ネーションズリーグ開催中!2025年度の新生バレーボール日本代表を語りつくす【ぺえ連載第9回】

ぺえ

ぺえ (タレント)

タレント。小学生からバレーボールを始め、中学時代に山形県選抜になった経験を持つ。バレーボールを愛してやまないぺえが、独自の視点でバレーボールの魅力を熱く深く伝える。

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ネーションズリーグ開催中!2025年度の新生バレーボール日本代表を語りつくす【ぺえ連載第9回】

バレーボールをこよなく愛するタレント・ぺえによるバレーボール連載企画。今回は、現在激戦を繰り広げているバレーボールネーションズリーグの戦いぶりを踏まえて、ぺえが日本代表について注目選手や戦術などに触れつつ見解を語ってくれた。

【女子】

■初の外国人監督、フェルハト・アクバシュ新監督がもたらしたものは...

パリ五輪を終えたばかりで、まだまだ期待し過ぎるのは時期尚早ではありますが、それでも「すごくいいチームに成長し始めているな」と感じています。監督が交代してからチームの雰囲気も良くなったように感じられますし、とにかくフェルハト・アクバシュ新監督の指示が的確で、明確であるというのが大きいですよね。戦いぶりを拝見していて、チームとしての方向性がしっかりしているからこそ、選手たちも目指す方向を向きやすくなっているんじゃないかと思います。

世界と戦うためには根性論だけでは勝てない部分がありますが、フロントが思い描く相手への対策や戦術が、ちゃんと選手たち一人ひとりに満遍なく行き届いているな、と。初めての外国人監督ということで、意思疎通において一抹の不安があったのですが、その不安は杞憂に終わりました。もちろん、海外でプレーしている選手がいるのでコミュニケーションにおいても心強さはありますが、やはり監督がチームの雰囲気と方向性を明確にしてくれているところが成長の根幹だと思います。

戦略でいうと、サーブで相手を崩すことをより強く意識していますよね。例えば、普通はサーブでリベロを狙うことはしないのですが、相手がリザーブのリベロを出してきた時にリベロを狙うよう指示を出し、しっかり相手を崩して作戦がハマった場面があったのですが、「本当に監督はよく見てらっしゃるな」と感心しました。相手や状況を見て臨機応変に選手交代を行う戦いぶりも見事でした。


■明るい未来を感じさせる役者ぞろいのリベロ陣

リベロのポジション争いが激戦になってきましたよね。やはり海外でプレーしている小島満菜美選手(ソルトレイク)と福留慧美選手(ミラノ)という二大巨頭が有力視されていましたが、全試合でリベロを代えて戦っているのを見ていると、どの選手もすばらしく、スタメンを決め切れない監督のうれしい悲鳴が聞こえてくるようです。

小島選手はリーダーシップがあって、サーブ、レシーブ共に安定感があり、海外で戦っている経験とそれを礎にした自信が加わって、より一層固くなって安心感を増幅させて帰ってきてくれたという印象。小島選手が出ている試合は、よくコミュニケーションが取れているなって感じますね。プレーだけではなく、声でもチームをまとめている姿に、「レベルアップして帰ってきてくれたな」と心が震えてしまいます。

ディグ(スパイクレシーブ)に関しては、福留選手が抜きん出ていますね。イタリアのエース、パオラ・エゴヌ選手と同じチームでプレーしていることもあって、イタリア戦ではエゴヌ選手のとんでもないスパイクに対して、スパイクコースを読み切りコースに入って対応していたのが本当にすごかったです。日本とは違った高いレベルで1年間武者修行して帰ってくると、こんなにも強打に強くなるんだというのを体現してくれていて、本当にたくましくなりましたよね。また、ディグだけでなく、普通のレシーブに関してもボールの質が良かったように感じました。セッターがトスを上げやすそうな質のボールで返球していて、福留選手が触るとすごくコンビのテンポが良くなる印象を受けました。ボールの高さから、質に至るまで、しっかりこだわりを持って丁寧に返球していて、これぞ職人技の境地。元日本代表の佐野優子さんを彷彿とさせるプレーを見せてくれました。

