春高戦士・蒔埜ひなが選ぶ「大同生命SVリーグ 2025-26」の注目選手「女子は佐藤淑乃選手、男子は甲斐優斗選手」

春高戦士・蒔埜ひなが選ぶ「大同生命SVリーグ 2025-26」の注目選手「女子は佐藤淑乃選手、男子は甲斐優斗選手」

高知県出身で「ミスオリエンタル2023」の四国代表に選ばれ、昨年7月に芸能界デビューを果たした蒔埜ひな。高校時代には「春高」こと全日本バレーボール高等学校選手権大会に出場を果たした経歴を持つ蒔埜に、10月に開幕した「大同生命SVリーグ 2025-26」の中から男女それぞれ1試合をピックアップしてもらい、注目ポイントを語ってもらった。「大同生命SVリーグ 2025-26」は、男女全試合を「J SPORTSオンデマンド」でLIVE配信中。

■人生の半分以上をバレーボールとともに過ごしてきた

バレーボールとは競技を始めた小学2年生から高校3年生までおよそ10年間、本当に自分の人生の半分以上を過ごしてきたと言っても過言ではないほどの付き合いになります。今こそ芸能関係のお仕事をさせてもらっていますが、当時は純粋な"バレーボール少女"でした。バレーボールを始めたきっかけは、小学校の一つ上の先輩から誘っていただいたことです。最初は、エンドラインから打ったサーブが相手コートに入った瞬間が一番うれしかった記憶があります。

私は、兄と弟がいることもあって、小さい頃からどこか男勝りな性格でした。負けず嫌いで、大会では試合に負けるのがとにかく悔しかった。そうして小学4、5年生の頃から地元の強豪チームに入りました。始めた頃からポジションはミドルブロッカーで、中学では一度セッターをやったこともあります。中学生の頃に高知県選抜に入ったのですが、それまで小さい体育館でしかプレーしたことがなかったので、全国大会では雰囲気に飲み込まれました。私にとって「高い天井=全国大会」です(笑)。中学校単位では全国大会に進めなかったので、「もっともっと勝ちたい」「さらに頑張ろう」という思いで高校に進みました。高校は部員数も多かったですし、レギュラー争いが中学とは比べものではありませんでしたが、上下関係はそれほど厳しいわけではなく、それがプレーの上達につながりました。

■「仲間がつないでくれたボールを決め切ること」が一番の喜びだった高校時代

高校1年生の時は、レギュラーとしてインターハイを経験しましたが、以降はレギュラーとベンチの間を行き来していました。つらかったですが、ベンチの経験をしたからこそ、コートに立つことの重みを学べたと感じています。最終的に春高ではレギュラーになれなくて、大会本番ではリリーフサーバーで出場しました。それまで県大会で優勝していましたが、全国大会では強豪校が集まります。高さも技術もまるで通用しませんし、熱量も自分たちとは違う。こんなに自分がちっぽけな存在になる場所があるんだ、と痛感しました。振り返ると学生時代は「なんで、こんなにきつい練習をやっているんだろう?」と思うほどだったのですが、それでも仲間がつないでくれたボールを最後に自分が責任を持って決め切ることは気持ちよかった。一点が決まって全員で盛り上がる瞬間は楽しかったです。「バレーボールは、自分がやり切ったと思えるところまでやる」と決めていました。高校3年間でやり切れたので、部活を引退した後はすぐに芸能活動を始めました。出演させてもらったローカルCMを見て、周りはびっくりしていましたね(笑)。

■女子の注目試合は、第3節(10月24日〜25日)のNECレッドロケッツ川崎vs.大阪マーヴェラス

まず衝撃的だったのが、大阪MVの守備。NEC川崎は、チーム全体のサーブや強力な外国籍アタッカーが武器だったのですが、それに対してびくともしないんです。サーブレシーブも崩れないし、ブロックやお互いのフォローが素晴らしかった。また二段トスの精度も高くて、うまく得点につなげられている印象でした。なかでも、リベロの目黒優佳選手のプレーには脱帽しました。私はまずNEC川崎のパワフルなサーブに驚かされましたが、それをさらりと上げていく。ディグに関しても「なぜそこにいるんだ!?」と。とにかく感動しましたね。チームとしても持ち味が発揮されていましたし、大阪MVが対戦相手だったら嫌だな...と思いながら見ていました(笑)。

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また、NEC川崎の佐藤淑乃選手はもう"THE エース"という存在ですよね!佐藤選手はラリーが続いても、打点が落ちないところが最大の魅力。レシーブして、ブロックも跳んで、何回も助走を開いて、最後まで決め切るには体力が必要なわけですが、佐藤選手はトレーニングを相当積まれているんだろうなと想像しています。佐藤選手は、普段からラントレをたくさんされていると聞きました。ラントレって大事なんです、やっている当時は嫌でしたけれど(笑)。私はミドルブロッカーだったので、アタックのダミー(おとり役)で何度も跳んでいましたが、そこでも体力が求められます。「ミドルブロッカーの仕事はエースアタッカーの負担を減らすことだ」と、今思えば自分の役割に誇りを持っていました。

■男子の注目試合は、開幕節(10月24日〜25日)の大阪ブルテオンvs.サントリーサンバーズ大阪

"大阪ダービー"ということで、注目していました。特に、10月25日の第2戦はサントリーの総合力が高くて、一方の大阪Bは決して悪かったわけではなくとも、ややサーブミスが目立ってしまったと感じました。

注目選手は、大阪Bの甲斐優斗選手です。同年代でSVリーグのコートに立ち、さらに日本代表でも活躍するほどのポテンシャルを持っていらっしゃるので、とにかく注目していました。実際にサントリー戦ではとんでもない高さを誇るドミトリー・ムセルスキー選手(身長218センチ)が目の前に立ちはだかるわけですが、ブロックを利用してブロックアウトで得点したり、リバウンドを選択して自ら処理して立て直したり、といった冷静さが随所で見られました。これからも甲斐選手が国際大会で高いブロックを相手にどうやって対処していくのか、注目したいです。そして、甲斐選手といえばサーブも見どころですよね。本当に肝が据わっていて、「同じ21歳!?」と思ってしまうほど。私自身はサーブで点を取れる選手ではまったくなかったので...うらやましくもあります(笑)。サントリーでプレーされているお兄さん、甲斐孝太郎選手もリリーフサーバーで活躍されていますし、兄弟そろってバレーボールを楽しんでいる印象なので、見ている側も楽しくなりますよね。

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学生時代はほぼ毎日練習がありましたし、週末は練習試合や大会という生活でした。なので、Vリーグの試合を学校で見ることはあっても、会場に足を運ぶ機会はなかったんです。最近、サントリーや東京グレートベアーズの試合を生で観戦して、会場の演出に「今からバレーボールが始まるの!?」とびっくりしました。女子はまだ生で観戦したことがないので会場に足を運んでみたいですし、配信でいろいろなチームの試合を見てみたいです。

また、秋から冬にかけては、学生バレーも大詰めを迎えます。今バレーボールを頑張っている学生たちには、とにかく失敗は恐れずに、今を楽しんでほしいと伝えたいです。私自身、当時は「もう二度とやりたくない」と思うほど練習がきつかったのですが、それすら愛おしくなる日がくるので。今その瞬間を頑張って、過ごしてもらえたらと思います。

私自身の今後の目標は、バレーボールの魅力に気づいてくださり、会場へ足を運んでくださる方々が多くなってきた今だからこそ、もっともっとバレーボールの魅力を発信できる存在でありたいです。

取材・文/坂口功将

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