弁護士・椎名桔平による骨太な法廷ドラマ 「連続ドラマW 事件」【フルーツポンチ・村上健志】

よしもと<br>ドラマ部

よしもと
ドラマ部 (吉本興業所属のお笑い芸人)

吉本興業所属のテレビドラマ好きを公言しているお笑い芸人からなる。 現在は福田恵悟(LLR)・村上健志(フルーツポンチ)・大貫さん(夫婦のじかん)・りょう(小虎)らが所属。

連載一覧はこちら

よしもと<br>ドラマ部

よしもと
ドラマ部 (吉本興業所属のお笑い芸人)

吉本興業所属のテレビドラマ好きを公言しているお笑い芸人からなる。 現在は福田恵悟(LLR)・村上健志(フルーツポンチ)・大貫さん(夫婦のじかん)・りょう(小虎)らが所属。

連載一覧はこちら

弁護士・椎名桔平による骨太な法廷ドラマ 「連続ドラマW 事件」【フルーツポンチ・村上健志】

【プロフィール】
村上健志(フルーツポンチ)
1980年12月8日生まれ、茨城県牛久市出身。
2004年にNSC東京校10期として入学。在学中に、同期の亘健太郎とともにフルーツポンチを結成。特技の俳句で、MBS「プレバト!!」にて日常の風景を切り取る独自の才能を発揮し、永世名人の称号を獲得。2021年には「フルーツポンチ村上健志の俳句修行」と題し、句会での様子を書籍にして出版している。よしもとドラマ部に所属。ドラマ好きが高じて、多数ドラマ出演経験あり。

250626jiken02.jpg

ある資材置き場で刺殺体が発見される。被害者は地元でスナックを経営する20代女性。容疑者として逮捕されたのは、被害者の幼馴染でさらに被害者の妹の恋人でもある19歳の青年だった。検察の調べに犯行の自白をしていた青年だったが、裁判では取り調べとは一転して彼は殺意を否認する。

青年の裁判を担当するのは、元エリート裁判官の弁護士・菊地大三郎(椎名桔平)。しかし、彼は裁判を請け負わない弁護士だった。法廷には立たないという決意は、彼が裁判官時代に担当した、とある裁判が原因だった。真実から目を背けることになった弁護士が再び真実と向き合う法廷ドラマ。被害者と加害者の間にはいったい何があったのか?青年は本当に恋人の姉を殺したのか?

250626jiken03.jpg

淡々とした法廷シーン

全4話で一つの事件の真相に近づくこのドラマの多くは、法廷シーンです。証人尋問で次々と明らかになる真実は、物語を加速させる大きな見どころです。そして、このドラマの特徴として、法廷シーンが実に淡々としているのです。法廷内を所狭しと大きく動き回る弁護士は出てきません。捲し立てるような早口も演説も行われません。どんな手を使ってでも容疑者を陥れるというような検事もいません。法廷に似つかわしくないファッションや言動も飛び交いません。ただの背景としての裁判官もいません。誰もが誠実に裁判というものと向き合っているように見えました。

物語的なキャラクターということではなく、このドラマが目指している裁判と向き合う温度感が、とても誠実に感じられました。過剰なエンタメ性で盛り上げるのではなく、リアリティーのある淡々とした裁判(実際の裁判をみたことがないので恐らくではありますが)。あえて残しているであろう弁護士、検察、裁判官の業務的な感じが良いです。国民から選ばれた裁判員たちが、審議をするために話し合いをするシーンも他ではなかなか見られないシーンで良かったです。

淡々とした法廷シーンは、実際の裁判に近づけようとしたかどうかは分かりません。しかし、「静粛に」と諫められるような、むしろ法廷に似つかわしくないエネルギーが法廷ドラマのスタンダードになっている中で、この静かさは実に新しかったです。

250626jiken04.jpg

椎名桔平

淡々として静かではあるが退屈でないのは、椎名桔平さんの存在感が大きかったように思われます。大きな声や過剰な身振り手振りがなくとも、椎名桔平さんから出ている覇気は圧倒的に色気があって力がありました。

"淡々"とやたら言いましたが、決して長く感じるわけではありません。全4話で一つの事件に迫るこのドラマは次々に真実が明らかになり、一気に最後まで見てしまいました。いったい何があったのか、ぜひお確かめください!

国内ドラマ 連載コラム

もっとみる

国内ドラマ インタビュー

もっとみる