また、SVリーグの時から推している岩澤実育選手(埼玉上尾メディックス)の活躍にも目を見張るものがあります。これまで日本代表登録メンバーに選出されることはあっても、ここまでしっかり国際大会に出場するのは初めてだったはずなのに、本当に度胸があって、初めてとは思えない動きを見せてくれました。所属チームの埼玉上尾メディックスでもそうなのですが、全日本でもムードメーカーで、チームの雰囲気を上げてくれるリベロなので、明るい雰囲気を作り上げてくれます。岩澤選手の前向きな姿勢がこのチームの勝利の鍵を握っているのかもしれないと思わせてくれる存在です。ディグもいいですし、サーブレシーブも安定していて、ミスが少ないのもストロングポイントですね。全体的にバランスが良くて波がない。とても安定感のあるリベロだなと改めて感心しました。

他にも西村弥菜美選手(SAGA久光スプリングス)、川畑遥奈選手(デンソーエアリービーズ)、西崎愛菜選手(大阪マーヴェラス)が出ていて、若手の川畑選手、西崎選手に至っては、初めて体感する"世界の高さ"だと思うのですが、とても忍耐強く「一瞬も気を抜かず、1つでも多くのことを吸収してやろう」という思いを持って戦ってくれているのが、とても伝わってきました。両選手にとっては、先を見据えたいい経験になっているなと思いました。

今大会は、本当に「リベロにもこんなに違った色があるんだ」と驚かされるくらい、それぞれの選手の良さや特長が違っていて、オリンピックまでにまだ時間がありますが「最終的に監督がどのリベロを選ぶのか?」という楽しみが増えました。本当に日本のリベロの未来は明るいなと思わせてくれるくらい、すばらしいリベロがそろっています。

■メンタルが飛躍的にレベルアップしたセッター・関菜々巳選手がもたらす安定感

関菜々巳選手(ブスト・アルシーツィオ)は、本当に安定感を増して海外から帰ってきてくれました。以前は、勝負所になるとどうしてもレフト中心になりがちだったのですが、ミドル、ライト、バックアタックと視野を広くいろんな攻撃をデザインしながら、しっかりアタッカーの打ちやすい場所に精度の高いトスを供給していて、アタッカーたちが伸び伸びと打てているところがすごくいいなと思いました。競って緊迫した場面でも動じなくなっていて、関選手の成長を感じられる試合ばかりでした。トスの精度などプレーにおいても成長して帰ってきてくれていましたが、とにかくメンタルが鍛えられていました。関選手の目の強さと輝きがこのチームをさらに強くしてくれる要素だと感じました。

また、たくさんいるセッターの中で、中川つかさ選手(NECレッドロケッツ川崎)が2枚代えで入ってくることが多かったのですが、中川選手はミドルを中心に組み立てる印象で、そういうところから監督のイメージする戦術スタイルの構想が垣間見えたような気がしました。こういうタイプの選手が交代で入ってくれると、攻撃にもメリハリがつくのでとってもいいですよね。

■和田由紀子選手の大爆発の陰には、佐藤淑乃選手の献身的なレシーブが!

大会を通して、監督は和田由紀子選手(NECレッドロケッツ川崎)を大切に育てているんだろうなと感じました。タイムアウト時や試合後など、もちろん他の選手にも声をかけているんですけど、特に和田選手には気を使ってたくさんの言葉をかけていたように見えたんですよね。個人的なイメージなのですが、和田選手って結構ポーカーフェイスで感情を表に出すようなタイプではない印象なので、監督から歩み寄って距離感を縮めようとしているんじゃないでしょうか。監督が寄り添ってくれて理解してくれているからこそ、和田選手も思う存分コート上で躍動でき、全日本には欠かせないほどの得点をあげる選手になっているような気がします。今年は林琴奈選手(大阪マーヴェラス)が代表を辞退しており、ライトで誰が活躍してくれるのか注目していたのですが、予想を大きく超えて和田選手が大爆発してくれて、うれしい悲鳴が止まりませんでした。

