第八回 プロ野球愛宣言!【芸人・あばれる君】〜イーグルスは一日の終わりを締めくくる、食後のデザートのようなものです〜 東北楽天ゴールデンイーグルス編
スポーツ インタビュー
2025.09.20
福島県出身のお笑い芸人・あばれる君は、プライベートでは少年野球の審判も務める大の野球好き。東北魂あふれるイーグルスへの想いを語ってもらった。
――野球に興味を持ったのはいつ頃ですか?
「小さい頃から野球が好きで、巨人戦は福島でもゴールデンタイムで放送していたので、よく見ていました。当時は仁志(敏久)とか清水(隆行)とか、ジャイアンツの選手名を覚えたり、自分でも小学6年生からソフトボールを始めて、中学から 高校1年生まで野球部でした。2年生から山岳部にいっちゃったんですけど、それまではずっと野球をやっていました。高校の途中で自分が野球を挫折した分、子どもたちに野球をやってほしいなと思っていたら、今は子どもたちも好きになってくれて。僕なんかよりも選手の名前を覚えています。最近は、子どもの野球で、朝6時から送り迎えをしたり、この前の試合は雨で流れちゃいましたけど、審判の資格を持っているので、時間がある時は少年野球の塁審をやることもあります。今でもこうして野球に関われていて、改めて面白さを感じています」
――もともとはジャイアンツファンということですか?
「当時の東北の人は、ジャイアンツファンが多いですからね。読売新聞も取っていたし。'05年に 楽天イーグルスが誕生した当時は、まだ自分も芸人としてデビュー間も無くて、野球を見る余裕がなかったんです。でも齢を重ねるにつれ、福島県というアイデンティティを強く意識するようになって、楽天イーグルスが好きになりました」
――始球式も何度かやられていますね?
「いつも、何の笑いも起きないナイスボールを投げてしまって...。 芸人として、これでいいのかなっていつも悩みます。スタジアムの雰囲気にのまれて、ナイスボールを投げちゃうんです」
――やっぱりマウンドに立つと、スイッチが入ってしまいますか?
「プロ野球は本当に憧れの場所なので緊張するし、戦いじゃないですか。だから茶化してはいけないと思う気持ちが出てきてしまう。改めて柳沢慎吾さん、すげえなといつも思います。僕も 桑田(真澄)さんのモノマネとか、いろいろやりますけど、今は巨人の二軍の監督ですから、他チームの始球式でモノマネをやるわけにはいかないですからね」
――イーグルスファンになってから、好きな選手や応援している選手は誰ですか?
「一番はユーキリスです!1カ月で帰ってしまった外国人選手。まあそれは冗談で、浅村栄斗(あさむらひでと)選手ですね。 あとは、辰己涼介選手とか。 あの淡々としている雰囲気、それに野球がうまい顔をしているのがいいですよね。あとは石原彪(いしはらつよし)選手の体型も好きですね。いわゆるキャッチャーらしい体型で、スイングも第二のおかわり君って言っていいぐらい豪快。なんかスター性っていうか、可愛いげがあると思います。それから小深田大翔(こぶかたひろと)選手。野球一筋で職人気質の、シャイな感じが好きです。ヒットを打った時のパフォーマンスとか、なんか控えめじゃないですか。 去年はいただき、みたいなポーズをやっていましたけど、全然、流行らなかった。あれも控え目で、そういう奥ゆかしいところが好きです。ファインプレーをした時なんかも、ちょっと鼻をこすってみたいな感じで。コブは推し選手です」
――選手たちと実際に交流はありますか?
「浅村さんと小深田さん、小郷裕哉さんは、サンドウィッチマンの伊達さんが食事会を開いてくれて、一緒にご飯を食べたことあります。昔は松井裕樹選手とも食事に行ったことがあるんですよ。松井さんと高梨雄平選手、池田隆英選手と一緒に行きましたね」
――これまでに印象に残っている試合は?
