アニメ「花ざかりの君たちへ」山根綺・八代拓・戸谷菊之介・梅原裕一郎が語る現場の雰囲気
アニメ 見放題インタビュー
2026.03.05
1月スタートのアニメ「花ざかりの君たちへ」(通称:花君)は、憧れの男子高生・佐野泉に会うため、性別を偽って全寮制男子校「桜咲学園」に転入する女子高生・芦屋瑞稀を主人公に描いた学園ラブストーリー。人気コミックを原作とし、過去には実写ドラマ化もされて高い人気を博した本作は、アメリカ帰りの少女が、性別を偽ってイケメンぞろいの男子校に潜り込み、恋や友情、陸上競技に全力で向き合う姿を描く。
今回は、主人公・芦屋瑞稀役の山根綺をはじめ、佐野泉役の八代拓、中津秀一役の戸谷菊之介、難波南役の梅原裕一郎の4人にインタビューを行い、収録現場の雰囲気や作品に込めた思いを語ってもらった。

――「花ざかりの君たちへ」という作品について、どのような印象をお持ちでしたか。また、出演が決まった際のお気持ちをお聞かせください。
山根「最初に触れたのは2007年のドラマ版で、本当に夢中になって見ていました。当時は学校でも話題で、見ていないと会話についていけないほどで。原作コミックも読んでいましたが、今回オーディションを受けるにあたって改めて読み返してみると、当時は気づけなかった恋愛感情の機微がとても丁寧に描かれていることに驚き、『やっぱり青春っていいな』としみじみ感じました。合格の知らせを聞いた時はうれしさでフワフワしていましたが、今は地に足をつけて、最後までしっかり走り切ろうという気持ちで瑞稀役に向き合っています」
八代「原作もドラマもあまりにも有名で、ずっと共通の話題として存在している作品ですよね。そんな名作がこの時代にアニメ化されると聞いて、とてもワクワクしました。個人的には、本作が描いてきたテーマに、ようやく時代が追いついてきたようにも感じています。佐野泉役に決まった時は正直、夢のような気持ちでした。今は『花君』が持つポジティブなエネルギーを、しっかり届けられるように演じたいと思っています」

戸谷「僕もドラマ版にハマっていた一人で、瑞稀に感情移入しながら、応援する気持ちで見ていました。今回オーディションのお話をいただいて、『あれ、まだアニメ化されていなかったんだ』と、逆に驚いたくらいです。ドラマとは違って、中津は関西弁ということもあり、少し不安はありましたが、合格できて本当にうれしかったですし、気合も入りました」
梅原「ドラマも見ていましたし、非常に有名な作品なので、アニメ化の話は周囲でも話題になっていました。高校生役ということで、若い世代の声優さん中心のキャスティングになるのかなと思っていた部分もあったので、難波役に決まった時は素直にうれしかったですね。個性的なキャラクターが本当に多い作品なので、どんなキャストになるのかも含めて、とても楽しみにしていました」

――ご自身が演じるキャラクターについて、どんな点に魅力を感じていますか?
山根「大人になると『石橋をたたいて渡る』ことが多くなりますが、瑞稀は全く迷わずにとりあえず渡っちゃうタイプ。行動に一切のためらいがなくて、やってみてダメならその時に考えるんです。どんな出来事も前向きに受け止められる女の子なので正直、できない自分からすると尊敬しかありません。瑞稀の行動力とポジティブなエネルギーは周囲にも伝わっていき、人を動かす力を持っている。そこが本当にステキだと思います」
八代「佐野は一見クールですが、実はとても優しい人物です。無愛想に見えても周囲をよく見ていて、自然と人に寄り添えるんですよね。一方で、恋愛に関しては不器用なところがあって、そこがまたかわいらしい。大人びた雰囲気の中に、高校生らしいリアリティーがしっかりあるところが魅力だと感じています」

戸谷「中津は、とにかく明るいキャラクターです。感情がすぐ表に出るので文句も多いですが、瑞稀に対して真っすぐに優しい言葉もかけられる。思ったことを何でも口にしてしまう危うさはありますけど、ウソがなくて誠実な人間なんですよね」
梅原「難波は、見た目も言動もかなりキザなので、最初はいけ好かない男に見えるかもしれません(笑)。でも、ノリがよくて楽しいことが大好きな、頼れるお兄さん的存在なんです。男子校という特殊な環境の中でカリスマ性を発揮しているのも納得できますし、実はクセも強すぎず、意外といい人だということが、物語が進むにつれて伝わってくると思います」

――今回のキャストについての印象や、現場での様子を教えてください。
梅原「八代さんとは昔からの付き合いですし、戸谷さんとも少し前に別の作品でご一緒していましたが、山根さんとは今回が初めての本格的な共演でした。気心の知れた方が多く、このメンバーならきっと楽しく収録できるだろうな、という安心感がありましたね」
山根「私も、とても心強いメンバーだと感じました。皆さんが瑞稀の魅力を自然に引き出してくださるだろうという確信があって。だからこそ、あまり自分の中で作り込みすぎず、現場で皆さんと一緒に瑞稀を形にしていこうと思っています。本当に共演者の皆さんには感謝しかないです」
戸谷「いやいや、むしろ山根さんが現場を引っ張っている印象ですよ。瑞稀の強い気持ちが伝わってくる芝居を、背中で見せてくれるので、『自分も頑張らなきゃ』と刺激を受けています。チームをけん引してくれている存在だと思いますね」
山根「えっ、そうですか? うれしいです......泣いちゃいそう(笑)」

