はこう名乗ります。「河川唯です」――かわ、ゆい。一見すればごく普通の名前に思えますが、つなげてびっくり!「かわゆい」になるじゃないか!「かわゆい」という言葉はてっきり現代的な言葉とばかり思っていましたが、昭和に作られたこの作品の時代からすでにかわいいことを「かわゆい」という文化があったのか!と驚いたのです。

そして、このストレートな名前をヒロインにつける作者・新沢基栄先生の発想力がシンプルにうらやましい。だってヒロインだもの、かわいくいてほしいじゃないですか。私は小説を書くのですが、そこで一番頭を悩ませるのが登場人物の名前。奇面組を見習って、今後はつなげて読むと言葉になっているキャラクターを登場させてみたら面白いかもしれないなと、想像は膨らむばかり。

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笑いの中にある心に留めておきたくなる言葉

さて、そんな唯ちゃんはどんなことにも興味津々で、奇面組のとっぴな行動にも積極的についていく、物語としっかり伴走してくれる頼もしいキャラクターです。第3話「親切心のギャグ効果!?」では唯が親友である千絵に親切心からおせっかいをしてしまうお話。二人の友情が壊れてしまうのでは?と心配しながら見ていました。廊下ですれ違いそうになる零と千絵。どちらに避ければ相手とぶつからずに済むかと一瞬考えてしまう瞬間は、日常生活で誰もが経験する出来事ではないでしょうか? 一人がぶつからないように道を空けようとすると、相手もまた同じ方向に避ける。慌てて逆へ避けようとすると、また同じように避ける。偶然の通せんぼ――それが「親切心の逆効果」。

人間関係でも、相手を思いやってとった行動が思いがけず相手を傷つけてしまうことがあります。唯は千絵のことが心配でなんでも口を出してしまう。それが千絵の気持ちを傷つけてしまうのです。そうして二人の仲が険悪になっていく中で、また廊下で鉢合わせた零は「たまにはぶつかるのもいいことですよ」と言うのです。ケンカを知ってか知らずか、思いがけない零の言葉が、二人の仲を修復するきっかけになるこの話が私のお気に入り。

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昔からこういった物語から得る人生の指針が好きな私。自分にも唯や千絵のように友達とぶつかることがあったなあ、と思い返していました。もちろんギャグに全振りした回もあれば、今の時代だからこその設定や物語展開もあります。笑いの中にふっと心に留めておきたくなる言葉があるからこそ、奇面組の破天荒な日常がきらめいて見えるのかもしれません。彼らは彼らなりに自分の個性を自分自身が認めるために、たくさんの壁にぶち当たってきたのかも。だからこそ生まれる思いやりや、自分を守る"お守りの言葉"が作品の随所にちりばめられています。今だからこそ、あなたに響く言葉があるかもしれません。

松井玲奈

松井玲奈 (役者、小説家)

役者、小説家。アニメ好きとしても知られる松井玲奈が毎回1つの作品を取り上げて、その魅力を再発見する。

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