SVリーグ2025-26開幕記念!西田有志(大阪ブルテオン)・林琴奈(大阪マーヴェラス)独占インタビュー「今季はパワーアップしたプレーを全て見てほしい」

SVリーグ2025-26開幕記念!西田有志(大阪ブルテオン)・林琴奈(大阪マーヴェラス)独占インタビュー「今季はパワーアップしたプレーを全て見てほしい」

ネーションズリーグ、世界バレーと続き、今年もいよいよ2025年10月10日(金)から「2025-26 大同生命SV.LEAGUE」が開幕する(男子は10月24日(金)開幕)。今回、昨季1年目を迎えたSVリーグで、レギュラーシーズン1位となった大阪ブルテオン(男子)、大阪マーヴェラス(女子)から西田有志と林琴奈に独占インタビューを行い、昨季の振り返りと、今季の見どころを聞いた。

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――昨季を振り返っていかがでしたか?

「優勝できたのは、選手一人ひとりがしっかりと考えを持って、コートの内外関係なく自分の役割を理解して動けたこと。さらにプレー面では、自分たちが強みにしているブロックとディグ(スパイクレシーブ)がハマった時は本当にボールが落ちず、シーズンを通してその強みが出せたことだと思います」

西田「レギュラーシーズンで安定して勝てたことは良かったと思いますが(1位)、チャンピオンシップ(準決勝敗退)で勝てなかったのは最後の最後まで、勝ち切るための準備ができていなかったのかなという悔しいシーズンでした」

――昨季、個人としてはどんなシーズンでしたか?

「チームの中で年齢が上のほうになってきたので、視野を広く持って、いろんな選手に声をかけることを意識しました。以前はあまり得意ではなかったのですが、積極的にやっていこうと。でもまだまだ足りなかったので、そういう面でももっと成長していきたいとあらためて感じました」

西田「日本人のオポジット(攻撃を専門とするポジション)が生き残るためにはどうすべきか。海外の選手がSVリーグにたくさん来ている中で、自分のプレースタイルへの考え方や身体の使い方などを、変化させていかなければいけないと感じました」

――今季、チームが優勝するために必要なことは?

「今までやってきたことの精度を高めつつ、新しいことにチャレンジして、成長することが2連覇につながると思います。昨季と同じことをしていても意味がないので、例えば男子がやっているような、ちょっとトリッキーで見ている人が『おお!』と盛り上がったり、自分たちもやっていて楽しいバレーができるよう練習から取り組んでいます」

西田「他チームにも言えることかもしれませんが、僕たちは代表選手が多く全メンバーがそろうのはシーズン開幕直前になるので、チームの完成度が徐々に高まっていくのを待つしかないと思っています。シーズン後半まで焦らず、優勝するためにはまずは我慢が必要だと思っています」

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――SVリーグ初年度だった昨季、Vリーグ時代と変わったと感じたところは?

西田「多くの試合がたくさんのファンであふれていました。Vリーグ時代は音響のボリュームの方がやや大きく感じていたんですけど、昨季はいいプレーが出たら音響をかき消すぐらいの大きな歓声で上がりました。声による応援の大事さをあらためて感じました。それ以外にも、出場できる外国籍選手が一人から二人になったことも大きいです。Vリーグ時代と比べると、各チームに名だたる外国人選手たちが加わって、とてもレベルが高いリーグになったと思います」

「女子は初めて完全なホーム&アウェー制になったので、最初はちょっとアウェーの雰囲気にのまれたところもありました。例えば会場の演出で使われている音響が大きかったりして、慣れない環境で集中できずに試合の入りが悪かったり...。プレー面では、外国籍選手の枠が増えたことでブロック、スパイクの高さやサーブ力が増したり、相手の攻撃が絞りづらくなりました。以前は外国人選手が一人で、最後はそこにトスが上がるチームが多く、読みやすい面があったのですが、今は複数人の強力なアタッカーがいたりするので、どちらをマークすればよいのか、判断が難しくなりました」

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――昨季対戦して印象に残ったチームや試合は?

西田「やはり、『ジェイテクトSTINGS愛知』ですね。相手はリーグ戦とチャンピオンシップとで変わらず、いつも通りにプレーして持てる力を発揮していましたが、僕たちは自分たちのプレーができず敗退しました。その経験を糧に、今季はさらに上を目指します」

「『NECレッドロケッツ川崎』は、本当に攻めの姿勢がすごいと感じました。特に佐藤淑乃選手は、どんなボールでもミスを恐れずに打ち切る。そこは私自身も求めている部分なので、見習っていければと思っています」

――(お二人とも日本代表には行かず)今夏は久しぶりに所属チームで過ごされていますが、どんなところを重点的に強化していますか?

