宮藤官九郎 "初"の刑事ドラマは最高傑作！クドカン×長瀬智也の黄金ペアが送る「うぬぼれ刑事」 【小虎・りょう】

【プロフィール】
りょう(小虎)
1995年12月28日生まれ、愛知県豊田市出身。NSC東京校24期生。2019年に福井祐樹ともに小虎を結成。学生時代からのドラマ好きが高じて、「よしもとドラマ部」の一員としても活躍中。

「TBS金曜22時枠×宮藤官九郎×プロデューサー磯山晶＝？」

この方程式をご存知ですか？

答えは10000%面白いドラマが生まれるということです。

「池袋ウエストゲートパーク」、「木更津キャッツアイ」、「タイガー&ドラゴン」etc...、挙げればキリがないですが、一つ言えることは間違いないということ。

キャスト陣はもちろん、軽快な会話、小ネタ、構成、主題歌、どれを取っても全て濃厚な最高作品。なんと言ってもこのドラマは宮藤官九郎が7年の構想を経て制作した、クドカン史上初の刑事ドラマ。最高に決まっている。

「皆さんの1番好きな刑事ドラマは何ですか？」

このドラマが刑事ドラマかはさておき、皆さんは見終わった後、「うぬぼれ刑事」と答えるでしょう。

あらすじ

恋愛体質でうぬぼれが強い刑事・うぬぼれ(長瀬智也)が、自らが一目惚れしてしまった女性が犯した罪の真相を突き止めていく一話完結の刑事ドラマ。

短くない。本当にこれが全て。

時系列は
①事件発生
②恋をする
③恋をした相手は犯人
④プロポーズする
⑤フラれる

構造は至ってシンプル。ではどこが濃密なのか？

最上の会話劇と役者陣

最高な脚本をもとに、長瀬智也をはじめ、生田斗真、中島美嘉、荒川良々、要潤、矢作兼(おぎやはぎ)、坂東三津五郎、西田敏行といったワクワクする役者陣が揃い、最上の会話劇を作り出している。

うぬぼれ刑事で1番多く出てくる場面はBARだ。BARで行われるうぬぼれ5(ファイブ)【長瀬智也、生田斗真、坂東三津五郎、要潤、矢作兼(おぎやはぎ)】の会話、せりふに注目してもらいたい。

自分の好きなせりふは第2話、合コンをドタキャンされたうぬぼれ5の面々にうぬぼれ5の一人、恋愛心理学者・栗橋誠(坂東三津五郎)が語る「家を出なければ交通事故に遭わない。合コンも同じです。開催されなければフラれることはないんです」

第5話、下ネタが大丈夫という女性に引くという議論の中で「こっちはお前と下ネタで盛り上がりたいわけじゃなくて、お前の下ネタで盛り上がりたいんだよ、男だけでね」

その他、「息子は多少、思い込みが激しくて、それで周りが見えないんです。でもそれが取り柄なんです。周りなんか見えなくたっていい。真ん中が見えてればいいんです！」など、心地良くクスッとなるせりふが多い会話劇に注目してもらいたい。

犯人に恋をする

このドラマの魅力は会話劇だけではない。毎話登場する犯人ゲスト(恋する相手)も忘れてはいけない。刑事ドラマでもあり"恋愛ドラマ"でもある。犯人を追い詰めるラストシーンに注目していただきたい。

加藤あい(池袋ウエストゲートパーク)
蒼井優(タイガー&ドラゴン)
戸田恵梨香(流星の絆/俺の家の話)
薬師丸ひろ子(木更津キャッツアイ/タイガー&ドラゴン)
小泉今日子(監獄のお姫さま)

などクドカン作品の"アベンジャーズ"が演じる犯人たち。名前を見ただけで魅力的なのは大いに分かるが、うぬぼれは犯人を愛し、どこが好きかをしっかり本人に伝える。

「私のどこが好きなの？」

そんな問いが犯人から飛んでくる。そこに対する回答で、改めて我々視聴者は犯人の魅力に気付かされ、納得し、うぬぼれと共に改めて犯人に恋をする。うぬぼれは気付きをくれる。

まとめ

さて、このドラマはすごいです。何が？中毒性がすごいです。15年前のドラマなのにこんなに笑えて良いの？こんなに引き込まれて良いの？

主題歌の「TOKIO/NaNaNa(太陽なんていらねぇ)」、挿入歌の「中島美嘉/一番綺麗な私を」がたまらなく好きになるでしょう。

また、誰も指摘をしない小ネタがたくさん転がっているので、何度も見てほしいです。(西田敏行による「探偵！ナイトスクープ」のオマージュ、どう見てもヘリウムガスを吸ってる奴、長瀬智也の「所沢最高！！」など...)

これ以上喋るとネタバレになりそうなので、ぜひ見て楽しんでください。

でもこれだけ...！本当に1番最後のうぬぼれの恋のお相手は、最後の最後まで見てください。加藤あいで始まり...？？ドラマファンはたまらないですよね！

このコラムを読んだ皆さんを「『うぬぼれ刑事』を見る刑に処す！さもなくば逮捕します！」