「今季は若手選手の成長を実感。来季こそは頂点に!」 【立川理道/クボタスピアーズ船橋・東京ベイ・CTB(センター)・SO(スタンドオフ)ラグビーが教えてくれたこと~楕円球に魅せられた人々の熱い思い~
スポーツ インタビュー
2025.08.20
8シーズン主将を務め、クボタスピアーズ船橋・東京ベイの精神的支柱として活躍を続けているCTB/SO立川理道選手。リーグワンで準優勝だった今季を振り返りつつ、来シーズンや日本代表への想いを聞いた。
――今シーズンを振り返っていただけますか。
「久しぶりに主将から外れたので、チームは新キャプテンのNO8ファウルア・マキシに任せて、必要な時にそっと声をかけるなどサポート役に回っていました。そのおかげでシーズンを通して自分のプレーに100%集中できました。チームとしては一試合一試合の戦いの中で成長を感じられたました。フォワードのLO(ロック)デーヴィッド・バンジーランド選手やバックスのFB(フルバック)押川敦治選手など若手選手が成長し、ベテランと若手のバランスが良い中で戦力の落ち込みが少なかったのはとても良かったと思います。選手間の競争が激しく、選手たちが成長し続けていることを感じています。若手選手も自信を持ってプレーできた試合が多くありましたが、やはりプレーオフのファイナルで東芝ブレイブルーパス東京に勝ちきれなかった悔しさは残りますね」
――チームの良かった点、課題はどこにあると思いますか?
「フォワードのセットピースの強さ、特にスクラムの強さはチームの強みで、若手選手が出場してもシーズンを通して安定していました。ディフェンス面では、新たに就いたスコット・マクラウドコーチの指導のおかげで細かい部分まで落とし込めて、失点の少ないチームになりました。アタックも悪くなく、ゲームコントロールも良かったのですが、試合の中で自分たちでコントロールしたい部分をうまく制御できない時間帯があり、苦しい試合があったことが課題です。キックの判断やスキル面も改善が必要だと感じています」
――若手選手との関わりで意識していることはありますか?
「CTB(センター)廣瀬雄也選手のような同じポジションの若手には特別に教えることは多くないですが、アドバイスを求められた時に答えられる立ち位置でいたいと思っています」
――今季、一番印象に残った試合はどの試合ですか?
「開幕戦のトヨタヴェルブリッツ戦が印象的でした。劣勢の中で最後に逆転し、接戦を制して勝利をつかむことができました。前年の2023-24シーズンでは勝てずに、苦しい経験を経たチームにとって良いスタートとなり、その後、接戦の試合でも勝ち切る力をつかんだと感じています」
――来シーズンのチームの目標や自分の役割について教えてください。
「大きなメンバー変更はないので、今季で得たものをベースにさらに成長し、ディフェンスやアタックの質を高めていくことが重要だと思います。キックの改善も含めコーチ陣としっかり連携し、若手選手の軌道修正やサポートもできる立場で臨みたい。チームとしてはもちろん優勝を目指しています!」
――個人としての今後の目標、日本代表チームへの意気込みは?
「日本代表は目指すべき場所であり、去年の桜のジャージーを経験できたことは幸せでした。今後も準備を続け、招集されたら最高のパフォーマンスを出せるようにしたいです。競争が激しい中で自分の強みをリーグでアピールし続けることが大事だと考えています」
――これまでにラグビーを通じて一番得たものは何ですか?
「世界中に多くの友だちができたことが大きいですね。海外や国内で活躍する選手や、引退してコーチになった仲間との繋がりは今の自分にとって大きな財産となっています。スポーツをやっていて良かったと心から思いますし、チームやラグビーに感謝しています」
――ラグビー人生で一番の思い出は何ですか?
「これまでに多くの経験があり、ワールドカップ出場やリーグ優勝など嬉しい思い出がたくさんありますが、まだこれから一番の思い出ができるかもしれないと信じてプレーしています」
――「オレンジアーミー」と「J:magazine!」の読者へメッセージをお願いします。
「スピアーズをいつも応援してくれる『オレンジアーミー』は、日本一熱いファンだと思っていて、どんな状況でも応援してくれるので、いつもプレーで恩返ししたいと思っています。『J:magazine!』の読者の方には、ラグビーの細かいルールは知らなくてもよいので、人と人がぶつかり合う瞬間の迫力や、15人それぞれの役割の面白さを、是非、スタジアムに足を運んで感じてほしいですね」
プロフィール
'89年12月2日生まれ。奈良県出身。天理高校→天理大学→クボタ→ブランビーズ(豪)→クボタスピアーズ船橋・東京ベイ。身長180cm/体重94kg。ポジションはCTB (センター)・SO(スタンドオフ)。'15年ワールドカップ日本代表。62キャップ('25年8月5日現在)。
撮影/佐野美樹 取材・文/斉藤健仁