八代「佐野は、物語が進むにつれて瑞稀のことがどんどん気になり、感情も動いていく役なので、自然と山根さんに引っ張ってもらっていますね。『花君』はキュンとするシーンやポップな学園生活が魅力ですが、その空気感を作っているのは瑞稀と中津を演じるお二人の存在が大きい。一方で、梅原さんや福山潤さん(梅田北斗役)といった年長組がしっかり支えてくれる。とてもバランスのいい現場だと思います」
山根「瑞稀と佐野が寮の部屋で二人きりになるシーンが何度かあるのですが、セリフが終わっても八代さんがマイクの前にいてくれることがあって。本来なら話し終えたらマイクから離れるんですけど、画面上ではまだ隣に佐野がいる。その状況をくんでくださっているんだと気づいた時、すごくうれしかったんです。なので、私も逆の立場の時はマイク前に残るようにしています」
八代「それがありがたいんですよ。気づいてもらえたのもうれしいですね」

山根「佐野は人をよく観察しているキャラクターなので、八代さんにぴったりだなと思います。きっとそこも意識して演じていらっしゃるんだろうなと感じていて、本当にすごいなって」
八代「幸い、二人の会話はラストシーンなことが多かったこともあり、それがしやすかったのもあります。シーン途中だと他の演者さんの邪魔になってしまうので。」
山根「確かに。今までそういう配慮をしてもらった経験がなかったので、なおさらありがたくて。隣にいてくれるだけで、全然違うんですよね」
梅原「そういう阿吽(あうん)の呼吸でのやりとりが自然に生まれている現場だと感じます。ギャグからドキドキするシーンまで振り幅の大きい作品ですが、皆さん本当に楽しそうに演じていて、いい空気だなと思います」
八代「生徒役や運動部員役の方々も含めて、それぞれが自分の役を楽しんで演じているのが伝わってきますよね。作品の空気感を、みんなで共有できている現場だと思います」

――声優という仕事に向き合う上で、皆さんが大切にしていることを教えてください。
山根「どんな仕事にも適材適所があると思っていて、声優も人と比べないことが大事だと感じています。演じたい役があっても、オーディションに落ちることはたくさんあります。でも、そこで『自分がダメなんだ』と思うのではなく、『自分にしかない魅力がきっとある』と信じることを大切にしています。人と比べて自分を下げないように意識しながら、ポジティブに日々を過ごしています」
八代「やはり一番は、作品を通して楽しんでもらうことですね。そのためには、作品のジャンルやテーマ、どんな方に届くのかを考えることが欠かせないと思っています。エンターテインメントは、受け取ってくれる人がいてこそ成立するもの。演じている時以外は、常に見てくれる人がいるということを意識しています。」

戸谷「僕は、まず自分自身が楽しむことです。もちろん考えながら演じることも必要ですが、現場だからこそ生まれるライブ感を何より大切にしています。『うわ、こんなの出た!』と感じる瞬間があって、あの感覚がたまらなく好きなんです。その瞬間を引き出せるよう、常に意識していますね」
梅原「声優という仕事は、決して華やかなものではないと思っています。だからこそ、常に真摯(しんし)に向き合うことを大切にしています。浮ついた気持ちにならず、日々一つひとつの仕事に誠実に取り組む。その姿勢だけは、忘れないようにしています」

――最後に、本作をどのように楽しんでほしいか、視聴者の皆さんへメッセージをお願いします。
山根「令和の今、このタイミングで『花君』がアニメ化されることには、きっと意味があると思っています。原作やドラマをリアルタイムで楽しんでいた方には懐かしさを、そして今の10代の皆さんには、現代のエンタメ作品とは少し違う新鮮な魅力を感じてもらえるはずです。世代を越えて楽しめる作品なので、ぜひ最後までお楽しみください」
八代「原作コミックに忠実なので、連載当時からの読者の方には懐かしさを味わってもらえると思いますし、初めて触れる方にとっても、恋の高揚と迷走が丁寧に描かれた名作だと感じてもらえるはずです。カラフルでエネルギッシュな『花君』ならではの世界観を、肩ひじ張らずに楽しんでいただけたらうれしいです」

戸谷「瑞稀と佐野の気持ちが、少しずつ育まれていく過程こそが、本作の大きな魅力だと思っています。紆余(うよ)曲折を経て、胸を打つシーンもたくさん描かれますし、その一つひとつを楽しんでほしいですね。そして、中津にもぜひ注目してください」
梅原「恋愛のワクワク感に加えて、瑞稀というキャラクターの人間性が、この作品をしっかり支えています。困難に立ち向かう彼女の姿に、きっと勇気をもらえる方も多いはずです。共感できる名ゼリフも多いので、特に若い世代の皆さんに強く響く作品になると信じています」
取材・文/渡辺敏樹 撮影/永田正雄




