クズの成田凌、しんどい前田敦子、大人になった田中麗奈 「あなたに聴かせたい歌があるんだ」【LLR・福田恵悟】

＜プロフィール＞
福田恵悟(LLR)
1979年11月9日生まれ、東京都出身。
NSC東京校 7期生。2002年に伊藤智博とともにLLRを結成。コンビでの活動の傍ら、ドラマ好きとして「よしもとドラマ部」でのライブを約10年、回数として実に100回以上開催している。

臨時英語教師の望月かおり(田中麗奈)は、ある日教室に入ると、生徒のイタズラにより辱めを受ける。ニヤニヤする生徒たちに向かい、10年後、自分と同じ27歳になった時の皆が後悔のないことを願う、と告げ一曲の歌を生徒たちに聴かせる。

そして、それ以来かおりが学校に来ることは無かった...。

10年後、あの日教室にいた、荻野智史(成田凌)、前田ゆか(伊藤沙莉)、片桐晃(藤原季節)、中澤悠斗(上杉柊平)、島田まさみ(前田敦子)、27歳になった彼らは後悔の無い人生を送れているのだろうか...？

燃え殻さんの原作を基にドラマが制作されたこの作品。燃え殻さん自身が多大な影響を受けたと言われるキリンジの「エイリアンズ」、その曲がこのドラマでも大きな存在感を示している。かおりが聴かせた曲がこの「エイリアンズ」なのだが、この曲が絶妙な雰囲気を醸し出している。

27歳という大人とも子供ともいえない狭間の年齢、誰しもが何かに迷い、苦しみ、そして変わっていく、そんな変わっていく自分に対して周りはどう思うのか、そして自分はどう思うのか、そんな葛藤をこの「エイリアンズ」が助長させているのだ。

ドラマとしては20分〜24分の非常に短いオムニバスになっている。しかし、物語の雰囲気や、演出、役者陣の演技によって、全然短く感じない。なんなら重厚感すら感じる。良い意味で無駄のないドラマになっている。

(C)HJホールディングス

個人的には、今、日本でクズ野郎を演じさせたらオダギリジョーさんと並びトップだと思っている成田凌さん。今回も素晴らしかった。今回はクズ野郎というか駄目なやつって感じでしたが、それも非常に上手い。プライベートもクズなんじゃないかと思ってしまい、妙に親近感を覚えてしまう。

前田敦子さんもしんどい女性の役をやらせるとトップレベルになってきている気がする。昔アイドルグループのセンターをやっていたとはもう誰も思わない。今後も、もっともっとしんどい女性の役をやってほしい。彼女もまたプライベートでいっぱいしんどいことがあったんじゃないかと勝手に思い、親近感を覚えている。

(C)HJホールディングス

そして、田中麗奈さん。何を隠そう、僕は田中麗奈さんの大ファンなのです。映画『がんばっていきまっしょい』の時からほぼ全ての出演作品を見てきました。なので、ずっと見ているが故に、いまだに田中麗奈さんを初めて見た時の印象で止まっているんですよね。ずっと一緒に働いてる人とかって初めて会った時の年齢の雰囲気で止まっていませんか？後輩とかに、「え、◯◯ってそんな歳になったんだ？」っていうアレです(僕の中ではあるあるなのですが、伝わらなかったらすみません)。

なので今回、大人の役をやっているのを見て、「田中麗奈さんも大人になったんだなぁ...」と、めちゃくちゃキモい目で見てました。「あの、なっちゃんがこんな大人になったのかぁ...」とキモい親心で見ていました。僕と同じ事務所のジャルジャル・後藤くんが田中麗奈さんと共演してるのを見て、「あぁ、僕が後藤君だったら、合間とか何話そうかなぁ」などという、キモいを通り越して意味不明な気持ちで見ていました。

(C)HJホールディングス

そんな個人的な思いは置いておきまして、客観的に見ても、やはり田中麗奈さんって独特な雰囲気を持っていて、今作でも目を引く存在だなとつくづく思いました。10代から今までずっと女優をやり続けてるのってやっぱりとんでもないことですよね。

何か27歳にこだわったドラマな感じに伝えましたが、全くそんなことはありません。

27歳ぐらいの方、とうに27歳を超えてる方、まだまだ27歳にはならない方、全員が全く違った気持ちで見られると思います。

そして、このドラマを見た後に、また「エイリアンズ」を聴いてみて下さい。なんだか妙にエモい感じに包まれます。どうぞ、お楽しみに。