そんな和田選手の大活躍を陰で支える佐藤淑乃選手(NECレッドロケッツ川崎)のサーブレシーブの貢献度にもぜひ刮目していただきたいです。攻撃に徹する和田選手を、佐藤選手がサーブレシーブで積極的にフォロー、サポートしていて、そのおかげもあって和田選手が攻撃に力を入れることができているんだろうな、と。佐藤選手はスパイクがとてもパワフルなので、そちらに目が行きがちなのですが、実は守備面もすごく頑張っています。献身的にチームを支えているので、彼女の守備はもっと評価されてほしいと思います。石川真佑選手(ノヴァーラ)、佐藤選手のサーブレシーブの安定感があってこその、今の全日本女子の攻撃力だと思います。ただ、ここまで和田選手と佐藤選手が爆発するとは全く予想できていなくてびっくりでした。

■背中でチームを引っ張る新キャプテン・石川真佑選手

そして何より、石川選手が怖いものなしになってきましたよね。「1年でこんなにスパイクを打つ音って変わる!?」っていうくらい、ボールが破裂しそうなくらいの音で、体重が乗った重いスパイクを打つようになったんですよね。また、どんな乱れたトスでも打ち切ってくれるので、「本当に頼もしいキャプテンだな」とつくづく感じました。言葉で鼓舞してチームをまとめるキャプテン像もありますが、石川選手は背中で見せてくれるキャプテンで、彼女のプレーから「付いてきて!」という声が聞こえてくるよう。本人的にはまだキャプテンがしっくりきていないような感じも見受けられるのですが、私は「石川選手は、いいキャプテンよ!」と太鼓判を押したいです。

世代交代して新戦力が多い中で、こんなに全選手が伸び伸びとプレーできているというのは、とにかくチームの雰囲気が良く、監督のビジョンが明確で指示が的確で、石川キャプテンがプレーで引っ張っているからこそだと思います。

■SVリーグで注目していた若手選手が代表で放つ存在感

SVリーグで注目していた深澤めぐみ選手(SAGA久光スプリングス)は、リリーフサーバーで出てくることが多かったのですが、1球1球に魂を込めてサーブやレシーブをしてくれて、そのひたむきな姿に感動させられました。彼女の1つ1つのプレーから、"今、自分がこのチームでやれること"や"今、自分がチームに貢献できること"を集中してやり抜こうとする気概が伝わってきて、心が震えました。こういう選手がいてくれるからこそ、他の選手も「もっと頑張ろう」と、いいシナジー効果が生まれますし、そういう姿勢でもチームに貢献していると思います。

北窓絢音選手(SAGA久光スプリングス)に関しては、個人的に「もうちょっと見たいな」と(笑)。ネーションズリーグではラウンドごとに選手が代わっていく中で、北窓選手は中国戦で途中出場したのですが、やはり得点能力はありましたよね。あとは、経験!SVリーグでは飛んでこないようなすさまじいサーブだったり、とんでもない高さのスパイクとの邂逅は初めてだったと思うので、"世界と戦う"となればまだまだ経験が必要だと思うのですが、若いにもかかわらずすごく冷静にプレーできていましたし、どんな状況でも相手のブロックが見えているというのは驚嘆しました。初めての国際大会で、初めて対峙する高いブロックを前にして、いつも通りのプレーをするのは並大抵なことではないのですが、時折ベテランのようなプレーをする時もあって、「こんなに相手のブロックが見えているんだ」とか「こんなに相手のコートの穴を見つけられていたんだ」と驚かされることが多々ありました。本当に視野が広くて、メンタルが安定しているところが彼女のストロングポイントだなと改めて感じました。

今年のネーションズリーグは若い選手がたくさん出場していますが、若い選手はみんな度胸があって驚きました。試合に出ても、冷静で動じないんですよ。それがこのチームになってガラッと変わったところでもありますね。積極的に声をかけてチームを盛り上げてくれる選手はもちろんいますけど、誰か1人がリーダーシップを取って引っ張るというよりも、全体的に自立したチームですよね。誰かに頼るというのではなく、1人1人が自立して"自分のやらなきゃいけないこと"に向き合っていて、1人1人の意識がすごく高いところにある感じがします。

