佐藤流司が時代劇「三屋清左衛門残日録」最新作で共演した北大路欣也の印象を語る
国内ドラマ インタビュー
2025.12.01
藩の要職を退き、隠居の身となった三屋清左衛門(北大路欣也)が、身の回りに起こるさまざまな出来事、事件に向き合う姿を描く、藤沢周平原作の大人気シリーズ「三屋清左衛門残日録」。その最新第9作は、つましく生きる若い夫婦に起こる悲劇と、町奉行を務める親友(伊東四朗)の旧友の突然の死をきっかけに、その背景にある黒い渦を暴いていく。
清左衛門と出会う若き藩士・結城友助を演じる佐藤流司は、シリーズ二度目の出演。ドラマ「君とゆきて咲く~新選組青春録~」の坂本龍馬、ミュージカル『刀剣乱舞』、舞台『応仁の乱』など多くの役に挑み続ける佐藤が、役への思いや大先輩との共演、時代劇の魅力について語る。

――友助は、幼い息子を亡くすという哀しみを経験しながら、妻のはなえ(山谷花純)を思いやる優しい人物です。
「私は闇がある役や悪役をいただく機会が多くて、友助のようにまっすぐで、実直な人物、好青年を演じることがあまりなかったので、すごくありがたい経験、新しい経験をさせてもらっています。台本で友助の心境を読むと、自分もこうありたい、こういう風に生きられたら周りにももっと信頼してもらえるのかなどと、考えることも多いですね。素晴らしい役に出会えたと思っています」
――佐藤さんの友助の姿はSNSでも注目されています。ご自身の感想は。
「こういった格好をする機会も、人生でなかなか無いと思いました。羽二重(薄い布で髪の毛をきっちり覆う道具)をつけて武士の頭を作って、着物をきちんと着つけていただける。全部で一時間ちょっとかかるんですが、身が引き締まりますね」

――北大路欣也さんはじめ、大先輩との共演はいかがでしたか。
「今までは同年代の方と横一列に並んで、みんなで頑張っていこうというお仕事が多かったのですが、今回は大先輩方の背中を見ながら胸を借りるつもりで参加させてもらっています。ひとつのシーンをより良くしていくために、監督やスタッフの方と話し合いながらこだわりを持って進めていく先輩方からは、学ぶことばかりです」
――北大路さんからアドバイスは何かありましたか。
「友助が顔を隠して近づくシーンがあり、その距離の取り方などのアドバイスをいただきました。何気ないところでそのシーンの意味や見せ方があって、私が気が付かないところまで見ていてくださっていると思います。また、まだ暑い中での撮影だったので、とにかく『冷やせ、冷やせ』と(笑)。北大路さんは京都のお生まれで、地元の暑さをよくご存知なんです。集中するためにも、自分自身を整える大切さを教わりました」

――シリーズを手がける山下智彦監督は、時代劇演出の第一人者です。監督とはどんなお話をしましたか。
「最初にセリフを合わせたときに『もっと優しく、もっと優しく』と言われて、言葉の調子や声色を今も調整している最中です。もともと私は声が平均より低い方で、闇がある人物を演じるときはよかったのですが、友助は違うので、"新鮮なやりづらさ"を感じています。でも、この作品は優しさにカタルシスがあるというか、はなえが幸せであればあるほど、哀しさが生まれると思うので、友助にとってそこは大事なところかなと思います。監督の『OK』という声がとても大きくて(笑)。あの声が本当に嬉しく、すごくやる気が出る。あの声を聞くために頑張っていこうと思いました。」
――友助は、深い悲しみに沈むはなえを励まそうと、美しい絹の着物を贈ります。山谷さん演じるはなえの印象は。
「女性の和装かつらを間近で見る機会があまりなかったのですが、清楚でとてもお似合いだと思いました。友助とはなえのふたりのシーンは、微笑ましく仕上がっている気がします」

――友助は殺陣もあり、見どころのひとつとなっています。
「殺陣は好きなので、頑張りたいと思っています。友助の刀は、きれいというよりは無骨で痛々しさもある。友助の気持ちも考えて見ていただけるとうれしいです」
――佐藤さんが思う時代劇の面白さ、魅力はどんなところでしょうか。
「刀や衣食住もすべてが、日本独自の文化で発展してきたんだなと実感しました。文字で歴史を学ぶことも大事ですが、時代劇というエンタテインメントでその文化の素晴らしさをリアルに描き続ける、語り続けることも大切なのかなと思います。私もその一員として切磋琢磨しているので、いつもと違う自分を見ていただきたいと思います!」

文/ペリー荻野 撮影/菊竹規














