執念のタックルで「花園」の頂点を狙う逸材!福田恒秀道選手 國學院栃木ラグビー部(3年)CTB(センター)学スポPRESS〜若き挑戦者たち〜Vol.3

執念のタックルで「花園」の頂点を狙う逸材!福田恒秀道選手 國學院栃木ラグビー部(3年)CTB(センター)学スポPRESS〜若き挑戦者たち〜Vol.3

全員で粘り強く身体を張る。
「執念のタックル」が國栃の誇りです。

全国高等学校ラグビーフットボール大会、通称「花園」に栃木県予選を圧倒的な強さで制し、26大会連続出場を決めた國學院栃木ラグビー部(栃木)。昨年は準決勝で優勝した桐蔭学園(神奈川)に敗れたが、今季はキャプテンCTB福田恒秀道(つねひでみち)のもと、"徹底力"と仲間への信頼を胸に初の日本一を目指す!

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――昨年の「花園」(全国高校ラグビー大会)を振り返ってどうでしたか?

「チームの調子も良く、初優勝を狙って臨みましたが準決勝で敗退してしまいました。桐蔭学園(神奈川)戦で試合の運び方やフィジカルの差を痛感し、日本一の壁の高さを強く感じました。まだ足りない部分が多かったと思います。花園で勝つためには、1プレーの重みや1本のミスに対する意識をもっと高めなければならないと痛感しました」

――花園で得た課題をその後、どう補ってきましたか?

「特にフィジカルを強化してきました。新しいS&C(ストレングス&コンディショニング)コーチのもと、週3回のウエートトレーニングを徹底しました。体重は4kg増えましたがスピードは落ちていないと思いますし、瞬発力やジャンプ力も上がりました。どんな日も妥協せずやり切ることを大切にしています。こうした基礎の積み重ねが、試合の最後の一歩や一瞬の粘りにつながると信じています。練習中にも常に『徹底しよう』という言葉が飛び交い、チーム全体の意識も確実に変わってきたと思います」

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――キャプテンに就任した経緯を教えてください。

「毎年、チーム全員の投票でキャプテンを決めます。今年は自分が選ばれ、責任の重さを改めて感じました。キャプテンになってからは、プレーだけでなく仲間をどう動かし、どう信頼を得るかを常に考えるようになりました。キャプテンという立場は、自分が目立つことではなく、仲間を信じ、全員が力を発揮できる環境を整えることだと感じています」

――キャプテンとして何か意識していることはありますか?

「最初は思ったことをすぐ言葉にして伝えていましたが、全てを自分で抱え込むのではなく、他のリーダーなどの同期に任せる勇気を持つように意識しています。自分がいなくてもチームが回る状態をつくるのが理想です。そのために、一人ひとりがリーダーとして自立できるような雰囲気になるように心がけています。今はミスを恐れず意見を出し合い、互いを尊重する文化が少しずつ根づいてきたと思います」

――リーダー陣を紹介してください。

「PR神田湊喜(あつき)、FL小田部祐太、SH石原陽(はると)(いずれも3年)の3人です。彼らはそれぞれの持ち場で責任感を持ち、誰よりも声を出してチームを引っ張ってくれています。10番のSO手塚慈英(じえ)やHOの千野雄平など、リーダーシップを発揮する選手も増えてきました。全員が支え合うことで、以前よりも、よりまとまりのあるチームになってきたと感じます。試合中に声が途切れず、苦しい時間帯でも誰かが必ず前に出るようになった。こうした『頼れる仲間』が増えたことが、今年の一番の変化です」

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――春の全国高校選抜大会では1回戦・佐賀工業に敗戦(10-14)にしましたが、 6月の関東大会で復調し、昨季の花園王者の桐蔭学園に50-7で快勝して優勝。そこから調子を上げていますが、その要因を教えてください。

「選抜大会は、勝ちたい気持ちや一体感が足りず、全員が同じ方向を向くことができておらず、結果に影響しました。ディフェンスは今まで積み上げてきたので、選抜大会後は特にアタック力を強化しました。あとは私生活の見直しから始めました。規律を守る、小さなことをおろそかにしない。そうした日々の積み重ねにより、最近では練習中の空気も締まり、声の量も増えています。全員が"やらされる"のではなく、"自分たちでやる"姿勢に変わりました。花園を目指す過程で、技術よりもまず人間として成長することが大切だと実感しています」

――今年の7月、夏の7人制ラグビー(セブンズ)の全国大会では初優勝に輝きました。それはどう15人制ラグビーに生きていますか?

「セブンズでは『根性』をテーマに掲げ、わずか1か月の準備期間を全員で本気でやり抜きました。初めて"日本一"という結果をつかめたのは、チーム全員が一つの目標に向かい、誰も妥協しなかったからだと思います。7人制は1プレーの重みが大きく、強気で丁寧に戦うことが求められます。その経験を通して、苦しい局面で我慢し、粘り強く前へ進む力がついたと思います。あの一体感を、今度は15人ラグビーでも、全員で再現したいと思っています」

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――あらためて、今年のチームの強みはどこだと思いますか?

「今年のチームはアタック力もついてきましたが、強みはやはり『執念のタックル』です。どんな状況でも最後まで諦めず、しぶとく守り抜くディフェンスが國學院栃木ラグビー部の誇りです。たとえ劣勢でも全員で身体を張って止めきる。その粘り強さこそ、僕たちの最大の武器だと思っています。ディフェンスは技術だけではなく、心の強さが問われます。だからこそ、タックル一発一発にチームの魂を込めています」

――今、意識していることを教えてください。

「メンタルの緩みをなくすことです。どんな場面でも集中を切らさず、試合の最後までやり抜く。チーム全員が同じ意識で"徹底力"を発揮できれば、必ず結果はついてくると思っています。練習でも『花園の一戦』を想定し、1プレーごとに試合の緊張感を持って取り組んでいます」

――キャプテンとして臨む、最後の花園に向けて抱負をお願いします。

「試合を重ねるごとにチームが成長していって、今シーズンこそ決勝に進出して最高のパフォーマンスを発揮したいです。どんな相手にも自分たちのラグビーを貫き、最後まで全員で戦い抜く。4年前に憧れた準優勝したチームを超えて、國學院栃木ラグビー部として花園で初の日本一、高校ラグビーの頂点に立ちたいです。その瞬間を仲間と分かち合えるように、日々の練習から全力で臨んでいます」

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PERSONAL
INFORMATION
ラグビーは父の影響で中学1年生のときに本格的に始めました。幼少期は福島でタグラグビーに親しみ、週末は東京でも練習を重ねてきました。花園では幼い頃から一緒にプレーしてきた桐蔭学園(神奈川)SO竹山史人との対戦を楽しみにしています。将来はリーグワンで活躍しつつ、7人制の日本代表になってオリンピックの舞台に立つことが目標です。

PROFILE
'07年5月17日生まれ。福島県出身。身長171cm /体重 76kg。ワセダクラブ→國學院栃木高校。ポジションはSO/CTB、9月にユース世代のセブンズ日本代表に選出。父・恒輝は早稲田大ラグビー部出身で、兄のSO/FB正武は帝京大学(2年)でプレーしているラグビー一家。

取材・文/斉藤健仁 撮影/長尾亜紀

番組名:第105回全国高等学校ラグビーフットボール大会
放送日:2025年12月27日(土)~2026年1月7日(水)
放送チャンネル:J SPORTS1 HD
※J SPORTS1 HD~ J SPORTS4 HD、J SPORTSオンデマンドで全試合放送・配信

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