■それぞれの良さが光る多彩な選手たち

宮部藍梨選手(ヴィクトリーナ姫路)は、なかなかスパイクが決まらない時でも、サーブで貢献してくれるんです。試合の流れや相手との相性など、想定以上にスパイクが決まらない時ってよくあるんですけど、そんな時に宮部選手は「私、今スパイクが決まっていない。ここで貢献できていない。じゃあ、こっちで貢献しよう」みたいな、プロフェッショナルな切り替えができるんです。「1つのことで貢献できていないなら、他のどこで貢献できるだろう?」という、"自分が活躍することなんて二の次で、とにかくチームが勝てばいい"というチームファーストな思考。「宮部選手、もっと決めてほしいな」と思った時は必ず、後衛に下がった時にサーブポイントを取ってくれたり、ディグでファインプレーを見せてくれたりして、"宮部藍梨の心意気"を見せてもらって彼女のことを一層応援したくなりました。こういったフレキシブルに補完し合える選手が多い時の全日本って本当に強いので、今後も期待しています。ブロックにおいても、止まらなくてもワンタッチを取って次の攻撃につなげるなど、キラリと光るプレーで魅せてくれて、ミドル陣では光る存在ですね。

そして、島村春世選手(ペッパー貯蓄銀行AIペッパーズ)はやっぱりすごい!彼女のブロードの幅の広さとスピードは、今の日本のミドルの攻撃では一番の武器だと思います。サイドの選手が満遍なくいい活躍をしてくれているので、どうしてもミドルの活躍を期待してしまうのですが、その期待にしっかりと応えてくれる選手です。

■世界と戦える強さを実感した実のある敗戦と、今後の脅威

あの最強のイタリアに、フルセットまでもつれ込むいい試合ができたというのは衝撃でした。イタリア相手に本気で「悔しい」と思えたことが、すごくうれしくて!私、敗戦の悔しさを2日くらい引きずったんですよ(苦笑)。でも、それって"勝てるところまできている"の裏返しでもあるから、今後に大いに期待することにします!

そして、中国が強かったですね。「もうこんなに仕上がっているの?」と、その完成度の高さに恐怖を覚えました。しかも、あの完成度でセッター(ジャン・ズシャン)が16歳っていう...。今、身長が182cmということで、これからもう少し伸びるでしょうし、「16歳でこんなトス回ししちゃうの!?」と。ここからよりクオリティーが上がっていくと、脅威になってくると思います。しかも、攻撃力ではなく、守備力で粘り負けしてしまったことがかなりショックで。中国の今後が楽しみでもあり、怖くもあり、という印象を受けました。

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【男子】

■大黒柱として存在感が増したキーマン・宮浦健人選手

男子は、石川祐希選手(ペルージャ)や高橋藍選手(サントリーサンバーズ大阪) といったパリ五輪代表のレギュラーメンバーが中国ラウンドとブルガリアラウンドには参加せず、若手選手を中心としたチームで戦いました。レギュラーメンバーは波がないのに対し、若手選手は多少波があって、前の試合で良かったところが次の試合では失われていたり、前回の課題だったところが強みに変わっていたりと、一試合一試合成長していく姿を見ていて高揚感がありました。

そんな中で、宮浦健人選手(ウルフドッグス名古屋)が一番バランスよく戦い切れていたと思います。今、西田有志選手(大阪ブルテオン)が日本代表を休養している中で、宮浦選手にとっては成長できるいい機会だと思うのですが、その機会をしっかりモノにしているな、と。"宮浦に上げておけば間違いない"みたいな、本当にたくましい大黒柱に成長してくれているなと感じました。また、スパイクももちろんなんですけど、サーブの勝負強さはピカイチですね。「ここでサーブ決めるのは難しいかも...」って思うようなところで、ベストなサーブが打てるという。このメンタルの強さと勝負強さは、さすがです。そして、"熱さ"の中に"冷静さ"があるところが、「これからも期待していいだろうな」って思わせてくれます。

■海外での経験を経て隙のない選手に成長した大塚達宣選手

大塚達宣選手(ミラノ)は海外での経験を経て、すごく視野が広がりましたよね。それはコースの幅や相手のブロックを見るといったプレーに関してもそうなのですが、チームの雰囲気作りや状況判断についてもそうで、劣勢でチームの雰囲気が悪い時でも自分が率先して盛り上げてくれています。そういったところが、大きくレベルアップしたところだなと思います。プレーに関しても、高いブロックに対する対応力が他の選手と比べて高いですよね。少しタイミングを外して打つとか、ブロックアウトを狙うとか、本当に隙のない選手になったなと思います。今大会で一番好きになった選手は大塚選手!"自分の身を削ってでも、次に触る人のためにいいボールを上げる"みたいな献身的な選手が好きなので。

■甲斐優斗選手のベテラン然とした冷静さに感服!

