「日本代表での経験を生かし、リーグワンで初のプレーオフ進出を目指す!」【中楠一期/リコーブラックラムズ東京/SO(スタンドオフ)・FB(フルバック)】 ラグビーが教えてくれたこと~楕円球に魅せられた人々の熱い思い~

「日本代表での経験を生かし、リーグワンで初のプレーオフ進出を目指す!」【中楠一期/リコーブラックラムズ東京/SO(スタンドオフ)・FB(フルバック)】 ラグビーが教えてくれたこと~楕円球に魅せられた人々の熱い思い~

今年7月のウェールズ代表戦で、日本代表で初キャップを獲得したリコーブラックラムズ東京のSO/FB中楠一期(なかくすいちご)選手(25歳)。昨季のリーグワンで10位から7位に躍進したチームの振り返りや、日本代表での経験、今季の意気込みなどを聞いた。

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――昨季は7位と順位を上げ、プレーオフ進出まであと一歩のところでした。昨季を振り返っていただけますか?

「一昨年(2023-24)のシーズンと比べると、メンタリティが大きく変わったと思います。新たに指揮官に就いたタンバイ・マットソンHC(ヘッドコーチ)をはじめ、コーチ陣のマネジメントも良かったと思います。そして元オールブラックス(ニュージーランド代表)のSH(スクラムハーフ)だったTJ・ペレナラが加入し、練習での姿勢やミーティングで『こんなチームでは勝てない』と厳しく言われ続けたことで、徐々にメンタルが変わり、やってきたことを信じるようになって戦えるチームになったと感じています。彼自身も練習開始1時間前からグラウンドに来てパスやキックの個人練習を行い、選手たちにも良い刺激を与えてくれました。SOとして自分とハーフ団を組む相手としてもペレナラは、スタイルが独特で自由な発想を促し、選手がチャレンジングな選択をしやすい環境を作ってくれていますね」

――昨季で印象に残っている試合や対戦相手は?  

「やはり、東京サントリーサンゴリアスや横浜キヤノンイーグルスなど(2023-24の)上位チームを接戦で倒した時は達成感がありました。選手は、やはり対面で対戦した東芝ブレイブルーパス東京のSOリッチー・モウンガ選手はなんでもできて、さすが2季連続リーグワンMVPの選手だと思いました」

――昨季から日本代表にも入り、7月のウェールズ代表戦では初キャップでトライも挙げました。

「テストマッチはプレッシャーも大きかったですが、その経験は自分の成長につながったと感じています。エディー・ジョーンズHCは厳しいですが、昨年よりは少し優しくなったと思います。ですが、練習は細かいことを高いレベルで要求されて気が抜けず、常にプレッシャーがかかりますね。今年は5月の合宿から若いグループの中でリーダーを任されて、当時はまだリーチ マイケルさん(東芝ブレイブルーパス東京)など尊敬できるリーダーがいなかったので自分がやらなければならなかったのですが、今でもそのリーダーとしての振る舞いを継続してできているかな、と思います」

――2027年にオーストラリアで開催されるワールドカップへの思いは?  

「ワールドカップに出場し、結果を出すことがラグビー選手としての夢ですが、目標に執着し過ぎず、まずは目の前のことに集中して、自分の成長に注力し続けたいですね」

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――日本代表での経験は今季のリーグワンにどのように生きそうですか?  

「日本代表はチームメイトもそうですし、相手のレベルも高いので、自分らしいパフォーマンスをするのがすごく難しい場所だと思います。でも、そこでプレーすることは常に学ぶことが多いです。リーグワンのレベルももちろん高いですけど、テストマッチは自分へのプレッシャーが大きく、自分のプレーの幅が広がるので、大きなプラスになると考えています」

――ブラックラムズでも日本代表でもチームメイトだったSO伊藤耕太郎選手とのライバル意識はありますか?  

「ライバルだということは認識していますが、自分の成長が一番の目標なので、試合に出るかどうかは関係なく、互いに切磋琢磨して良い刺激になっていると感じています。耕太郎は自分とスタイルも全然違うし、僕の持ってないものをいっぱい持っているので、一緒にプレーすることでとても勉強にもなっています」

――今季、ブラックラムズとしての課題は何ですか?  

「まず強いメンタルを持ち、接戦の試合で勝ち切れるように、プレーの細かい部分までしっかり準備することが重要だと思います。特にアタック面でボールを効果的に動かし、相手陣22m内で確実に得点を取ることが大事だと考えています」

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――個人として今季のリーグワンで挑戦したいことは? 

「司令塔として、ゲームを読み、状況判断をしっかり行い、もっと積極的に攻めてチームに勢いを与えたいですね。プレースキックも調子が良いので生かしていきたいですね。結局 自分の中で満足いくパフォーマンスができないと自分の成長を実感できないですし、もっと上手くなれると思ってラグビーをやっています。もちろんチームの勝敗が大事ですし、10番としてチームの勝利にふさわしいパフォーマンスをしなければならないですが、その上で自分が納得いくプレーをしたいです」

――今季のリーグワンでファンの方に注目してほしいポイントは?  

「ブラックラムズとしては6位以内に入ってプレーオフ進出し、優勝争いに絡む姿を見せたいですね。個人としては一試合一試合成長し続ける姿を見せたいと思います」

Personal words
座右の銘は「一日一歩」。日々努力し
試合に出続けることを大切にしています

「一期(いちご)」という名前の由来は「一期一会」からです。父親がラグビーをしていたことや、母親の勧めもあって3歳から競技を始めました。座右の銘は「一日一歩」。コツコツ努力し試合に出続けることを大切にしています。オフは、友人と過ごすのが好きで、最近はアウトドアでバーベキューや川遊びをしてリラックスしています。

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PROFILE
'00年6月1日生まれ。神奈川県出身。國學院久我山高校→慶應義塾大学→リコーブラックラムズ東京。身長174cm /体重 84kg。ポジションはSO /FB。'25年7月5日の「リポビタンDチャレンジカップ2025ウェールズ代表戦」で日本代表デビューを果たし、トライを決める。


取材・文/斉藤健仁 撮影/佐野美樹 

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