「昨年、福島で行われたヤクルト戦で、フランコがサヨナラホームランを打った試合です。外国人選手は異国の地に来て、活躍するのは相当難しいと思うんです。 その時点でフランコもけっこう三振が多かったし、ヒットも少なかった。そんな中、初球を振り抜いた打球がズドーンと、レフトスタンドにまっすぐ飛び込んだ。ただ、そのホームラン...、実際には見られなかったんです。 その日は球場にいたんですけど、新幹線の時間が来て、帰らなきゃいけなくて。それで帰る車中に、ニュース速報が来て、ああ、なんか悔しいけど嬉しいなって思いましたね」
――福島で試合があるのはやはり特別なことですか。
「それはもう、めっちゃくちゃテンション上がりますよ。今年も郡山のヨーク開成山スタジアムで試合をやってくれて、幼少期から馴染みのスタジアムで試合をしてくれてとても嬉しかったです」
――シーズンで言えば、やはり初優勝の年は印象深いですか?
「'13年ですよね。当時は まだデビュー間もない、芸歴2年目ぐらいだったんです。稼ぎが少なく飯食えてないですから、アルバイトで忙しくしていて。その当時、あんまり野球を見る余裕はなかったですね」
――その時のイーグルスの活躍についてどう思いましたか?
「田中(将大)マー君が連戦連勝し、活躍する姿は本当にかっこいいなって思いました。 やっぱりお笑い芸人も、売れる時というのは、どこに行っても爆笑を取っていく。連戦連勝なんですよ。自分のことをそう重ねたりもしたし、 優勝した時は、本当に嬉しかったです」
――今はお忙しい中、試合などはどうやってチェックしていますか?
「もちろん毎日、チェックしない日はないです。 スマホでライブ中継を見ることも多いし、あとはイーグルスのアプリを見たりもします」
――スタジアムで観戦されることもありますか?
「家族を連れて仲のいい後輩芸人たちと年に一度くらい、東京ドームに行くことがあります。その試合はとても楽しみで、ビールを飲みながら子どもたちと一緒に大好きなイーグルスを応援していると、この上ない幸せを感じます。俺も、親父に野球場に連れていってもらいましたけど、それを今は自分が子どもたちにやれていると思うと、込み上げてくるものがあるんです」
――イーグルスファンの仲間はいますか?
「サンドウィッチマンさんのお二人に、狩野英孝さん、やっぱり東北勢ですね。あとはグレープカンパニーだと、わらふぢなるおさんも。その他はソフトバンクホークスが大好きな後輩もいて、その子たちと野球の話をするのも楽しいですね」
――ご家族はみなさんイーグルスファンですか?
「はい、子どももイーグルスファンに育てました。応援歌も全部歌えるし、奥さんは、野球はそれほど詳しくないんですけど、子どもたちはもうすごいですね」
――あばれる君にとって楽天イーグルスとはどんな存在ですか?
「一日の終わりの楽しみ。食事で言えばデザートみたいなものかな。ロケや収録が終わって家に帰ると、純粋に野球が見たくなるんです。仕事終わりにイーグルスの試合を見るのは、楽しみにとっておいたデザートを、今から食べられる、ああ、嬉しい!そんな感覚ですね。そんなワクワクした感じの、最後のデザートのようなものだと思っています」
――ここ数年はCS出場も厳しい状況で、しばらくリーグ優勝は難しい気もしますね...
「自分はそうは思いません!!」
スタジアムで子どもたちと
大好きなチームを応援する時、
この上ない幸せを感じます。
Profile
あばれる君
'86年9月25日、福島県生まれ。ハイテンションのコントネタ「熱血ひとり芝居」等で人気に。TBS系番組「アイ・アム・冒険少年」の企画、脱出島で歴代最多優勝を誇り、サバイバルの達人として知られる。本年8月より体験型コミュニティー「あばれる君のアドベンチャークラブ」を本格始動。
取材・文/大久保泰伸 撮影/中川容邦