米倉涼子の存在感が光る！「ドクターX」が描く大門未知子の魅力

2024.12.02

12月6日にファン待望の『劇場版ドクターX FINAL』が公開される。「ドクターX～外科医・大門未知子～」のタイトルで2012年に放送開始された本作は、主人公・大門未知子が放つ「私、失敗しないので」という痛快な決めゼリフが印象的で大ヒット。2021年まで通算シリーズ7本、スペシャル1本が放送され、毎回高視聴率を記録した。

(C)テレビ朝日

患者を救うために戦う孤高の天才外科医

本作は、天才的な腕を誇るフリーランスの外科医・大門未知子の活躍を描く物語で、天才医師が主役の医療ドラマは珍しくないが、その魅力は大門の特異なキャラにある。「私、失敗しないので」と言い放つだけあり、自分の腕には絶対の自信を持つ大門は、暗黙の了解とされる教授の下働きや酒の付き合いなど、医師免許不要の仕事は「一切致しません」と高らかに宣言。他者とは決してつるまない、まさに一匹狼のドクターだ。高飛車なキャラにも見えるのだが、患者の命を預かる医師としての責任感は誰よりも強く、自らの退路を断って毎回難手術に臨む。つまり、ひたすらカッコイイ主人公なのだ。抜群のスタイルを誇る米倉の圧倒的なビジュアル力も相まって、困難を乗り越えて患者を救う痛快なストーリーが視聴者をくぎ付けにする。

(C)テレビ朝日

個性豊かなキャラクターたちにも注目！

また、本作の人気を高めたのは、大門の周りのキャラの存在も見逃せない。登場人物はシリーズごとに異なるが、特に印象的だったのは西田敏行演じる蛭間重勝だろう。第2シリーズ（2013）に初登場し、以降は役職を変えながら大門と対峙し続けた。欲と野望の塊で、出世や権力闘争が絡むと極めて腹黒い。厄介な悪役ではあるが、西田の素晴らしい表現力により、どうにも憎めず愛嬌（あいきょう）のあるキャラになっている。聞けば西田は本作でもアドリブを多用し、蛭間のキャラに肉付けを加えて、役を自分のものにしたという印象だ。「唯一無二」の言葉を好んだという西田が、まさにその言葉通りの俳優であったことは、本作のスタッフも認め、彼が逝去した際に「蛭間重勝を完璧に演じきった西田敏行さんの存在そのものが『唯一無二』の俳優だったと思います」と公式サイトで追悼している。ちなみに、本作に登場する東帝大学病院の校歌のタイトルが「唯一無二」であり、劇中で蛭間が高らかに歌い上げる場面もある。

(C)テレビ朝日

ほかにも、「腹腔鏡（ふくくうきょう）の魔術師」の異名を持つ加地秀樹（勝村政信）は、スピンオフ作品「ドクターY」が作られるほどの人気キャラ。腕はいいがお調子者で、権力者にこびまくるが、出世にはつながらない。毛嫌いしながらも大門を認め、情けないけど時にカッコイイ姿がファンにも愛されている。こわもてなのに小心者というギャップのあるコミカルな医師・海老名敬（遠藤憲一）も魅力的なキャラで、ほとんどのシリーズに登場。蛭間に忠誠を尽くしながらも常に雑に扱われる姿が笑いを誘った。また、大門が所属する神原名医紹介所の神原晶（岸部一徳）も存在感抜群。彼がメロンを手土産に、蛭間に法外な請求書を突き付ける場面が毎回のお約束だ。麻酔科医の城之内博美（内田有紀）も大門の盟友であり、相棒として彼女を支える欠かせない存在だ。