「パワーをつけるためのトレーニングをしていて、今はそれをスパイクにつなげようとしています。どうボールを捉えて、どう体を使えばボールにパワーを乗せられるのか。スイングの時にしっかりと胸椎を開いて、打った後に重心が前に行くような意識で取り組んでいます」

西田「夏合宿をしましたが、一つひとつのことが自分の身になりました。今までの僕のプレースタイルだと、選手寿命はもってもあと5年かな、などと思っていたんですけど、今はいつに現役を終えるといった考えはなくなりました。フィジカルやテクニックに向かっていたこれまでとは違い、この夏は、ウエイトトレーニングの頻度は落とし、これまでとは違うアプローチで体づくりに取り組んでいます」

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――10月に開幕する2025-26SVリーグではご自身のどんな変化に注目して欲しいですか?

「これまでディフェンス面を注目されていたと思うんですけど、今季はオフェンス面も見てほしいです。難しいボールでも得点を取れるようになったなと(笑)。よりパワフルに、いろいろな決め方ができるように頑張りたいです」

西田「全部を見てもらいたいですね。少なからず、(スパイクの)打点は上がっているので。そういうところを見てもらえれば、これがキレなんだというのが伝わるかもしれません」

――今季、注目している選手は?

「今年マーヴェラスに来た福村心優美(こゆみ)は、パワーと若さが炸裂(さくれつ)しているので注目してほしいです。アタックを叩きこむ力は本当にすごい。私が高校卒業後に加入した時はあんなパワーはなかったので『おお!』と驚きました」

西田「今季からチームメイトになるフランス代表のセッター、アントワーヌ・ブリザール選手です。一緒にプレーするのがすごく楽しみです。外国籍選手の出場が二人に限られる中、攻撃的な選手ではなく、セッターを獲得してくるチームの面白みもあらためて感じました」

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――同学年のお二人ですが、お互いの印象は?

「西田選手は同い年とは思えなくて、会うとつい敬語を使っちゃいます(笑)。オーラがあるし貫禄があるから。やんちゃなイメージがありますけど、とても大人ですよね。プレーはもう見ての通り(笑)。ジャンプ力がまずすごい!スイングも速いし、フォームがキレイ。打つ前から『あ、これ決まるわ』とわかる。実は小学生の時に一度対戦したことがあるんです」

西田「僕も小学生時代に林選手と試合をしたことは覚えています。当時は男女を分けずに大会が行われていて、林選手のチームはめちゃくちゃ強かったんです。今のプレースタイルと変わらなかったですよ。そのときから全部のプレーのクオリティが高かった。今も付き合いがあって家に遊びに来たりしますけど、ひとりの女性としては、だいぶ抜けているところがあるなぁと思いますね(笑)。プレーの時とは違って、なんだか、ふわふわしているんですよ」

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――2年目となるSVリーグの見どころなど、読者へのメッセージをいただけますか。

西田「昨季よりも海外から実績のある選手が来ていて、日本人選手のレベルも確実に上がっています。選手としてもそこは本当に楽しみですし、多くの人に見てほしいです。アリーナでの臨場感や、プレーの驚きなどを一度でも生で見てから中継を見ると、また違った面白さを感じていただけると思うので、ぜひ、アリーナにも足を運んでください!」

「女子バレーも男子に負けず『すごい!』と思っていただけるプレーを展開していきたいと、選手たちはみんな思ってやっています。ぜひ、たくさんの方々に見てもらいたいです!」

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Profile

林琴奈●1999年11月13日生まれ。京都府出身。アウトサイドヒッター。身長173㎝、最高到達点290㎝。金蘭会高校3年時に国体優勝、春高バレーを制す。高校卒業後、JTマーヴェラス(現・大阪マーヴェラス)の内定選手ながらVリーグ決勝でデビュー。2020年に日本代表に初招集され、東京五輪、パリ五輪に出場。昨季SVリーグ(女子)レギュラーシーズンMVP、ベストレシーブ賞受賞。

西田有志●2000年1月30日生まれ。三重県出身。オポジット。身長186㎝、最高到達点350㎝。海星高校3年時にジェイテクトSTINGS(現・ジェイテクトSTINGS愛知)でVリーグデビューし、入団2年目でMVPを獲得。2018年に日本代表に初招集され、東京五輪、パリ五輪に出場。2021年にはイタリア・セリエAのビーボ・ヴァレンティアでプレー。2022年、ジェイテクトに復帰後、2023年から現チームに加入。

撮影/岡 暁 取材・文/米虫紀子(林琴奈)、カワサキマサシ(西田有志)

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