甲斐優斗選手(専修大学)は、まだ21歳なのにもかかわらず、21歳とは思えない冷静さがあって、ベテランのような落ち着きがあるんです。一番若いのに一番地に足がついている感じが試合の中でも出ていて、ブロックアウトだったり、コントロールショットだったり、その時その時で一番効果的な攻撃を選択しているな、と。あと、修正能力が高いので、絶対に同じミスはしないところもすばらしくて、「21歳でここまで仕上がるんだ...」と開いた口がふさがりませんでした。飄々と冷静なプレーを連発するので、「彼は今までどんな経験をして、ここまで仕上がったのだろう?」とつい興味を引かれて、選手としてだけじゃなく人としても追いかけたくなるような存在です。謙虚さとシャイな部分があって、控えめですごく好きです。そんな感じなのに、サーブが速くて重いのがギャップでいい!結構スピードに注目が集まっていますけど、受けた相手の弾かれ方を見ていると、球質がかなり重いと思います。あのサーブは今の日本が誇れる1つの武器になっていますよね。

■ゾーンに入った時は無双のリベロ・小川智大選手

リベロの小川智大選手(サントリーサンバーズ大阪)は、ゾーンに入った時に集中力や読みの鋭さは神がかったものがありますね。本当に「球がスローに見えているのかな」と思ってしまうくらい軽々上げているし、相手のスパイクが小川選手にどんどん吸い込まれていくかのような鋭い読みと位置取りで、これまでの悔しさをスキルに変えて昇華させてきたことがうかがえます。彼って、強そうに見せているけど、おそらくすごく繊細な人で、繊細だからこそちょっとしたことでも"ちゃんとムカつくし悔しい"から、繊細ゆえの負けん気の強さなんだろうな。アスリートなので、それはすごく大事なことですし、もっともっとその"負けず嫌い"を出していってほしいですね。

■新進気鋭のミドルブロッカー・佐藤駿一郎選手

今回のネーションズリーグで試合を重ねるごとに成長している佐藤駿一郎選手(ウルフドッグス名古屋)にもこれから注目していきたいと思います。2メートル5センチという高さが魅力で、スパイクにスピードとキレがあり、今後のさらなる成長が楽しみな選手です。とにかく彼は楽しそうにバレーボールをしてくれる選手で、見ていて楽しい気持ちになります。試合中も彼の明るい笑顔がチームの雰囲気を穏やかにしてくれている印象です。

■チームを攻守で支えるマルチプレーヤー・富田将馬選手

献身的に様々な角度からこのチームを支えてくれているのが、アウトサイドヒッターの富田将馬選手(大阪ブルテオン)です。サーブレシーブ、2段トスの精度が非常に高く、マルチに活躍してくれるので、チームにいてくれるとすごく助かりますよね。冷静さとリーダーシップがあり、頼もしい存在です。キャプテンの石川選手にとっても、富田選手の存在が大きな支えになっているのではないかと試合を見ながら感じています。

■次世代の全日本を引っ張っていくであろう高橋慶帆選手

高橋慶帆選手(法政大学)と甲斐選手が同じコートに立っている時に、「これが日本の未来だな。次世代を引っ張っていってくれるのは、この2選手なんだろうな」と思いました。加えて、2人が並び立った時、なんとも言えない高揚感が湧き出てきて、「この先、大丈夫か?」という不安は霧散して、「なんとかしてくれるんだろうな」という安心感に変わりました。高橋慶帆選手は高さやプレーも魅力的なのですが、すごく繊細なところも魅力。ミスした人への声がけが丁寧で、背中をさすって励ましているシーンを目にすることが多いんですよ。そういった彼の人間力が好きなんですよね。愛情の伝え方が日本人離れしているというか、しっかりスキンシップをとって励ましていて、そういう彼の人間性も、見る人を惹きつけるんだと思います。能力的には天井知らずで、どこまでいくのか計り知れない可能性を秘めた選手だと思っていて、今の私では表現する言葉を持たない、まさに"未知なる存在"です!

※高橋藍の「高」は正しくは「はしご高」

取材・文/原田健 撮影/皆藤健治

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